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オープンな知的財産
thoughtworks

http://martinfowler.com/bliki/OpenIntellectualProperty.html

ThoughtWorksで働くことが快適なのには、いくつもの理由がある。 なかでも、ここで働く多くの人間が、私と価値観を共有してくれていることが一番大きな理由だ。 ここ数年、我々は知的財産に対する立場について何度も話し合ってきた——基本的に知的財産は放棄する方向である。

Continuous Integration継続的インテグレーション)に関する、我々のアプローチやツールを例として挙げよう。 ノウハウは秘密にし、ツールは社内だけで利用すればいいじゃないかと思う人もいるだろうが、 我々はそこで学んだノウハウを公開し、我々ツール群はオープンソースコミュニティに還元している。 これをおかしな行動と見る人間もいるだろう。 財務の知識をもった人間ならばなおさらだ——こんなことをやっているコンサルティング会社はない。

独立系コンサルタントとして働いていたときに、似たような経験をしたことがある。 同僚のなかには、自分の優れたアイデアを他人にあまり話したがらず、 このアイデアをご利用の際は別料金がかかりますと顧客に請求している人間がいた。 一方で、自分が経験した全てのことを遠慮なく周囲の人に話してくれる人間もいた。 私のキャリアで No.1 の先輩(mentor)だった人物は、Jim Odell だ。 彼は常にアイデアを与える主義の人間だった。 私は彼の行っていたやり方が好きだったものだから、私も同じようにしていた。 これは、Jerry Weinberg(ワインバーグ)とまったく一緒のやり方だ。

あ、言ってなかったが、私もThoughtWorksも、自分を犠牲にしてまで他人を助けたいわけじゃない。 なにも財産のすべてを分け与える無私無欲なサイバー聖人君子になろうとしてるわけじゃないのだ。 知的財産をオープンにすることで、莫大な報酬を手にすることもできるのだ。

いちばん分かりやすいのは、パブリシティー(評判)だろう。 最高のアイデアを持っていたとしても、誰もそのことを知らなければ、お金にはならない。 アイデアを発表すれば、あなたのことを雇いたいと申し出る人が出てくるだろう。 そんなときは一般的なアイデアを示すとよい。 一般的な考えには限界もあるが、その一般的な考えを具体的な状況に適用して欲しいと言ってくる人間がいるはずだ。 別の人間は違う観点でパッケージしたアイデアを好むかも知れない。だから人々は、別の形でも入手できるネタについてトレーニングコースを実施する人を雇うだろう。★

たとえ他のところにそのアイデアが適用できなくとも、 それを書き記すことで、あなたの考え方を理解させる機会を与えよう。 すると、それを読んであなたがどのように取り組んだかを知り、詳細を聞きに来る者が現れるはずだ。

もちろん、もっと直接的に金銭的な報酬を得るやり方はある。本や記事にするのだ。 だが、これで割のいい報酬を稼ぐのはなかなか難しい。 これから本を書く人には、お金のためにやるんじゃないよといつも言い聞かせている。 技術本を書いて報酬を得るのは難しいが、非常にラッキーな人間もいるものだ(私はそのラッキーな人間のひとりである)。

( ここで「書く」と言ったが、技術本や記事を「書く」ことだけを指しているのではない。 ソフトウェア(特にオープンソースソフトウェア)を「書く」ことも当てはまる。 我々はプログラマであり、プログラムも重要な表現のひとつである。 プログラムを発表することも本を出すことと同じなのだ(少なくともそれ以下ではない)。 )

これまで報酬について話してきたが、重要なのは、報酬は金銭的なものとは限らないという点だ。 著者としてリスペクトされることそれ自体が、大変価値あることだ。 過大評価されたり、過小評価されたりすることもあるが、 私の知る限りみんな、名声はお金に代えられないと考えているようだ。

本を書くことのもうひとつの報酬は、学習効果だ。 私はよく記事を書くが、それはそのことについてよく分かってないからであって、記事を書くことで自分の考えを修正するようにしているのだ(最近は、これが記事を書く主な理由となっている)。 コードを発表するひとも、テクノロジーがどのように動くかを知りたいがためにやっていることも多い。使用中のテクノロジーなのか、構築中のテクノロジーなのか、どちらにしても。★ オープンソース開発は重要な研究材料になったと思う。 そして多くのオープンソース開発は、継続中の研究プロジェクトだと考える方が自然だ。★

以上は個人の報酬がほとんどである。 では、会社(例えばThoughtWorks)のメリットとは何だろうか。 ThoughtWorksでは、社員のこういった本や記事などから、 度重なるパブリシティーやリスペクトを獲得している。 しかもこれで、社員がハッピーになる。 多くのプログラマがなぜプログラマなのかというと、それはプログラミングという仕事が好きだからだ。 報酬をくださるお客様にソフトウェアを納品するということも重要だが、 本や記事を出版することで得られる報酬もまた重要なのである。 後者の報酬を否定する企業は、社員のモチベーションを低下させ、 最も重要な資産(である人材)をダメにしているのだ。

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