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契約書ドラフティングスタイルガイド

はじめに

このスタイルガイドは、契約書のドラフティング基準を定めるものです。 このスタイルガイドの狙いは、以下の要件を満たす契約書の作成を支援することです。

  • 意図する契約内容を正確に表現できること
  • 読みやすいこと
  • ミスを未然に防止でき、ミスが発生した場合にも速やかに発見できること

スタイルガイドのガイド

  • [MUST] タグがついた項目
    • 必ず遵守しなければならない事項です。
    • 相手方から提示された契約書案であっても修正必須です。
  • [SHOULD] タグがついた項目
    • 特に理由がない限り遵守しなければならない事項です。
      逆に言えば、何か理由がある場合は、修正しなくても構いません。
  • タグがついていない項目
    • このスタイルガイドが推奨しているスタイルです。
  • [MUST] タグや [SHOULD] タグを付ける項目には、理由を記載することを必須とします。

文法

主語・目的語の省略

  • [SHOULD] 主語と目的語は省略不可
    ∵解釈の幅を限定するため
    • くどい記載になってしまうことは気にしない

andの接続詞

  • 原則として「及び」と「並びに」を使う
    • [MUST] 1段階の接続では「及び」を使う
      A及びB
      ∵法令の記載ルールに合わせる
    • [MUST] 2段階以上の接続では、1段目だけを「及び」で接続し、2段目以降は「並びに」で接続する
      {[(A及びB)並びにC]並びにD}
      ∵法令の記載ルールに合わせる
    • 3つ以上の接続を行う際は、最後だけ接続詞で接続し、最後以外は読点(、)で接続する
      A、B及びC
    • 3つ以上の接続を行う際に、最後に包括的な規定を置く場合は、「及び」の代わりに「その他」を使う
      A、Bその他C
    • 「その他の」は例示列挙の意味になってしまうので、「その他」とは異なる
    • 複数の条件を設定する場合等、「かつ」の方が文の通りが良くなる場合は、「かつ」を使う

orの接続詞

  • 原則として「または」と「もしくは」を使う
    • [MUST] 1段階の接続では「または」を使う
      AまたはB
      ∵法令の記載ルールに合わせる
    • [MUST] 2段階以上の接続では、最終段だけを「または」で接続し、最終段以外は「もしくは」で接続する
      {[(AもしくはB)もしくはC]またはD}
      ∵法令の記載ルールに合わせる
    • 3つ以上の接続を行う際は、最後だけ接続詞で接続し、最後以外は読点(、)で接続するA、BまたはC
  • [MUST] orの意味で「ないし」は使わない
    ∵契約書においては範囲を意味する用語として用いられるので

条件

  • 「場合」または「とき」を使う
    • [MUST] 条件の意味で「時」は使えない
      ∵「時」は、時点を表す際にのみ使う
    • 1段階の条件を設定する場合は、「場合」と「とき」のどちらを使っても良い
    • [MUST] 2段階の条件を設定する場合、大きい条件に「場合」を使い、小さい条件に「とき」を使う
      Aの場合であって、Bのときは
      ∵法令の記載ルールに合わせる

範囲

  • 「〜から・・・まで」を使う
    • 「〜乃至(ないし)・・・」は使わない
      ∵古い用法なので

形式

英数字

  • アルファベットは、全角にする特別な事情がない限り半角
  • 日付、時刻及び金額その他の数値に用いる数字は、全角にする特別な事情がない限り半角
  • 日付、時刻及び金額その他の数値以外の数字は、半角にする特別な事情がない限り全角
  • 金額の数字は、3桁毎に(,)で区切る1,000,000円

日付

  • 和暦にする必要がある場合を除き、西暦を用いる
    ∵年の計算を単純化することで計算ミスを防止するため
  • 他の書面の作成日等の日付を参照する場合は、その書面で用いられている暦で参照する
    ∵西暦⇔和暦の換算による計算ミスを防止するため

句読点

  • 句点は「。」
  • 読点は「、」

文章

  • 一文が長くならないようにする
    • 長くなった文章は短い文章に分割する

  • 体裁は「第●条(条文タイトル)」とする
    • 条文番号と条文タイトルを一度にコピーできるようにする
  • インデントは設定しない
  • 一つの条に異なるテーマの規定を盛り込まない
    • 例えば、納入と検査の規定は、それぞれ別の条に分ける
    • 条文タイトルに「等」を用いる際は、条文を分ける必要がないか検討すること
  • [MUST] 条文タイトルは、条文の内容と齟齬が生じないように設定する
    ∵必要な条文を素早く探し当てるため
    ∵条文参照ミスを発見しやすくするため

  • 1項のみの場合は、項番号を記載しない
  • 2項以上ある場合の体裁は「●.・・・」とする
  • インデントは、1項のみの場合は「左3字」、2項以上ある場合は「左1字、ぶら下げ2字」
  • 一つの項に異なる効果の規定を盛り込まない
    • 例えば、請求と支払いの規定は、それぞれ別の項に分ける

  • 体裁は「(●)・・・」とする
  • インデントは、「左3字、ぶら下げ3字」
  • 号は項目を列挙する場合に用いる

定義

  • 定義条項の体裁は”「●●」とは、・・・をいう。”とする
  • 文中定義の体裁は”・・・(以下「●●」という。)”とする
  • [SHOULD] 複数の条文にまたがって用いられる定義用語は、定義条項で定義する
    ∵文中定義は、条文の移動や変更によって齟齬が生じやすいため
    • 短い契約書や、冒頭での定義(社名等)は、条文の移動・変更の影響を受けにくいので、複数の条文にまたがる定義用語も文中定義で定義しても良い
  • [SHOULD] 定義用語に普通名詞を用いない
    ∵普通名詞と定義用語の区別がつかないため
    • 普通名詞を用いて定義したい場合は、「本件●●」「対象●●」とする
  • [SHOULD] 「甲」「乙」のようなそれ自体が意味を持たない単語を定義用語として用いない
    ∵取り違え、誤用に気付きにくくなるため
  • [SHOULD] 当事者定義は、当事者名の略称または契約における役割で定義する
    ひな形等の汎用性の確保が必要な契約書や、役割を明示する必要性が高い契約書では役割で定義し、それ以外の契約書では当事者名の略称で定義する。
    ∵取り違え、誤用を防止するため
    ●●(以下「本件受託者」という。)
  • [MUST] 循環参照にならないようにする
    ∵用語の意味が定まらないため
# BAD
(1)「本件業務」とは、本件成果物を制作する業務をいう。
(2)「本件成果物」とは、本件業務を通じて制作された成果物をいう。
  • [SHOULD] 権利義務の発生に関する規定や、手続きを定める規定などの実質的な規定を定義条項に含めない
    ∵見落としの危険があるため

条文参照

  • 他の条文を参照する場合は、条文タイトルごと参照する。第●条(条文タイトル)の規定に関わらず・・・
    • 条文タイトルがないと、条文参照ずれが発生したことに気付きづらくなる
  • 他の条文を参照する場合に「前条」「次条」は使わない
    • 条文タイトルがないと、条文参照ずれが発生したことに気付きづらくなる
  • 同じ条文内の別の項を参照する場合に、「本条」の記載は不要
  • [MUST] ある条文内の条件だけを参照する場合は、「第●条の場合」ではなく、「第●条に規定する場合」とする
    ∵「第●条の場合」は、条文全体の参照になるので
    • 「・・・のとき」で条件を規定している場合も、「第●条に規定する場合」でOK

規定の重複

  • [MUST] 同じ内容の規定を、複数の場所に記載しない
    ∵変更漏れによる契約条件の矛盾の発生を防止するため
    • 免責など、効果は同じだが、条件が異なるようなケースでは、複数の場所に分散して規定することも許容される
      • 条件が複雑な場合には条件を基準に分散して定めた方が読みやすく、効果が複雑な場合には複数の条件を列挙する一つの規定にまとめた方が読みやすい。

規定の変更

  • 規定の変更を行う条文においては、変更対象の規定を特定して変更することを明示する
    • 後法優先に頼らない
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