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慰霊のことば

本日、ここに、駆逐艦菊月戦歿者慰霊祭を挙行するに当たり、七十七年前の昭和十七年五月、駆逐艦菊月と運命を共にされた、戦歿者十二柱の御霊に、駆逐艦菊月会を代表して、謹んで慰霊のことばを申し上げます。

おかげさまで、昭和二十年から七十四年もの長きに亘り、わたくしどもは、戦無き世を歩んでくることができました。令和の時代もまた、平和であってほしいと願うところであります。平和に過ごせる中、戦争の惨禍は次第に人々の心から遠ざかり、在りし日の菊月を知る人も少なくなって参りました。 現在、駆逐艦菊月会の会員は、六名全員が、先の大戦については知らないことも多い戦後生まれです。

そのような中、目を向けたいのは、全ての存在において、忘却とは、第二の死である、ということです。よく、人の死は、一度目は、肉体の死、二度目は、その死さえも忘れ去られたとき、と申します。わたくしどもは、この平穏な日々を与えてくださった英霊を二度も死なせてはならないのです。そのためにも、戦争の惨禍を、わたくしどもの世代で忘れ去ることなく、次の世代に、語り継ぐべきことは語り継いでいく、それが、わたくしどもの務めと思うところであります。

自らの若い命を祖国の安泰に捧げ、遠き南溟の地におきまして、平和の礎となられました御霊に、ご参列の皆様と共に、深甚なる敬意を表し、安らかなる眠りをお祈りいたしまして、慰霊のことばとさせていただきます。

令和元年五月五日

駆逐艦菊月会 幹事 堀江仁貴

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