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忙しさから脱して大事なことに集中するには? "Make Time" を読んだ
2018-12-26 07:56:12 -0800

しばらく前に、Jake Knapp と John Zeratsky の Make Time - How to Focus on What Matters Every Day を読んだ。本書はいわゆる時間管理/生産性向上系の自己啓発本なんだけど、面白いところが3つある。

意思の力に頼らない

ひとつは、あまり意思の力 (willpower) に頼ろうとしないところ。Google でデザイナーとして働いていた著者らは、現在の消費者向けサービスがどれだけ巧妙にデザインされているかを知っていて、そこに正面から挑もうとしない。

例えば、彼らは「携帯電話をあまりみないようにしよう」ではなく、携帯電話からついついみてしまうアプリを、ブラウザやメールクライアントまでも含めてアンインストールしてしまうことを提案する。テレビをリビングの中心ではなく、隅のほうにおいてみよう。寝室にスマートフォンや各種デバイスをおくのはやめよう。

環境自体を変えることで、行動を変えようとする、こういった提案の数々は、自分の周りのフリクションをデザインし直している、とも言える。

「フリクション」というのはここ数年デザインの周りで見かけるようになった単語の一つで、何かの行動に至るまでがスムーズにいかないときに、その障害をさすのに使われる。ほとんどの場合はそれを取り除くのが良いことだけれど、時折、例えば GitHub でレポジトリを削除するまえに名前を入力させたりするように、意図的にスムーズさを阻害するほうが、安全で「良い」こともある。

ちなみに、携帯電話から色々をアンインストールする話は、Six Years With a Distraction-Free iPhone として Medium でも読めるのだけど、書き出しの

In 2012, I realized I had a problem. My iPhone made me twitchy. It called to me from my pocket, the way the Ring called Bilbo Baggins.

My moment of clarity happened in my living room. I was sitting on the floor one evening, building train tracks with my kids, when my older son said: Dad, why are you looking at your phone?

こんなくだりは、親としてちょっとドキッとするものがある。

大事なこと「だけ」に集中する

次に「大事なことに集中する」ことに重きがおかれていて、単位時間当たりの仕事量でもって生産性を測ろうとしないこと。

例えば、メールを読んで返事を書くことは悪いことではないけれど、一番重要なことでもないはずだ。著者らは

Online, anyone can contact you, not just the highly relevant people in your physinal vinicity. They have questions about thier priorities -- not yours -- when it's convinient for them -- not you. Every time you check your email or another message service, you're basically saying, "Does any random person need my time right now?" And if you respond right away, you're sending another signal both to them and to yourself: "I'll stop what I'm doing to put other people's priorities ahead of mine not matter who they are or whay they want".

実際に面と向かって会話しているときに即座に返事をしないのは失礼だろうけど、それをデジタルの世界にそのまま持ち込むのは良いことではない、というのを説明しながら

  • メールは一日の最後に一回だけ、まとめて読む。
  • Inbox を空にするのは、一週間に一回だけでいい。
  • メールにはなるだけゆっくり返信する。

などの、待たされる側からすると、ちょっと厳しいテクニックを紹介している。もちろんこれで相手側の作業はブロックするかもしれないけれど、自分のやっている作業だって待たせているひとはいるかもしれないわけで、他人の作業の優先度を常に自分の作業より高く見積もる理由は、いわれてみると無いなあと思う。

フレームワーク

最後に、全体を「フレームワーク」としてまとめているところ。

本書に登場する方法は様々で、著者のふたりもすべてを実行しているわけではない。彼らはその方法を

  • Highlight: やるべきことを決める
  • Laser: やるべきことに集中する
  • Reflect: なにがうまくいったか振り返る

という3段階と、運動・食事・睡眠などを改善する "Energize" に分類する。読者は、この4つのカテゴリから自分にあったものを試して、イテレーションを回すことで、自分にあった方法を見つけだせる、というわけ。

実践してみた

冒頭に書いたとおり、私がこれを読んだのはちょっと前で、紹介されているテクニックも色々と試してみている。

携帯電話から Chrome と Gmail を消すのは継続中。Twitter や Facebook といった、ソーシャルな色々は基本的にインストールしていないんだけど、ブラウザとメールまでなくなると、ふとした瞬間に携帯電話をチェックしたくなる、というのがだいぶ減ってよかった。

ブラウザなしの外国暮らしはそれなりに不便で、例えば食料品の買い出し中に「そういえばササミって英語でなんていうんだっけ」とふと疑問に思ってもすぐには調べられない。Android だとデフォルトでインストールされている古いバージョンの Chrome はダウンロードなしに復活できるので、そういう時だけインストールし直したりしている。

一方で、通勤に使っているバスの中で、ポッドキャストを聞いたり、Kindle や O'Reilly Safari で本を読んだりするのは、ブラウザで色々をみてまわるよりはストレスがなくて良い。コンテンツの質はそれなりに保たれているし、すでにダウンロードされていたり、ローディングを待つこともあまりない。また、Gmail がないことについてはほとんど困ることがなかった。

メールの時間を制限したり、一日の最初に読まないようにするのは、以前に読んだ Scott Hanselman's Complete List of Productivity Tips でもおすすめされていて

It's simple: if you reply to email in the morning, the sender will reply right back. What you thought was going to be less than an hour chore, quickly consumes half your day.

会社についたら、メールはしばらく開かずに、昨日の作業とかを続けてやるようにしている。1日に1回までは極められず、昼食前と帰宅前の2回くらいに落ち着いている。

他にも、一日のハイライト (達成したいこと) をまず決めてから仕事に取り掛かる、というのもしばらくやっていたのだけど、最近はあまりできていない。なんとか年明けまでには復活させたい。

まとめ

Jake Knapp と John Zeratsky の "Make Time" を紹介しました。

  • 意思の力にたよるかわりに、環境をデザインし直す
  • 大事なことだけに集中するために、例えばメールに即座に返信したりするのはあきらめる
  • 実際にブラウザとメールを携帯電話からアンインストールしてみているけど、なんとかなります

本書のウェブサイトや、前身となった Time Dorks を読むと雰囲気がわかると思うので、それで水があいそうに思えた人はぜひ。