オープンソースで学ぶバイオインフォマティクス

Toshiaki Katayama edited this page Mar 25, 2017 · 1 revision

オープンバイオ研究会編で,配列解析からバクテリアゲノム解析,遺伝子発現解析,遺伝子ネットワーク解析,ケモインフォマティクスまでを,Intel CPUを搭載したWindows PCかMacと本書があれば,本書に付録のバイオインフォマティクス向けLive DVD LinuxであるKNOBで自習できる書籍です。2/27(水)に出版されます。

はじめに

 この本を手にとっているあなたは,バイオインフォマティクス(生物情報学)が情報技術を使って生物の謎に迫る研究分野である,ということはすでにご存知のことでしょう。その代表的な成果のひとつであるBLASTなどの配列類似性検索ソフトウェア程度であれば,インターネット上で提供されているものをすでに利用しているかもしれません。しかし,ここ数年で配列決定のスピードはこれまでと比べものにならないほど速くなっていますし,トランスクリプトーム,プロテオーム,メタボロームなど大規模なデータがどんどん得られるようになっています。  これらのデータを活用して本格的に解析を行なおうという場合には,大量のデータを1つずつウェブを使って解析していては間に合いません。自分や研究室のコンピュータを利用してコマンドやちょっとしたプログラムを活用できれば,数千から数万の遺伝子を対象とした大規模な解析や,自分の研究目的にカスタマイズした解析が簡単に行なえるようになります。  でも,コマンドの実行やプログラミングは勉強する機会もなかったし自分には無理だ,と半ばあきらめてしまっていないでしょうか? もしくは,まだバイオインフォマティクスを学習しはじめたところで,どうすれば何ができるのかよくわからない,という状況かもしれません。そんなあなた,つまり「進んだバイオインフォマティクス解析に興味はあるけれど,実際どうやって進めたらいいのかよくわからない」という方々がステップアップし,具体的なプロセスや手順を身につけられること,それが本書のおもな目的です。 そのために,本書ではユニークな試みをいくつか取り入れています。まず,とりあげるツールとして「オープンバイオ」のソフトウェアに焦点をあてています。オープンバイオは,Linuxをはじめとする近年のオープンソースの潮流にならって,ソースコードを公開し,自由に利用することのできるバイオインフォマティクス用のソフトウェアを開発していこうというムーブメントです。詳細については第1章を参照いただきたいと思いますが,すでに多くのバイオインフォマティクス用ソフトウェアがオープンソースの形で公開されており,信頼され広く研究に利用されているものも数多くあります。こういったツールを使いこなす術を身につけておくことは,今後の研究を進めるにあたってとても有意義なはずです。  また,オープンソースである,つまり自由に利用できることのメリットを活かして,本書には付録DVDとしてKNOB(ノブと読む)をバンドルしています。これは,Windowsが動作するコンピュータで動作する1 DVD Linuxで,広く利用されているオープンバイオのさまざまなソフトウェアがすでに用意されている環境です。これによって,コンピュータにDVDを挿入して起動するだけで,本書で解説されているプロセスや手順を,セットアップなしですべて試すことができるのです。本書とコンピュータさえあれば,進んだバイオインフォマティクス解析を,すぐに実際に手を動かしながら学習することが可能です。  本書でとりあげている内容は,基本的な配列解析をはじめ,ゲノム解析や遺伝子発現解析,遺伝子ネットワーク解析,さらには薬剤や環境ホルモンなどの解析を含めたケモインフォマティクス(化学情報学)までと,多岐にわたっています。各トピックについてすべてが網羅されているわけではありませんが,そこで意識されている問題と,それを解決するための具体的な手順を身につけることができるでしょう。これらの解説の多くが,紹介されているオープンバイオソフトウェアの開発者によっておこなわれている点も,本書のユニークな点のひとつです。  さらに,本書でとりあげるツール群の適用対象として,架空の例ではなく,生物学的な観点からとても興味深い遺伝子(とくに核内受容体PPAR-γ)とその関連遺伝子)をできるかぎり用いています。実践的かつ具体的な解釈を行ないながら解析手順を提示していきますので,1つの遺伝子がもつ多様な側面が露わになっていくようすを垣間見ることができるでしょう。(本書の「はじめに」より)

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