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Subway Virgins

A fictional story written in Japanese.

地下鉄と霊の射精

死者の霊は存在しない。それを主張する文献は少ないが、私たちはすでにそれを知っている。

ならば、生者の霊は存在するだろうか。多数説では、人間は単独では存在しないが、関係性の中に存在する。すなわち、社交的な者には霊があるが、社会から隔絶された者には霊がない。その説に反対するものは、地下鉄を建設し、そこに移り住むようになった。そして、私たちはすでに死者の霊であり、いま、ここは死後の世界であると主張する。

私は比較計算機学の本を買った帰りの乗換駅で、人通りのない通路に座っている女性を見つけた。目を上げると、小さな換気口があり、地上の者の声を聞くことができた。私たちは固有の名前を持たず、印象によって勝手な語で認識する。換気口下さんは、その声を聞いていた。地上の者たちが地下に侵攻を開始する兆候をとらえるためであった。

換気口下さんは、地上の者が侵攻したときに起こることを想定すると憂鬱だという。地上の者は地下の者に挿補を強要するだろう。これまでの調査では、その挿補は美しさや親しさのためではなく、それらを毀損するために行われると信じられていた。挿補の経験が初めてでなければ、憂鬱は軽減されるだろうか。換気口下さんは私を挿補に誘った。

挿補は、凸器官と凹器官を触れ合わせることで、かつては生殖の方法として知られていた。私たちは封筒のような服を着て、自分自身の器官についてさえほとんど忘却している。私は精通を経験してからまだ数年なので、挿補は遠い存在だった。

換気口下さんは通路の中央に罐を置いて、立入禁止の標とした。私たちは初めて互いの皮膚に触れた。私は、挿補にいたるまでに、多数の仕草と表情があることを知った。それらはすべて初めて見るものだった。挿補が始まると、換気口下さんは痛みを訴えた。私が動揺すると、換気口下さんは、私の肩を抱いて、小刻みに震えた。私の器官は換気口下さんの血の中を泳いだ。

体液を垂らしながら私たちは見つめあった。換気口下さんは「深い眠りのようでした」と言った。それから、換気口下さんは、他の者にも同じことをしても良いかと言う。私が答えられないでいると、「比較計算機学さんがここに来てくれたときは、拒まないようにします」と約束してくれた。

換気口下さんは、何もしていないときでも、本を読んでいるような雰囲気がある。私は、暗算をしているようだと言われたことがある。