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第一部:ロールとサークル

ロールの定義

ホラクラシー組織において組織の構成要素であるのがロール(役割)だが、ロールは目的・領域・責務の3つの要素から成り立つ。

  • 目的:そのロールが達成しようとしている結果のこと。目的があることで、そのロールは他のロールの領域を侵さない限りいかなる行動をとっても良いことが保証される。目的は1つであることが望ましいが、複数あることも許される。
  • 領域:そのロールが、所有し、コントロールしているリソースや活動・権限のこと。復数あることも、1つも持たないことも許される。ロールにアサインされた人はその領域のオーナーということもでき、他のメンバーは、その領域に影響を及ぼす場合はそのロールに明示的に許可を取らなければいけない。
  • 責務:組織がそのロールに期待している活動のことである。領域とは違い、責務は他のロールの行動を制限することはない。原則として、責務に書いてあることはすべてそのロールが行わなければいけないことである。

責務と領域に関しては、サークルメンバーは次のリクエストをすることができる。

  • 責務遂行のリクエスト:他のサークルメンバーは、サークルメンバーに対してそのロールの責務の遂行を要求することができる。要求されたメンバーは、ネクストアクションがある場合はそれを明らかにし、すぐにとれるネクストアクションが無い場合は、何を待っているのかを明確にしなければいけない。
  • 領域に影響するリクエスト:他のサークルメンバーは、他のロールの領域に影響を与えるような要求をすることができる。要求されたメンバーは、それを却下することができるが、その場合はその理由を説明しなければいけない。

サークルの基本

「サークル」というのは、さらに分解可能なロールのことで、それ自体も普通のロール同様に目的・領域・責務を持つ。サークル内のロールを埋めている人は誰でも、そのサークルメンバー(Circle Member)とみなされる。

サークルのLead Link

サークルには、Lead Linkといロールが1人必ず存在する。Lead Linkは、そのサークル内のロールの任命を任されたロールである。Lead Linkの責務は、

  • ロールをメンバーにアサインすること。
  • そのロールが本人にフィットしているかどうかを1on1などを行って常にモニタリングし、そのフィットをより良いものにするためにフィードバックを行う。
  • サークルのメトリクス定義をし、戦略や優先順位を定める。
  • サークルのリソースを、そのサークル内のプロジェクトやロールに割り当てる。

また、Lead Linkの目的は、そのサークルの目的と完全に一致する。 ガバナンスプロセスを経ることで、各サークルのLead Linkの責務や領域は変更することができる。

コアサークルメンバー

サークルには、コアサークルメンバー(Core Circle Members)が存在し、そのサークル自体のルールを決めるガバナンスプロセスに参加することができる。

基本のメンバー構成

以下のロールをもつ人たちがコアサークルメンバーとなる。

  • サークルの定義ロールを埋めているパートナー。つまり、サークルの直下のロールを持っているパートナー。
  • Lead Link
  • Cross Link

複数人ロールにおける除外ルール

もし、複数のパートナーがひとつのロールにアサインされている場合は、サークルは、そのロールの何人がコアサークルメンバーかどうかを指定するポリシー(規定)を制定してもよい。 しかし、ポリシーで規定された場合でも、そのロールから少なくとも一人はコアサークルメンバーとしなければいけない上、どのようにそれが決まるかを定めなければいけない。 加えて、ロールの代表者は、このルールによって除外された人たちから伝えられたひずみを処置する責任がある。

些末なロールにおける除外ルール

サークル内にはほとんど重要でない些末な仕事をするロールがある場合があるが、Lead Linkの判断でそのようなロールをコアサークルメンバーから除外しても良い。 もしそれによりパートナーがコアサークルメンバーから除外された場合、Lead Linkがそのパートナーのひずみを伝える責任がある。

コアサークルメンバーの特別な任命

逆に、Lead Linkはサークルの外にいるパートナーでも、追加でコアサークルメンバーに任命することができるし、それをいつでも削除してもよい。

ロール任命

空いているロールは、Unfilled Role としてサークル内に残される。 また、Lead Linkは責務を誰が果たすか不明確にならない限り、ひとつのロールに複数の人をアサインすることができる。それを不明確にしないためのやり方として、フォーカス(Focus)を定めるというものがある。フォーカスというのは、それぞれの人がロールの遂行の上で特に集中する文脈や分野のことである。 ロールに複数の人をアサインする場合は、Authorityとなる人を一人定める。ロール内で意見が分かれた時、Authorityの判断に従う。 ロールを辞める時は、Lead Linkに同意を得なければいけない。

特殊ロール

各サークルは、Secretary というロールを作らなければいけない。Secretaryの役割は以下である。

  • Secretary:サークルのミーティングのスケジューリングを行い、サークルメンバーにそれを通知し、ミーティングの内容の記録および公表(組織全体に対して公表を行わなければならない)を行うことを責務としている。また、ホラクラシー憲法の解釈を行う(解釈が分かれた場合は、Secretaryの解釈に従う)。
  • Facilitator:サークルを、憲法(Constitution)に沿って管理・運用することを目的とする。規約上必要なミーティングのファシリテーションを行い、必要に応じて子サークルのミーティングを聴講することが責務である。また、規約に反する行いややり方を見つけたときに、プロセス障害(第三部で後述)を宣言する。

特殊ロールも、Lead Linkによって任命され、Lead Link自体も兼任することができる。

サブサークル

サークル内の定義ロールは、メンバーの増加に伴いサークルに拡張することができる。その場合、そのサークルのことを元のサークルのサブサークルと呼ぶ。元のサークルのことをスーパーサークルと呼ぶ。 サークルの生まれ方は、以下のような場合が考えられるが、ガバナンスプロセスを経ている限り、これ以外の作られ方も許容される。

  • ひとつのロールに任命される人の数が増え、個々人の責任分担が不明確になってきたときに、そのロールをサークル化して、各責任領域ごとにロールをつくる。
  • すでにある復数のロールを、サークルとしてまとめる。

スーパーサークルとサブサークル間で、定義ロールの移動を行なっても良いが、これらの手続きはすべてガバナンスプロセスに則って行われなければいけない。

ガバナンスプロセスを通じれば、サブサークルを削除することもできる。その場合、その中身まで全部削除しても構わないし、その一部の機能をスーパーサークルに移動させることで削除しても良い。削除したのちに、普通のロールに戻すということも可能である。 サブサークルのLead Linkは、スーパーサークルのLead Linkによって任命される。

Cross Linking

サークルは、Cross Link 規定を作ることができる。これは他の組織やチームをサークルのガバナンスプロセスに巻き込むためのもので、巻き込まれた側の組織や個人(組織内の他のロールの人など)は Linked Entity と呼ばれる。対象となっているサークルは対象サークル(Target Circle)と呼ばれる。

Linked Entityをひとつのロールとみなした時、そのロールは Cross Link Role と呼ばれ、そこに任命された個人を Cross Link と呼ぶ。

Linked Entityがサークルまたはグループのとき、そのサークルまたはグループでの通常のロール任命のプロセスに則って、Cross Linkを任命する。Cross Linkは、Cross Link規定で特に定められていない限りは、1人である。Cross Linkは、対象サークルのコアサークルメンバーであり、対象サークルのガバナンスプロセスに参加できる。

第二部:ガバナンスプロセス

ガバナンスの範囲

ガバナンスプロセス(Governance Process)は、ホラクラシー組織の管理体制(ガバナンス)に変更や定義を加えるプロセスである。ガバナンスプロセスは、以下の権限を持つ。

  • サークル内のロール及びサブサークルを定義・変更・削除する
  • サークル・ロールの所属関係を移動する。
  • サークルの規定を定義・変更・削除する。

ガバナンスプロセスで決められたことが、サークルのガバナンス(Governance)として機能する。

ガバナンスミーティングの開催と参加者

ガバナンスミーティングは、Secretaryが事前にコアサークルメンバーにガバナンスミーティングが開かれるということを場所と時間とともに通知したときのみ、行われる。 サークルのポリシーで特別に規定がない限りは、上の条件を満たしていさえいれば、ガバナンスミーティングの定足数は無い。 出席することができなかった人は、採択された提案に反対することはできない、 ひずみの提案者は、どのサークルに対してひずみを提案するかを決めることができる。

ガバナンスミーティングに出席するのは、該当サークルのSecretaryとFacilitatorを含むコアサークルメンバー全員と、ひずみの提案者である。 サークルを移動する場合は、移動されるサークル・移動先のサークル、そして移動されるサークルの所属するスーパーサークルのコアサークルメンバーが出席する。 それに加え、Cross Link, Lead Link, Facilitator, Secretary はそれぞれ最大1人づつ他のメンバーを呼ぶことができる。呼ばれた人は会議中はコアサークルメンバーとなる。ガバナンスミーティングには、上記に指定されたメンバー以外の参加は許されていない。

ガバナンスミーティングのプロセス

ガバナンスミーティングにおいて、各アジェンダに対は下記のように進行を行う。進行は、当該サークルのFacilitatorが努める。 また、各アジェンダの前後にチェックインラウンド・クロージングラウンドを設けてもよい。

  • チェックインラウンド:参加者が1人づつ、自分の思いや状況を述べる。他の人の発言は禁止。
  • クロージングラウンド:参加者は1人づつ、感想やミーティングを通して思ったことをシェアする。

ミーティングのアジェンダは、事前に作られたひずみに従う。 アジェンダの順番はFacilitatorが定めるが、ガバナンスミーティングの開催を要請した人が出した項目が優先される。順番が決まれば、下記のプロセス(このプロセスは統合的意思決定プロセスと呼ばれる。)で各アジェンダ項目をすすめる。

  1. 提案フェーズ:現在のアジェンダ項目の提案者がテンションを説明し、それを解決する案を提案する。提案者が他の参加者に提案を作る協力を要請し、Facilitatorが了承すれば、協調を行なっても良い。
  2. 質問フェーズ:参加者は提案者に対して質問をする。このときにディスカッションを行なってはいけない。質問が出なくなるまで続ける。
  3. リアクションフェーズ:質問が終わると、提案者以外の参加者が1人づつ提案に対してリアクションを共有する。自分の番以外では発言してはいけない。
  4. 変更フェーズ:提案者は参加者のリアクションを受けて、提案の変更を行なったり、コメントをしても良い。このフェーズでは、提案者とSecretary以外は発言してはいけない。
  5. 反論フェーズ:参加者は、提案に対して反論がある場合は1人づつ反対意見を述べる。この過程で反論が有効でないと判断されれば、提案は採択され、Secretaryはその決定事項をサークルのガバナンスとして記録する。
  6. 統合フェーズ:反論が有効な場合、Facilitatorはその反論を解決するような新しい変更案の議論を進行しなければいけない。反論者がその提案を認めれれば、その変更案は可決され、サークルのガバナンスとなる。新しい変更案に対して反論が提示された場合は、Facilitatorの判断で反対ラウンドに戻っても良い。

憲法とガバナンスの解釈

ホラクラシー憲法に書いてある解釈が各人ごとに異なる場合、それを解決するルールがホラクラシー組織には備わっている。ホラクラシー憲法の解釈は、下記の優先度で決まる。

  • サークルのSecretary > サークルメンバー:サークル内で憲法の解釈が分かれた場合、そのサークル内でのSecretaryの解釈が、他のサークルメンバーの解釈に勝る。
  • スーパーサークルのSecretary > サブサークルのSecretary:スーパーサークルのSecretaryの解釈は、サブサークルのSecretaryの解釈に勝る。

解釈が定められたら、Secretaryはその解釈をサークルのガバナンス記録を通じてサークルに公表する。その解釈はサブサークルも従わなければいけない。 サークルメンバーは、ガバナンスが適切に運用されているか判断してもらうようSecretaryに頼むことができる。Secretaryはそのように頼まれたら、憲法の解釈に従ってガバナンスが憲法に適切に沿っているかを判断し、適切でない箇所があると判断された場合は、その箇所をガバナンス記録から削除し、どの項目が何故消されたかを該当箇所のガバナンスに関係しているすべてのコアサークルメンバーに通知する。

プロセス障害

プロセス障害(Process Breakdown)は、サークルが憲法に記述されていることと相反するふるまいをした時に発生する。 コアサークルメンバーが十分に時間をかけてもガバナンスミーティングで提案をうまく処理できなかった場合、Facilitatorはプロセス障害を宣言する。提案者が、この提案を処理するためにガバナンスミーティングを発足させているケースは、この提案者もプロセス障害を宣言できる。また、Facilitatorは、自分のサークルのサブサークル内で憲法と異なるふるまいやアウトプットを発見した場合でもプロセス障害を宣言できる。 あるサークルでプロセス障害が宣言された場合は、以下の手続きが発生する。

  1. 該当サークルのスーパーサークルのFacilitatorがこのプロセス障害を修復するプロジェクトを引き受ける。
  2. スーパーサークルのFacilitatorは、Secretaryに代わることができる。また、他の人にそれを任命することもできる。
  3. 該当サークルのFacilitatorは、サークルのガバナンスプロセスにおいて、ひずみや反対意見を検証するために出された議論が正確かどうかを判断する権利を持つ。

上記の権限は一時的なもので、スーパーサークルのFacilitatorがこの障害が修復したと判断すればすぐに元に戻る。 普通、サークルのプロセス障害はそのスーパーサークルでのプロセス障害とはみなされないが、すぐに解決しない場合は、そのサークルを包含しているスーパーサークルでのFacilitatorはプロセス障害を宣言できる。

三部:オペレーショナルプロセス

戦術的ミーティング

Secretaryは戦術的ミーティング(Tactical Meeting)のスケジュールを決める責任を持つ。 戦術的ミーティングは、次のことを目的としている。

  • ロールごとのルーチンやチェック項目の進行状況を共有する
  • サークルのロールに紐付いている評価指標のレポートを共有する
  • ロールごとのプロジェクトに関する進捗報告を共有する
  • サークルのロールのネクストアクションを妨げるようなひずみを減らす

タクティカルミーティングの参加者は、ポリシーで規定されていない限りはガバナンスミーティングの参加者と同じである。

Facilitatorは、戦術的ミーティングの手順として普通は以下のものを使う。

  1. チェックリストの確認:Facilitatorの進行に従い、各参加者は繰り返し発生するタスクのチェックリストに基づいて、その完了状況を伝える。
  2. 評価指標の確認:Facilitatorの進行に従い、各参加者は自分に割り当てられた評価指標に関するデータを報告する。
  3. 進捗状況のアップデート:Facilitatorの進行に従い、各参加者はプロジェクトや責務の進捗を共有する。参加者は前回からの進捗だけを共有するが、他の参加者から要求があった場合は、それを含めなければいけない。サブサークルのアップデートに関しては、Lead Linkの発言を認める。
  4. トリアージ:Facilitatorは、ガバナンスミーティングと同じやり方で、各参加者からひずみに対応するアジェンダ項目を集める。各アジェンダ項目のすすめ方は、単純にアジェンダの提案者がひずみの解決の道筋が見えるまで他の参加者を巻き込んで議論をするというものだ。もしこのプロセスでネクストアクションやプロジェクトが承認された場合、Secretaryはそれをメモし、他の参加者に伝える。

また、アジェンダの前後には、チェックインラウンド・クロージングラウンドを設けてもよい。

  • チェックインラウンド:各参加者が、自分の状態や考えていることやミーティングに対するコメント(なんでもよい)をシェアする。この間に、他の人の反応は許されない。
  • クロージング:各参加者は感想やこのミーティングをきっかけに生まれた考えを共有する。この間に、他の人の反応は許されない。

個別行動

組織のパートナーは、ある特定の状況下では、ロールとして許されている範囲を超えるアクションをとったり、ホラクラシー憲法上のルールを破ることさえ許される。そういったアクションを 個別行動(Individual Action) と呼び、下記の条件をすべて満たしたときに取ることができる。

  • 組織そのもの、あるいは組織内のいずれかのロールの目的に対して貢献するという確信があること
  • 自分の行動により解決される組織のひずみが、それによってつくられるひずみより大きいという確信があること
  • 自分の行動により、自分が許される範囲を超えた組織のリソースを使用しないこと
  • もし自分の行動が他のロールの領域を犯す場合、そのロールの許可をとるか、それが許されるようにガバナンスを変更するのに通常かかる時間以上、その行動を遅らせることができないこと。

もし個別行動を取る場合は、 その行動と意図を説明する義務がある。個別行動をとった場合、憲法改正ミーティングを行い、憲法自体のひずみを解決することが推奨される。

第四部 憲法採択の事柄

最初のサークル

組織を最初に作った人はFounderと呼ばれる。Founderは、組織そのものと同じ目的を持った最初のサークルを作らなければならない。このサークルをアンカーサークルと呼び、組織の一番外側のサークルとなる。 Founderは、アンカーサークルのLead Linkを任命しても良いが、任命しないままサークルを離れることもできる。 Lead Linkがサークルにいない場合、Lead Linkがもつ権限(ロールの任命など)はガバナンスプロセスに委ねられる。つまり、Lead Linkがきめていたことはガバナンスミーティングでの提案としてあげなければいけない。 アンカーサークルは、自動的に組織そのものと同じ目的を持つことになる。アンカーサークルの目的はいわば組織のミッションのようなもので、アンカーサークルのLead Linkはそれを決める責務を持つ。また、アンカーサークルの名前を決めることが出来る。

アンカーサークルのLead Linkは最初のサークル構造とガバナンスを定義することが出来る。この手続きは、憲法の定めるガバナンスのプロセスは必要ない。 もし最初の構造にサブサークルがあった場合、各サークルのLead Link がサークル内の構造とガバナンスを同じように定義出来る。このプロセスはあくまでも、ガバナンスが始まる前の出発点となる構造を定義することだけに使われる。

憲法の改正

憲法改正は、憲法改正評議会というサークルによって行われる。憲法改正評議会はアンカーサークルの直下に位置する。 憲法改正評議会サークルは、SecretaryとFacilitatorとLead Linkと憲法改正評議員ロールから成り、憲法改正ミーティングに参加する。憲法改正ミーティングは、憲法そのものに関連するひずみの解消に取り組む。