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デジタル・ガバメント実行計画.md

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デジタル・ガバメント実行計画

4.8.7 行政データ連携の推進

(1) 行政データ連携標準の普及(◎内閣官房、全府省)

情報システム活用の効果を十分に発揮するためには、情報システムで取り扱うデータの構造化を徹底し、情報システム間で円滑に連携できるようにする必要がある。そのためには、データを提供する側と受け取る側の双方で、共通の規約や仕様に基づく相互運用性を確保することが重要である。データの相互運用性を確保するために、データの記述形式、共通に解釈できる語彙、使用する文字の統一といった標準化に政府全体で取り組む。

官民を通じた分野横断のデータ連携を行うためには、日付、公共施設・観光施設等の住所等の基本的なデータ形式の標準化が必要となるが、行政機関におけるデータ実装レベルでは、こうした基本的なデータやコードの記法に揺らぎが存在している。これまでは人が目視で確認する等によりその揺らぎを吸収してきたが、データ連携を効率的に行うためには、揺らぎを抑える仕組みが必要である。このため、内閣官房は、日本産業規格(JIS)や関連する国際標準等とも整合性をとりつつ、2019年(平成31年)3月に「行政基本情報データ連携モデル」(平成31年3月28日内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室)を取りまとめ、以下のデータについて標準を整備した。

  • 日付時刻
  • 住所
  • 電話番号
  • 郵便番号
  • 地理座標
  • POI(Point Of Interest)

各府省は、行政基本情報データ連携モデルや「文字環境導入実践ガイドブック」(平成31年3月28日内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室)に基づき、行政分野におけるデータの標準化に取り組み、データ連携の環境を整備することにより、行政のみならず、民間事業者等における業務の効率化やデータ活用を促進する。なお、データ連携に使うデータを整備する際は、上記の標準を適用する。また、利用者がサービスを受ける際の利便性を向上させるため、デジタル処理に適するようなデータの標準化、APIの整備等に取り組む。

内閣官房は、関係府省と協力して、町字識別子及び町字情報の標準について、2020年度(令和2年度)末までに整備する。

KPI:標準化対象のデータ数

(2) 文字環境の整備・普及(◎内閣官房、◎経済産業省、法務省、財務省、全府省)

我が国の行政業務で用いられる漢字約6万文字を整備した文字情報基盤は、国際標準化(ISO/IEC 10646第5版)を完了したところ、安定した運用体制を確保するため、2020年(令和2年)8月に民間への移管を行った。また、2018年(平成30年)3月には、登記申請書への法人名の読み仮名の記載を開始した。加えて、2019年(平成31年)3月には、漢字、代替文字、読み仮名、ローマ字等の文字情報の現状や導入方法に関するガイドとして、「文字環境導入実践ガイドブック」を策定した。さらに、マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループの議論を踏まえ、マイナンバーカードに氏名をローマ字表記できるよう、迅速に戸籍における読み仮名の法制化を図る等の検討を進めることとなった。

各府省は、文字情報基盤の活用を推進し、文字情報に関する相互運用性を確保する。また、情報システムを整備する際には、一般的業務に係る情報システムにおいて使用する文字の範囲はJIS X 0213を原則とし、UCS(Universal multiple-octet coded Character Set)に従った表現(符号化及び記述法)で情報システムの整備を行う。

加えて、現在個別に外字を使用している情報システムは更改時にその必要性を見直す。その際、戸籍氏名文字を表すことが必要な場合には、情報システムの現状を把握しつつ、文字情報基盤を通じたデータ連携を可能とする。なお、各府省は情報システムの整備に当たっては、当該ガイドに則して整備を行うこととする。

法人名に関しては、法人番号公表サイトにおいて、2017年(平成29年)4月から、法人からの申込みに基づき、法人名の英語表記を公表している。引き続き、内閣官房は関係府省と協力し、法人名の読み仮名及び英語表記の普及を図る。

KPI:地方公共団体の調達における文字情報基盤参照割合

(3) 共通語彙基盤の推進、コード体系の確立・普及(◎内閣官房、◎経済産業省、全府省)

官民を通じた分野横断のデータ交換を促進するため、内閣官房において、2019年(平成31年)3月に「行政サービス・データ連携モデル」(平成31年3月28日内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室)を整備した。

引き続き、各情報システムが持つデータ項目やデータ構造の標準化を推進するため、データ交換基盤である共通語彙基盤の整備及び活用を推進し、データ全体を正確に交換、活用できる環境を実現する。また、国際的なデータ連携を実現するため、諸外国の行政用データ基盤と国際的な連携を図る。さらに、語彙の整備を進めるとともに、当該語彙に対するコードを定義する必要があるため、共通語彙と既存語彙の関係性の整理等を通じて、社会の基本となるコードの整理を実施する。

内閣官房は、共通語彙とコードの整備について、イベント、施設、設備等の社会基盤に関する分野、広報、調達、制度、法人活動等の社会活動に関する分野を重点分野として検討を進めており、2019年(平成31年)3月には、調達情報について行政サービス・データ連携標準を整備した。今後、他分野についても標準を整備しつつ、調達情報についての行政サービス・データ連携標準について、必要に応じて改定する。さらに、官民データ連携の一環として、共通語彙基盤や行政サービス・データ連携標準の地方公共団体及び民間への展開を図る。

また、経済産業省は、共通語彙基盤の整備・拡張を推進する。

各府省は、情報システムの整備に当たっては、原則として行政サービス・データ連携標準に従った形で行う。

KPI:行政サービス・データ連携標準の実装ガイド数

KPI:地方公共団体の調達における共通語彙基盤参照割合

(4) イベントデータ標準の整備(◎内閣官房、経済産業省、関係府省)

経済活性化や生活の質向上等のため、シンポジウムやスポーツ、祭事、国民・地域住民向けの説明会などの様々なイベントが行われているが、その開催情報や詳細情報は、開催団体や所管組織等の各々が、Webサイトやデータファイル等によって、それぞれ独自の項目や形式で公開しており、データ連携を活用して分かりやすく、かつ、広く伝えられていない現状がある。

こうした状況を改善するために、内閣官房は、検索性の向上や情報システム間のデータ連携が容易になるよう、国際標準や共通語彙基盤に準拠したイベントデータ標準を整理している。2019年(令和元年)8月には、こども霞が関見学デーにおけるイベント検索サービスにて、イベントデータ標準を活用する実証を行った。

内閣官房は、当該実証による成果を踏まえ、イベントデータ標準を公開し、各府省への普及を図るとともに、官民データセットの一環として地方公共団体への展開を図る。

KPI:イベント情報のAPIでの提供機関数

(5) API整備の推進(◎内閣官房、◎総務省、◎経済産業省、全府省)

民間サービスまで含めたワンストップサービスの実現等、官民連携の実現に当たっては、APIの整備を進めることが重要である。

現在、行政機関においてもAPIを公開する情報システムが存在するものの、通信ルールや開発者への提供方法が不統一であるなど、必ずしも利便性が高い形でAPIを公開できていない状況にある。APIの公開は官民連携をシームレスに実現していくための強力なツールとなり得るため、開発者・利用者にとって利便性の高い形でAPIを公開することが必要である。また、APIは内部システムへのアクセス手段を提供するものでもあるため、APIを介して実行する処理や提供する情報に応じて、利用者の管理やデータの設計に取り組む必要がある。このため、内閣官房は、より一層の情報システムの連携を図るため、2019年(平成31年)3月に「API導入実践ガイドブック」(平成31年3月28日内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室)及び「APIテクニカルガイド」(平成31年3月28日内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室)を策定した。

内閣官房及び総務省は、各府省におけるAPI整備・活用状況のフォローアップを行い、APIリストを作成し、2020年(令和2年)3月末に公開した。当該APIリストについては、引き続き、効率的な更新に配慮しつつ、適切に更新する。

各府省は、本計画に規定されているもののほか、当該ガイドを踏まえ、各行政サービスにおけるAPIの整備について検討を行い、各府省中長期計画にその内容を盛り込む。加えて、API開発者・利用者と意見交換を行う場を設けるなどによって意見把握に努め、API開発者・利用者のニーズを十分に反映しつつ、APIの改善について検討を行い、各府省中長期計画に順次その内容を反映させる。

あわせて、各府省における取組を踏まえつつ、API利用者・API提供者双方の利便性の向上、APIの標準化、情報セキュリティ対策等の観点から、関係者間において、行政機関間・行政機関-民間間のAPI連携を推進するための方策を検討する。

経済産業省は、法人デジタルプラットフォーム整備を通じ、利用者、開発者にとって利便性の高いAPIの整備を進める。

KPI:API関連ガイド数及び公開API数

(6) データマネジメントの推進(◎環境省、内閣官房)

行政データ連携の推進、行政保有データの100%オープン化を効率的・効果的に進めるためには、各府省において保有するデータの全体像を把握し、連携・オープン化するデータの優先付けを行った上で、必要な情報システム・体制を確保し、データの標準化や品質管理等を組織全体で進めていくことが必要である。そのためには、そうした一連のプロセスを体系的に進めるための戦略を定め、取り組んでいくことが重要である。

環境省では、政府におけるデータマネジメントの試行的な取組が進められており、今年度中に「環境省データマネジメントポリシー(仮称)」を策定し、2021年度(令和3年度)以降同ポリシーに基づき行政データ連携の推進や、環境省保有データのオープン化の取組を進める。こうした取組の実施状況も参考にしつつ、政府におけるデータマネジメントの在り方を検討する。