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ビットコインのよくある質問.md

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#ビットコインのよくある質問

原文:https://multibit.org/faq.html

#####やあ、このビットコインっていうのを最近知ったばかりなんだ。技術的なことについては素人なんだけど、たくさん質問したいな・・・

なんでも聞いてよ。学ぶべきことはたくさんあるってことを覚えておいてね。あと言っとくけど、財政的なアドバイスはできないからね。

#####ビットコインってなに?

とても簡単にいうと、ビットコインはインターネットとものすごく相性のよい、新しい形のお金なんだ。

#####ということは、「仮想通貨」ってこと?

ちがうよ。一般的にいうと、仮想通貨は特定の企業によって発行されるチケットで、ほぼその企業のサイトでしか使えないものなんだ。たとえばクレジットカードのポイントやギフトカード、マイル、プリペイド携帯のチャージとかがそうだね。

ビットコインは汎用のデジタル貨幣なんだ。プログラミング可能なお金だよ。

これまで以前にビットコインみたいなものが存在したことはなかった。

電子メールが郵便サービスを革新したように、ビットコインは金融サービスに革命をもたらす可能性があるんだ。

#####ビットコインに早くから参加した人たちはかなり儲けてるって聞いたんだけど、ほんとう?

うん。以前にたくさんのビットコインを入手した人たちは、最近の価格上昇のおかげでかなりの利益を得ているよ。

#####それはなんか不公平なような。。。

投資の一般原則は、リスクが高いほど大きな報酬を得られるということ。最初期からの参加者は以下のようなリスクを引き受けたんだ。

  1. ビットコインという新しい概念についての調査研究に時間を費やした。それが無価値に終わる可能性があるにもかかわらず。
  2. ビットコインが有名になる以前から、ビットコインのためにコンピュータの処理時間を費やした。
  3. ビットコインの価値が上がるのを見ていたにもかかわらず、換金しなかった。価格上昇のそれぞれが以前より途方もないものだったのに。

多くの場合において、初期からのビットコイン参加者は今日に至るまでビットコインを推し進めてきたのと同じ人々なんだ。

#####じゃあ、本当に利益が生まれ続けているんだね。

ビットコインは2009年1月3日にはじまったばかりで、まだ成長のほんとに最初の段階なんだ。

ビットコインはまったく異なった形態のお金を体現している。新しい形のビジネスを生む大きな可能性があるんだ。21世紀における私たちのビジネスのやり方に影響を与えるであろう可能性がね。

そういう新しいビジネスのひとつを創りだすのは、あなたかもしれないね。

#####ビットコインはかんたんに使えるの?

うん。ほかのオンライン支払いシステムよりだいぶかんたんに使えるよ。多くの場合、リンクをクリックして、取引が合ってるかどうかを確認するだけなんだ。スマホ使いの人たちはQRコードをよく使うよ。そっちのほうが簡単だから。

#####QRコードってなに?

バーコードみたいなもので、黒と白の正方形からできている。スマホで読み込みやすい形で情報が保存されてるんだ。右のサイドバーに例があるよ。

#####インターネットと相性がいいって言ってたよね。例を教えてくれない?

いい例のひとつはRedditのビットコインチップボットだね。いくらかのビットコインをチップ用の財布に預けておけば、だれに対してでも(ビットコインについて聞いたことすらない人にでも)そのビットコインを送金することができるんだ。こんなふうにコメントを入力するだけでね。

+/u/bitcointip $0.5

このReddit専用のコマンドは、0.5ドル(ビットコイン換算)を返信先にチップとして送るんだ。

#####じゃあ、50セントを世界中のだれにでも送金できるわけ?

そうだよ。ビットコインはインターネットとものすごく相性がいいんだ。

#####もし1000万ドルを送金したかったら?

大丈夫だよ。ビットコインの通貨供給はそれぐらいの額のお金でもたやすく処理できる。

#####そういう取引には、いくらぐらい手数料がかかるのかな?

ビットコインの手数料は取引額ではなくて、保持されるデータの大きさによって決まるんだ。上記の取引が単純なものなら、かかる手数料は0.1ドルぐらいだね。

#####1000万ドルを世界中のどこに送っても10セントだって?うそでしょ?

ほんとだよ。ビットコインはものすごく効率的なんだ。

#####じゃあ、海外送金が簡単になるにちがいないね。

うん。国際送金は現在のところ、故郷の家族に送金しようとする人に対してかなりの手数料を課している。ビットコインを使えばすごく節約できるね。

ビットコインがあれば、国際送金は電子メールを送るのと同じくらい簡単になるんだ。

#####大文字の”Bitcoin”と小文字の”bitcoin”を使い分けてるんだね。どんな違いが?

ビットコインネットワークは大文字のBをつけてビットコイン(Bitcoin)、価値を体現する貨幣は小文字のbをつけてビットコイン(bitcoin)と呼ばれているよ。

#####USDとかEURみたいな通貨コードはあるの?

3文字のコードは現在BTCだけど、将来、最終的にはXBTになると多くの人が考えている。ビットコインコミュニティは現在、国際標準化委員会にXBTをISO 4217で定義するよう働きかけているよ。

#####じゃあ、ビットコインはビットコインコミュニティが所有しているの?

ある意味ではね。ビットコインはいかなる組織によっても所有もコントロールもされていない。支援している政府も企業もない。

それにもかかわらず、今では世界中の数百万人が取引のために使っている。この人々こそがビットコインコミュニティなんだ。この文章を読むことで、あなたもそのコミュニティの一員となるんだよ。

#####もしだれもビットコインを所有していないのなら、どうしてそれを信用できるの?

あるウェブサイトにログインすることを考えてみて。自分の名前とパスワードは暗号によって守られているんだ。暗号は非常に進んだ数学の一分野で、秘密を守るためのものだ。

ビットコインは暗号を使ってあなたが、そしてあなただけが、自分が管理する資金を使う権利があるということを、他の人たちに対して証明するんだ。

ビットコインで使われている暗号はすべて有名なもので、銀行システムを含む無数の他の応用分野においても用いられている。新しいものとか、特別なものは特にないね。

一言で言うと、もし数学が信じられるなら、ビットコインも信じるに値する、というわけだ。

#####じゃあ、どこかの特別なウェブサイト経由ではなく、インターネット上のだれにでも送金することができるってこと?

うん。相手がだれかを知る必要すらない。さらにいうと、ビットコインを受け取るのにインターネットに接続している必要すらないんだ。

当然、ビットコインをだれから受け取ることもできるよ。それはクラウドファンディングプロジェクトの一部としてだったり、あなたのファンクラブからだったりするかもしれないね。

#####ということは、ビットコイン用の電子メールアドレスみたいなものが必要ってこと?

それに近いね。通常、お金を受け取りたいときはビットコインアドレスを伝えるんだ。アドレスは1か3ではじまる長い文字と数字の列だよ。一例をあげよう。

1AhN6rPdrMuKBGFDKR1k9A8SCLYaNgXhty(訳注:これはMultiBitの寄付先アドレス)

#####こんなのを全部入力するのはまっぴらごめんだよ!

その必要はないよ。代わりにビットコイン財布ソフトウェアがやってくれるんだ。電子メールソフトが連絡帳のメールアドレスを管理してくれるように、ビットコインアドレスを管理してくれるんだよ。

#####自分のビットコインアドレスも複数あったりするの?

うん。ビットコインの使い方でいちばんプライバシーが高いのは、アドレスを決して再利用しないことなんだ。この場合もビットコイン財布が面倒をみてくれるよ。

また、アドレスを手動で入力して間違えた場合、財布ソフトは正しくないアドレスだと教えてくれるよ。

#####財布ソフトはどこで入手できるの?

ビットコインは万人のためにある。財布ソフトはWindows、Mac、Linux、Android、iPhone、その他ほぼどこででも見つけられるよ。

ビットコイン財布の多くは「オープンソース」なんだ。つまり開発者たちが動作を確認することができて、怪しいことが行われてないかどうか確かめられるってこと。

#####プライバシーについての話が出たけど、財布を使うには登録しないといけないんだよね?

財布ソフトには登録が必要なものもあれば、不要なものもあるよ。

ビットコインでは、身元を明かすことは必須ではないんだ。実はビットコインの主な目標のひとつは、身元をだれにも明かすことなく取引ができるようにすることなんだ。この意味においては、現金にとても近いね。

#####じゃあ、完全に匿名なの?

ちがうよ。相当な労力を費やすことができる存在(政府とか、警察機構とか)が、公開されているブロックチェーンを調べて取引を追跡することは可能なんだ。

でも全体的に言って、ビットコインの匿名性はクレジットカードよりは現金にかなり近いとはいえるね。

#####「ブロックチェーン」ってなに?

ビットコインを使ってこれまでに行われた全取引を収めた、巨大なデータベースだよ。新規の取引たちは集められ、ブロックと呼ばれるかたまりにまとめられる。新しいブロックのそれぞれは一つ前のブロックを参照していて、チェーンを形作っているんだ。

現在、ブロックチェーンは12ギガバイトくらいの大きさで、10分ごとに成長しているよ。

#####そんなのをダウンロードするのはごめんだよ!

その必要はないよ。ビットコインの一般利用者にとっては、自分の取引を含むブロックチェーンの一部だけが必要なものだ。大きさは25メガバイトくらいだね。

#####じゃあ、ブロックチェーン全部をダウンロードしたいっていう利用者はどんな人なの?

通常、ビットコインを受け取るウェブサイトを運営する人たち、つまり業者は二重払いを避けるため、ブロックチェーンの完全なコピーを保持するよう努めるんだ。

#####「二重払い」について説明してくれない?

同じお金を、違う人たちを相手に二度払ってしまうことだね。ビットコインが解決する前は、デジタル通貨に共通の問題だったんだ。

#####「ブロックチェーン」が「二重払い」を防ぐ、か。もっと説明してくれないと。。。

これまでに、デジタル通貨を創るたくさんの試みが行われてきた。その全部が失敗したわけだけど、それはだれかを信用することが必要だったからなんだ。たいていそれは企業や政府で、システムを通るすべての取引を監視し、二重払いが起こらないようにしていた。

本質的な問題は、中央集権的な管理者を信頼することにあったんだ。もしそれがクラックされて、あらゆる取引が書き換えられてしまったとしたら? もし管理者みずからが悪事を隠すため、クラックされたと嘘をでっちあげたとしたら?

#####ひとつの中央集権的な管理者がまずいのだとしたら、たくさんの独立した管理者を置いたらどうなの?

それこそがまさにビットコインがやることなんだ。完全なブロックチェーンをダウンロードした人たちみんなが、ブロックチェーンの全体的な安全に貢献するんだ。みんなが継続的にほかのみんなをチェックする。だれも特定のだれかを信頼することがないかわりに、数学をみんなが信頼するんだ。

#####ということは、ビットコインはビットトレントのようなもの?

うん。ビットコインはブロックチェーンという巨大なデータベースを共有するため、ビットトレントととてもよく似た手法を使っているよ。ビットコインソフトウェアを走らせているマシンはノードまたはピアと呼ばれるんだ。

#####わかった。でもちょっと待って・・・もしだれも特定のだれかを信頼しないとしたら、いったいだれがブロックを選ぶの?

だれでもブロックを提供し、ビットコインネットワークに受容してもらうことができる。ブロックを作成するにはビットコインマイナーというソフトウェアを実行するだけでいいんだ。もしブロックが受容されれば、報酬がもらえるよ。

#####ブロックの受容の規則について、かいつまんで説明してもらえるかな?

もちろん。ブロックが受容されるためには、自分がそこに含まれる全ての取引をチェックしたということ、そしてブロックを保証するためにある程度の労力を払ったということを証明する必要があるんだ。

#####ブロックはどうやって保証されるの?

ビットコインは暗号を用い、各ブロックに固有のある数字を作り出すんだ。事前にその数字が何であるかを予測することはできない。ブロックにごくわずかな変更を加えても、まったく異なる数字になるからね。

ビットコインマイナーがやらねばならない仕事は、取引の内容を変えることなくブロックのとある設定をいじり、その数字が定められた目標以下になるようにすることなんだ。

目標の数字が小さければ小さいほど難易度は上がる。

技術的なことに明るい人のために言うと、ビットコインマイナーは目標値より小さいSHA256ハッシュ値を見つけなければならないんだ。

#####私は技術苦手だよ・・・なんで目標があるの?

思い出してほしいんだけど、世界中で数百万台のコンピュータがビットコインマイニングソフトウェアを走らせているわけ。それら全部が互いに競争していて、報酬をもらうため、自分のブロックが受容されるよう競っているんだ。

もし目標値という課題がなければ、数百万のブロックが同時に提供され、そのなかに二重払いがわけもなく入り込んでしまうだろうね。

#####じゃあ、「マイナー」がブロックを保証し、ブロックが取引を保証する、ということ?

その通り。

#####報酬って言ったよね?

うん。マイナーがあるブロックを保証したら、それをビットコインネットワークの他のノードに対して送信し、確認してもらうんだ。目標が達成され、かつ含まれるすべての取引が改ざんされていない ということを確認するのは容易にできるんだ。

これにより、マイナー本人がブロックを保証するためにある程度の労力を費やしたということが証明され、報酬を受け取る資格が与えられる。この報酬はコインベースと呼ばれ、新しいビットコインが発行されるただひとつの手段なんだ。

他のマイナーたちは取引情報の収集を続けて新しいブロックにまとめ、このブロックに結合していく。

#####ビットコインを掘り出すから「マイニング(採掘)」というの?

例えているわけだね。さらに付け加えると、ビットコインは金より希少なデジタル要素である、といえるよ。

#####金より希少だって?

うん。ビットコインはたった2100万個しか生産されず、この地球上にしか存在しない。全部が採掘されつくすには、西暦2140年ぐらいまでかかる。

金は宇宙の至る所に存在している。もっと見つけるにはただ宇宙に出ればいい。

#####ほんとに? 2140年に最後のビットコインが採掘されるって・・・それって22世紀じゃない!

うん、正確な日付ではないけど、そのあたりに。ビットコインネットワークは採掘されるブロックの数がだいたい10分ごとに1個になるよう、難易度を調整して制限している。その結果、コインベースを通じたビットコインの放出は制御されるんだ。

#####今までどれだけ採掘されたの?

約1100万個だよ。

#####ちょっとまって・・・計算が合わない

ビットコインが放出される数は一定の割合で減少していくんだ。21万ブロックごとに、ブロックが採掘されたときに得られる新しいビットコインの数は半分になる。

2009年1月から2012年11月まではブロック当たり50ビットコインだったけど、今は25ビットコインになっている。2016年9月には12.5ビットコインになり、そんな感じで続いていく。

#####でも2100万って、ある程度以上の規模の経済にとっては十分な数ではないような・・・

まったくその通り。幸運なことに、ビットコインはただの数なので、無限に分割することができる。現在、ビットコインネットワークは小数点以下8桁までを処理しているよ。

だから、ビットコインシステムにおける基本単位の総数は2100兆になる。世界規模の現金経済にとって十分な量だね。

もちろん、1ビットコインのさらに一部でも十分だ。なぜなら無限に分割可能だからね。

#####なるほど、でもちょっと話が脱線したみたい。もし同時に2つ以上のブロックが保証されたらどうなるの?だれが優先するの?

みんなに対してみんなが競争しているので、複数の競合するブロックが作られることはあるよ。規則は次の通り。ビットコインネットワークはつねに、もっとも高い難易度を最後の答えとして持つ、もっとも長いチェーンを承認する。

#####競争に負けたチェーンに入っている取引はどうなるの?

最長のチェーンに含まれていないブロックは孤立ブロックと呼ばれる。孤立ブロックに含まれる取引はもはや正当なものとはみなされず、ビットコインネットワークから取り下げられるんだ。

#####え、ちょっと・・・取引が失われるって?

うん、最悪のケースではね。でもほとんどの場合、取引はより長いチェーンにコピーされている可能性が高いよ。

#####取引が失われる可能性があるのだとしたら、自分がお金を受け取ったということをどうやって確認できるの?

ブロックチェーンの先頭ではたくさんの活動が行われているけれども、ブロックが古くなるにつれて活動は非常に急速に減っていく。あるブロックがブロックチェーンの6層深くになったとき、それはもう不可逆であるとみなされうるんだ。

各層は「確認」と呼ばれる。マイナーがブロックを確認し、さらにその上に積み上げていくからね。

#####その確認を得るためにはどれくらいの時間がかかるの?

だいたい、各確認には10分くらいかかる。だからある取引が不可逆になるには1時間くらいがかかるね。

#####「不可逆」ってことばを二度聞いたけど、もちろんもし自分が間違えたら電話かなにかで取り消せるんだよね?

いいや。ビットコインは現金にとてもよく似ている。使ってしまったら、それっきりだ。

苦情を言って自分のお金を返してもらえるようなだれかは存在しない。もし取引を取り消すことが可能だったら、それはビットコインネットワーク全体の安全性を打ち壊してしまう。

#####うーん。支払い取り消しができない、っていうことは、商売をする人にはありがたいにちがいないね・・・

その通り。ビットコインを使えば、物やサービスの支払いを1時間以内に受け取ることができる。もし確認の数を減らしてもいいのなら(たとえば価値の低い品物を売るときなど)、もっと早くお金を受け取ることもできる。

クレジットカードではたいてい、支払い取り消しの可能性が180日間維持されるので、キャッシュフローが不確実になる。だからビットコインはデジタル支払いを受け付ける商売人にとってはすごく助けになるね。

#####前に手数料について話してたよね。売り手が支払うの?

いいや。ビットコインは受け取るのは無料で、送るのにわずかな手数料を課すんだ。これは「マイナーへの手数料」と呼ばれていて、取引の保証と、インターネット上の数百万台のコンピュータ上における永久的な保存のために使われる。

ビットコインの価値がある程度の期間安定するごとに手数料は調整される。現在は0.1mXBTで、これは0.1ドルより少ない(訳注:2013年12月現在)。

#####私ほんと、技術苦手なんで・・・0.1mXBTってなに?

ビットコインでは数を表記するのにメートル法を使うんだ。1mXBTは1ビットコインの1000分の1で、ミリと読む(ミリメートルみたいに)。1μXBTは1ビットコインの100万分の1で、マイクと読む(マイクロメートルみたいに)よ。

最小単位(小数点以下8桁までというのを思い出して)は、ビットコインの発明者であるサトシ・ナカモトの名前をとり、サトシと呼ばれているよ。

サトシ・ナカモトってだれなの?

#####だれも知らないんだ。サトシ・ナカモトというのはまず確実にペンネームで、一個人なのかもしれないし、もっとありそうな可能性としては、ある集団なのかもしれない。

2008年にサトシはある有名な暗号に関するメーリングリストで、ビットコインについて説明した論文を投稿したんだ。しばらくのち、ビットコインソフトウェアの最初の試作版がオープンソースコミュニティに公開された。

サトシはビットコインプロジェクトにとどまり、コードに貢献し、質問に答え、意図を説明した。そして2010年の中頃、かれらは場を離れるつもりだと発表し、去っていった。サトシの消息についてはその後知られていない。

#####なんで匿名だったのかな?

推測だけど、匿名で名ばかりのリーダーには間違ったことのしようがない、と考えたのかも。またおそらく、サトシはプロジェクトが十分進んだと感じて、他の人々に引き継いだのかもしれないね。

#####なるほど。ところでビットコインでの取引が不可逆だとすると、もし売り手が悪いことをしようとしたら?

商売をちゃんと確立させている業者であれば、ほとんどは繰り返し取引を行いたいと考えるもの。だからそういう業者なら詐欺をもくろむことはないだろうね。その上で、「買い手が注意する」というのはどんなオンライン業者を相手にする場合でも大事な言葉だね。

インターネットにアクセスを持つ事実上すべての国は、消費者を不公正な商行為から守る法律を定めている。たいてい、そうした法律が定める窓口には、貿易標準に関する部局のような機関を通じて無料で相談することができるよ。

#####なるほど、いずれそういうところの世話になるかもしれないなぁ・・・

さて、ではここからビットコインのとても面白いところについて説明していこう。

最初にビットコインは「プログラム可能なお金」だといったのを覚えているかな。その意味は、ビットコインの取引は「これこれの額をこの宛先に払います」というような通常のやり方以外でも行うことができる、ということなんだ。

説明をつづける前に、取引についてもっとよく知る必要がある。

#####なんかすごい大変になってきた気が・・・

順を追ってみていこう。

取引とは単純にいって、だれかがどこかにお金を送ることだ。取引では「これだけのビットコインを、私が承認したこのアドレスに送って」と表現されている。

#####ちょっとまって、そもそも自分がビットコインを持っているかどうかなんて、どうやったらわかるの?

以前に確認されたブロックに存在する、自分に支払いを行った取引からだね。

#####じゃあ、各取引には親にあたる取引が順々にあるわけだ。

うん。自分が持つビットコインアドレスに支払われたすべてのビットコインの総計が、全体としての残高になる。

#####なるほど。だれかではなく、自分がそのアドレスを所有してるってことはどうやったら証明できるのかな?

その説明のためには暗号についてもう少し知る必要がある。具体的には、公開鍵と秘密鍵といわれるものについてね。

#####・・・さっぱりわからなくなったよ。

原理の簡単な説明はこうだ。

  1. あなたは私に郵送でダイアモンドを送りたいとする。
  2. あなたは私に、鍵が外れている南京錠1個だけが入っている金属製の箱を送る。
  3. 私はダイアモンドを箱に入れて、さらに自分用の鍵が外れた南京錠も入れる。そして箱にあなたの南京錠をかける。
  4. あなた以外のだれも箱を開けることはできなくなる。郵送で箱をあなたに送る。
  5. 届いた箱をあなたは自分の秘密鍵で開ける。
  6. あなたは ダイアモンドを検分し、現金で支払おうと思う。札束を箱に入れて、私の鍵で閉じる。
  7. 私以外のだれも箱を開けることができなくなり、あなたは郵送で私に箱を送る。
  8. 箱が届き、私は自分の秘密鍵で鍵を開ける。

暗号の世界では、南京錠は「公開鍵」と呼ばれる。外に出ている(公開されている)からね。で、ただひとつの秘密鍵だけが公開鍵で保護されているものを開けることができる。

さらにいうと、暗号では「鍵」とはただのとても大きな数字なんだ。だから「公開されているとても大きな数字」と「秘密のとても大きな数字」があるわけだね。

#####じゃあ、公開と秘密の鍵にはある種のつながりがあるんだね?

うん。秘密鍵を使えば公開鍵を開けることができる。でもその逆はできないんだ。

秘密鍵は秘密にしておかないといけない。大事にしまっておくんだよ。

#####忠告ありがとう。それで、ビットコインアドレスは公開鍵だ、っていうことなのかな。

だいたいあってる。公開鍵はブロックチェーンの大きさを節約するため圧縮された(zipファイルみたいに)、とても大きな数なんだ。圧縮することで公開鍵は便利に扱えるようにもなる。

この圧縮されたバージョンの公開鍵が、ビットコインアドレスなんだ。

#####で、取引の認証にはどう役に立つの?

それがビットコインパズルの最後のピースだよ。秘密鍵は取引に署名するのに使われるんだ。

#####クレジットカードで支払うときに署名するみたいに?

うん。偽造不可能なところがちがうけどね。

#####わかった、じゃあ何が署名されるの?

ビットコインの取引は、自分がビットコインをもらったさらに前の取引からできている。そうした以前の取引は、自分のアドレスに宛てたアウトプットを持っている。

#####じゃあ、自分がそのアドレスを所有している、ってことを証明するためになにかを署名するのかな?

その通り。新しい取引を作成するときは、そのお金を作るために、いろんな過去の取引からまだ使われていないアウトプットを集めてくるんだ。

#####使われていないアウトプットを集める?

うん。10の異なる送金元からそれぞれ1.5ビットコインを受け取り、10のアウトプットからなる全部で15XBTを持っていると考えてみよう。

4XBTの請求に対して支払いたいときは、まず3つのアウトプットからなる全部で4.5XBTを集めてくる。それから2つのアウトプットを作成する。ひとつは請求された4XBTで、もうひとつは自分のアドレスに向けて「お釣り」として送られる0.5XBTだ。

この全部をビットコイン財布ソフトウェアが処理してくれる。

#####なるほど、インプットとアウトプットについてはわかったと思う。でも署名はどこで関わってくるの?

まずアウトプットのそれぞれのアドレスに対応する公開鍵を得る必要がある。鍵は圧縮されて隠されていることを覚えているかな。だから最初に使うときはただ展開すればいい。

公開鍵は公開されているので、指定されたアドレスが正しく圧縮されたものであることをだれでも確認することができる。首尾は上々、自分のアドレスを自分が持っていることは証明できた気がする・・・でも公開鍵は公開されている。もし自分が以前にもそのアドレスを使っていたとしたら?(訳注:過去の取引を見て、自分の公開鍵をすでに知っている他人が存在しうる、ということ)

ここで秘密鍵が登場する。関連するアドレスそれぞれに対して、取引全体を秘密鍵で署名するんだ。

#####わからなくなってきた・・・公開鍵しか持ってない人に向けて、秘密鍵で署名することにどんな意味があるの?

暗号では、公開鍵と秘密鍵は関連づけられている。公開鍵を持っていれば、秘密鍵で行われた署名が正しいと証明できるんだ。これによって、自分が自分のアドレスを所有しており、送金のために新しい取引を作成した、ということが全体的に証明されるんだ。

#####もし売り手が悪いことをしようとしたら、というかんたんな質問からこの署名に関する話がはじまったのだけど、まだ答えを聞いてないよ。

入金と出金がどう認証されるかについてはわかったと思う。この過程がもうちょっと複雑になったらどうなるか、簡単に想像できるね。

たとえば、こんな内容のちょっとしたスクリプトを付け加えることを考えてみよう。「アドレス1への支払いを承認する。ただし、この取引をアドレス2の所有者が承認している場合に限る」

#####ちょっと待って。これって第三者預託制度だよね?

その通り。アリスとボブは取引をしたいと思っているけど、互いを信頼していない、というのはよくある状況だね。でも二人はどちらにも利害を持たないトレントは信頼している。

アリスとボブはトレントにビットコインを預ける取引を結ぶ。トレントはアリスかボブ以外に対してはそのビットコインを送金することはできないので、そのままお金を持って逃げることはできない。

取引がうまくいったら、トレントはボブに支払いをする。もしうまくいかなかったら、アリスに払い戻す。

実際の状況はもっと複雑になるけど、これがどんなふうに発展していくかはわかるね。ビットコインを使えば、ほとんどあらゆる複雑さを持つスクリプトを作成することができる。いわゆる契約ってやつだね。

#####頭が痛くなってきたな。ビットコインを使うにあたって、どれだけこういうことを知っておく必要があるの?

まあ、実際にはそんなに。でも自分が使うものについては、深く理解しておきたいものじゃないかな。入門レベルだけど、見かけの下で何がどうなっているかを知っておく役には立つものだよ。

#####これが入門レベルだって?うそでしょ?

それがビットコインのすごいところなんだ。使う上ではほとんど何も知らなくても平気なんだけど、疑問をぶつければぶつけるほど理解が深まっていくんだよ。

この話、ビットコインの背景にある経済理論についてはまだ始めてもいないよ。

#####ちょっとコーヒー飲んでくる。。。


#####はい、戻ってきたよ。ビットコインの2100万個の上限はどういうことなの?

ビットコインはデフレ通貨として設計されている。だからお金の供給が厳密に統制されているんだ。

#####経済については素人なんだけど・・・「デフレ通貨」ってなに?

おおざっぱにいって、デフレ通貨というのは時間とともに価値を増す通貨のこと。つまりデフレ通貨で値付けられた品物やサービスは、値段が下がっていく。ほかの物同士の価値は変わらないけれども。

#####ちょっとまって、じゃあビットコインで買えるものはどんどん安くなっていくってこと?

値段は下がっていく。通貨供給が制限されているので、ビットコインの購買力は時間とともに増していくと期待されるからね。

単純にまとめると、ビットコイン経済が生産されるビットコインの数より速く成長するなら、ビットコインの価格は上昇する。ほかに流通速度(ビットコインは1時間以内に再利用されうるので)に関係するややこしさも関わってくるけれども、概要はこんなところだね。

#####じゃあビットコインは貯めておいたほうがいいってこと?

まったくもって、それは自分で決めることだね。だれもビットコインを使うように強いることはないよ。

実際、流通から切り離してビットコインを手元に置いておくことで、ビットコインはより希少になる。それにより、もし需要が高ければビットコインの全体的価値は上がることになる。

もちろん、とてもとても欲しいので、ビットコインで支払ってもいいと思うようななにかが見つかるかもしれないけどね。

#####じゃあ、ビットコインを使わずそのままにしておくだけで、貯蓄口座を持てるってこと?

財政的なアドバイスはできないけどね。全体的に見ていえることは、ビットコインの購買力は時間とともに上昇するように作られているので、単純な貯蓄法として成立しうる、というところかな。

そのうえで、ビットコインの将来的な価値は保証されていない。明日価値がゼロになってしまうこともありうるよ。

#####ほんとに、明日ゼロになってしまうことが?

その可能性はある、ということ。ビットコインみたいなものはこれまで存在したことがなかった。巨大な経済学的実験なんだ。

時間が経つにつれ、どんどん多くの人々がビットコインの効用に気づくようになり、その結果としてビットコインに価値を見出していくんだよ。

#####じゃあビットコインには「本質的価値」はなく、何にも保証されていないってこと?

1個のビットコインは物理的実体を持たない。それはブロックチェーン内のある取引に存在する、ただの数字なんだ。数字はそれ自体としては何の本質的価値も持たないよ。

でも、この1個のビットコインは孤立して存在しているわけじゃない。それは史上もっとも巨大な分散財政データベースの一部なんだ。このデータベースは惑星上のどこのだれに対してでも、富のほとんど瞬間的な移動を容易にする。これは便利なことだし、便利なものには定義上、価値があることになる。

本質的には、1個のビットコインには全ビットコインネットワークに対応付けられた価値の全体の一部が体現されているんだよ。

#####ということは、1ビットコインを持っていれば、世界経済の一部が分け与えられるってこと?

うん。1ビットコインじゃなくてもね。たとえ持っているのが1サトシ(ビットコインの最小単位)でしかなかったとしても、ネットワーク全体とともに投資した価値がどう変わっていくかを見ることができる。

その価値は上がり、また下がるだろう。

面白いのは、多くの金融機関は投資額に応じて異なる段階の利子を設定していることだね。ビットコインは違う。全部の額が同じに扱われる。

#####価格がずっと変わる・・・ちょっと不安になるなぁ。。。

まったくだね。ビットコインを持ち続けるということは、それが無価値になって何も残らなくなるという巨大なリスクを引き受けるということなんだ。

それでも、多くの人たちはビットコインには途方も無い可能性があると信じ、このリスクを喜んで引き受けようとしている。保証はないけどね。

#####もし価格がずっと変わり続けるなら、売り手はそのリスクにどう対応するの?

ビットコインで支払いを受け付けて、それをすぐに現地通貨に換金するのがよくある方法だね。クレジットカードの標準的な手数料より安くこういうサービスを提供する企業が存在しているよ。

一部の売り手は、ほぼ全部のビットコインを換金したうえで、ごく一部を残しておいて、リスクを少々試してみようとする。

#####すぐ換金されてしまうのって、ビットコインにとっては悪いことなのでは?

実のところそうでもないよ。ビットコインはたいていオンラインの交換所で売られるので、ビットコインを所有したいだれかの手にまた渡るんだ。

ビットコインを物やサービスと交換できるだれかがいるっていうことは、ビットコインの効用を高めるし、それによってビットコインネットワーク全体の価値も上がるんだ。これはよい循環なんだよ。

#####ビットコイン交換所って聞いたけど、そこでビットコインが買えるの?

ビットコインを入手するやりかたはたくさんある。外国通貨を入手するのに多くのやりかたがあるみたいにね。でもオンラインのビットコイン交換所を使うのはとても一般的な方法だね。

#####どうやるかについて簡単に説明してくれない?

交換所によって違うから、おおざっぱな説明になるけどね。大体こんな感じだよ:

  1. 自分の現地通貨を扱っている評判のよい交換所を見つける(たとえばMt Gox, Bitstamp, Coinbase, BTC-eなど)。
  2. 登録手続きをする。資金洗浄行為を防ぐため、通常は公的書類の送付が必要になる。
  3. 口座がある銀行から交換所に送金手続きをする。必要な口座番号などは交換所が教えてくれる。
  4. 資金が通常の銀行システムを通過したら、その資金を使ってビットコインを買える。
  5. 注文するビットコインの額とレートを設定する。通常、交換所がほぼ即座に購入できるような値を設定してくれる。

ここまで来ればビットコインが所有できる。でもそれは交換所の管理下にあるので、自分のビットコイン財布にできるだけ早く移したほうがいい。

ほとんどの銀行は送金に手数料を請求するし、交換所も各取引ごとに手数料を請求することを覚えておこう。交換所で行うのはまとまった額の取引にしたほうがたいてい具合がいい。

#####なかなか大変そうだね。PayPalやクレジットカードは使えるの?

まずないね。どちらの方法も、支払い取り消しによりご破算にすることができる。そうした手段でビットコインを売る業者は、180日以内に支払い取り消しが行われうるという大きなリスクを引き受けることになる。

ほとんどの業者は、信頼できる顧客でなければそのリスクを引き受けようとはしないよ。

#####対面で現金取引をするのは?

それは問題ないね。Local BitCoinsというサイトを通じて、多くの人々がそういうサービスを提供しているよ。でも見知らぬ人と会うときにはつねに気をつけることだね。

#####わかった。ビットコインを使う準備は整った気がするよ。次はどうしたら?

コミュニティセクションを見れば、さらなる探索の助けになるたくさんのリソースへのリンクがあるよ。

© MultiBit 2011-013 . Powered by Bitcoin Solutions Ltd. Released under the MIT license

本翻訳はMITライセンス(日本語試訳)で公開されています。