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[28]
[[元号]]や[[年号]]は、[[年]]の上位の[[時代]]を[[名前]]によって表したものです。
[[元号]]や[[年号]]の「号」が既に「[[名前]]」のような意味ですが、
時代概念としての[[元号]]と区別して[[元号]]呼称をここでは[DFN[元号名]]と呼びます。
[[英語]]では [DFN[era name]] と呼ばれています。
[SEE[ 元号一般については[[元号]] ]]
* 文字数
[296] [[元号]]名のほとんどは[[漢字]]2文字です。[[日本]]の古い[[元号]]や[[私年号]]には、
4文字のものもありました。他の[[国]]には3文字や6文字の例もあります [SRC[>>9]]。
5文字や7文字や8文字のものが挙げられることもあります。日本の[[私年号]]にも3文字のものがあります。
[REFS[
- [9] [CITE@ja[元号 - Wikipedia]]
([TIME[2015-12-06 17:02:31 +09:00]] 版)
<https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%83%E5%8F%B7>
]REFS]
* 漢字の字体
[29]
[[漢字]]はそれぞれの時代、それぞれの地域、
それぞれの[[媒体]]の[[書体]]で書かれてきた上、
いろいろな[[字体]]のバリエーション ([[異体字]])
が生じてきました。
[[元号]]を記述する[[漢字]]であってもそれは同じです。
[272]
元の表現方法に関わらず、
現代では[[楷書]]や[[明朝体]] (に近い[[ゴシック体]]など)
で表し、
[[日本]]では[[新字体]]、
[[中華人民共和国]]では[[簡体字]]、
[[台湾]]では[[康熙字典体]]に近い[[字体]]が標準となっています。
歴史学的に扱う場面などで[[旧字体]]を使うこともあります。
従って同じ[[元号]]が国によって異なる[[字体]]で表現されることがあり得ますし、
同じ国でも当時の[[字体]]で表現されるとは限りません。
[30]
[[日本]]の[[幕末]]の[[万延]]時代、
[[元号]]は重要であるから「万延」と略さず
「蔓延」と書くよう[[触]]がありました。
[SRC[>>64 普及版 p.543]]
実際略されて書かれていたか、その可能性があったのでしょう。
;; [77] 一方[[万治]]時代にはそのような[[触]]は確認されていません。
[SRC[>>64 普及版 p.543]]
[31]
[[令和改元]]時、
「令」に[[明朝体]]系の「令󠄁」と[[楷書体]]系の「令󠄂」の大きく異なる
2[[字形]]が存在することが話題となりました。
[[日本政府]]は、[CITE[常用漢字表]]にもある通り、
どちらも等しく適切な[[字形]]であると発表しました。
[SEE[ [[令和改元]] ]]
[20]
[[元号]]由来の[[固有名詞]]について、
当事者が新しい[[字体]]でないものを使い続けており、
一般的な[[元号]]の表記と違ってしまっている事例もあります。
例えば[[日本の元号]]「[[慶応]]」 (「[[慶應]]」)
に由来する[[日本]]の教育機関「[['''慶應'''義塾]]」
は[[旧字体]]を使っています [SRC[>>19]]。
(ただし、正式には[[旧字体]]ですが、
[[新字体]]で「'''慶応'''義塾」と書かれることもあります [SRC[>>21]]。)
[REFS[
- [64] [CITE[[[日本年号史大事典]]]]
- [19] [CITE@ja[慶應義塾]] ([TIME[2019-05-10 14:35:44 +09:00]]) <https://www.keio.ac.jp/ja/>
- [21] [CITE@ja[K-MAIC 慶応メディカルAIセンター]] ([TIME[2019-05-12 17:28:00 +09:00]]) <http://k-maic.keio.ac.jp/>
]REFS]
-*-*-
[376] [[異体字]]の関係を超えて異なる字 (類形字や同音字など)
で書かれることもあります。
次の通り分類できます。
- [1300] 意図的に文字を置き換えたとみられるもの。
-- [1301] 実用当時のもの。
-- [1302] 後の時代のもの。
[EG[
[34] [[避諱]]により置き換えた事例が知られています。
]EG]
- [1310] 書き間違い、翻刻の誤り、入力ミスなどの誤りによるとみられるもの。
-- [1311] 頻繁にみられるもの。
-- [1312] 重要な史料にみられるもの。
[EG[
[230] 『旧唐書』倭国日本国伝に現れる[[白亀]]は、
[[神亀]]の誤記と考えられています [SRC[>>225]]。
つまり表記のバリエーションに過ぎないのですが、
よく[[私年号]]に分類されています。
]EG]
-- [1313] 長期間人目に触れ続けているもの。
-- [1314] 誤りと知らずに他で実用に供されたもの。
-- [1319] 一時的なもの。
[32]
類型 >>1319 はきりがなく、例えば小学校で実例を探せばいくらでも見つかりそうなものです。
未知の[[漢字]]が発見される可能性もありましょう。
この類を追求することの意味はほとんどありません。
[33]
他の類型については、
もとの[[元号]]のバリエーションとして扱うべきです。
[[元号]]の索引においてはもとの[[元号]]
を参照するものとし、
[[元号年]]を解釈する実装はもとの[[元号]]と同義と解するべきです。
-*-*-
[417] いくつかは[[異年号]]や[[私年号]]と呼ばれています。
[344] [[斉衡]]は、[[斎衡]]とも表記されます。 (更にそれぞれの[[旧字体]]の[[齊衡]]や[[齋衡]]もあります。)
[275] 「正」と「承」など似た音でよく使われる文字がいくつもあるため、
誤って表記されることもあります。
[[元号一覧・西暦対照表のようなもの][元号一覧]]でもよく見ると間違っていることがあるので、
注意が必要です。
[REFS[
- [225] [CITE@ja[私年号 - Wikipedia]] ([TIME[2015-12-13 18:25:40 +09:00]] 版) <https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A7%81%E5%B9%B4%E5%8F%B7>
]REFS]
* 元号名と漢数字
[418] [[元号]]名に[[漢数字]]が含まれると、[[年]]数を[[漢数字]]で表記した時に区切り位置が不明瞭になるおそれがあります。
特に[[元号]]名の末尾が[[漢数字]]の場合は深刻です。
[419] 歴史的に各国で使われた[[元号]]の中には、[[万]]や[[萬]]が含まれるものもいくつかあります。
[[年]]が万単位になることは基本的にありませんし
([[将来の年][将来の日時]]を表す時に理論上はあり得ますが)、
「一万」のように「万」より前に数字が来るのが普通ですから、
これは問題にはならなそうです。
同様に[[私年号]]で[[京]]が含まれるものがいくつかありますが、
これも問題にはならなそうです。
[420] その他に、次の[[元号名]]が[[漢数字]]を含んでいます。
[FIG(list short)[
- [[天''一''国]]
- [[''五''鳳]]
- [[張''六'']]
- [[''六''璽]]
]FIG]
[471] 次の[[元号]]は、[[中国]]の (全土統一できなかった勢力の) [[元号]]ですが、
[[干支]]と衝突しています。
[FIG(list short)[
- [[丁丑]]
- [[庚寅]]
- [[庚子]]
- [[庚戌]]
]FIG]
[472] 他に[[十干十二支]]に使われる[[文字]]が含まれる[[元号]]として、
次のものがあります。
[FIG(list short)[
- [[''子''平]]
- [[常''己'']]
- [[''丑''平]]
- [[始建国地皇上''戊'']]
- [[始建国天鳳上''戊'']]
]FIG]
[473] 1年を表す「元年」の「元」、
1月を表す「正月」の「正」、
2日-9日の表記「初二日」等の「初」が含まれる[[元号]]は、
数多く存在します。[[保元]]のように最後の文字がそうであるものも沢山あります。
[474] 「明治''初''年」や「大正''末''年」、「昭和''末''期」、
「平成''前''期」のように[[元号]]に続けて使われる語の最初の文字や、
「年」、「月」などの[[日時]]表記の区切り文字、
その他関連文字も、次のようなものが[[元号]]に含まれることがあります。
[FIG(short list)[
- [[世]]
- [[中]]
- [[初]]
- [[年]]
- [[歳]]
- [[載]]
- [[後]]
- [[日]]
- [[星]]
- [[時]]
- [[紀]]
- [[端]]
- [[建]]
- [[閏]]
- [[金]]
]FIG]
;; [431] [[元号一覧]]に[[漢数字]]等を含む[[元号]]名の一覧データファイルがあります。
* 非漢語表現
[443]
[[元号]]は各国住民の[[母語]]に関わらず、[[漢語]]となっています。
-*-*-
[442]
[[日本の元号]]のうち、[[古代]]の[RUBY[[[白雉]]][はくち]]は「しらきすす」、
[RUBY[[[朱鳥]]][しゅちょう]]は「あかみとり」という[[和語]]の訓みが伝わっています
([SEE[ [[日本古代の日時]] ]])。
その後の[[元号]]では踏襲されませんでしたが、
[[漢語]]のまま仮名書きすることはありました (>>367)。
;; [444] [[令和]]は[[日本]]の[CITE[万葉集]]から採られましたが、
[[漢文]]部分が使われました。
[248]
[[アイヌ語]]の特別な[[元号]]の表現や表記は知られていません。
[[日本の元号]]がそのまま使われているようです。
[SEE[ [[アイヌ暦]] ]]
[88]
[[江戸時代]]に[[発行][頒暦]]されていた[[絵暦]]では、
[[元号]]も (強引に) [[絵]]に置き換えて表現されていることがありました。
-*-*-
[644] [[清国]]の[[元号]]は、[[蒙古語]]、[[満州語]]でも表記されました [SRC[>>516]]。
[REFS[
[FIG(quote)[
[FIGCAPTION[
[516] [CITE[モンゴル語の年号: 年号迷路]]
([TIME[2016-02-08 23:23:29 +09:00]] 版)
<http://gaowei.cocolog-nifty.com/nengo/2005/10/post_c23b.html>
]FIGCAPTION]
> 清の年号ですが、漢語とモンゴル語対照させて記述させていただきます。
]FIG]
]REFS]
-*-*-
[484]
欧米語に[[音訳]]されることもあります
[SEE[ >>297 ]]。
[485]
[[CLDR]] はその他各言語の翻訳を含んでいるようですが、
適切なものか、そもそも需要があるのか不明です。
例えば[[アラビア語]]のデータがあるようです。
* 読みと仮名表記
[363]
[[漢字]]は様々な読み方があり、[DFN[[[元号]]の読み方]]もその例外ではありません。
様々に読まれ、様々に[[仮名]]で綴られてきました。
[438]
[[漢字]]の読みは[[言語]]により違い、地域 ([[方言]]) と時代によっても違いますが、
基本は話者にとって自然な発音で[[元号]]も呼ばれてきたと考えられます。
[EG[
[439]
[[現代日本]]では古代[[支那]]の[[元号]]も[[現代日本]]の[[音読み]]で読み、
[[現代仮名遣い]]の[[平仮名]]で[[振り仮名]]を書きます。
]EG]
[364] [[日本の元号]]は、
歴史的には[[詔書]]で[[漢字]]のみ表記され、
読み方は明記されてきませんでしたし、
国民への通知もありませんでした [SRC[>>64 普及版 p.542]]。
[3]
[CITE[大鏡]]千葉本 ([[鎌倉時代]]写)
には[[平安時代]]の[[元号]]の読み方が示されましたが、
正確な読みかは不明です [SRC[>>83 p.120 (小倉慈司)]]。
[75]
[[江戸時代]]には[[朝廷]]や[[幕府]]の[[新元号の検討][元号の選定]]で不吉な音ではないかなどと検討されることはありましたが、
朝幕間でそれが議論されたことはありませんでした。
[SRC[>>64 普及版 p.543]]
[EG[
[78]
[[天保]]改元時の勘文には、音 ([[ルビ]]) が付けられました。
[SRC[>>64 普及版 p.603]]
]EG]
[76]
[[江戸時代]]後期、新年号に[[振り仮名]]をつけた[[触]]が出されたことがありますが、
全国的なものではありませんでした。
[SRC[>>64 普及版 p.543]]
[6]
[TIME[明治7年][year:1874]]、
[[日本政府]]の[[文部省]]は、
[DFN[[CITE[御諡号及年号読例]]]] [SRC[>>10]]
で[[諡号]]と[[元号]]の読み方を示しました。
[SRC[>>83 p.120]]
[7]
[TIME[昭和25年][year:1950]]、
[[山田孝雄]]は、
[CITE[年号読方考証稿]]
をまとめました。
[74] [[大正]]以来、
同時制定の[[内閣告示]]により[[仮名]]が振られ読み方が明示されるようになりました。
[[大正]]、[[昭和]]は、当時の仮名遣い ([[歴史的仮名遣い]])
の[[片仮名]]で表記されていました。
[[平成]]、[[令和]]は、
[[現代仮名遣い]]の[[平仮名]]で表記されていました。
[SEE[ [[日本の元号法制]] ]]
[365]
漢字音の多様性と仮名遣いの多様性のため、
[[元号]]の読み方と仮名表記は実に様々です。
(そして[[ローマ字]]表記 [SEE[ >>451 ]])
現在までに[[元号]]の読み方の一覧表や読み方を明記した辞書がいくつも作られてきました
[WEAK[(歴史の本や[[古語辞典]]などの付録になっていることが多いです。[[Web頁]]もいくつかあります。)]]
が、
互いに内容の一致するものはないといっても過言ではありません
([SEE[ [[元号一覧]] ]])。
主要な[[元号]]は現代の発音が定まっているようですが
[WEAK[(歴史上主要な出来事に関して[[元号]]を使う歴史教科書などで[[読み仮名]]が明記されています)]]、
あまり使われないものは読みが揺れています。
[8]
歴史的に[[元号]]は[[呉音]]で読むこととされてきました
[SRC[>>83 p.120]]
が、実際には例外も多く読み方に原則を見出すのは困難です。
[EG[
[366] [[明暦]]は当時から「めいれき」とも「めいりゃく」とも読まれていました。
[SRC[>>64 普及版 p.543]]
]EG]
[EG[
[252] [[昭和]]は現在では「しょうわ」と表記しますが、
[[内閣告示]]では「セウワ」でした。
[SEE[ [[昭和]] ]]
]EG]
;; [432] こういう一覧の類の [[Webページ]]は出典も明記されていないものが多く、
他のサイトから適当にコピペしたのではないかと思いきや、
それぞれ他のページと少しずつ違っているものが多いので、
紙媒体の別の情報源に由来しているのでしょうか。
[13]
読み方、綴り方について、
現役当時のもの、
後の時代のもの、
現在一般に知られるもの、
現在歴史学者が使うものなどといろいろな基準からどれが正しい、
どれが誤りだと議論することはできますが、
結論を出すのは難しいでしょう。
ただ過去の事実を明らかにするのは難しく、
過去の仮名表記から現代人が過去の発音を復元するのもまた困難です。
どれか読み方、綴り方を選ばなければならないことがあるとすれば、
現代における用法を調査し、
現代もっとも広く受容されていると推定できるものを現代の読み方、
綴り方だとするのが妥当でしょうか。
[87] [[各表][元号一覧]]を参考に整理した[[元号]]の読み方の一覧を含む
JSON データファイルがあります。 [SEE[ [[元号一覧]] ]]
-*-*-
[257]
[[現代日本]]では通常の表記として[[仮名]]で[[元号]]を記述することはありませんが、
[[振り仮名]]付きの文章で[[漢字]]に[[添えて][ルビ]]併記したり、
幼少者・日本語初学者向けの文章で[[平仮名]]のみまたは[[平仮名]]・[[漢字]]混じりで表記したりすることはあります。
[367]
歴史的には通常の文書で[[仮名]]書きや交ぜ書きの[[元号]]の表記が行われる場合もありました。
発音変化、仮名表記の多様性、同音別元号の存在といった事情で現在となってはどの[[元号]]か判断が難しいこともあります。
[15]
[[方言]]差も大きかったと考えられ、[[日本本土]]政府の直接統治下になかった[[南西諸島]]
([[琉球国]]) の[[琉球語]]での[[日本の元号]]や[[支那の元号]]の読み方、
仮名表記も[[日本本土]]とは大きく違っていたかもしれません。
しかしそれに関する調査、研究があるのか不明です。
-*-*-
[411]
[[漢字]]でも[[仮名]]でも高低アクセント
([[イントネーション]]) は表記されません。
日本語のアクセントは地域や時代、複合語か否かによって変化し、
[[元号]]もその原則に従います。
[440]
[[昭和]]はかつては[[頭高]]が主流だったといわれますが、
現在は[[平板]]化しています。
[441]
[[令和]]は[[官房長官]]が[[頭高]]で発表したためこちらが優勢になっていますが、
[[平板]]で読む人もおり、どちらが好ましいか発表以来話題になっていました。
いずれ[[昭和]]同様に[[平板]]化するとの予想もあります。
[[日本政府]]はアクセントは定めないとしています。
[SEE[ [[令和改元]] ]]
[REFS[
- [10] [CITE@ja[[[御諡号及年号読例]] - 国立国会図書館デジタルコレクション]] ([TIME[明7.4][year:1874]]) <http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/780738/1>
- [83] [CITE[[[元号―年号から読み解く日本史―]]]]
]REFS]
* ローマ字、欧米語表現
[297] [[現代日本]]では、[[英語]]の説明で[[元号]]が[[ローマ字]] ([[ラテン文字]])
表記されることがあります。
その他[[東洋史]]に関する他の[[言語]]の記事や論文などでは、
その[[言語]]の[[文字]]に[[転写]]して記載されることがあります。
[259]
1950年代の[[米国]]の[[東アジア]]研究者は、
[[英語]]の[[論文]]で[[元号]]を[[音訳]]するべきか[[意訳]]するべきか議論していました
[SRC[>>258]]。
[445]
[[令和改元]]では、[[日本]]の[[外務省]]が英語の説明を定めました。
[SEE[ [[令和改元]] ]]
[446]
しかし過去の[[元号]]の[[意訳]]表現を定め[[日付]]記述に使うのは現実的とはいえず、
敢えて意味を説明する場合以外は単純に[[翻字]]されるようです。
[447] [[英語]]のように[[固有名詞]]を [[capitalize]] する[[言語]]では、
[[元号]]も [[capitalize]] するのが一般的なようです。
全文字[[大文字]]化することもあるようです。
別言語の語であることを示すため[[イタリック]]化されることもあります。
-*-*-
[451]
[[ローマ字]]化の流儀も[[仮名遣い]] ([SEE[ >>365 ]]) 同様多種多様であります。
[[言語]]によっても違いますし、
同じ[[言語]]でも何通りかありますし、
どの読み方を[[翻字]]するかによってまったく違う結果となります。
[486]
[[令和改元]]では、[[日本政府]]がローマ字表記を発表しました。
[SEE[ [[令和改元]] ]]
[457]
[[日本の元号]]は、
現在では、
[[現代仮名遣い]]の表記を相当する[[ヘボン式]]ローマ字化する場合が多いようです。
[464] [[長音]]を「おう」→「ou」→「ō」のように[[マクロン]]付き文字で表記することが多いようですが、
「Shōwa」でなく「Showa」のように[[マクロン]]が省略されることもあります。
これは[[地名]]など他の[[ローマ字]]表記一般と同じ傾向ですが、
[[マクロン]]省略は不可逆変換です。
ただでさえ同音異字が多いのに元の[[元号]]を復元できなくなってしまいます。
慣用が定着し政府機関などの採用例もある
「Keio」 ([[慶応]])、
「Taisho」 ([[大正]])、
「Showa」 ([[昭和]])
を除き、省略するべきではありません。
[465]
[[ヘボン式]]では m、p、b の前の「ん」は本来 n ではなく m としますが、
n とすることもあるようです。
[466]
「ん」を表す n の後に母音や y が来る場合は ' で区切らなければ[[な行]]と区別できなくなってしまいますが、
これを省く一覧表の類がみられます。不適切です。 ' のかわりに -
を使うものもあるようですが (古い[[ヘボン式]])、
[[現代日本]]で一般的な[[ローマ字]]表記とはいえず、
適当な方針とは思えません。
[469]
[[奈良時代]]の4字元号は2字+2字で構成されるため、
1語として綴るもの、 - でつなぐもの、[[スペース]]でつなぐものがみられます。 -
でつなぐのが適切でしょうか。
[467]
非日本語話者がまとめたと思われるローマ字表記や仮名表記の一覧表の中には、
明白に誤っており元の[[日本語]]の読みを復元できないものもみられます。要注意です。
[468]
その他、[[戦国時代]]から[[明治時代]]の頃に[[日本]]に訪れた[[欧米人]]が[[元号]]の[[ラテン文字]]表記を残しています。
[[ヘボン式]]成立前のものや[[英語]]以外のものは、
綴字が大きく異なっていたり、
誤記か誤解とみられるものも含まれていたりします。
(こうした史料も過去の元号の読み方の推定に用いられました。)
[2]
[[元号名]]は同音異字が多いため、
[[ローマ字]]化すると衝突が相当数発生してしまいます。
そのため元の[[漢字]]を併記したり、
[[西暦年]]を併記したりしなければ、
どの[[元号]]を指しているのかわからなくなってしまいます。
-*-*-
[26]
[[大日本帝国]][[南方占領地]][[昭南市]]で発行されていた英文[[新聞]]には、
「SYOWA 17」のように記載されていました。 [SRC[>>25]]
[59]
かつて[[日本政府]]が発行していた[[英文官報]]では、
[TIME[昭和23年][year:1948]]を「the twenty-third year of Showa」
のように表記していました。
[[日本政府]]機関は Showa と表記する例が多いですが、
Syowa と表記する場合もあります。
[SEE[ [[昭和]] ]]
[11]
[CITE[Unicode Standard]]
の[[文字の名前]]は、
[[元号名]]に限らず[[訓令式]]を採用しています。
[[元号合字]]の[[文字名称]]は、
[CODE(charname)@en[SQUARE ERA NAME MEI'''ZI''']],
[CODE(charname)@en[SQUARE ERA NAME TAI'''SYOU''']],
[CODE(charname)@en[SQUARE ERA NAME '''SYOU'''WA]],
[CODE(charname)@en[SQUARE ERA NAME HEISEI]],
[CODE(charname)@en[SQUARE ERA NAME REIWA]]
となっています。
[200]
[[日本政府]]機関の [[Webサイト]]の外国語版は特別に[[元号]]に言及する必要がなければ[[西暦]]を使うことが多いようです。
[SEE[ [[日本の暦]] ]]
[162] [[日本]]の[[国会図書館]]は、
「Meiji 14」 (明治14年)、
「Taisho 3」 (大正3年)
のように表記しています [SRC[>>161, >>163]]。
[435]
[[宮内庁]]の [[Webサイト]]は[[昭和天皇]]を「Emperor Showa」 [SRC[>>437]]、時代名を
「Meiji」、
「Taisho」、
「Showa」
と表記しています。 [SRC[>>436]]
[173]
[[日本政府]]機関は[[平成]]を Heisei と表記しています [SRC[>>166, >>171, >>165]]。
[TIME[平成元年][year:1989]]を「Heisei 1」とした事例もあります [SRC[>>174]]。
[212] [[在メキシコ日本大使館]]の[[スペイン語]]文書は、
平成27年度 ([[会計年度]]) を
「año fiscal [I[Heisei]] 27 (1 de abril del 2015 - 31 de marzo del 2016)」
と表記していました [SRC[>>206]]。
[198]
[TIME[平成28年8月8日][2016-08-08]]の[[天皇陛下][明仁]]の[[お気持ち]]中の
「平成30年」
を、[[宮内庁]] [[Webサイト]]の英語翻訳版は
「the 30th year of Heisei」としていました [SRC[>>197]]。
[201]
[[在サンパウロ日本国総領事館]]の [[Webサイト]]の[[ポルトガル語]]版は
「29º Ano da Era Heisei」
のように表記しています [SRC[>>202]]。
[36]
[[米国]]の[[ドナルドトランプ]]大統領は[[令和元年]]を英語で「[[レイワワン]]」
と読み上げました。
[SEE[ [[レイワワン]]、[[元年]] ]]
-*-*-
[478] [[各表][元号一覧]]を参考に整理した[[元号]]の[[ローマ字]]表記一覧を含む
JSON データファイルがあります。 [SEE[ [[元号一覧]] ]]
[REFS[
- [25] [CITE[Newspaper Article - Masthead, Syonan Shimbun, 24 September 1942, Page 1]] ([TIME[2019-05-05 17:05:03 +09:00]]) <http://eresources.nlb.gov.sg/newspapers/Digitised/Article/syonantimes19420924-1.2.1>
- [258] [CITE@ja[ <共同研究報告>日本における紀年認識の比較史的考察]],
[[佐藤正幸]],
[TIME[1998-09-30]]
([TIME[2019-04-13 17:31:31 +09:00]]) <https://nichibun.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=759&item_no=1&page_id=41&block_id=63>
- [436] [CITE@en[Modern Japanese Ceramic - The Imperial Household Agency]] ([TIME[2019-05-01 00:05:33 +09:00]]) <http://www.kunaicho.go.jp/e-culture/sannomaru/zuroku-17.html>
- [437] [CITE@en[Emperor Showa and Empress Kojun - The Imperial Household Agency]] ([TIME[2019-05-01 00:05:23 +09:00]]) <http://www.kunaicho.go.jp/e-about/history/history11.html>
- [161] [CITE[Evolution of the Meiji State : Outline | Modern Japan in archives]] ([TIME[2015-03-06 09:59:23 +09:00]]) <http://www.ndl.go.jp/modern/e/cha2/index.html>
- [163] [CITE[Taisho Democracy : Outline | Modern Japan in archives]] ([TIME[2014-06-30 15:47:11 +09:00]]) <http://www.ndl.go.jp/modern/e/cha3/index.html>
- [166] [CITE@ja[null]] ([TIME[2019-01-09 10:53:32 +09:00]]) <http://www.nasuheiseinomori.go.jp/en/>
- [171] [CITE@en[TOKYO NATIONAL MUSEUM - Exhibitions Heiseikan]] ([[東京国立博物館 -トーハク-]]著, [TIME[2019-01-09 10:53:24 +09:00]]) <https://www.tnm.jp/modules/r_exhibition/index.php?controller=hall&hid=10>
- [174] [CITE[Heisei 1 Hakusyo]] ([TIME[2003-03-29 16:16:58 +09:00]]) <http://www.mlit.go.jp/hakusyo/transport/heisei01/SEIBI/1SEIBI4.HTM>
- [206] [CITE[Apertura del Consulado General del Japón en León, Guanajuato]]
([TIME[28/01/2015][2015-01-28]],
[TIME[2015-01-29 08:31:31 +09:00]]) <https://www.mx.emb-japan.go.jp/sp/boletines/1502.pdf>
- [197] [CITE@en[Message from His Majesty The Emperor : Message from His Majesty The Emperor(August 8, 2016) (video) - The Imperial Household Agency]] ([TIME[2019-03-23 12:00:27 +09:00]]) <http://www.kunaicho.go.jp/page/okotoba/detailEn/12#41>
- [202] [CITE@pt[Atividades Consulares : Consulado Geral do Japão em São Paulo]] ([TIME[2019-02-01 01:41:11 +09:00]]) <https://www.sp.br.emb-japan.go.jp/itpr_pt/atividades_consulado.html>
[FIG(quote)[
[FIGCAPTION[
[165] [CITE@ja[元号に関する商標の取扱いについて | 経済産業省 特許庁]]
([[特許庁]]著, [TIME[2018-06-22 16:06:04 +09:00]])
<http://www.jpo.go.jp/seido/s_shouhyou/gengou_atukai.htm>
(リダイレクト確認 [TIME[2019-07-28T05:07:30.800Z]])
[CITE@ja[元号に関する商標の取扱いについて | 経済産業省 特許庁]] ([[特許庁]]著, [TIME[2019-02-22 00:00:45 +09:00]]) <https://www.jpo.go.jp/faq/yokuaru/trademark/gengou_atukai.html>
]FIGCAPTION]
> 現在の商標審査基準には「現元号を表示する商標」について商標法第3条第1項第6号に該当する旨明記されています※ が、現元号以外の元号についても明確化を図るため、今後上記取扱いに準じた基準の改訂の検討をいたします。
>
> ※ 商標審査基準〔改訂第13版〕抜粋(第3条第1項第6号関係)
> 4. 現元号を表示する商標について
> 商標が、現元号として認識される場合(「平成」、「HEISEI」等)は、本号に該当すると判断する。
> [更新日 2018年6月22日]
]FIG]
]REFS]
* 略号
[273] [[明治]]、[[大正]]、[[昭和]]、[[平成]]、[[令和]]をそれぞれ頭文字で
「明」、「大」、「昭」、「平」、「令」や「M」、「T」、「S」、「H」、「R」
と省略することがあります。
[[手書き]]や、申請書等の選択肢で列挙する場合、
文書番号の一部とする場合などに特によく見かけます。
[[計算機]]処理用の[[日時形式]]に組み込まれている場合もあります。
[SEE[ [[元号コード]] ]]
;; [274] それ以前の[[元号]]は、必要となる場面があまりないので見かけません。
同じ文字で衝突することが多いので、あまり古くまで拡張することはできません。
「慶」(慶応) など[[江戸時代]]末期の[[元号]]の省略形は極めて稀に見かけます。
[487]
[[日本政府]]は近現代の[[元号]]の略号が衝突しないよう配慮しているようです。
[SEE[ [[元号の選定]] ]]
* 手話表現
[244]
[[日本手話]]には、
[[近現代]]の[[日本の元号]]の表現が存在します [SRC[>>243]]。
[[令和改元]]では、新元号発表[TIME[当日][2019-04-01]]に手話表現 [SRC[>>242]] が決定され、
[TIME[翌日][2019-04-02]]に発表されました。
(新元号発表記者会見の手話通訳では[[音訳]]されたようです。) [SEE[ [[令和改元]] ]]
[REFS[
- [242] [CITE@ja[新しい手話の動画サイト:特集 元号関連用語]]
([TIME[2019-04-08 11:05:09 +09:00]])
<https://www.newsigns.jp/featured014>
- [243] [CITE@ja-JP[時の表現「明治、大正、昭和、平成」 - YouTube]]
([TIME[2019-04-08 11:08:20 +09:00]])
<https://www.youtube.com/watch?v=BGyEte8sdCs>
]REFS]
* 元号名の衝突
[276] [[日本]]の政府が定めた[[元号]]は、いずれも固有の名称を持ち、衝突しません。
[277] [[私年号]]の中には、正式な[[元号]]と同名のものもあります。
[[日本]]の[[元号]]と[[日本]]以外の[[元号]]が衝突しているケースもいくつかあります。
[377] 次のものは、[[日本]]の[[元号]]と[[私年号]]で衝突しています。
多くは、古い時代の正式な[[元号]]と同名の[[私年号]]を気付かず使ってしまったように見えます。
[FIG(list short)[
- [[大同]]
- [[延徳]]
- [[宝徳]]
- [[明応]]
- [[正中]]
- [[正和]]
- [[正治]]
- [[永長]]
- [[長徳]]
]FIG]
[378] [[天政]]は、異なる時期の[[私年号]]・[[異年号]]として使われていたようです。
[379] 古代の年号に関する一部の文献や[[九州王朝]]説の支持者は、
[[白雉]]、[[朱鳥]]、[[大化]]を[[九州年号]]などとしています。
そのためこれらが[[私年号]]として挙げられることがあります。
正史上の[[元号]]と同名ですが、異なる[[年]]を意味すると主張されています。
更に、[[継体]]も[[九州年号]]・[[私年号]]とされますが、これは[[継体天皇]]擬似[[元号]]
(の「天皇」を省略した形) と衝突します。
[405] 次の[[元号]]は、[[日本]]と他国とで衝突しています。
[FIG(short list)[
- [[元和]]
- [[天平]]
- [[建徳]]
- [[正暦]]
- [[建武]]
- [[大宝]]
- [[明治]]
- [[正安]]
- [[仁平]]
- [[天暦]]
- [[正平]]
- [[文明]]
- [[天徳]]
- [[天授]]
- [[宝暦]]
- [[大正]]
- [[大同]]
- [[貞元]]
- [[安和]]
- [[天正]]
- [[承和]]
- [[昌泰]]
- [[仁寿]]
- [[保安]]
- [[延慶]]
- [[文治]]
- [[弘治]]
- [[貞観]]
- [[大治]]
- [[永治]]
- [[元亨]]
- [[天安]]
- [[天保]]
- [[承平]]
- [[嘉慶]]
- [[永徳]]
- [[天明]]
- [[明応]]
- [[永祚]]
- [[天和]]
- [[永暦]]
- [[正元]]
- [[永和]]
- [[乾元]]
- [[元徳]]
- [[天福]]
- [[正徳]]
- [[仁安]]
- [[永享]]
- [[天禄]]
- [[至徳]]
- [[天応]]
- [[明徳]]
- [[慶雲]]
- [[天元]]
- [[承安]]
- [[天慶]]
- [[神亀]]
- [[正治]]
- [[文安]]
- [[正和]]
]FIG]
[406] 次の他国の[[元号]]は、[[日本]]の[[天皇]]名の擬似[[元号]]と衝突しています。
[FIG(short list)[
- [[清寧]]
- [[神武]]
- [[武烈]]
- [[神功]]
]FIG]
[407] 次の[[元号]]は、[[日本]]の[[私年号]]と他国とで衝突しています。
[FIG(short list)[
- [[至大]]
- [[大同]]
- [[天晴]]
- [[大和]]
- [[文徳]]
- [[朱雀]]
- [[正法]]
- [[明応]]
- [[延寿]]
- [[正治]]
- [[徳昌]]
- [[永楽]]
- [[正和]]
- [[福徳]]
]FIG]
[408] 他に、かなり多数の[[元号]]が[[日本]]以外同士で衝突しています。
[456] 以上の[[中国]]の[[元号]]の衝突のうち、
([[元]]の[[大德]]、[[天曆]]、) [[明]]の[[弘治]]、[[正德]]、[[清]]の[[嘉慶]]は[[琉球]]で使われ、
[[日本]]の[[元号]]と衝突しています。[[明]]の[[永樂]]も[[日本]]の[[私年号]]と衝突しています。
[409] 同じ[[元号]]が3つ以上の意味で衝突していることも少なくありません。
最もよく使われているのは[[太平]]で、少なくても11種類あります。
次が[[建平]]で、少なくても9種類あります。
少なくても8種類あるのが[[建武]]などいくつかあります。
[410] [[元号]]と年数と[[干支]]の組み合わせでも衝突しているものがいくつかあります。
;; [421] [[日本]]とは違って[[中国]]等は新しい[[王朝]]が前の[[王朝]]を滅ぼし入れ替わっているので、
過去の[[元号]]との衝突を避ける意志は働かなかったのでしょう。
むしろ[[建武]]のように同じ建国を表す意味の[[元号]]が盛んに採用されています。
[[日本]]政府も[[中国]]との衝突を避ける意志が無かったと見受けられます
(中国の統一王朝の[[元号]]が後に[[日本]]で使われた例もあります)。
;; [475] こうした情報は、 [[元号一覧]]のデータファイルに含まれています。
* 識別子
** 元号コード
[341] [[明治]]以後の[[元号]]に、[[計算機]]処理などの都合上[[整数]]を割り当てることがあります。
多くの場合は[[明治]]を [N[1]] とし、[[平成]]を [N[4]]、[[令和]]を [N[5]]
と順に割り当てています。
それ以外の割り当て方もあります。
[SEE[ [[元号コード]] ]]
** 文字コードにおける元号
[186] [SEE[ [[元号コード]] ]]
* 名称選定
[SEE[ [[元号の選定]] ]]
* 意味
[SEE[ [[元号の選定]]、各元号の項 ]]
* 一覧
[SEE[ [[元号一覧]] ]]
* メモ