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[12] [DFN[[[HTML]] 3.2]] は、1996年初頭の common practice 的な HTML
の規約をまとめた仕様です。1997年1月に [[W3C]]
[[勧告]]となりました。 [WEAK[[[IETF]] とは無関係に]] W3C
が公表した最初の HTML の仕様書です。 [[HTML 2.0]]
に代わり使われるべく開発されました。
[FIG(important)[
[23] 本項は過去の [[HTML]] 仕様に関するものです。
本項の内容は当時の状況を説明したものであり、現状とは異なることがあります。
]FIG]
[REFS[
- [4] ''HTML 3.2 Reference Specification'' <http://www.w3.org/TR/REC-html32.html>
- [3] ''Introducing HTML 3.2'' <http://www.w3.org/MarkUp/Wilbur/>
- [31] [CITE[Press Release: W3C Issues HTML 3.2 Recommendation]] ([TIME[2005-07-06 10:39:53 +09:00]] 版) <http://www.w3.org/Press/HTML32-REC-PR.html>
]REFS]
* 状態
[24] [[HTML 3.2]] は1997年に [[W3C勧告]]となりました。
[25] その後 [[HTML 4.0]]、[[HTML 4.01]]、[[HTML 5.0]] と幾度にもわたり後継版が
[[W3C勧告]]になっていますが、 [[W3C]] の手続き上 [[HTML 3.2]]
は依然として[[廃止]]されていないようです。
;; [26] <http://www.w3.org/TR/#tr_HTML> にも未だ掲載されています。
([[HTML 4.01]] によって置き換えられたと明記されている [[HTML 4.0]] はこのリストには載っていません。) [TIME[2015-02-07T11:35:55.700Z]]
[27] ですから [[HTML 3.2]] も形式的には現行仕様ということになりますが、
流石に実情と大きく乖離していると言って良いでしょう。
[[W3C勧告]]は出版後放置プレイ状態が基本なので、
出版当時の状況を示しているという以上の意味はないと考えるべきです。
[28] ただし [[HTML 3.2]] のページ [SRC[>>3]] には、
> Warning! HTML 3.2 was superseded by HTML 4.0 in December, 1997.
... との記述もあります。 [[HTML WG]] としては [[HTML 4.0]] によって置き換えるつもりだったのが、
[[W3C]] 手続き上はそう扱われなかったのかもしれません。
* 年表
,日付,内容
,1995-12-07,[[W3C]] [[HTML ERB]] の[[メーリング・リスト]]の最初の投稿
,1996-03 ,W3C、 HTML ERB を組織 [SRC[要出典]]
,1996-05 ,HTML 3.2 1[SUP[st]] WD
,"1996-06-17, 1996-06-18",HTML ERB 会合
,1996-09-09,HTML 3.2 WD <http://www.w3.org/TR/WD-html32-960909.html>
,1996-09-11,W3C、 HTML 3.2 を発表
,1996-11-05,HTML 3.2 PR <http://www.w3.org/TR/PR-html32-961105.html>
,"1996-11-05〜1996-12-15",HTML 3.2 PR の Member 投票
,1997-01-13,HTML 3.2 REC FE <http://www.w3.org/TR/REC-html32-970113.html>
,1997-01-14,"HTML 3.2 REC SE <http://www.w3.org/TR/REC-html32.html>, <http://www.w3.org/Press/HTML32-REC-PR.html>"
,1997-12 ,HTML 4.0 REC により HTML 3.2 は superseded [SRC[要出典]]
[29] 当初は[[開発コード名]] [DFN[[[Wilbur]]]] と呼ばれていました [SRC[>>3]]。
*HTML 3.2 Draft はどこに?
[1] 1996年5月5日に [[W3C]] [[HTML]] 3.2 の最初の原案が発表されたと伝えられていますが、現在
W3C の Web site には1997年1月14日の[[勧告]] (最終版。)
以外残っていません。
[DEL[
当時の他の勧告についても [[WD]] とかは残っていないっぽいので、
当時の W3C の方針で古い原案は消していたのかもしれません。
]DEL]
[[Internet Archive]] にも勧告しかありません。
[2] ところで、 HTML 3.2 勧告の [[URI]]
は <http://www.w3.org/TR/REC-html32> ですが、これを修正して
<http://www.w3.org/TR/WD-html32> を参照してみると、勧告に
redirect されてしまいます。
''Internet Archive Wayback Machine'' <http://web.archive.org/*/http://www.w3.org/TR/WD-html32>
によれば遅くても1999年10月12日からこの措置がとられています。 [DEL[不思議なことです。]]
- [9] ''HTML 3.2 Reference Specification'' <http://www.w3.org/TR/WD-html32-960909.html>
- [5] ''HTML 3.2 Reference Specification'' <http://www.w3.org/TR/PR-html32-961105.html> ってのを発見しました。
- [6] ''HTML 3.2 Reference Specification'' <http://www.w3.org/TR/REC-html32-970113.html> 最初の勧告
- [7] ''HTML 3.2 Reference Specification'' <http://www.w3.org/TR/REC-html32.html> 次の日に出しなおされた勧告
[19] いつのまにか
<http://www.w3.org/TR/REC-html32-19970114> という [[URI]]
になっていました。中身は >>7。
- [8] >>6-7 diff 取ってみたら、内容的にはほぼ同等らしいですが、要素型名を小文字にしてみたり字下げの仕方を変えてみたり、どうでもいいように思われるような修正が一杯入ってます。 [[DTD]] も新しいのになってます。ほとんどの変更は見た目上のものですが、大きなものとして、 [CODE(HTMLe)[[[script]]]] 要素と [CODE(HTMLe)[[[style]]]] 要素が [CODE(SGML)[(#[[PCDATA]])*]] から [CODE(SGML)[[[CDATA]]]] に変わってます。
[18] <http://www.w3.org/TR/PR-html32-961105.html> には、
WD-html32-960924 なる文書を基にしたと書かれていますが、
現存しません。 960909 の誤りか、あるいは HTML ERB 内部文書でしょうか。
* 文書型宣言
[20]
[[HTML 3.2]] [[文書]]は[[文書型宣言]]で始まらなければなりません。
[[HTML 3.2]] [[勧告]]の [[DTD]] の[[公式公開識別子]]は
[CODE(SGML)[[[-//W3C//DTD HTML 3.2 Final//EN]]]] です。
(素案時代の識別子は [CODE(SGML)[[[-//W3C//DTD HTML 3.2 Draft//EN]]]]
でした。) ただし、 [[HTML 3.2]]
で書かれたものをどう[[蓄積]]するかは仕様の範囲外なので、
[[ファイル]]には[[文書型宣言]]がなく、 [[Web鯖]]が [[HTML 3.2]]
で書かれた文書には[[文書型宣言]]を付けて送り出すという運用もできると述べられています。
[SRC@en[[[HTML 3.2]] [CSECTION[The Structure of HTML documents]]]]
[21]
このような説明の背景には、[[文書型宣言]]がほとんど使われていなかったという背景がありました。
(更にいえば[[文書型宣言]]を付けたところで[[妥当]]たり得る[[文書]]もそんなにありませんでしたけどね。)
現実には[[文書型宣言]]を付けてくれる[[鯖]]などなく
[WEAK[([[広告]]を付ける[[鯖]]は沢山あったのにね!)]]、
しかもなぜか [[HTML 3.2]] の頃から[[文書型宣言]]を付ける[[文書]]や
[[HTML]] の解説が増えてきました。
ただし[[文書型宣言]]の意味が十分理解されることはありませんでした。
[WEAK[(でも、何か最初に書くと格好良い変な奴程度の認識だったこの時代はある意味平和でした。その後 [[DOCTYPEスイッチ]]なるおかしなものが登場するなんて誰が予想したでしょう!)]]
* 技術的問題
[30] [[HTML2]] と同じく [[HTML 3.2]] も [[HTML]] を [[SGML応用]]として定義していました。
これはまったく実情と合っていませんでしたが、当時の政治的限界であり、
[[Web Applications 1.0]] (現 [[HTML Standard]]) により修正されるまで10年かかることになります。
[32] [[HTML 2.x]] の成果はまだ取り入れられておらず、 [[HTML 3.2]]
の[[文書文字集合]]は [[ISO/IEC 8859-1]] でした。
そのため厳密には[[日本語]]を含む[[欧米]]以外の[[文字]]は使えませんでした。
もちろん、これは実情に合っておらず、 [[HTML 3.2]] を使った日本語やアジア圏の文字を使った文書も多々存在していました。
;; [33] 00年代初頭には、これを根拠に日本で [[HTML 3.2]] を使うべきではないとの強引な主張もありました。
[34] [CODE[[["]]]] が含まれていませんでしたが、 [[HTML 3.2]] の[[Webサイト]] [SRC[>>3]]
ではこれは失敗だったと釈明されています。しかし仕様を修正して追加しようという意思は無かったようです。
実装上の問題も特に無かったはずで ([[相互運用性]]の問題なら、 [[Latin1]]
[[文字参照]]もすべて削除しないといけなかったはずです)、なぜ削除されたのかは謎です。
([[HTML4]] では復活しています。)
[35] [CODE(HTMLe)@en[[[marquee]]]] や [CODE(HTMLe)@en[[[blink]]]]
が追加されなかったのは [[Microsoft]] と [[Netscape]] の政治的決着だったといわれています。
* [CODE[-//W3C//DTD HTML 3.2 final//EN]]
[36] [[不思議][不思議マーク付け]]系解説本の中に、 [[HTML 3.2]] の[[公開識別子]]を
[DFN[[CODE[-//W3C//DTD HTML 3.2 final//EN]]]] としているものがありました。
本文中のかなり多くの例文にきちんと[[文書型宣言]]が書いてあって、それ''だけ''は評価できるのですが、全部が全部 [Q[f]]
が小文字になっています。
* メモ
[22] 当時は [[HTML 3.0]] の標準化が難航の末に放棄され、
実質標準 HTML が存在しない状況であった上に、
所謂[[ブラウザ戦争]]真っ盛りであり、
[[Netscape]] と [[M$]], そしてその他の[[販売者]]達が競って
HTML に新機能を追加していました。 HTML
の標準化は不可能だという悲壮感すら漂っていました。
そうした事態を打開すべく、主要ブラウザ販売者らが集められて
[[W3C]] [[HTML ERB]] が組織され、比較的共通に実装されていた
HTML の「機能」を集約し、その後の作業の基本とすることになったのが、
HTML 3.2 だったのです。
[13] ですから、 HTML 3.2 には旧 HTML 3.0/2.[VAR[x]]
モジュール群はほとんど影響していない一方で、
ブラウザの実装から多くの[[物理要素]]が取込まれました。
後に [[HTML 4]] が勧告されたときにはそのような要素型はほとんどが[[非推奨]]とされてしまいました。
[WEAK[それらの要素型が使用できた HTML 4 [[Transitional]] は HTML 3.2 の直系の子だといえます。]]
ですから、 HTML の歴史から見ると HTML 3.2 / 4 Transitional
は「大きな寄り道」のように思えます。
もっとも、そのような後世の価値観からの評価はともかくとして、
W3C 勧告という形で HTML の仕様をまとめて標準化を推進した歴史的意義は決して蔑ろに出来るものではないでしょう。
- [10] ''Advancing HTML: Style and Substance'' <http://www.w3journal.com/5/>: W3C の公式雑誌 [[W3J]] の記事。丁度 HTML 3.2 制定の時期に当たり、制定の裏側とか面白い記事がある。
-- [11] >>10 [[ERB]] は [[M$]] と [[Netscape]] で殺伐としていたとか。
- [16] HTML 3.2 が W3C 勧告になったから次は [[IETF]] で [[RFC]] になるのだろうという観測もありましたが、結局そうはなりませんでした。[WEAK[W3C 勧告制度はできたばかりで今以上に地位が低かったですし。それに、既に IETF Proposed Standard として [[HTML 2.0]] ([[RFC 1866]]) や HTML 3.2 と同時期制定の [[HTML 2.x]] ([[RFC 2070]]) がありますから、その位置付けも微妙ですし。 HTML 3.0 のときの ietf-html の発散とか HTML 3.2 勧告までの W3C HTML ERB の殺伐をまた IETF で繰り返すというのも流石にあれですし。]]
- [17] >>16 まあ IETF にいくとしたら [[BCP]] か [[Informational]] だろうねぇ。 ''Best'' Current Practice とは言い難いが。
- [14] 1997年には「HTML 3.2 対応」を名乗るソフトウェアも激増し、雑誌記事なんかでもそのことが評価基準の一つになったりもするんだけど、どうも理解してる人はぜんぜんいないらしく、[CODE[フレーム対応など HTML 3.2 をフルサポート]]とか意味が分からないことが普通にかかれていたりする。
- [15] >>14 まあ HTML 3.0 に完全に対応したソフトウェアもあるくらいだから雑誌記事なんて当てにならんわな(w