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[12]
[DFN[避諱]]は[[人名]]に関する[[忌避]]の一種です。
* 避諱の対象
[23]
[[避諱]]の対象は時代と地域によって違って複雑です。
[24]
基本的には現行[[王朝]]の王統の[[人名]]が対象となります。
[25]
初代皇帝の先代などが遡って対象となることがあります。
[26]
[[属国]]の場合に、自王朝の王統が独自に適用対象になることがあります。
[31]
避ける必要のない異国の[[避諱]]でも、外国由来の情報などの理由で避けられることがあります。
[EG[
[32]
[[近代日本]]の[[活字]]は
[CITE[康煕字典]]
の影響で[[欠画]]されていることがあります。
]EG]
[33]
王朝交替があると再出版などのタイミングで[[避諱]]の必要がなくなって元に戻されることがあります。
[27]
基本的には[[諱]]が避けられますが、
[[漢名]]と異民族名を両方持つ場合などもあって、
どれが避けられているのかはよくよく観察しないといけません。
[SEE[ [[壽昌]] ]]
[28]
[[人名]]が複数文字で構成されるときに、どの[[文字]]が避けられるかには違いがあります。
単字で避けられることもあれば、組み合わせでだけ避けられることもあります。
[29]
文字の単体でなく、[[部分字形]]レベルで避けられることがあります。
[EG[
[30] [CITE[康煕字典]]では「玄」を[[部分字形]]として持つあらゆる[[漢字]]が改変されています。
]EG]
* 避諱表記法
[2] [[避諱]]にはいろいろな方法があります。
- [[欠画]]
- 他の文字への置き換え
- 一部の文字の省略 [SEE[ [[壽昌]] ]]
- 文字の順序の入れ替え [SEE[ [[壽昌]] ]]
[34]
特定の国の特定の[[避諱]]がほとんど必ず同じ方法で行われていることもあれば、
ばらばらの方法で行われていることもあります。
* 日時表記と避諱
[3] [[端月]], [[元年]], [[時憲書]], [[景午]],
[[東洋の日時表示]],
[[IV]]
[41]
[[避諱]]が適用された[[元号]]を[DFN[避諱元号]]といいます。
[[避諱]]前のオリジナルの[[元号名]]を[DFN[避諱前元号]]、
[[避諱]]後の改変された[[元号名]]を[DFN[避諱後元号]]といいます。
[FIG(short list)[ [4] [[避諱元号]]
- [[建虎]] ([[建武]])
- [[建㱏]] ([[建武]])
- [[立安]] ([[建安]])
- [[現慶]] ([[顯慶]])
- [[光慶]] ([[顯慶]])
- [[明慶]] ([[顯慶]])
- [[現徳]] ([[顯德]])
- [[峻豊]] ([[建隆]])
- [[立炎]] ([[建炎]])
- [[正豊]] ([[正隆]])
- [[至理]] ([[至治]])
- [[唐隆]]
- [[永隆]]
- [[壽隆]] ([[壽昌]])
- [[盛昌]] ([[壽昌]])
- [[昌壽]] ([[壽昌]])
- [[隆和]]
- [[隆安]]
- [[萬曆]]
- [[重熙]]
- [[咸和]]
]FIG]
[22] [[鴻佳]], [[白亀]], [[宋暦]], [[延祥]]は不明なため[[避諱元号]]の可能性が検討されたこともありますが、
今のところその証拠は見つかっていません。
-*-*-
[38]
[[避諱]]の[[元号]]の存在は古くから知られており、研究も多いですが、
説明的な記述が多く、
1語になった[DFN[避諱年号]]の[[国立国会図書館デジタル]]の初出は[TIME[昭和8(1933)年][1933]]の[[朝鮮史]]研究者[[秋浦秀雄]]の[[論文]]です。
[SRC[>>37]]
[39] その後[[藤田亮策]]の[[論文]]や
[CITE[日本私年号の研究]]
でも使われています。 [SRC[>>7862, >>1543]]
[40]
[[避諱年号]]という語は、[[避諱]]された結果と目される[[元号]]が[[避諱年号]]であるか、
ないか、と表されます。 [SRC[>>37, >>7862]]
[[避諱]]される前の[[元号]]を表す語は特に無かったようです。
[42]
[[藤田亮策]]の[[論文]]では、
[[立安]]を[[避諱年号]]の1つとして挙げつつも、
当時の用例ではないので真の[[避諱年号]]とは言い難いとも書いています。
[SRC[>>7862 #page=49]]
[CITE[日本私年号の研究]]
も同じことを書いています。
[SRC[>>1543 p.[V[五四]]]]
当該[[元号]]の実用当時に行われた[[避諱]]こそが真の[[避諱年号]]である、
という区別らしいです。
[43]
このような考え方になるのは、
実用当時から[[避諱]]が行われ得るという[[朝鮮史]]の特殊事情が影響していそうです。
[[漢土]]の諸王朝では、[[避諱]]しなければならないような[[元号名]]を選ぶことが原則的にあり得ないので、
必然的に[[避諱]]は後世になって記述するときのものになります。
[8]
[CITE[日本私年号の研究]]では[[避諱年号]]は[[公年号]]に含まれるとしています。
[SRC[>>1543 p.[V[五六]]]]
[SEE[ [[公年号]] ]]
[REFS[
-
[37] [CITE@ja-JP[[[青丘学叢]] (12)]], [[青丘学会]], [TIME[1933-05]], [TIME[2023-05-15T11:26:02.000Z]], [TIME[2023-05-28T01:35:36.131Z]] <https://dl.ndl.go.jp/pid/1544535/1/66> (要登録)
- [1542] [CITE[[[日本私年号の研究]]]]
-- [1543] [CSECTION[第四章 朝鮮半島の公年号と僭竊年号・私年号]]
]REFS]
* 朝鮮半島
-[35] [CITE@ja-JP[青丘学叢 (14)]], [[青丘学会]], [TIME[1933-11]], [TIME[2023-04-25T10:11:41.000Z]], [TIME[2023-05-14T12:49:26.690Z]] <https://dl.ndl.go.jp/pid/1544538/1/95> (要登録)
-[36] [CITE@ja-JP[朝鮮金石攷]], [[葛城末治]], [TIME[1935]], [TIME[2023-04-25T10:11:41.000Z]], [TIME[2023-05-15T05:31:07.751Z]] <https://dl.ndl.go.jp/pid/3437831/1/51> (要登録)
- [54] [CITE[[[朝鮮の年号と紀年]]]]
-- [7862] [CITE@ja[[[朝鮮の年号と紀年]](上)]],
[[藤田亮策]],
[TIME[1958-09]],
[TIME[2019-04-06 21:05:42 +09:00]]
<https://toyo-bunko.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=4748&item_no=1&page_id=25&block_id=47>
#page=47
[21] [CITE@ko[피휘([[避諱]]) - 한국민족문화대백과사전]], [TIME[2023-05-01T13:03:03.000Z]] <https://encykorea.aks.ac.kr/Article/E0060499>
>
세조의 휘자 ‘융’의 경우 ‘정륭(正隆: 금나라의 연호)’을 ‘정풍(正豊)’으로 바꾸어 썼고, 태조의 휘자인 ‘건’의 경우 ‘건안(建安: 후한 헌제의 연호)’을 ‘입안(立安)’, 그리고 ‘건염(建炎: 남송 고종의 연호)’을 ‘입염(立炎)’으로 바꾸어 썼다.
>
혜종의 휘자인 ‘무’의 경우 ‘홍무(洪武: 명나라 태조의 연호)’를 ‘홍호(洪虎)’로, 후한 무제(武帝)를 ‘호제(虎帝)’로 바꾸어 썼다. 또한 966년(광종 16) 5월에 세워진 문경의 봉암사 정진대사원오탑비(靜眞大師圓悟塔碑)에 ‘무반(武班)’이라는 관직을 ‘호반(虎班)’으로 피휘하였다.
>
성종의 휘자인 ‘치’의 경우 ‘지치(至治: 원나라 영종의 연호)’를 ‘지리(至理)’로, ‘혁거세 치(治) 육십 년’을 ‘혁거세 이(理) 육십 년’으로 각각 바꾸어 썼다.
>심한 경우 ‘건륭(建隆: 송나라 태조의 연호)’을 ‘준풍(峻豊)’과 같이 글자를 모두 뜻이 통하는 다른 글자로 바꾼 경우도 있어 조사를 할 때 세심함이 요구된다.
* 越南
[17]
[TIME[2023-04-02T12:14:00.400Z]]
<https://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/download.php/AN00072643-00650001-0231.pdf?file_id=71156>
[19] [CITE[riwl_002_001.pdf]], [TIME[2023-04-02T12:52:09.000Z]] <https://ir.library.osaka-u.ac.jp/repo/ouka/all/10660/riwl_002_001.pdf>
[18]
[SEE[ [[大南寔録]], [[中華民国][民国紀元]] ]]
* メモ
[5] [CITE[教育部異體字字典]], [TIME[2021-05-09T02:55:39.000Z]] <https://dict.variants.moe.edu.tw/variants/rbt/avoid_tiles.rbt?pageId=2981934>
[1] [CITE@ja[避諱 - Wikipedia]]
([TIME[2021-05-05T06:04:22.000Z]], [TIME[2021-05-09T02:13:23.035Z]])
<https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%BF%E8%AB%B1>
[6] [CITE@zh[避讳 - 维基百科,自由的百科全书]], [TIME[2021-05-08T20:26:35.000Z]], [TIME[2021-05-09T02:55:54.158Z]] <https://zh.wikipedia.org/wiki/%E9%81%BF%E8%AE%B3>
[11] [CITE@ja[墙国蛙蛤蛤🐸さんはTwitterを使っています 「#新话字典 [[庆丰]]九年,『陋习』避庆丰帝讳,改为『陋刃』 https://t.co/M8LLEdXhPv」 / Twitter]]
(午後6:47 · 2021年2月21日 [TZ[+09:00]], [TIME[2021-02-28T12:01:22.000Z]])
<https://twitter.com/GFWfrog/status/1363425020471468035>
[7] [[ローマ数字]]
[9] [CITE@ja[「ほう、君は清朝の遺臣かね?」――避諱にまつわるお話 | 電羊齋雑記 Talkiyan Honin Jai hacingga ejebun]], [TIME[2021-08-17T07:23:52.000Z]] <https://talkiyanhoninjai.net/archives/7709>
[10] [CITE@ja[避諱欠画令 - Wikipedia]], [TIME[2022-02-06T05:57:30.000Z]], [TIME[2022-02-20T06:03:00.193Z]] <https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%BF%E8%AB%B1%E6%AC%A0%E7%94%BB%E4%BB%A4>
- [13] [CITE@ja[spさんはTwitterを使っています: 「竹内康浩『思考と行動の中国史』によれば、避諱のために皇帝の即位後に諱を広報して使ってはいけない文字を周知させていたらしいです。『入唐求法巡禮行記』にも遣唐使が唐代の歴代皇帝(や唐の重臣の父祖)の諱を確認するくだりがあるそうです」 / Twitter]], [TIME[午後2:07 · 2022年11月14日][2022-11-14T05:07:21.000Z]], [TIME[2022-11-16T02:20:25.000Z]] <https://twitter.com/618sp/status/1592021343150968832>
-- [14] [CITE@ja[spさんはTwitterを使っています: 「諱を避けるためにまず諱を確認する(尋ねる)って本末転倒感あるけど、『礼記』曲礼上に「竟に入りては禁を問い、国に入りては俗を問い、門に入りては諱を問う」とあって、他人のお家に訪問するときはまずそのお家の諱を聞くのが一般的な礼儀だったらしい」 / Twitter]], [TIME[午後2:20 · 2022年11月14日][2022-11-14T05:20:43.000Z]], [TIME[2022-11-16T02:23:48.000Z]] <https://twitter.com/618sp/status/1592024709159620608>
--[15] [CITE@ja[goushuさんはTwitterを使っています: 「科挙用の初学向けの字典なんかには避諱字の解説項目あったりするよ https://t.co/CAjG94lPdH 光緒年間の『增補字學舉隅』 避諱字を使わずに 避諱字を説明するのに苦労してる」 / Twitter]], [TIME[午後11:07 · 2022年11月14日][2022-11-14T14:07:22.000Z]], [TIME[2022-11-16T02:23:52.000Z]] <https://twitter.com/goushuouji/status/1592157242115383298>
[16]
[CITE@ja-JP[図書館学研究報告 (15)]], [[東北大学附属図書館]], [TIME[1982-12]], [TIME[2022-12-21T08:14:19.000Z]], [TIME[2022-12-25T04:23:15.344Z]] <https://dl.ndl.go.jp/pid/1796754/1/4> (要登録)
[20] [CITE[Microsoft Word - z-ww643-02盧正恒 - 102245560.pdf]], [TIME[2019-07-23T02:22:56.000Z]], [TIME[2023-04-30T08:47:35.209Z]] <https://thjcs.site.nthu.edu.tw/var/file/452/1452/img/3255/102245560.pdf>