75.txt

* 0F型エスケープシーケンス

[1] [DFN@en[[CODE[0F]]]] 型[[エスケープ・シーケンス]]は、
[[告知]] ([CODE(charname)@en[[[ANNOUNCE CODE STRUCTURE]]]])
に使われます。

[2]
仕様書:
- [[JIS X 0202]]:1998
--[CSECTION[表 3.b nF 型エスケープ・シーケンス及び対応機能]]

[3] '''構文''':
- [CODE(ABNF)[[DFN[エスケープ・シーケンス]] /= 0F 型エスケープ・シーケンス]]
- [CODE(ABNF)[[DFN[0F 型エスケープ・シーケンス]] := ACS / 0F 型予約エスケープ・シーケンス]]
- [CODE(ABNF)[[DFN@en[ACS]] := 標準 ACS / 私用 ACS [CODE(comment)[;; [CODE(charname)@en[[[ANNOUNCE CODE STRUCTURE]]]]]]]]
- [CODE(ABNF)[[DFN[標準 ACS]] := [CODE(charname)@en[[[ESC]]]] %x20 [[Ft]]]]
- [CODE(ABNF)[[DFN[私用 ACS]] := [CODE(charname)@en[[[ESC]]]] %x20 *[[I]] [[Fp]]]]
- [CODE(ABNF)[[DFN[0F 型予約エスケープ・シーケンス]] := [CODE(charname)@en[[[ESC]]]] %x20 1*[[I]] [[Ft]]]]
- [CODE(ABNF)[[DFN@en[I]] := %x20-2F [CODE(comment)[;; 中間バイト]]]]
- [CODE(ABNF)[[DFN@en[Fp]] := %x30-3F [CODE(comment)[;; 私用終端バイト]]]]
- [CODE(ABNF)[[DFN@en[Ft]] := %x40-7E [CODE(comment)[;; 標準終端バイト]]]]


* 告知 (ISO/IEC 2022)


[4] [[告知]] = [[符号構造機能の告知]]



:[[名前]]:[CODE(charname)@en[[[ANNOUNCE CODE STRUCTURE]]]]
:[[日本語通用名称]]:[CODE(jcharname)[[[符号構造アナウンス]]]]
:[[略号]]:[CODE(charname)@en[[[ACS]]]]
:[[符号化表現]]:[CODE(char)@en[[CODE(charname)@en[[[ESC]]]] 02/00 [VAR[[[F]]]]]]



[5] ISO/IEC 2022 の announce(r) を、 [[JIS X 0202]]:1998 はそのまま
[Q[アナウンス (アナウンサー)]]としているが、ここでは[Q[告知]]と訳す。

** 仕様書

[REFS[
- [6] [[ISO/IEC 2022]]:1994 15.2
- [8] [CITE[ECMA-35_6th_edition_december_1994.pdf]], [TIME[2021-01-16T09:57:02.000Z]], [TIME[2022-04-29T07:11:12.638Z]] <https://www.ecma-international.org/wp-content/uploads/ECMA-35_6th_edition_december_1994.pdf#page=47>
- [9] [[JIS X 0202]]:1998
-- [10] [CSECTION[15.2 符号構造機能のアナウンス]]
]REFS]

** 構文

[11] 構文 [SRC[>>6]]

- [CODE(ABNF)[[DFN[ACS]] := [CODE(char)[[[ESC]] %x20 [VAR[F]] ;; [[ANNOUNCE CODE STRUCTURE]]]]
- [CODE(ABNF)[[DFN[[VAR[F]]]] := %x41-7E  ;; 1 = [CODE(char)[4/1]], ..., 62 = [CODE(char)[7/14]]]]

[13] 
'''終端バイト''':
[[終端バイト]] [CODE(char)@en[[VAR[F]]]] は
1〜62 の番号が付けられており、 1 が
[CODE(char)[04/01]] に、 62 が [CODE(char)[07/14]]
によって[[表現]]されます。各番号の意味は [[ISO/IEC 2022]]
で規定されており、将来追加の機能が必要になったときは
[[ISO/IEC 2022]] が改訂されることが示唆されています。
登録制度はありません。
[SRC[>>10 15.2.2]]

** 文脈

[12] 
[[符号識別機能]]は、[[情報交換]]の開始時に[[文字符号化情報]]に埋込んで、
後続のデータで使用される[[符号構造機能]]を[RUBY[[[告知]]] @en[[[アナウンス]]]]します。
[SRC[>>10 15.1]]

[17] 
現実にはほとんど利用されている例は無いようです。

[18] 
通常[[情報交換]]の先頭で使うことが想定されますが、
使わなければならないものでもありません。
いつどう使うかは[[応用]]依存と思われます。

[19] 
先頭で使う想定なのに[[情報交換]]の中途で出現したときや、
使う想定がないのに出現したときや、
想定外の[[告知]]シーケンスが出現したときに、
どう扱うべきかは不明です。
[SEE[ [[ISO/IEC 2022]] のエラー処理の項 ]]

[20] 
実際の[[情報交換]]ではなく、
[[符号化文字集合]]を規定する[[仕様書]]において符号構造の説明のために使うことがあります。

[EG[
[21] 
例えば [[ISO-2022-JP]] を規定する [[RFC 1468]] 
の
[CSECTION[Background Information]]
の項に記述されています。
]EG]

[EG[
[41] [[ctext]] の仕様書にもあります。
]EG]

** 意味

,構造番号,[VAR[F]],使用する符号要素    ,シフト機能
,1  ,04/01,[[GL]] == [[G0]]   ,なし
,2  ,04/02,"GL = G0, [[G1]]     ","[CODE(char)[[[SI]]]]/[CODE(char)[[[LS0]]]], [CODE(char)[[[SO]]]]/[CODE(char)[[[LS1]]]]"
,3  ,04/03,"(8ビット) GL == G0, [[GR]] == G1",なし
,4  ,04/04,"(7ビット) 2と同じ / (8ビット) 3と同じ",==
,5  ,04/05,,7ビット・8ビット間変換で完全に保持
,6  ,04/06,[[C1]] == [CODE(char)[[[[[ESC]] [VAR[[[Fe]]]]]]]],[CODE(char)[ESC [VAR[Fe]]]]
,7  ,04/07,(7ビット) C1 == [CODE(char)[ESC Fe]] / (8ビット) C1 == [[CR]],
,8  ,04/08,[[図形文字集合]]は全て[[94集合]],
,9  ,04/09,G1〜[[G3]] は94集合または[[96集合]],
,10 ,04/10,7ビット,
,11 ,04/11,8ビット,
,12 ,04/12,[[ISO/IEC 4873]] [[実装水準]]1
,13 ,04/13,ISO/IEC 4873 実装水準2
,14 ,04/14,ISO/IEC 4873 実装水準3
,16 ,05/00,+G0             ,[CODE(char)[SI]]/[CODE(char)[LS0]]
,18 ,05/02,+G1             ,[CODE(char)[SO]]/[CODE(char)[LS1]]
,19 ,05/03,+G1             ,[CODE(char)[SO]]/[CODE(char)[[[LS1R]]]]
,20 ,05/04,+G2             ,[CODE(char)[[[LS2]]]]
,21 ,05/05,+G2             ,[CODE(char)[LS2]]/[CODE(char)[[[LS2R]]]]
,22 ,05/06,+G3             ,[CODE(char)[[[LS3]]]]
,23 ,05/07,+G3             ,[CODE(char)[LS3]]/[CODE(char)[[[LS3R]]]]
,26 ,05/10,+G2             ,[CODE(char)[[[SS2]]]]
,27 ,05/11,+G3             ,[CODE(char)[[[SS3]]]]
,28 ,05/12,[CODE(char)[[[SS2]]]]/[CODE(char)[[[SS3]]]] の後 [[GR]] を使用,

1,3,4と16,18〜23は併用不能, 12〜14は他と併用不能




[14] 
'''複数の組合せ''':
告知機能は複数回続けて使用できます
[SRC[[[JIS X 0202]]:1998 15.1]]。
しかし、幾つかの機能は同時に使用できないと規定されています
[SRC[>>10 15.2.2]]。

[15] 
,機能番号,終端バイト,機能 (7ビット),機能 (8ビット),同時使用禁止
,1,[CODE(char)[04/01]],"[[G0]] = [[GL]], ×[[固定シフト]]","[[G0]] = [[GL]], ×[[固定シフト]], ×[[GR]]","12, 13, 14, 16, 18〜23"
,2,[CODE(char)[04/02]],"[[G0]], [[G1]], [CODE(charname)@en[[[SI]]]], [CODE(charname)@en[[[SO]]]] >>8","[[G0]], [[G1]], [CODE(charname)@en[[[LS0]]]], [CODE(charname)@en[[[LS1R]]]] >>7","12, 13, 14"
,3,[CODE(char)[04/03]],"×[[G0]], ×[[G1]], ×[[固定シフト]]","[[G0]] = [[GL]], [[G1]] = [[GR]], ×[[固定シフト]]","12, 13, 14, 16, 18〜23"
,4,[CODE(char)[04/04]],"[[G0]], [[G1]], [CODE(charname)@en[[[SI]]]], [CODE(charname)@en[[[SO]]]] >>8","[[G0]] = [[GL]], [[G1]] = [[GR]], ×[[固定シフト]]","12, 13, 14, 16, 18〜23"
,5,[CODE(char)[04/05]],"7ビット・8ビットデータ変換。すべての[[シフト機能]]を維持。",==,"12, 13, 14"
,6,[CODE(char)[04/06]],"[[C1]] = [CODE(char)@en[[CODE(charname)@en[[[ESC]]]] [[Fe]]]]",==,"12, 13, 14"
,7,[CODE(char)[04/07]],"[[C1]] = [CODE(char)@en[[CODE(charname)@en[[[ESC]]]] [[Fe]]]]","[[C1]] = [[CR]]","12, 13, 14"
,8,[CODE(char)[04/08]],"[[図形文字集合]]は94文字",==,"12, 13, 14"
,9,[CODE(char)[04/09]],"[[図形文字集合]]は94文字[[及び/又は]]96文字",==,"12, 13, 14"
,10,[CODE(char)[04/10]],"[[7ビット符号]]だけを使用",==,"12, 13, 14"
,11,[CODE(char)[04/11]],,"[[8ビット符号]]を使用","12, 13, 14"
,12,[CODE(char)[04/12]],"[[ISO/IEC 4873]] 実装水準1",==,"13, 14"
,13,[CODE(char)[04/13]],"[[ISO/IEC 4873]] 実装水準2",==,"12, 14"
,14,[CODE(char)[04/14]],"[[ISO/IEC 4873]] 実装水準3",==,"12, 13"
,15,[CODE(char)[04/15]],(予約),==,"12, 13, 14"
,16,[CODE(char)[05/00]],"[[G0]], [CODE(charname)@en[[[SI]]]]","[[G0]], [CODE(charname)@en[[[LS0]]]]","1, 3, 4, 12, 13, 14"
,17,[CODE(char)[05/01]],(予約),==,"12, 13, 14"
,18,[CODE(char)[05/02]],"[[G1]], [CODE(charname)@en[[[SO]]]]","[[G1]], [CODE(charname)@en[[[LS1]]]]","1, 3, 4, 12, 13, 14"
,19,[CODE(char)[05/03]],"[[G1]], [CODE(charname)@en[[[SO]]]]","[[G1]], [CODE(charname)@en[[[LS1R]]]]","1, 3, 4, 12, 13, 14"
,20,[CODE(char)[05/04]],"[[G2]], [CODE(charname)@en[[[LS2]]]]","[[G2]], [CODE(charname)@en[[[LS2]]]]","1, 3, 4, 12, 13, 14"
,21,[CODE(char)[05/05]],"[[G2]], [CODE(charname)@en[[[LS2]]]]","[[G2]], [CODE(charname)@en[[[LS2R]]]]","1, 3, 4, 12, 13, 14"
,22,[CODE(char)[05/06]],"[[G3]], [CODE(charname)@en[[[LS3]]]]","[[G3]], [CODE(charname)@en[[[LS3]]]]","1, 3, 4, 12, 13, 14"
,23,[CODE(char)[05/07]],"[[G3]], [CODE(charname)@en[[[LS3]]]]","[[G3]], [CODE(charname)@en[[[LS3R]]]]","1, 3, 4, 12, 13, 14"
,24,[CODE(char)[05/08]],(予約),==,"12, 13, 14"
,25,[CODE(char)[05/09]],(予約),==,"12, 13, 14"
,26,[CODE(char)[05/10]],"[[G2]], [CODE(charname)@en[[[SS2]]]]",==,"12, 13, 14"
,27,[CODE(char)[05/11]],"[[G3]], [CODE(charname)@en[[[SS3]]]]",==,"12, 13, 14"
,28,[CODE(char)[05/11]],,[[単独シフト領域]]は [[GR]],
,29〜62,[CODE(char)[05/12]]〜[CODE(char)[07/14]],(予約),==,"12, 13, 14"

[16] 
2番は [[JIS X 0202]]:1998 で
[Q[[CODE(charname)@en[[[LS1]]]] が [[G1]] を [[GR]] に呼び出す]]
と書かれており、図も [CODE(charname)@en[[[LS1]]]]
になっていますが、[[右]]に[[呼出]]す
[WEAK[(図もそうなっています。)]] なら
[CODE(charname)@en[[[LS1R]]]] だと思われます。

[7] 
2番と4番は[[7ビット符号]]では同じですが、
変換前の[[8ビット符号]]の構造の情報を保存するために用意されています。
[SRC[>>10 15.2.2]]

[53] 
[[ISO/IEC 2022]]
では[[私用終端バイト]]は認められていませんが、
[[VT][VT100]]
で
3/6, 3/7
の利用例があります。
[SEE[ [[VT][VT100]] ]]

** 処理

[22] 
告知シーケンスを受信した時、それをどう解釈することが期待されているのかは、
[[ISO/IEC 2022]] 仕様書上不明瞭です。

[23] 
[[情報交換]]の先頭で符号構造を明示することで、
[[装置]]が正しく処理できない[[符号化文字データ要素]]の出現が予想されるとき、
そのようなデータの受信を拒絶するような使い方が想定されているのでしょうか。
[SEE[ [[ISO/IEC 2022]] のエラー処理の項 ]]


[25] 
[[告知]]シーケンスの後に、それと矛盾する[[符号化文字データ要素]]が出現したとき、
[[装置]]が何をどうするべきなのかも不明です。
例えば [[G2]] を使用しないと定められているにも関わらず、
[[G2]] の[[指示シーケンス]]が出現したり、
[CODE(charname)@en[SS2]] が使われたりするとき、
何がなされるべきかは不明です。

[27] 
矛盾する複数の[[告知]]シーケンスを使用することは禁止されていますが、
それが出現したときの処理方法も不明です。

[26] 
符号構造を通知するだけで規定するものではないのですから、
矛盾しても通常通りに処理するのが穏当でしょうか。

[31] 
いくつかの[[告知]]は、[[固定シフト]]等を使用しない符号構造を決定するものとなっています。
[[ISO/IEC 2022]] を受信する実装が初期状態から[[符号]]の解釈が可能な状態に遷移する必要があると考えると、
次のような処理が必要となります。

- [37] [[GL]] に [[G0]] が[[呼び出し]]されているべきもの
-- [29] [N[1]] ([[4/1]])
-- [44] [N[3]] ([[4/3]])
-- [38] [N[12]] ([[4/12]]) 
-- [39] [N[13]] ([[4/13]])
-- [40] [N[14]] ([[4/14]])
- [45] [[GR]] に [[G1]] が[[呼び出し]]されているべきもの
-- [46] [N[3]] ([[4/3]])
-- [30] [N[12]] ([[4/12]]) 
-- [47] [N[13]] ([[4/13]])
-- [48] [N[14]] ([[4/14]])
- [43] [[GR]] は使用しないとされているもの
-- [42] [N[1]] ([[4/1]])
-- [24] [N[2]] ([[4/2]])
- [49] [CODE(charname)@en[SPACE]], [CODE(charname)@en[DELETE]] を使用するとされているもの
-- [50] [N[12]] ([[4/12]]) 
-- [51] [N[13]] ([[4/13]])
-- [52] [N[14]] ([[4/14]])
-
[28] 
[[7ビット符号]]と[[8ビット符号]]の区別は事実上これ以外に記述方法がないので、
[[7ビット符号]]と[[8ビット符号]]の挙動の切り替えのための[[エスケープシーケンス]]として解釈するべきとも思われます。
[SEE[ [[7ビット符号]], [[8ビット符号]] ]]
--
[32] 
[N[10]] ([[4/10]]) は[[7ビット符号]]を表します。
--
[33] 
[N[11]] ([[4/11]]) は[[8ビット符号]]を表します。
--
[34] 
[N[12]] ([[4/12]]) は[[8ビット符号]]を表します。
--
[35] 
[N[13]] ([[4/13]]) は[[8ビット符号]]を表します。
--
[36] 
[N[14]] ([[4/14]]) は[[8ビット符号]]を表します。


[55] 
[[ISO/IEC 2022]]
の標準の[[告知]]および
[[VT][VT100]]
の
[N[3/6]],
[N[3/7]]
は、いずれも
[[ISO/IEC 2022]]
の符号構造に関係する記述です。
[[ISO/IEC 2022]]
の[[符号化文字データ要素]]の列を解釈して他の形式に変換する場合には、
完全に除去してしまっても構わないと考えられます。


[54] [CITE[Xterm Control Sequences]], [TIME[2008-12-29T17:58:30.000Z]], [TIME[2022-05-01T01:26:55.798Z]] <https://www.xfree86.org/current/ctlseqs.html>

F, G, L, M, N に対応。


* メモ