115.txt

[1] 
[DFN[天皇即位紀年]]は、
[[天皇]]の[[治世による紀年法][即位紀年]]です。

[2] 
[[元号][日本の元号]]成立前の[[古代日本]]で用いられました。
現在も[[元号]]導入前の時代を表すために使われています。

[3] 
[[元号]]導入後はほとんど使われなくなりました。
[[元号]]は[[即位紀年]]に[[名前][元号名]]を付けたものとして機能しましたが、
次第に[[改元]]と[[代替わり]]のタイミングのずれが大きくなり、
[[明治時代]]に[[一世一元]]となるまで、
ほとんど一致していませんでした。

* 構文

[6] 
[[天皇即位紀年]]の現在の一般的な表記は、
[[元号名スロット]]に[[天皇]]名を充て、
「天智天皇4年」
のように[[元号年]]風に表記します。

[7] 
現在の[[天皇]]名 ([[漢風諡号]]) が定まるまでは、
いろいろな名前があり、
[[即位紀年]]もいろいろに表記されてきました。
[SEE[ [[日本古代の日時]] ]]

[8] 
現在でも、「天智4年」のような省略形など、表記のバリエーションがあります。

* 古代

[SEE[ 詳細は[[日本古代の日時]] ]]

[FIG(short list)[ [14] 古代の[[天皇即位紀年]]
- [[神武天皇即位紀年]]
- [[皇極天皇即位紀年]]
- [[孝徳天皇即位紀年]]
- [[斉明天皇即位紀年]]
- [[天智天皇称制紀年]]
- [[天智天皇即位紀年]]
- [[弘文天皇即位紀年]]
- [[天武天皇即位紀年]]
- [[持統天皇称制紀年]]
- [[文武天皇即位紀年]]

]FIG]

[4] 解釈の違いにより、
年代がずれる複数の用法が存在する場合もあります。

[5] 
[[天皇]]以外に、[[神功皇后]]の[[即位紀年]]もあります。

[21] 
関連:
[[元興寺伽藍縁起并流記資財帳]]

* その後の天皇即位紀年

[196] [[天皇]]のほとんどは[[代始改元]]しており、
しかも[[明治時代]]以後[[一世一元]]が制度化されているため、
[[元号]]にかえて敢えて[[天皇即位紀年]]を用いる必要性はありません。
実際そうしたものはほとんど用いられなかったようです。
が皆無ではありません。

[9] [[元正天皇即位紀年]]

[272] [[幕末]]の頃、一部で[[孝明天皇即位紀年]]が用いられました。
[SEE[ [[孝明天皇即位紀年]] ]]

[197] 年表の類では[[元号]]、出来事、[[西暦年]]などと共に当該年の天皇とその在位年数を元年、
2年、3年といった形で示しているものもあります。
([[支那王朝][支那王朝即位紀年]]や[[朝鮮王朝][朝鮮半島の紀年法]]も併記していることもあります。)
極めて限定的な用法ながら[[天皇即位紀年]]が[[大宝]]から[[慶応]]までの[[元号]]と併用されていると言えないこともありません。

[198] 
[CITE[日本年号史大事典]]巻末年表は皇位の継承があった年を元年として示しているため、
[CITE[日本書紀]]の[[天皇即位紀年]]とずれが生じています。
[SEE[ [[日本古代の日時]] ]]
[[元号]]成立後はずれているのが当然のためほとんど問題となりませんが、
[DFN[明治天皇即位紀年]]と[[明治]]元号でもずれが生じてしまっています。

[28] [CITE[日本国志]]は特殊な使い方をしています。
[SEE[ [[日本国志]] ]]


[REFS[
- [12] [CITE[【[[建久御巡礼記]]】]], [TIME[2020-07-22 18:50:19 +09:00]] <http://base1.nijl.ac.jp/iview/Frame.jsp?DB_ID=G0003917KTM&C_CODE=0358-24003&IMG_SIZE=&PROC_TYPE=null&SHOMEI=%E3%80%90%E5%BB%BA%E4%B9%85%E5%BE%A1%E5%B7%A1%E7%A4%BC%E8%A8%98%E3%80%91&REQUEST_MARK=null&OWNER=null&BID=null&IMG_NO=13>
]REFS]

[13] 
「聖武天皇十五年[LINES[关][未]]十月十五日」 ([[縦書き]])
とありました。 [SRC[>>12]]
[TIME[天平15(743)年10月15日][kyuureki:743-10-15]]の[[大仏建立の詔]]を指しているようです。
聖武天皇の20年に当たりますから、
「聖武天皇天平15年」とあったのが伝写の過程で「天平」だけ欠落したのでしょうか。

[18] [CITE@ja[[[仮名遣及仮名字体沿革史料]] - 国立国会図書館デジタルコレクション]], [[大矢透]], [TIME[1909][year:1909]], [TIME[2021-10-26T11:23:46.000Z]] <http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/992467/18>

[[明治時代]]。

[19] 
その頁で説明された文献の成立年が柱に書かれている。
[[縦書き]]で上から順に、
[[日本の元号]] ([[元号名]] + [[元号年]])、
[[天皇即位紀年]] ([[天皇]]名 + 年)、
[[皇紀]] (「[V[紀󠄅元]]」 + 年)、
[[西暦]] (「[V[洋曆]]」 + 年)。

[20] 
年はいずれも[[漢数字]]の[[位取り記数法]]。
[[元号年]]は第1年が「[V[元]]」、
[[天皇即位紀年]]は第1年が「[V[一]]」
と書き分けられているのが注目される。
年不明なものは[[元号名]]と[[天皇]]名のみ。
[[南北朝時代]]は文献の[[紀年]]の[[元号]]に従っているようで、
[[北朝]]と[[南朝]]の[[元号]]・[[天皇]]が混在。



[REFS[
- [1939] 
[CITE[御物辛亥年銘金銅像 飛鳥彫刻ノオト其一]],
[[澤柳大五郎]],
[TIME[1947-08-01]]
<https://tobunken.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=7070&file_id=22&file_no=1>
]REFS]

[11] 
この論文は西暦591年から西暦730年の範囲を扱った表を掲載しており、
原史料の表記、[[西暦年]]とともに
「崇峻四年」から「聖武七年」のように[[天皇即位紀年]]を使っています。
(ただし[[元号年]]を示す必要がある4例だけ、
「[RUBY[白雉][天智]]二年」
「[RUBY[白][同]]雉五年」
「[RUBY[朱鳥][天武]]元年」
「[RUBY[慶雲][文武]]三年」
としていまました。[[白雉]]を[[天智]]とするのは[[孝徳]]の誤りです。)

[23] 
[[正仲]]に
「人王四十六代孝謙天皇御宇元年」の用例


[22] 
[CITE@ja-JP[群書類従 第拾七輯]], [[塙保己一]], [TIME[明治27][1894]], [TIME[2023-01-17T10:48:16.000Z]], [TIME[2023-01-27T13:27:41.800Z]] <https://dl.ndl.go.jp/pid/1879818/1/505>

天皇 + 年数 + 干支年。細かい表記揺れがいろいろ。


[24] [CITE[高倉(綾部市)]], [TIME[2020-08-16T13:05:05.000Z]], [TIME[2023-04-26T14:31:43.226Z]] <https://tangonotimei.com/ikrg/takakura.html>

>>人皇八十一代安徳天真即位元年(治承四年)に当り、[SNIP[]]
>>[SNIP[]]
>>(『吉見村誌』)

- [74] [CITE[[[朝鮮の年号と紀年]]]]
-- [7863] [CITE@ja[[[朝鮮の年号と紀年]](下)]],
[[藤田亮策]],
[TIME[1958-12]],
[TIME[2019-04-06 21:05:54 +09:00]]
<https://toyo-bunko.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=4756&item_no=1&page_id=25&block_id=47>
#page=14

[25] >>7863 日本では[[元号]]導入後に年号紀年と皇位紀年が併用されてきた、
と書くものの、[[朝鮮]]との比較でこう説明しているだけで具体的な記述なし。

* 一覧

[SEE[ [[元号一覧]] ]]

* 関連

[SEE[ [[元号名スロット]] ]]

* メモ

[10] 
[CITE[[[新撰三国運数符合図]]]]

[FIG(quote)[
[FIGCAPTION[
[15] [CITE@ja[斉明天皇 - Wikipedia]]
([TIME[2020-08-11 03:58:04 +09:00]])
<https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%89%E6%98%8E%E5%A4%A9%E7%9A%87#%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E5%8D%8A%E5%B3%B6%E3%81%B8%E3%81%AE%E8%BB%8D%E4%BA%8B%E4%BB%8B%E5%85%A5>
]FIGCAPTION]

> 在位5年(660年)に百済が唐と新羅によって滅ぼされた。

]FIG]


[16] [CITE[PW-AC880 Manual - pwac880_mn.pdf]], [TIME[2008-08-22T00:48:39.000Z]], [TIME[2021-08-01T07:00:06.582Z]] <https://jp.sharp/support/dictionary/doc/pwac880_mn.pdf#page=386>

>
[LEFTBOX[
[B[[年号と西暦の表示__&&]&&__

①年は西暦で示し、カッコ内に年号(『日本書紀』紀年をふくむ)を示した。「年」の表示は省略した。以下、同一の年号が続く場合は西暦のみで表した。また、外国関連事項で日本に特に関係のないものは、西暦のみとした。

②ア) 1872(明治5)12月2日以前の年月日は、日本年号と旧暦(太陰太陽暦)を基準にして示した。ただし、本文表記のうえでは便宜として、その年の大半と対応する西暦年をまずかかげ、カッコ内に年号を示した。

イ) 幕末の対外関係に関しては、西暦と日本年号とのくい違いをさけるため、それぞれ月まで明示した。  [BR[]]1855、2月(安政1、12月)日露和親条約に調印。

ウ) 人名の生没年も年号を基準にして西暦に換算した。[BR[]][B[おだのなおたけ 小田野直武]] 1749−80(寛延2−安永9)[BR[]]生没年は「寛延2年生まれで、安永9年に没した」と読みとる。厳密にいえば、小田野の生誕は「寛延2年12月11日」であるから,西暦では「1750年」生まれになる。

③1872(明治5)12月3日以降は太陽暦によった。

④改元のあった年は、新年号のほうを用いた。ただし月(日)を明示したときは、その時点の年号を用いた。[BR[]]1592年(文禄1)朝鮮出兵を契機に・・・・・・1615(慶長20)[BR[]]4月、大坂夏の陣・・・・・・[BR[]]ただし、1926年は「大正15」とした。

⑤4桁の西暦年号で同一世紀の年代が続く場合は、上2桁の数字を省略し、略記号(’)で示した。[BR[]]1617(元和3)・・・・・・・・・’33(寛永10)・・・・・・・・・’39 ・・・・・・・・・

⑥南北朝時代の年号を併記する場合は、北朝、南朝の順で示した。[BR[]]1336(建武3・延元1)・・・・・・・・・’61(康安1・正平16)

⑦「世紀」は書籍版では「C.」で示してあるが電子版では「世紀」に改めた。
]LEFTBOX]

[17] 「『日本書紀』紀年」とは何か明言されていませんが、
[[天皇即位紀年]]のことでしょう。



[26] [CITE@ja-JP[日本経済叢書 續 第3巻]], [[滝本誠一]], [TIME[1923]], [TIME[2024-02-01T05:12:54.000Z]], [TIME[2024-02-06T02:32:37.560Z]] <https://dl.ndl.go.jp/pid/1882126/1/265> (要登録)
右

[27] >>26 神武東征で天下泰平なので改元して神武元年正月元日に即位した、とある。