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20220628_第5回検討会議事録.md

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2022.6.28 東京都における「都市のデジタルツイン」社会実装に向けた検討会(第5回) 議事(全文)

目次

  1. 開会
  2. 昨年度の振り返り、及び第5回検討会内容の説明
  3. 討議説明(ロードマップ第2版の論点事項の説明・基盤構築事業説明)
  4. 討議(1)
  5. 今年度事業紹介(基盤構築事業以外)、関連取組紹介
  6. 討議(2)
  7. その他討議
  8. 閉会

1. 開会

【事務局】 それでは、定刻となりましたので、第5回東京都における「都市のデジタルツイン」社会実装に向けた検討会を開会いたします。会議の冒頭に当たりまして、東京都副知事、宮坂より開会の挨拶を申し上げます。宮坂副知事、よろしくお願いいたします。

【宮坂副知事】 本日は検討会に出席いただきまして、ありがとうございます。

東京都におけるデジタルツインは2030年を一つの目標に社会実装を目指していて、今、各局横断で取り組んでいる重要な取組の一つとなっています。昨年度この検討会の中でも多くの委員の方から、なかなかないぐらい活発な議論や討議をいただきまして、デジタルツインの構築に向けての望ましい進め方などの多くの御意見をいただき、社会実装に向けた設計図であるロードマップの初版を作ることができました。今年度はそのロードマップに沿って都庁の中でデジタルツインを活用するための基盤をつくっていきたい。そして、防災をデジタルから支えていく点群データには非常に期待していますが、この取得、整備といった新しい取組なども進めていく1年にする予定です。

今回の検討会ではエネルギー分野の専門家でもある岩船委員にも新たに加わっていただき、ロードマップの見直しの方向性や、今後、東京都がどのように事業を展開していくべきかといった議論もぜひしていただければと思っています。都庁は今、電気に関するもので、「HTT(減らす・創る・蓄める)」ということで、電力の逼迫に対してどういう動きを取っていこうかという話をしています。新たに委員に加わっていただきましたので、エネルギーの観点でもデジタルツインのアイデアが何かあればいただければありがたいと思っています。

それも含めて、昨年度に引き続き自由闊達なディスカッションを皆様にしていただければと思っています。ぜひともよろしくお願いします。

2. 昨年度の振り返り、及び第5回検討会内容の説明

【事務局】 それでは、ただいまより議事次第にのっとって進めていきたいと思います。

まずは2022年度事業概要について、デジタルサービス局データ利活用担当部長の若井太郎より御説明します。若井部長、よろしくお願いします。

【若井部長】  皆様、こんばんは。私は東京都デジタルサービス局でデータ利活用担当部長をしております若井と申します。皆様、本日は大変お忙しい中、本会議に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

私からは会議の冒頭、東京都におけるデジタルツイン実現プロジェクトの概要について御説明させていただきます。

それでは早速、内容に入ります。

デジタルツイン実現プロジェクトは、2030年の完全なデジタルツイン達成、その後の高度化を見据えて取組を進めています。今年度は、この長期にわたるプロジェクトの最初のフェーズとなる、デジタルツイン基盤の構築の最終段階に当たります。本フェーズの取組について、昨年度事業の振り返りも交えて御説明します。

2021年度は、都市のデジタルツイン構築に向けた本格的な取組のキックオフの年となりました。具体の取組として、有識者会議での協議を踏まえたロードマップの検討、都市のデジタルツインに関する情報を発信する専用Webサイト及び3Dビューアの構築、行政DXに資するデジタルツイン関連技術の技術検証を行う実証を行いました。

有識者会議において、東京都がデジタルツインに取り組む意義やコンセプト、デジタルツインの構成要素、デジタルツインの実現ステップ等について協議し、意見を聴取しました。検討会で得た結果を踏まえ、デジタルツインの社会実装に向けたロードマップの初版についても取りまとめ・公表を行いました。

ロードマップ初版では、デジタルツインのコンセプト、目指す姿、デジタルツインのサイバー空間・フィジカル空間における構成要素、デジタルツイン実現に向けたステップ、整備や運用における役割分担、費用対効果についてそれぞれ考え方を整理しました。

また、ここで検討した東京都の目指すデジタルツイン像や、事業の内容等について、都民をはじめ様々な方に分かりやすく発信を行っていくため、情報発信サイトを構築しました。さらに、デジタルツインのコンセプトの一つであるデータ可視化による効果を体感するため、3Dビューアを構築・公開し、各局データの可視化及び重ね合わせを行いました。

さらに、技術的実証として、地下空間も含めたリアルタイム人流可視化、及びそれを基にした混雑回避ルートや避難経路の提供、地下埋設物の3D化検証、モデルを用いたオンライン施工協議デモ等による業務改善効果検証、スマートフォンLiDARを活用した3Dマップ自動更新の技術検証等を行いました。それぞれの実証において成果及び課題を整理することで、行政DXにおける有用性を検証したほか、 今後の技術活用の方針について明確化しました。

続いて、今年度の事業内容について御説明します。

2022年度は、デジタルツイン基盤の構築実施の最終段階として、ベータ版事業の創出、及び庁内業務でデジタルツインを活用する基盤づくりに取組みます。具体の実施事項概要として、デジタルツイン基盤の構築及び基盤と庁内既存システムとの連携方針検討を実施します。また、ベータ版事業として、衛星データ活用、地下埋設物3D化の社会実装、及び産学官でのデータ連携に向けた課題検証を行います。加えて、引き続き検討会において意見聴取を行いながら、ロードマップの継続的更新を実施していきます。   今年度の検討会で議論をいただくロードマップ第2版については、デジタルツイン基盤構築の実施や、その将来的な更新計画を前提に、デジタルツインの構成要素及びデジタルツインの整備・運用等に係る内容について具体的に検討を進めていくほか、デジタルツインの実現ステップについて、次のフェーズを見据え実施事項の深掘りを行っていくことを想定しています。

これまで御説明した内容を踏まえ、今年度検討会の目的及び位置づけについて御説明します。

まず、今後ロードマップを更新していくに当たり、更新すべき項目とその内容について意見聴取を行います。次に、デジタルツインの庁外との連携を検討するに当たり、連携すべき外部データやシステム等について意見聴取を行います。さらに、これらを踏まえながら、東京都におけるデジタルツイン実現プロジェクトの次年度以降の事業方針及びユースケースについて御示唆をいただきます。お示しした3つの目的を中心にしながら、有識者の皆様に御意見をいただき、東京都幹事の各局との議論を経て、オブザーバーである国の方針等も踏まえて、検討を取りまとめていきます。   今年度の検討会は全4回の開催を予定しています。年度前半は、デジタルツイン基盤の構築、外部との連携、基盤の運用について御意見をいただきます。また、プロジェクトのKPI(案)、2023年度以降の事業展開等についても御意見をいただきます。年度後半は、ロードマップ第2版の策定に向けて、検討を進めるべき内容、検討を踏まえてロードマップを更新すべきポイントなどについて御意見をいただく予定です。   ここで、今年度の検討会に御参加いただく皆様について御紹介を差し上げます。委員の皆様におかれましてはカメラオンの上、簡単に御挨拶をいただければと思います。

それでは、まず、東京大学生産技術研究所特任教授、岩船由美子委員です。よろしくお願いします。

【岩船委員】 東京大学生産技術研究所の岩船でございます。今年度から委員としてこの検討会に参加させていただきます。よろしくお願いいたします。   私の専門はエネルギーシステム工学という分野で、特に需要サイドに着目して省エネ、エネルギーマネジメントのシミュレーションをやってきています。これまでも様々なエネルギーデータを活用してエネルギー診断をするといったことに取り組んできて、このような形で大々的にしっかりしたデータを活用していく方向性ができることは非常に望ましいと思いますので、良い内容になるよう私も少しでもお役に立てればと思っていますので、よろしくお願いいたします。

【若井部長】 続いて、立命館大学情報理工学部情報理工学科教授、木村朝子委員です。よろしくお願いします。

【木村委員】 よろしくお願いします。私は昨年度からお世話になっています。様々な取組がどんどん進んでいく様子を目の当たりにして、とても期待しています。私自身の専門はバーチャルリアリティ (VR)、拡張現実感 (AR・MR)のようなXRの分野、それから人が何かを使うときに使いやすいものはどのような工夫が必要かといったヒューマンインターフェースやユーザビリティの研究をしています。今年度もよろしくお願いいたします。

【若井部長】 続いて、駒澤大学文学部地理学科准教授、瀬戸寿一委員です。よろしくお願いします。

【瀬戸委員】 私も昨年度からこの検討会に参加させていただいて、様々な議論を進める中で実装も同時に進めてこられたということで、従来の検討会ではあまりないようなスピード感があり、非常にうれしく思っています。今年度も早速、初回から220人以上、参加されているということで、非常に驚いていますが、楽しく前向きな議論ができるとよいと思っていますので、よろしくお願いします。専門は地理学、オープンデータも含めた行政データの活用などを専門としています。

【若井部長】 続いて、青山学院大学地球社会共生学部教授、古橋大地委員です。よろしくお願いします。

【古橋委員】 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。今年度も委員を担当させていただきます、青山学院大学の古橋と申します。

専門は、もともとは衛星リモートセンシングや今だとドローンといった最先端の技術を使いながら地図を作っていくというGISが専門になっています。ここ10年ほど参加型GISという形で市民参加型の地図データをどう作っていくのかということで、「OpenStreetMap」や、ドローンのデータでいうと「OpenAerialMap」などに参画していますので、そういった市民参加の形でデジタルデータを作っていくときの我々の様々な失敗も踏まえて、我々の経験でお役に立てることがあれば、ぜひ様々な意見を言わせていただければと思っています。引き続きよろしくお願いいたします。

【若井部長】 ありがとうございました。

最後に、東京大学先端科学技術研究センター特任准教授、吉村有司委員です。よろしくお願いします。

【吉村委員】 こんばんは。東京大学先端科学技術研究センターで特任准教授をしている吉村有司と申します。

私のバックグラウンドは、建築や都市計画、まちづくりですが、Ph.D.をコンピュータサイエンスで取得しているので、得意なところとしてはAIやビッグデータをいかに建築や都市に活用していくか、応用していくかということを専門領域としています。今年度の検討会においては、ぜひ皆様と有意義な、そして楽しい検討会、さらには聞いてくれている人たち、特に若い人たちがわくわくするような検討会にできればと思っています。よろしくお願いいたします。

【若井部長】 そのほか、東京都からは、宮坂学副知事、久我英男デジタルサービス局長、それから私、若井、その他幹事各局が参加しています。

また、オブザーバーとして、国土交通省より不動産・建設経済局情報活用推進課、都市局都市政策課、大臣官房技術調査課の方々に御参加いただいています。

第5回検討会の論点について御説明します。

1つ目の論点は、デジタルツイン基盤の構築・連携・運用方針についてです。こちらでは、デジタルツイン基盤の要素、庁内システムの連携先、庁内での運用方針、及び次年度以降の拡張方針について御確認いただきます。また、都庁外も含め、デジタルツインが今後連携を行うべきデータについて御意見をいただきます。その他、デジタルツイン基盤や3Dビューアを活用した庁内業務活用・DX方針について御意見をいただければと思います。

2つ目の論点として、デジタルツイン実現プロジェクトのKPIはどのような観点で設定されるべきかについて御意見をいただければと考えています。

3つ目の論点として、2022年度以降のデジタルツイン事業展開について、特に衛星データの利活用について着目しつつも、広く御意見をいただければと考えています。

第5回検討会の内容の御説明は以上です。

3. 討議説明(ロードマップ第2版の論点事項の説明・基盤構築事業説明)

【事務局】 引き続いて、事務局からロードマップの論点事項について説明します。

まず、論点1のデジタルツイン基盤の導入目的や、構成要素、連携先、運用方針、拡張方針等について御説明します。

デジタルツイン基盤の導入目的は、庁内各局で管理する地理空間情報等を局横断的に連携することです。都市のデジタルツイン実現に向けては、3Dデータを中心とした地理空間情報を管理・流通させるためのサイバー空間及びフィジカル空間の基盤の構築が必要となります。2022年度は、基盤構築の第1歩として、庁内各局で管理されている地理空間データ等を、局横断的に連携するためのデジタルツイン基盤を構築し、庁内の日常業務でのデジタルツインの活用促進を狙います。具体的な構築項目として、庁内の地理空間データを可視化する「庁内3Dビューア」、庁内各局が保有する様々な地理空間データ等を収集・蓄積・統合管理する「庁内データストア」、データストアで管理するデータの検索性・アクセス性を向上させる「庁内データカタログ」の3点を予定しています。

デジタルツイン基盤のコンセプトは、東京都の日常業務・サービスをデジタルツインで支え、高度化することです。具体的には、地理空間データ活用による行政サービスの効率化及び高度化、行政におけるデータガバナンス向上・データリテラシー向上を目標としています。デジタルツインの基本仕様については、こちらのコンセプトを反映する形で検討しています。

次に、デジタルツイン基盤の基本仕様について御説明します。

まず、「機能性」については、既存庁内システムの仕組みの利用を検討しながら運用に係る都職員の負荷を軽減するほか、データカタログ、データ変換ツールの導入、3Dビューアの導入により各必要機能を担保します。続いて、「安全性」については、クラウドが提供するセキュリティサービスを活用し担保します。「拡張性」については、将来的にはリアルタイムデータ等のシステム間連携、庁外も含めたデータ連携に対応します。また、庁内外のシステムに適した形でのデータ提供にも対応します。さらには、庁内の利用者の増加、同時アクセス数や取り扱うデータ量の増加にも対応可能な形とします。

将来的な拡張方針について、23ページで示した拡張性を踏まえ、データ登録及び提供方法におけるシステム間連携への順次対応、対象とするデータ範囲の拡張、庁内外のシステムに適した形でのデータ提供の実現を目指していきます。

以上お示ししたデジタルツイン基盤については、2022年度中に構築を予定しています。構築範囲は、25ページにお示ししたデジタルツインの目指すシステム構成の図のうち、赤線で囲んだ部分に該当します。

庁内基盤の運用モデル及び組織については、庁内デジタルツイン基盤運用の中心的な関係者について検討を進めます。取組主体の具体化、主体間の役割整理、主体間の関係性及び責任分解について進めていきます。

デジタルツイン基盤運用に係る主体として、「運用者」、「データ提供者」、「庁内基盤利用者」の役割等を整理しています。2022年度の想定については、デジタルサービス局が「運用者」として、デジタルツインの推進、基盤(データやシステムを集約・提供する環境)の運用を行うことを想定しています。「データ提供者」としては、2022年度は東京都各局を想定し、役割としてはデジタルツインの運用に必要なデータの整備・提供を行うものを想定しています。「庁内基盤利用者」としては、デジタルツイン基盤のデータやシステムを利用し、サービスを提供する庁内業務のためデジタルツイン基盤のデータ・システムを利用する東京都各局を想定します。「運用者」、「データ提供者」、「庁内基盤利用者」以外の主体についての役割等は、今後、庁外との連携方針検討を踏まえ検討を継続していきます。

続いて、業務フローと運用ルール・標準仕様の整理についてです。昨年度、示したデータエコシステムのコンセプトを踏まえ、庁内の業務フローを検討しています。データ提供者である各局によりデータの準備と利用ルールの設定及びデータのアップロード・登録を行い、運用者であるデジタルサービス局がデータを確認、変換・可視化設定、及び最後の確認、データ公開を行います。これらを踏まえ、データ利用者である各局が業務等でデータを活用します。

このような業務フローを踏まえながら、庁内における普及・活用を促進する各種ドキュメントを整備していきます。具体的にはデータ整備の手順書、データ可視化に係る要求仕様書、データアップロード・データ活用等システム操作マニュアルを整備するほか、データ変換・可視化に係る手順・ルール・システム操作などについても整理します。

続いて、デジタルツインが今後連携を行うべきデータについて議論のための話題提供を行います。

デジタルツイン実現に向けては、外部データとの連携が不可欠となります。データの連携先については、デジタルツインのユースケース及びそこで必要となるデータについて想定し、連携先候補となるデータの整理を行いながら、対象となる9分野において、順次拡大していく形で考えています。

データ連携先の拡大に向けた検討の進め方を簡単に御説明します。

まず、庁内ニーズに基づいて活用ユースケース及びデータの種類の整理を進めています。こちらに挙げているのは防災分野において昨年度のロードマップで示されたサービス例となります。例えば災害シミュレーションのユースケースを踏まえると、地形データ・地質データ等、地理空間データ、人流データ等、動的データが必要となります。

並行して連携先の候補となる動的データ、静的データ、地理空間データについても庁内・庁外を含めて整理を行っています。これら調査を踏まえて、サービス実現のため連携可能性が高いデータの洗い出しを順次、行っています。

今後、先に示した9つの注力分野について、庁内での検討を踏まえサービスを具体化していきます。委員の皆様におかれては、これらの分野におけるデジタルツイン内で実現するサービスや、連携先となるシステム、連携対象データ等について、幅広く御意見をいただければと考えています。

続いて、デジタルツイン基盤や3Dビューアの庁内業務活用の意義やメリットについて検討すべく、庁内業務のDX方針について御意見をいただければと考えています。

都政においてデジタルツイン基盤を業務に活用する意義は、庁内業務プロセスをDXにより変革することで、都政QOS・都民QOLのさらなる向上を可能にすることであると考えています。国土交通省都市局における「まちづくりのデジタル・トランスフォーメーション実現会議」において示されているように、単にこれまでのプロセスの効率化や利便性向上等を図るだけでなく、従来の仕組みそのものを変革し、新たな価値創出や課題解決を実現することで、これまで実現できなかった都政の目標達成や、都民ニーズの満足を実現することが可能になると考えているところです。

また、デジタルツイン基盤の業務活用によるメリットとして、部局横断でのニーズ対応/サービス実現を円滑にすることが可能であると考えています。3Dデジタルマップ等、ある部局で整備し、他の部局で広く活用が期待されるものについては、基盤を活用することで庁内要請に対し円滑にデータ提供ができるようになります。また、例に示している水害シミュレーション等、様々な部局のデータを活用した取組についても、プロトタイピングや実装がより簡単に実現可能となると考えています。

以上がデジタルツイン基盤に関する話題提供になります。

引き続いて、論点2のデジタルツイン実現プロジェクトのKPI(案)に関して御確認いただきます。

今回、2030年の完全なデジタルツイン実現に向けて、東京都としてのデジタルツイン実現プロジェクトのKPI(案)を設定しました。本プロジェクトのKPI(案)としては、「都民のQOL・都政のQOS向上」の価値提供を目指し、2024年度、2027年度、2030年度の3ステップでKPIを設定することを考えています。2024年度まではデジタルツイン基盤の構築期間として、都内外組織との連携を目標に掲げます。2027年度までは、デジタルツインの運用・利用拡大期間として、デジタルツイン関連サービスの実現を目標に掲げます。2030年度までは、完全なデジタルツインの実現・高度化を目標に掲げていました。対象分野各分野におけるリアルタイムデータの活用をKPIとします。これらのKPIの達成及びさらなる拡大を通じて、デジタルツインにおけるリアルタイムデータの活用等を推進し、デジタルツインの提供価値である都民のQOL・都政のQOS向上達成を目指します。

KPI(案)の詳細についてもう少し御説明させていただきます。

2024年までは、ベータ版事業を通じ、都内外9件の組織と、データの提供、フィールドの提供、サービスの試行利用等を通じて連携します。なお、本KPIは、デジタルツイン実現プロジェクトが「シン・トセイ 各局リーディング・プロジェクト」として示した2024年度までの目標と連動したものとなっています。

以降のページでは、定義の補足として、昨年度の実証を踏まえた「連携先組織」のカウント方法の例を示しています。

データ提供や、サービスの試行利用等を実施した組織である、庁内部局、事業者、その他団体について連携先としてカウントしています。

対象分野等、用語の定義は43ページに記載のとおりとなっています。最終的に都民の受益につながるサービスについては幅広く含む形でKPIを設定しています。

デジタルツイン関連サービスのカウント例については、44ページに参考として示すとおり、各局事業をサービスとしてカウントしつつ、派生サービスや年度をまたいだ改良等は1つのサービスとして計測をしていきます。

なお、既に事業実施を行っている各局の施策としては、次の46ページに示したとおりとなります。これら事業に関しては、昨年度実施した第4回検討会資料等において詳細の御説明があります。

最後に46ページですが、2030年に向けたKPIとしては、完全なデジタルツインの実現を掲げています。具体的には、9分野全ての対象分野において、リアルタイムデータを用いたデジタルツインが都・企業・都民の意思決定や政策立案・日常業務に活用されている状態を示しています。このように設定したKPI案について、御意見等をいただければと考えています。

以上が、デジタルツイン基盤、デジタルツインのKPIについての論点に関する御説明となります。

4. 討議(1)

【事務局】 それでは、早速、討議に入らせていただければと思います。討議(1)として、デジタルツイン基盤、デジタルツインのKPIについて御意見等をいただければと考えています。   まず初めに、それぞれの委員から御意見をいただいて、その後に時間があれば、さらに追加でという形で考えています。意見の順番は、昨年度の例も踏まえまして、吉村委員、古橋委員、木村委員、瀬戸委員、岩船委員の順番で回していきたいと考えています。

最初に、それぞれの委員から、お一人5分程度をめどに御意見をいただければと考えています。それでは、吉村委員、お願いします。

【吉村委員】 まずはデジタルツインの全体像として大事なところを一言、申し上げたいと思います。

デジタルツインというのは、繰り返しになるかもしれませんが、長期的な目で見たときに、今後の我々の社会が必要とする社会的共通資本であり、今、整備していく必要があるものだというのが、私の基本的な認識です。このような、まちにとっての基礎的なインフラを構築し、それを適切に運用した上で、産・官・学・民、様々な分野の方々と一緒になってまちをつくっていく、まちを一緒に育てていくという観点が非常に重要だと考えています。

その上で私からは、まず論点1の、特にデジタルツインが今後連携を行うべきデータについて意見を少し述べさせていただきたいと思います。冒頭に申し上げたように、私のバックグラウンドが建築や都市計画、まちづくりであることもありますが、そのまちの風景のようなまち並みデータ、建築や都市を含んだ文化財といったデータが、非常に重要なのではないかと最近、痛切に感じています。まち並みの風景や文化財のデータは、意識して取っていかないと、すぐに消えていってしまうものです。また、これらのまち並みや文化財などの要素は、そこに住んでいる人々のアイデンティティに深く関わっているものだとも思います。この点が意外と認識されていないと思います。ですので、ぜひ東京都には官の立場から、これら都市風景データや文化財のデジタル化、もしくは文化財の点群データ、さらにはアーカイブ化を真剣に考えてもらえないかと思っています。

それらをデジタルツイン上に載せていくことによって、ソフトの面を用いたまちの活性化、市民の皆さんを巻き込んだ文化財データの使い方なども含めた検討、また、それこそ「ファブラボ」や、さらにはそれら文化財などを一般の方々にその価値をきちんと伝えるという意味でアートコミュニケーターの重要性など、とにかくソフトの部分にも切り込んでいただけないかと思ってもいます。繰り返しになりますが、このような人文系のデータをデジタルツイン上に載せていけると、より豊かなデジタルツインの世界が広がるのではないかと思っています。

もう一つは、オープンデータの重要性を私は主張させていただきたいと思っています。こちらは別の検討会で議論していただいているところだとは思いますが、こちらのデジタルツインの検討会の文脈でも検討していただければと思っています。特に都庁の持っているデータをどんどんオープンにしていくという視点はもちろんですが、それらのデータを内部向けに使うだけではなく、ぜひ外部の方々にも使っていただけるようにしていけるとよいのではないかと思います。そうすると、都民の皆様と都市に関する共通認識ができて、冒頭で申し上げたように、みんなでまちをつくっていく、みんなでまちを育てていくという方向性が実現できるのではないかと思います。

【事務局】 基本的な考え方、社会的な共通資本としてという重要なところの基本的なところのまずは御指摘いただいた上で、データに関しては単に取れるデータを取ってくるだけでなく、人文系というか、文化に関係するデータも取っていくこと、またその移り変わりのようなところも含めてアーカイブをきちんとしていくことで、豊かさなりが出てくるのではないかという御指摘を1点目でいただいたかと思います。

2点目のオープンデータに関しては、まずは都内の様々な局の中でというところからかもしれませんが、そこだけにとどまらずに外部とも連携していくことで、皆で育てていくところにつながるという御指摘をいただいたと考えています。

それでは、続いて古橋先生からお願いします。

【古橋委員】

今の吉村委員からの話も踏まえて、次年度以降のデータ連携と、今年度、非常に大事なところである庁内の業務でどう使っていくのかというところも含めてコメントさせていただきます。

将来どんどん様々な人たちに使ってもらうという前提の中で、先ほど吉村委員の言われたオープンなデータとして出していくことが大前提である。その中で今年度、都庁の中でどのようにデータを共有していくのかということになると、まず庁内の中でも、できる限りその部署の垣根を越えてデータを使えるような、庁内のオープンと言うべきか、庁内でのオープン化もきちんと進めていかないといけないのではないかと思います。ですので、それぞれの部局の中だけで閉じたデータではなく、もしかすると目的が全く違う部局で非常に役に立つデータは絶対にあると思いますので、その辺りのデータの権限付与、今日の資料では28ページ目に相当すると思いますが、いろいろプロセスが下りてきて権限付与をしていくというこのプロセスで見ると、それなりにある意味で真面目なプロセスに見えるわけですが、ここのプロセスを経た上でも、なるべくここの自由度を持たせていく。その中では、まず都庁内でのOpen by Defaultで、特別な理由がない限りはとにかく都庁の中できちんと共有していくというコンセンサスを取っていくことが大事なのではないかと思います。

その中で一つ、もう少し具体的にアドバイスをさせていただくとすると、こういった仕組みがかなりうまく回っていると思うのは、「GitHub」の権限付与の機能は非常にうまくいっていると、見て思います。ですので、この権限付与のプロセスの中で、「GitHub」の中ではデータの共有について、もちろんパブリックなリポジトリもあれば、プライベートなリポジトリもありますが、その中でチームという概念でユーザーをグループ単位でまとめといて、そのグループ単位で、このグループはこのデータにアクセスしてよいということで、読み・書き・管理者のような形での段階的な権限付与をする。それがさらに重畳していくような形で、複数のチームに所属する一職員のような形になっていくのではないかと思いますので、具体的な一つの参考事例としての「GitHub」のチームの権限付与の部分はぜひ参考にしていただきたいと思います。

もう一点、少しテクニカルなコメントになりますが、こういったデータがあるということを庁内で共有していくステップのときに、これは「PLATEAU」の分科会でも実はコメントさせていただいていますが、ここにデータがあるという、「ここ」という場所をきちんとURLで、パーマリンクとして一つのリンクをクリックすると、指定された複数のデータセットと指定された表示範囲がきちんとパラメータ化されていて、ワンクリックで誰でも開けるパーマリンクの機能が実装されていれば、恐らく庁内の初めて使う方でもきちんとデータが届けられるようになっていくのではないかと思います。

少しテクニカルなコメントにはなりますが、そこをまずは作っていき、庁内でデータがまず使われていくことが、その後の論点2につながっていく、KPIにつながっていくのではないか。結果としては、様々なKPIの設定はもちろんあると思いますし、まずはプロジェクトベースで進んでいくのが妥当だとは思いますが、最終的な2030年の完全なデジタルツインが構築されたときには、リアルタイムでそのKPIが常に集計されていき、そのときに、いかにデータが庁内で使われているか、関係する組織で使われているか、外部の方々に使ってもらっているか、そういったことをきちんと統計的に処理できて、それが毎日、可視化されていような、東京都デジタルツインスタティスティックスサービスのような形での可視化サービスが2030年頃に出来上がっていくことで、リアルタイムKPIのようなものが見えてくるのではないかと期待しています。

【事務局】 幾つか重要な点をいただいたのではないかと思います。データのオープン化に関しては、デフォルトオープンから考えるということも含めて、いろいろその前提、考え方をしっかりするべきだということが1つ目。また、「GitHub」の権限付与で、職制とまた違うデータの権限の与え方というときに、かなりフラットなところで幾つかのグループ、チームを設定しながら、それに対して付与していくような考え方を援用していくのも一つのやり方ではないかという御示唆をいただいたかと思います。それから、データがここにあると知らせるときに、使う側も考えて、あまりハードルを上げ過ぎないで、まずは使ってみたら非常に良かったということを実感させるようなところにもきちんと気を配ってやっていくことが重要なのではないか。また、KPIについて、2030年にリアルタイムのデータがデジタルツイン上で使われることから考えると、KPIもある程度リアルタイムにモニタリングしていくようなものになるのではないかということで、そこも視野に入れていくことが重要だという御示唆をいただいたかと思います。

それでは、続いて木村委員から御意見をいただければと思います。

【木村委員】  今、古橋委員がおっしゃった、統計データを公開していくというのは大賛成です。   私自身は、ヒューマンインターフェースやVRなどの分野なので、どちらかというとエンドユーザー寄りのお話をしたいと思います。

まず1点目は、3Dビューアに関してです。例えば、各地域の警察署から事故多発地域の地図などが配布されています.地域の人たちはそれを見ることで、ここは事故が多いから注意しよう、あまり行かないようにしようというように、自分たちで判断して動くことができると思います。あるいは、この辺は古い建物が多い、この辺は木造が多いから、もし地震があったときには火災が起こるかもしれないといった地域の建築物の情報が可視化されれば、地域の人たちも自分たちで自分たちの地域は火災に注意しなければいけないと判断できますし、庁内の職員の方々も、この辺は火災対策をもっとするべきといった検討がやりやすくなると思います。

その際に、建物のデータに付随する情報によって、色を変えたり、表示/非表示を切り替えたりできると良いと思います。例えば古い建物は表示するけれども新しい建物には表示しない、木造の建物の色を変える、背が高くて古い建物だけ表示するといったことができれば、庁内でも部署によって可視化したい情報が違うと思うので、各部署のニーズに応じて見たい情報を地図に起こせると思います。そして、自分たち自身で、次はこういう政策を立てないといけないのではないかなどの検討を、俯瞰的な視点から考えられると思います。都民に説明するという点でも、その可視化データが役に立つと思いました。

もちろんVRなど、XRの観点でも、例えば観光データ、ナビゲーション、教育、シミュレーション訓練のようなところで、そういう付随情報があれば、その情報を選択してVRで見せることもできるので、とても効果的に利用できると思います。

次に、データ登録に関してですが、昨年度のこの検討委員会で、最初から使い勝手が非常に良いというのはなかなか難しいと思うので、最初は多少使いにくくても徐々に良くしていくことを受け入れる必要もあるのではないかという話をしましたが、データの入力のしやすさは非常に大事だと思います。最初にデータがきちんと入力されないと、そこでつまずくと思うので、できるだけ二度手間にならずにスムーズにデータが入れられるような仕組みを意識して作っていく必要があるのではないかと思いました。

こういう取組は東京都が初めてなので、今後ほかの都道府県が東京都のやり方を参考にしていくことになると思います。そういう意味では途中の検討プロセスも含めて、後で参考にしたい都道府県に対して情報開示できるようにすることも意識しておく必要があるのではないかと思います。

もう一点、データをオープンにする際に,利用者自身が地図に情報を付与できるような仕組みがあると良いのではと思いました。例えばウェルネスの例ですが、障害のある方にとって通りやすい/通りにくい道をデータベースやマップとして示すといった取り組みがあると思います。しかし、このようなデータベースを行政や企業がトップダウンで行うにはかなりのリソースが必要です。しかし、ユーザー自身は、この道は通りやすい/通りにくいといった情報を、日常的に保持・更新していて、もしそれを同じ障害を持つユーザー同士で共有することができれば最新のデータベースを容易に収集できる可能性があると思います。行政が障害タイプごとに通りにくい道をすべて見つけ、更新していくのは大変ですが、障害のある利用者自身がここは通りにくい/通りやすいという情報をスマホなどで随時申告するのはそれほど大変ではないかもしれません。ということで、障害に限らず、特定の属性を持つ人たち自身が簡単に自分たちに有益な情報を共有できるような仕組みができると良いと思いました。

【事務局】 いろいろ幅広く御示唆いただいたのではないかと思います。

3Dビューアに関しては、様々な使い方といったときに、可視化というところからコミュニケーションツールとしてかなり使えるところがあるのではないかということ、またそういったことを正確、かつ、分かりやすくやるためにも、それぞれの裏で持っている属性がうまく使えるような形、正確にきちんと入っていることが、可視化をうまくすることの非常に重要なところになるのではないかというお話を1点目で伺えたと考えています。

2点目のデータの登録については、まさに御指摘のとおりではないかと思います。まず実際に自分たちが持っているものをまず使ってみようとしたときに、最初のステップの敷居が高いと、そこで心が折れることも出てくるのではないかということで、最初のところで、これを使ってみたら良かったという体験をしていただくということの立てつけが非常に重要なのではないか。それも含めて後に続くほかの自治体の方々にも分かるような形できちんと成果やプロセスをまとめていくことの重要性も御指摘いただいたかと思います。

データをオープンにすることに関しては、データを作り込むことを目的にするというよりは、ふだん自分たちが思っていることを自然に入れられるような仕組みや、あえて言わずとも自分たちがふだん使っているものをそのまま取り出して共有できるような仕組みなど、そういったデータの作り方でもストレスなく、ハードルを下げるような、ふだんの日常生活からうまく持ってこられるようなところまで持ってこられるとよいのではないかという御指摘もいただいたと思いました。

それでは、続いて、瀬戸委員、お願いします。

【瀬戸委員】 私からは今年、庁内業務での積極的な活用もありますので、その観点で幾つかお話をさせていただきたいと思います。

まず1つ目に、各局の連携を進める中で、特にデジタルサービス局や宮坂副知事からも非常に力強いメッセージをいただいていますが、各部局でサイロ化しないことは、こういった外部の有識者の立場から言うことができますので、ぜひそこは力強く応援したいと思っていますし、庁内であっても部局間共有ができないデータがあるのであれば、それはどういう理由でできないのかということを明確にして、透明性を担保していただきたく、そういったことを進めて整理していただけるとよいのではないかと思います。

また、今後この定義の詳細化というか、少し検討が必要ではないかと感じたのが、今年は庁内という定義をされていますが、東京都は非常に大きな組織でもあるので、都庁の中の部局だけではなく、緊密に連携している東京都に直接関わる各組織や外郭団体など、日常業務と密接に関係している庁外の利用者とどう連携していくかというのは、都民や民間企業、大学とは別のフェーズで、そこへのデータ連携より前にしなければいけない観点だと思います。

それから、今回デジタルツインのビューアを使ったり、あるいは業務自体を見直したりという観点の中で、今までは数字や台帳ベースで、行政職員としての仕事をされてきたと思いますし、これは継続する部分も多いとは思いますが、改めてデジタルツインのビューアが、ベータ版として実装された状況を鑑みると、地図上、あるいは3D空間上で業務を行うことが重要だと考えます。地理学では空間的思考という用語でも言い表されるように、空間的な見方や考え方が、自然に都の職員でもだんだんできるようになってくるとよいのではないかと思います。そういった内部での人材育成、業務フローの見直しの中でデジタルツインのビューアを積極的に使ってみるといったことから始めるのは非常に良いことではないかと思います。

次にKPIについてです。今年のKPIは、庁内業務を対象として庁内でどれぐらい使われたか、あるいは庁外の様々な機関とどう連携したかという幾つかの指標が示されたと思います。これはおっしゃるとおりだと思いますが、この先にあるKPIの設定としては、都民、市民にどう使われたか、これでサービスがどう良くなかったかというような、庁内から一歩外に出た指標づくりも必要になると思いますので、こちらは年度後半など、KPIを立て直すタイミングのところで意識する必要があるのではないかと思いました。

最後に、リアルタイムKPIというお話が古橋委員からもあって、私もその点は賛成で、昨年度の検討会の話題提供の中でも、ダッシュボードサイトの形で先駆的なオープンデータやデジタルツインをやっている海外の自治体では、毎日・毎週・毎月の間でどれぐらい進んでいるのか数字と地図上で示されているようなサイトもありますので、そういったデザインも含めて参考になるのではないかと思いました。

【事務局】 幾つかいただいて、1点目は、各部局でサイロ化しないことと端的にいただきました。ほかの委員からもありましたが、デフォルトオープンにということにもつながるかもしれませんが、共有できない場合は、なぜ共有できないのかという理由は皆で共有するというところも含めて進めるといいのではないかという御示唆であったかと思います。

2点目は、庁内外というときに、外と言う場合、市民や大学という前に、庁内の業務をやるに当たって連携している仕事での連携先、外郭というところもあるはずだということで、そこに関しては市民、大学とは恐らく別フェーズというか、少し違うフェーズのところで、中なのか、外なのか、微妙なところもあるでしょうが、そこも含めて、そういう層があることも意識して進めるべきだという御意見、御指摘だったかと思います。

3点目は、空間的思考といただきましたが、いろいろデータを見ているときに、Excelのデータを見ているだけではなく、地図など可視化して見ることによって、その中でいろいろ気づいたり、示唆が出てきたりということもあるのではないかということで、庁内の業務改革も意識して進めるとよいのではないかという御意見だったかと思います。

KPIに関しては、御指摘のとおり、普遍的にいろいろ見ていただくことを踏まえて、幅広く見ていってもおかしくないかということも踏まえて検討していくべきだということになるかと思います。リアルタイムでのKPIに関しては、今までにあるようなダッシュボードサイトなども含めて検討していくと、より分かりやすいものになるのではないかという御示唆をいただいたかと思います。

それでは、岩船委員にぜひ御意見をいただければと思います。今年度から入られたということで、いろいろ素朴に思われるところもあるかと思いますので、それも含めていただければと思います。よろしくお願いします。

【岩船委員】 ほかの委員のお話を聞いて大変勉強になります。エネルギーにおける利用という点から考えた場合に、デジタルツインという仕組みと単なるデータ活用とは、きっとイコールではなくて、デジタルツインといった場合には私の理解では、例えばリアルタイム性や3Dの地理情報のようなものを活用するというニュアンスが入ってくるのではないかと思って伺っています。

そう考えた場合に、3Dやリアルタイムということが、エネルギーの分野において、どこまで必要かという視点は重要ではないかと思います。最初に前向きに議論しましょうというお話があって、そこでいきなり後ろ向きのようなことを言って申し訳ないのですが、データ活用はしっかり進めるべきだと思いますが、あまりゴージャスな仕組みを作って、コストと効果のバランスが悪いようなことになってしまうと、結局、それは持続可能ではなくなる可能性があるので、そのバランスはやはり考えるべきではないか。何もかも入れ込めばいいというものでは恐らくないだろう。もちろん最初の時点で風呂敷を広げて様々なデータの連携の可能性を見るという意味では非常に重要だとは思いますが、費用対効果のバランスを常に意識する必要があるのではないかと思いました。

論点2にKPIの話もあって、たしか長期的なほうで9分野でリアルタイム活用の事例があるということを書かれていましたが、そういう意味で、例えばエネルギーに関してリアルタイムでデータを活用するのかとなると、恐らくそこは難しいだろうと思います。ですので、これはあくまで結果であってKPIではないのではないかという気がしたというのを最初に申し上げさせていただきました。

では、具体的にまず東京都が持っているデータでエネルギーに関して何ができるだろうかということを私なりに考えたことを今から述べます。まず、途中で一つ例として、PVのポテンシャル評価のようなことがあったと思います。以前から東京都は屋根にどのくらいPVが載るかというマップを作っていたと思いますが、今まさにPVを戸建住宅に義務化、クォータ制にしようというタイミングで、義務化はやり過ぎであるというような御批判を受けているようなことも一般的にあるかと思います。ただ、それに対する答えとして、せっかく3Dの情報があるのであれば、ここはどのくらい影ができるかといった評価も含めて、戸建住宅におけるPVポテンシャルで経済的にもしっかり成立するというような分析をして、マップとして見せることも重要ではないか。それは、この施策をしっかり進めることの合理性の裏づけになるのではないかと思いました。それはすぐやってもいい話ではないかと思っています。

それ以外では、例えば東京都はエネルギーに関してかなりいろいろな補助事業もやっていると思います。これはどこまでできるか分かりませんが、本来、補助金を使った先から、例えば建物のエネルギーデータをもらう、EVに関しても、走行データは難しいかもしれないですが、何らかデータを提供していただくことの対価として補助金をあげるという仕組みを作っておいて、そのデータをしっかり蓄積していくことも重要ではないかと思います。特に東京都の場合は、エネルギーを作るほうは屋根にPVを載せるぐらいしか、正直に言って、あまりなくて、使う側が重要だと思いますが、使う側の情報が、エネルギーデータが、実はあまりない状況です。ですので、そういったデータをしっかり集める。住宅は住宅で、業務用の建物であれば業種別にエネルギー消費量を集めるといったことができて、その情報が整備されるというのは非常に重要だと思います。PVに関しても充電ステーションの情報をしっかりマップ上に整備することは重要ではないかと思われます。

先ほどたしか木村委員がおっしゃったと思いますが、情報を提供してもらうという話も実はあって、再エネの設備として太陽光を地面に建てているようなものについて、都心部はあまりないので東京都はそこまで多くないかもしれませんが、かなり増えていて、管理がしっかりできていないという問題があります。例えば本来は義務化されている柵がない。そういったものに関する情報を一般の都民の方から上げていただいて、それを収集してそこの改善に役に立てるということも、この仕組みを使えばできるのではないかと思います。

エネルギー政策において重要なのは、東京都だけが頑張るのではなくて、基礎自治体にもしっかり活躍していただくことだと思いますので、このデジタルツインの基盤を使って基礎自治体が自分のエリアのエネルギー政策を進めることができるように展開できるものにしていくことも重要ではないかと思いました。

地理情報になった場合に、エネルギーデータというと個人情報との兼ね合いも整理しなくてはいけないことになりますが、例えば見守り、さらには引きこもりの人の見守りにも実はエネルギーデータは使えたりするので、リアルタイムというとそのような使い方しか思いつかないのですが、幅広く考えた上で、個人情報との兼ね合いでここまでしか使えませんという整理を丁寧にされるのがいいかと思いました。

【事務局】 いろいろ幅広く御示唆いただけたかと思います。   1点目で、デジタルツインといったときにオーバースペックになり過ぎないようにというところは、重要な御指摘がいただけたと思います。

続いて、リアルタイムが必要かというところで、このリアルタイムがどのぐらいのリアルタイムと定義するかところも出てくるのではないかとも思いますが、ここは必要十分以上にならないように心がけることの重要性を御指摘いただいたかと思います。

太陽光についてのいろいろな御示唆も、実際に付けたものに対して実績を見ていくということもありますが、データ上でやると、いろいろシミュレーションしたり、先に計算したりすることもできるということで、そういったところでの活用も重要なのではないかと御示唆をいただいたかと思います。

それから、補助金とひもづけてデータを入手できるようにする、特にそれも設置というよりは、設置した後の使っている状況、使う側の情報という言葉でいただいたかと思いますが、その後のデータがいただけるような形でひもづけることもあってもいいのではないかという御示唆をいただいたかと思います。

こういったデータ上でいろいろ管理することで、皆できちんと制度が正しく運用されているかというところのモニタリングにも使えるのではないかというお話。

また、基礎自治体と連携していくことも重要だという御示唆もいただいたかと思います。

そうしましたら、宮坂副知事もいらっしゃっているので、委員の方々の意見を聞いて何かコメントがあればいただければと思いますが、いかがでしょうか。

【宮坂副知事】 委員の皆さん、活発な御意見をいただき、ありがとうございました。   デジタルツインで見せるというのは一つ、表現の型として可能性を追求していく。吉村委員からもあったとおり、長期的な視点を持って取り組んでほしい、公共財としてやってほしいということがありましたが、それを生かすも殺すも、我々がデータをどんどん出していくことに尽きるのではないか。それがないとドンガラだけができてしまいますので、その中に魂を吹き込むような質の良いデータを出していくことが非常に大事だということを改めて思いました。

デジタルツインの議論の手前に、ベースにあるのが、データに都庁としてどう向き合い、それをオープンデータとしてどう出していくのかということが、デジタルツインの品質、中身を決めていくのだなと、当たり前の話ですが、改めて非常に参考になりました。ぜひこれはしっかりとやっていきたいと思います。

ありがとうございました。

5. 今年度事業紹介(基盤構築事業以外)、関連取組紹介

【事務局】 それでは、続いて後半に入っていきたいと思います。後半では、2022年度のデジタルツイン事業の内容について、まずはベータ版事業の内容を主に御紹介します。

「ベータ版事業01」と書いてあります。こちらは衛星データを活用した予兆検知高度化検証を行います。都の防災業務等において、衛星データ等の利用可能性を検証するため、様々なユースケースについて整理及び試行をいたします。方針として、衛星による地盤変化の予兆検知の可能性などを想定しています。

事業の中では、次年度以降の社会実装につながるユースケースについて、都内の様々な部局と協働しながら検討を行っています。具体的には、都市整備局と連携した衛星による不適正盛土の監視可能性の検証、建設局と連携した衛星データ解析による山岳道路斜面の変状把握可能性の検証等を予定しています。

その他のユースケース案についても、都庁内ヒアリング等により検討を行っています。海岸・港湾の状況把握、河川監視、火山の降灰範囲測定等、様々なカテゴリーにおいてユースケース案を検討しています。

これらのユースケース案のうち具体化したものについては、今年度実証として作業を推進し、東京都デジタルツインとの連携による効果検討、将来の衛星データ利用方針検討等を行います。スケジュールとしては、7月以降、確定させたユースケースについての実証作業を12月にかけて行い、年度内に将来の方向性を検討するという形で進めることを考えています。

続いて、ベータ版事業02です。こちらは地下埋設物3D化の社会実装に向けた課題整理を行います。昨年度、地下の3Dモデルの構築を通じて得られた課題を踏まえ、今年度は地下のデジタルツインの持続的な整備・運用に向けた仕組み・体制の検討を進めます。具体的には、地下埋設物管理業務全体の課題整理、地下埋設物工事における地上部データの活用検討、持続的な運用体制の検討、社会実装に向けたロードマップの検討、この4つの項目を実施し、地下デジタルツインの社会実装に向けた道筋の明確化を目指していきます。

具体的実施内容として、関係団体へのヒアリングを実施し、現状業務の課題の洗い出し、あるべき姿の検討を行います。スケジュールとしては、8月までに現状の業務プロセスと課題の整理、12月までに地上部における3Dモデルの高度化検討を行います。さらには、年度内に埋設物管理に関する将来像及び仕組み・運用体制の検討を行い、社会実装に向けた方針及び課題を具体化させます。

ベータ版事業03は、産学官でのデータ連携に向けた課題検証を行います。現在、連携対象組織の種別や、データ種類等を考慮しながら、データ連携対象について整理を行っています。さらにその中から、今年度データ連携を試行し課題を検証する対象について具体化を行っています。具体的には、国等と連携して、国や関連団体の保有するデータを精査した上、連携検討を行っています。また、大学等アカデミアとの連携としては、「点群データ」をテーマに各大学が取得し保有するデータとの連携を試行するほか、教育分野における点群データのユースケースについて整理を行っています。民間事業者との連携については、気象データ等、民間が保有または整理する、庁内で広く活用が想定されるデータとの連携を試行するほか、ユースケースについて整理を行います。また、デジタルツイン上データの活用や外部提供の指針を検討するため、データ活用のためのシステムについても調査を実施しています。具体的には、ゲームエンジンの業務活用方針の整理、及びそれを踏まえたデータ整備・提供のあるべき方針についても検討を行っています。今後のスケジュールとしては、8月までに連携候補データの整理、11月までにデータ試行連携及び次年度以降の本格連携に向けた課題整理を行う予定としています。

続いて、2022年度に実施するデジタルツイン関連事業について説明させていただきます。

2022年度内に、都市整備局と連携し、都内全域の取得可能なエリアにおける点群データの取得・整備事業を実施します。航空レーザー測量等の各種計測手法により、エリアの点群データ、建物・植生等を除去した地表面データ等についてそれぞれ整備します。取得した点群データは、庁内利用のみならず民間での活用も標榜しており、公開可能範囲を検討の上、用途に応じたデータ形式にて整備・利用いただく方針で考えています。また、こちらの都内全域の点群データは、共通基盤データとして防災分野をはじめ東京都各局における事業においても活用が予定されています。

ここまでのところで、2022年度の事業について御説明させていただきました。

6 討議(2)

【事務局】  続いて、これまでの御説明を踏まえて後半の討議に入らせていただければと考えています。こちらについては、御意見をいただきたい観点としては、衛星データの行政活用に関して考えられる方針への御意見・御示唆、及び他のベータ版事業についての御意見、また、そのほか次年度以降、東京都が実施する事業に関しても幅広く御意見をいただければと考えています。

それでは、早速ですが、先ほど同じ順番で、また5分程度をめどに御意見をいただければと考えます。もちろん、先ほど言い忘れた、追加で言いたいということも含めて言っていただいて結構です。それでは、吉村委員、お願いします。

【吉村委員】  論点3についてということで、2022年度以降のデジタルツインの事業展開について、私からは主に3つあります。   1つ目は、データそのもの、データの粒度についてコメントしたいのですが、まずは都市に関するデータは様々なものがあると思いますが、衛星データは今後、伸びてくるデータの一つだと私は認識しています。技術革新などを考慮すると、今後どういうことが起こり得るかというと、例えば衛星データから道路に落ちているごみが検知できる、もしくは衛星データから道路を歩いている人の顔認証ができるというぐらいの粒度のデータが取れてしまうかもしれないわけです。そうすると、大事なのは、そういう技術革新が起こったときに我々は一体何ができるのか、もしくは何ができないのかということを想像しながら、今後の社会の中における利活用を考えていく必要があるということだと思います。当たり前のことではありますが、これが私の指摘したい1点目です。

このような技術的な革新を考慮した上で、データの使い方を考えるのが2点目の示唆です。ここで強調したいのは、都市データを用いるセンスです。簡単に言うと、ふだんの会話の中で、あの人は服のセンスが良い、あの人は音楽のセンスが良いといったことを言うと思いますが、全く同じ意味において、都市データにもセンスの良い使い方、センスの悪い使い方があると思います。まずはそのような観点で、例えば東京都のあのデータの使い方はセンスが良い、格好良いというのが意外に大事なのではないかと思っていますので、この点を2点目として指摘させてください。

最後の3点目は、先ほど言っていただいた衛星データの利活用にどのようなものが考えられるかという点です。例えば私の分野、都市計画やまちづくりという分野では、私たちは衛星データをどう使っているかというと、我々は衛星データの夜間光データを用いて縮小都市(shrinking city)の検証に使っています。夜間光というのは何かというと、夜に光っているエリア、つまりは人の活動があるエリアが衛星データから分かります。それを時系列に並べていくわけです。そうすると、都市がどのように縮小していっているのか、もしくは拡張していっているのかということが、今までのデータとは比較にならないぐらいの粒度で分かってしまいます。これまでは縮小都市(shrinking city)の分析には5年に1度の国勢調査などが用いられてきたと思いますが、衛星の夜間光データを用いていると、それとは全く違う時空間の単位で粒度高く分析ができるので、これまでの都市の計画の仕方やまちのつくり方が劇的に変わる可能性があります。

さらに、このような衛星データのようなものを、先ほどからほかの委員からも出ているように、部局間でくし刺し的に使ってみたり、つまりは横ぐしに刺して使ってみたり、それこそオープンデータにしてみたり、その辺りをぜひ東京都でもいろいろと御検討いただけるとよいのではないかと思っています。こちらの衛星データの利活用も、私としては今やらなければいけないことの一つだとも思っています。

【事務局】 3点でしたが、1点目は、技術革新が今後かなりいろいろ進んでくる、特に衛星データのところで進んでくることを踏まえた上で何ができるようになるか。また、できないかということに関しては、どちらかという個人情報などで見え過ぎてしまうと困るというところもあるかということも含めて、いずれにしても周辺で進んでいく技術と併せてどういう使い方ができるかということを考えることが重要だということをいただいたかと思います。

2点目のセンスについては、見れば、良いか、悪いかというのはかなり判断がつきますが、その裏には様々な要素があって、様々なものがきちんとうまく組み合わさってできているということで、きっと出てくる。最終的に良い評価になるように様々な要素を組み合わせていくことが非常に重要なのではないかと思いました。

3点目として、都市計画の様々なやり方について、今まで5年に1度の統計情報で考えていたものが、データが入る量も、時系列な頻度、ルートなども大分変わってくるということで、それに合わせて計画の仕方やまちづくりのやり方を変えていく。デジタルだけではなく、それを踏まえて実際のやり方を変えていくところの重要性。これはデータから見えるところもありますし、部局間でくし刺しにして同じデータを見るところから見えてくることで新しくやるところもあるのではないかという御示唆をいただいたかと思います。

それでは、続いて古橋委員からお願いします。

【古橋委員】 では、論点3の部分で大きく3点、コメントさせていただきます。

1点目は、衛星データの活用ということで、今回、特に合成開口レーダーをターゲットにしているというところが、非常にポイントだと思います。今、私としてもウクライナの状況を衛星画像、衛星データを使って分析しているところで、肌感覚で感じているのは、合成開口レーダーがかなり使いやすくなっていることは間違いないと思います。先ほどの例の中で合成開口レーダーの対象が羅列されていましたが、この中でいうと、時間軸できちんと使える、合成開口レーダーは多少解像度が粗くてもかなり見えることが分かってきました。特に「Sentinel-1」のデータは時間軸で1か月、2か月間といった時間的な分析も加えると、見えないものがかなり見えてくるというところは非常に手応えを感じているので、逆に言うと、恐らく一発物というか、この日のこのSAR画像が欲しいというようなオーダーをすると見えてこないものが、多くあるということは十分に気をつけていただきつつも、時間軸でとにかく同じ場所を見ていくということをやれば、案外、既にオープン化されている「Sentinel-1」だけでもかなりのものが見えてくるので、そこは業務に必ず生きるのではないかと思います。まさにそれが最も使われるのが災害時で、その災害が起きるときが夜なのか、昼なのか、雨が降っているのか、降っていないのかといった気象条件や日射条件に左右されないで、その地域が分析できるところが合成開口レーダーの強みになりますので、この方向はぜひ進めていただきつつ、様々な知見が得られるとよいのではないかと思います。

その点を含めると、合成開口レーダーだけでは駄目で、もちろん例えばドローンなどの高分解能の画像や点群データといったものもマルチソースで集めた上での分析を複合的にやっていくことが次のステップになっていくものではないか。これは次年度以降になるとは思いますが、それも視野に入れていくとよいのではないかと思います。

2点目は、地下埋設の3D化に関しては、いろいろな人たちが同じような地下のデータをどう扱っていくのかという議論を進めていく中で、少し視野に入れておくべきこととしては、今、経済産業省が中心になっていますが、三次元の空間IDの使用、それを実装していく部分で進められているところ、特に3Dのモデルのまま使う場合もあれば、その配管を損傷させないような、いわゆる当たり判定としてシンプルに3Dの空間を扱っていく、固有の空間IDの検討が始まっていますので、この辺りはぜひ東京都のデジタルツインも意識して、連携していくという将来を見据えるとよいのではないかと思います。

3点目は、産官学のデータ連携の中では様々な展開が進められていくというのは非常に良い方向だと思います。岩船委員がエネルギー政策の点で、基礎自治体との連携は非常に大事だというコメントをされていたのは私も同感で、まさに今デジタルツインにこのような形で関わらせていただいて、例えば東京都では「PLATEAU」のデータを初年度に整備された東村山市からも、かなり積極的に相談を受けています。データを作ったけれども、それをどう活用していくのかということは、もちろん東村山市にもアイデアはありますが、我々からも、こういう使い方がありますといったことのディスカッションが今ようやく始まったところにはなってきますので、こういった基礎自治体からの、こんな使い方があったといったユースケースも今後この産官学の中に含まれていくのではないかと想像しています。したがって、こういったデジタルツインのデータが「PLATEAU」しかり、「東京都デジタルツイン」しかり、こういったデータが各基礎自治体でどのようなことをやっているかということのキャッチアップが今後進んでいくとよいのではないかと思います。

【事務局】 3点いただきました。

1点目の合成開口レーダーの使い方で、一発ではなく、時系列で差分を見ていくことになるのだと思いますが、そういう形で見ていくことでかなりいろいろ使えることがあるのではないか。また、実際にかなり使いやすくなっているのではないかということを、先生の御研究でもウクライナのものなども含めて見せていただいているところかと思います。災害で考えたときに、なってからというよりはその前のときから見ていて、それも含めてどのように変わっていっているのかというような差分を見ていくことの重要性もいただいたかと思います。また、衛星に関しては、今年は合成開口レーダーをまずは見ていくのかもしれませんが、それだけでは限界もあるということで、マルチソースも将来的には考えたほうがよいだろうという御示唆もいただいたかと思います。

2点目の地下については、デジタル庁で3Dの空間IDの検討も進められているということで、それも意識しながら連携できるところ、使えるところは使うということも含めて、全体の将来の姿を考えていくことが重要だろうという御示唆をいただいたかと思います。

3点目は、基礎自治体との連携に関しても、考えていくときに、このような使い方もあるという具体的なことをいろいろ出しながら議論も進めていくとよいのではないかという御示唆をいただいたかと思います。   いずれも重要な御示唆をいただき、ありがとうございます。

それでは、続いて木村委員からお願いします。

【木村委員】 古橋委員、衛星データの特徴を御説明いただき、ありがとうございます。衛星データだからこそできることが何なのかによって使い方は変わってくると思いますが、広域性、周期性、同一条件性が強みになるということなのですね。だとすると、継続的に取得されたデータを比較するタイプの応用事例がかなりありそうですね。衛星は宇宙にあるので、地球上で災害が起こっても衛星には影響がなく、データが送られてくるので、災害時に災害が起こっている範囲の確認や分析、可視化などができますね。

地下埋蔵物のデータですが、東京都は地下空間を用意されているので、地下埋設物だけではなくて、そういう地下空間の情報も可視化されると、これだけスペースがある、自分の家の近くにそういうのがあるといったことが分かってよいのではないかと思いました。

3つ目は、55ページ目の各産官学で使うというスライドで、データ活用システムにゲームエンジンを活用するという話がありましたが、ゲームエンジンを使っていただくのはXR分野の人たちにとっては非常にありがたいです。ゲームエンジンで活用できる形でデータが容易されれば、すぐにVR、AR、MRで活用できます。しかも、プログラミングも簡単なので、XR以外の用途でもいろいろ使えると思います。簡単にプログラミングで活用できる形式で容易されているというのは、応用をする人たちにはとても助かると思います。

【事務局】 それぞれのユースケースについて御意見をいただきました。   衛星に関しては、御指摘のとおりで、地球から離れているからこそ、災害のときにも非常に良くなることも出てくるところもあるでしょうし、技術も、先ほど吉村委員からもありましたが、進展してきているということで使い方がまだまだ広がるところがあるのではないかということで、将来への期待もまだあるだろうというお話をいただいたかと思います。

地下については、まず今のところは埋設物からチャレンジしていますが、地下空間となったときには、それ以外のところもあるということで、デジタルツインに向けてはそこも含めて考えていくことが、また可能性を広げることになるのではないかという御示唆をいただいたかと思います。

3点目で、これは使っていただく使い道を増やすという意味で様々なところで使われていたり、環境が整っているゲームエンジンなどに載せられるようにしていくことが、コミュニティを広げていったり、様々な例を作っていったりするところで非常に良い攻め手になるのではないかという御示唆をいただいたかと思います。

それでは、続いて、瀬戸先生、お願いします。

【瀬戸委員】 1点目の衛星データの利活用において、最初のベータ版事業01の予兆検知について、今回は防災、特に異常検知を対象とする、大きな2つのユースケースとしては盛土、山岳道路について実証するということで、こういう事業を都庁の通常業務、災害・防災対応の業務の中で、従来の目視点検や、災害が起こったときに現地に派遣して災害の状況を見ることから比べて、どのくらい費用対効果、職員の負担軽減も含めた効果があるかということをとらまえて判断すると良いのではないかと思います。

確かに衛星データは気象条件に関係なく、周期的に、また広域に撮れるという点が最も大きいと思いますので、災害の頻度からいうと、局地的な大雨などの場合でどれぐらい使えるのかということもあるかもしれませんが、ただ、東京都は災害の脆弱性、リスクは非常に高い都市でもあるという認識もしていますので、こういった知見が使えることが仮に証明できれば、全国の自治体で活用される可能性も高まるのではないかと思います。

合成開口レーダーを始めとするデータの利活用の話もいろいろ出てきましたが、データとして大容量になりますし、これらの専門的なデータの値をどう見るのか、どのように分析するのかというスキルも必要です。この点については、都庁の中だけで数字を見て判断するのではなく、関連するアカデミアや、衛星データプラットフォームのTellusなど、衛星データ活用で非常に先駆的な取組もされているので、そういった先行例の知見などを生かしながら、御相談されるとよいのではないかと思いました。

また、地下埋設物の話とも関係しますが、こういった事業展開をする中で、ステークホルダーとなる方々、様々な事業者や地権者等もいらっしゃると思いますが、様々な活用方法、あるいは活用における課題なども数多くあると思いますので、その方々ともタイミングを見てぜひ協議をされるとよいと思います。特にもし地下埋設物の災害が起こったときのデータ共有も含めて考えるのであれば、衛星データや航空写真であれば、例えば緊急撮影を国土地理院でもされていると思いますが、緊急時の協定のような形でデータ共有、あるいは先ほど出していただいた山岳道路や盛土の衛星データなどの取決めが、今年度すぐにできないとしても、その道筋ぐらいがつけられるとよいのではないかと思いました。

最後に、少し観点は変わりますが、2023年以降、将来的な事業展開についての意見もということであったので、その点で1つだけ補足させてください。これまでデジタルツインの活用を前提とする様々な意見が出てきたと思いますが、都市におけるデジタルツインの活用や先行研究などもいろいろ見る中で、世界的に不足しているのが、活用人材としてデジタルツインを運用するマネジャーやメディエーターと言われるような運用する人材、メディエーターの育成や役割の明確化という点がかなり大事で、そういったキーパーソンがどのくらい人材として確保できるかという点が、次の計画や各局に説明をするときなどに非常に重要だと考えます。ですので、今年いろいろ実証事業もやる中で盛りだくさんであると思いますが、そういった組織論、デジタルツインの本運用に向けては、組織体制についても、せっかくデジタルサービス局という新しい組織が一昨年立ち上がって、軌道に乗り始めている中でもありますが、各局をデジタルツインでつなぐような人材の確保も、検討会に直接出る範囲ではまだないとしても、体制づくりを考えられるとよいのではないでしょうか。

【事務局】 1点目の衛星データに関しては、何でも衛星というわけでもなく、費用対効果を含めて本当に効果があるのか。新しいものができるようになるというものも当然あると思いますが、そこも冷静に見ながら使っていくべきだろうというお話でした。それから、過去にいろいろ先行事例もあるということで、そういった方々と話をすることも含めて、いろいろ知見を得た上でやるのがよいのではないかという御示唆をいただいたかと思います。

2点目は、地下埋設部に限らず、衛星データも関連してということで、今年度この事業の中ではユースケースの実証ということになるのかもしれませんが、実際にやるときに、いざなってから急になるというよりは、緊急時にどういう手順でオペレーションするのか、どこまでお互いにデータを共有するのかといった手順や協定をどのように決めるのか、その道筋も実証と併せて検討していくことも、実際に何か起こったときに動かす場合に非常に重要なのではないかという御示唆をいただいたかと思います。

3点目は、メディエーターという言葉でいただきましたし、これから本格運用になっていく中で、各局をデジタルツインでつなぐ人材という言葉もいただきましたが、本格的な運用に向けての体制づくり、組織論も、これは検討会で議論するものではないかもしれませんが、きちんと検討しておくことが重要だという示唆もいただいたかと思います。

それでは、続いて岩船委員からよろしくお願いします。なじみがないものがいろいろあったかもしれないので、全体を振り返ってというところも含めていただいて結構ですので、よろしくお願いします。

【岩船委員】 私は素人で分からないところもあるので、その辺りは議論には加われませんが、衛星データの利活用ということでいうと、それが主たる目的にはならないですが、エネルギーの利用という意味では、最初に申し上げたモニタリングで、先ほどの写真にも太陽光発電などが写っていましたが、例えばそれがしっかり活用されているか、壊れていないかということもある程度、時系列で情報が得られれば、ほかのものとセットで構わないと思うので、モニタリング等に使えるのではないかと思いました。

外部とのデータ連携という意味では、幾つか申し上げたいことがあります。一番は、スマートメーターのデータとの連携です。ここは国でも検討はしていますが、セキュリティがかなり厳しい状況でしかデータ活用できないような仕組みに今なってきていて、もし東京都でスマートメーターのデータをうまく活用していただいて、あとはスポンサーになっていただいて、そのメリットをしっかりアピールしていただけると、もちろんプライバシーに対する心配はあるけれどもメリットがこれほど大きいということを言うことができると思います。それによって国の議論も動かすことができるのではないかという期待もあって、ぜひここはデータ連携という意味ではスマートメーターの活用を御検討いただきたいと思います。エネルギーデータの基本になると思いますし、そこは重要だと思います。

そういう意味で、御承知だと思いますが、国も環境省が「再生可能エネルギー情報提供システム(REPOS)」というのを作っていて、GISデータと再エネデータとの連携が最初でしたが、さらに使う側、消費側のデータもそこに載せていこうという動きもありますので、そういったところと連携していってはどうかと思います。

地点のデータという意味では、送配電網のデータもあります。送配電網の地図情報と建物のエネルギーデータ、そして再エネのデータのようなものを突き合わせることによって、ホスティングキャパシティ、その配電網にあとどのくらい再エネ、例えば太陽光発電が増やせるかというような検討ができたりもしますので、そういう送配電網情報とのリンク、そしてスマートメーターのリンクといったことは、これから先でよいと思いますので、ぜひ御検討いただければと思いました。

【事務局】 幾つか重要な御示唆をいただいたかと思います。

衛星データでは今回ユースケースの中では災害にかなりフォーカスされていますが、エネルギー関係のところで様々なもののモニタリングでも使えるところがあるのではないかという御示唆がありました。

2点目は、外部とのデータ連携というときに、スマートメーターとの連携もぜひ検討してみてはどうかという御示唆をいただいたかと思います。

既存のものとの連携では、エネルギー分野では「REPOS」もあるということで、こことの関係や連携も整理していくという話も重要ではないか。   最後に、ホスティングキャパシティという言葉もいただきましたが、あとどのくらい再エネが流せるかといったシミュレーションのようなものも、様々なデータを組み合わせて、重畳して扱えるようなデジタルツイン上でいろいろやることでシミュレーション等もできるのではないかということで、そういう検討もあってもいいのではないかという御示唆をいただいたかと考えています。

いろいろ御示唆をいただき、ありがとうございます。

7. その他討議

【事務局】 そうしましたら、討議を一通り行ったところではありますが、全体を通してということと、今年度の始まりのところも含めて、会の終わりに当たって最後にそれぞれの委員からまた一言ずついただけると幸いです。

それでは、吉村委員からお願いします。

【吉村委員】 今日は委員からすばらしい活発な御意見が出たと思います。こういうものをぜひよくかみ砕いて理解していただいて、また次の検討会につなげていければいいのではないかと思います。私のほうでも、今日は皆様からいただいた御意見を私なりにかみ砕いて、建築家として、アーバンプランナーとして自分の分野にどう活用していくのかということを考えながらも、皆さんと一緒に、まちをつくっていく方法を考えていきたいと思っています。またよろしくお願いします。今日はありがとうございました。

【事務局】  それでは、古橋委員、お願いします。

【古橋委員】 デジタルツインというキーワードが非常に世の中に広がってきているというこの状況の中で、東京都と「PLATEAU」がまず先行しているところだと思いますので、ぜひその中で「PLATEAU」として日本全国をカバーしつつも、そこで足りない部分を東京都がどんどん突き進んでいくという形で、東京都はそういう意味でデジタルツインの先進都市であり続けてほしいと思います。もう少し具体的に言うと、「PLATEAU」ではLOD1、LOD2など、まず基本的なところから攻めていると思いますが、それにプラス、東京都はLOD3までオープン化する、LOD4までやるというような、そこの先まで見据えた戦略をどんどん打っていくべきなのではないかとは思います。私もまだきちんと確認していませんが、たしか愛知県でもデジタルツインという言葉が出てきたという話も聞いています。「デジタル田園都市国家構想基本方針」の中でもデジタルツインという言葉が国土地理院等を含めて使われてきていますので、ぜひその中で東京都としての最先端を突き進む議論が、また引き続きここでできるとよいのではないかと思いますので、よろしくお願いします。

【事務局】 それでは、木村委員、お願いします。

【木村委員】 毎回参加するたびに刺激的なディスカッションで、私自身も非常に勉強になっています。今回はエネルギーに関する議論が加わり、地図情報という観点だけではなく、さらに日常生活の様々な場面での活用についても議論が深められたので、非常に意味があると感じました。また引き続きよろしくお願いします。

【事務局】 それでは、瀬戸委員、お願いします。

【瀬戸委員】 本日もありがとうございました。私自身は2年目を迎えましたが、いよいよ具体的な実証もスタートする中で残り3回、来年2月まであるということですが、それぞれのタイミングで様々な進捗、あるいは課題に直面している点もぜひ忌憚なく都から御報告いただいて、その解決策も一緒に考えていければと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

【事務局】 それでは、岩船委員、お願いします。

【岩船委員】 本日はありがとうございました。いろいろと勉強になりました。エネルギーの話は、どちらかというと堅いところからしてしまいがちですが、この仕組みがしっかり根づくためには、とんがって、東京都が先端というポジションが非常に重要だということを、私は今回ほかの委員のお話を伺っていて思いましたので、ぜひ防災対策や地下の実証を重ねて、トップを行っていただき、その裏でエネルギーのような手堅いところも入れてもらうというのがよいのではないかと思って拝聴していました。2回目以降も楽しみにしています。よろしくお願いします。

【事務局】 それでは、宮坂副知事もいらっしゃるようでしたら、委員の御意見を踏まえて何かあればお願いします。

【宮坂副知事】 私からは、最後にディスカッションになった衛星の話が非常に印象的だったので、感想をお話ししたいと思います。吉村委員から、ウクライナ関連の東大の先生が作っているものをシェアしていただきました。ウクライナの状況は今も続いていますが、あれを見て思ったのは、ドローンや衛星といった今までになかった空からの目はすごいなというのを非常に痛感しました。東京都も今、災害対策は非常にやっていて、ドローンをまだあまり使いこなせているとは言い切れなくて、それを使えるようになりたいということでやっているわけです。手堅くやることも大事ですが、常に新しい技術に自分の頭の5%か10%ぐらいを割いておきたいというのもありました。衛星に関しても、限界もありますし、可能性についてもいろいろコメントをいただきまして、本当にありがとうございました。戦争というほどの強烈な災害と地震とを比べるのはどうかと思いますが、地震や巨大台風など幾つかの大きな災害から首都圏は逃れられない宿命ですので、今までのテクノロジーに加えてドローンや点群もまた新しい空からのテクノロジーだったと思いますが、点群や衛星といった新しいテクノロジーにも常に目を配りながらやっていきたいと思います。委員からもこういう技術は都の職員も今すぐ実用化はできませんが、油断せずに気配りしておいたほうがよいものがあれば、またいろいろと御示唆いただければと思います。

ありがとうございました。

【事務局】 本日も活発に御議論いただき、誠にありがとうございます。

それでは、以降、事務局からのお知らせ及び閉会の挨拶へと移らせていただければと思います。それでは、若井部長、お願いします。

【若井部長】 委員の皆様、ありがとうございました。

ここで事務局から関連プロジェクト等の連絡をさせていただきます。昨年度に引き続き、デジタルツイン実現プロジェクトに関する「Slackチャンネル」のお知らせです。関連プロジェクトである「東京データプラットフォーム推進会議」では、会議参加者等の情報共有と意見発信の場として、「Slackワークスペース」を開設しており、デジタルツイン実現プロジェクト用のチャンネルについても開設しています。この検討会に御参加されている皆様にも、ぜひとも情報共有や交流のために活用いただければと思います。

参加に当たってはこちらのスライドに記載しているとおり、この後、御案内します本検討会のアンケートフォーム内に必要事項を記載の上、参加申込みをしていただければ、御記入いただいたメールアドレスに、後日、事務局から招待メールをお送りします。本検討会開催後、事務局より送付するメールに添付の利用ルール・ガイドラインを御確認いただいた上で、ぜひ積極的な御参加をいただければと思います。

また、関連する取組として、「都知事杯オープンデータ・ハッカソン2022」について御案内します。この取組は、オープンデータを活用して、行政課題の解決に向けたデジタルサービスの開発を競い合うイベントです。今年度は2回目の開催となりますが、前回からプログラムをパワーアップして実施する内容となっています。参加募集期間は8月5日までとなっています。

ハッカソンに関連して、参加者を広く募集するための「ハッカソンが100倍楽しくなる募集イベント」を開催しています。7月6日水曜日には、「行政課題 都庁の人に聞いてみよう」と題して、実際に都庁で働く職員による──デジタルサービス局の職員で、私も登壇しますが、パネルディスカッションを通して、都庁における課題や、行政課題とはそもそも何なのかなどについて議論を行います。また、7月21日木曜日には、「エンジニアじゃなくてもつくれちゃう?」と題して、プログラムの経験がない方や初心者の方でもアプリやサービスが作れるようになるためのノーコードツールの使い方についてレクチャーをします。いずれも会場は本スライドのとおりとなっています。会場で参加する場合はホームページから事前申込みが必要となりますが、オンライン参加も可能となっています。詳しくは、ホームページを御覧ください。

最後に、「Tokyo Cool Home & Biz」の取組について御案内します。東京都は、中長期的にエネルギーの安定確保につなげる観点から、取組を強化・加速しています。私どもの後ろにもポスターを掲示していますが、ポイントは、電力を<減らす・創る・蓄める>で、その頭文字を取ってキーワードを「HTT」と定めています。家庭向けに「Tokyo Cool Home」、事業者向けに「Tokyo Cool Biz」として、様々なメニューを用意して展開していきます。皆様、御協力いただけますようお願いします。

以上、関連プロジェクト等の御連絡をさせていただきました。

8. 閉会

【事務局】  それでは、閉会の御挨拶として、事務局である東京都デジタルサービス局長の久我英男より挨拶を申し上げます。久我局長、お願いします。

【久我局長】  デジタルサービス局長の久我と申します。

委員の皆様におかれましては、御多忙中にもかかわらず長時間にわたりまして活発な御議論をいただきました。誠にありがとうございます。

私自身は昨年、次長としてこの局に配属されております。このデジタルツインの取組を聞いたときに、デジタルサービス局だけがこの意義を分かっていてもなかなか進まない。庁内で進めていくに当たっては各局のデータに対する理解やデジタルツインの意義をしっかり浸透させなければいけないと思っていました。そのためには実際にこのように役立つというユースケースを分かりやすく示していこうということを、事務局の職員とも話していたところでございます。

1年間たちまして何か変化があったかということですが、データに対する理解がかなり進んだのではないかと感じております。庁内の議論はもちろんですが、最近の都議会、本会議の議論や予算特別委員会の議論などの中でもデータの利活用の重要性に基づいた発言がかなり散見されるようになってきましたので、私自身は非常にうれしく思っているところでございます。本日もいろいろと野心的な御意見等もありましたが、都庁内でもそういった意見が受け入れられるような土壌ができつつあるのではないかと思った次第でございます。

都はデジタルツインの先進都市であり続けなさいということがありましたが、まさに良い意味でそういった自負を持ちつつ頑張っていきたいと思っております。引き続き、そのためにも委員の皆様におかれましては、いろいろな場面での御指導を賜れればと思っておりますので、本年度もどうぞよろしくお願いいたします。

本日はお忙しいところ、ありがとうございました。

【若井部長】 最後に、事務局からの事務連絡を申し上げます。次回の検討会は、8月から9月を予定しています。次回の論点としては、ロードマップ第2版(案)の更新事項に関する意見聴取、次年度以降の取組へ向けた論点整理等を予定しています。第2回に向けて着実に準備を進めていきます。なお、今回の検討会に係るアンケートについては、チャット上に掲載があるほか、別途、事務局よりメールにて御依頼をさせていただきます。

以上で第5回検討会を終了とさせていただきます。皆様、本日はありがとうございました。

以上