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Tombo, Inc. をスマートニュース株式会社に売却しました
Entrepreneurship

昨日ニュースリリースにて発表されましたが、この度 Tombo, Inc. をスマートニュース株式会社に売却しました。

Tombo, Inc. は2014年7月1日にサンフランシスコに設立し、その後4年以上にわたり日本とアメリカ両方にて活動を重ねてまいりました。関係各所の皆様方にご迷惑ばかりおかけしたことを深く恥じ入るばかりです。本当に申し訳ありません。未熟な我々をご支援いただきましたこと、深くお礼を申し上げます。

また売却に対しておめでとうの言葉を頂いた皆様、ありがとうございます。とても嬉しかったです。

Tombo, Inc. 活動の経緯

元々 Tombo, Inc. の目的としては、App Store や Google Play のようなアプリプラットフォームの Web 版を立ち上げることでした。4年前、どれだけ素晴らしい Web アプリを制作したとしても、それを配布する手段が口コミ以外に存在しない状況がありました。Web でもネイティブアプリのようなアプリ配布プラットフォームを作りたい、というのが起業を志した理由です。

プラットフォームにユーザーを集めるためにまずはコンテンツを充実させようと、「iOSのアプリをWebに変換するコンバーターを作る」という方向を考えました。既存のiOSアプリをそのまま流用することで最初から豊富なコンテンツを用意し、それを目玉としてユーザーを集めようと考えました。

デモはこちらにあります。昨年夏より更新を止めてしまったので、最新のChromeではwasmがエラーを起こして動きません。他のブラウザか、上のプルダウンメニューからasm.js版を選んでお試しください。プロダクトはオープンソースで公開しております。

iOSのアプリをWebに変換するコンバーターの開発には、高い技術力とAppleのAPIをひたすら移植する根気が必要でした。自分たちは技術力と根気に自信があったのと、それらが参入障壁となりキャッチアップを防げるだろうとの考えで開発に着手しました。技術的には相当高いハードルであり、それを乗り越え実現出来たことは大変誇りに思っております。

しかし、技術以外は目論見通りいきませんでした。「タダでもコンバートしない」という方々がほとんどだったためです。コンバート自体にも人的・時間的コストがかかりますし、コンバートしたあとのメンテナンスコストだってありますが、それらを回収出来るような売上が立つ見込みがなかったのが主要因でした。技術的に信頼性やユーザー体験等で問題があった点もありますが、そちらは売上の問題に比べればまだ小さな問題でした。

アメリカからの撤退

アメリカでアプリプラットフォームを作る目が無くなってしまい、仕事も日本の会社だけになってしまったため、去年の夏にアメリカ撤退を決めました。控えめに言って失意の撤退でした。

メンバーは最高の活動をしてくれました。あんなに難しいプロダクトをわずか数年で実現してくれたし、日本人としてWASSHAさんと同時に初めてStartXというスタンフォード大学のスタートアップ・コミュニティに参加出来たのも、私が「参加したい」と表明してから締め切りまで36時間しかない中で資料を完璧に用意してくれたメンバーの尽力の賜物です。何度表明しても足りませんが、メンバーの皆には本当に感謝しています。

最高のメンバーを集めた自負がありますので、うまく行かなかった主要因は私の能力不足でした。あまりにWebを信じすぎていた、英語的な意味でナイーブだったと思います。私の個人的な資質の問題で、メンバーの数年間の時間を奪い、投資してもらった方の期待を満たせず、私の理想を信じて協力して頂いた皆様にご迷惑をかけることになったことが何より辛いです。夢を語るのは大きな責任がある、と常々考えていますが、自分がTomboでその責任を果たせなかったことを申し訳なく思っています。

スマートニュースからの買収提案

ちょうど撤退を決めた直後のタイミングで、スマートニュースの浜本階生さんにSmartNewsのサンフランシスコオフィスでお会いした際、そこで買収の提案を受けました。階生さんとはそれまでも長い付き合いがあり、例えばヒラリー・クリントンとドナルド・トランプの選挙開票速報をTomboオフィスで一緒に見ていたりしました。

アメリカから撤退しようとも、投資していただいた方々に対して出来る限りの結果を出すのは起業家の当然の努めです。そのためには、ほぼ会社を売却する以外の選択肢はありませんでした。アメリカからの撤退時に会社を売却する方針は決めており、そのための活動をしなければいけないな、と考えていた矢先で、タイミング的には素晴らしいものがありました。

スマートニュースはご存知の通りニュース配信アプリで世界展開しており、個人的にアメリカでサンフランシスコの情報を入手するのに便利でずっと使っていました。ほぼスマートニュース社の創業時からずっと使っていたのと、階生さんとの付き合いが長かったこともあり、頂いたご提案にその場で前向きに回答をしました。

その後契約が進み初秋にはスマートニュース社で働くようになっていたのですが、アメリカの会社の買収ということで法務関係の調整に非常に手間取ってしまい、結局買収交渉よりも条件が決まった後の手続きの方が長くなる羽目になってしまいました。去年末にやっとすべてが終わり、晴れて昨日プレスリリースで発表させていただきました。

私の今後の取り組み

自分は2000年の頃にJavaScriptの特殊性に惚れ込み、そこから自分の理想とするWebの世界の実現に向けてずっと活動を続けています。今回Webプラットフォームを断念し精神的に疲弊しようとも、引き続きWebの可能性を追い求める方向性を変えるつもりはありません。

一昨年から去年にかけて、ネイティブアプリ内で小さなゲームなどのアプリを提供する「アプリ内アプリ」が注目を浴びつつあります。LINEのクイックゲーム、FacebookのInstant Games、WeChatのミニアプリなどが有名です。ネイティブアプリの動的な配信は規約で禁じられているため、これらの小さなアプリはJavaScript(HTML5)で作られています。

また、アプリ内アプリに限らず、ネイティブアプリ内の機能の実装をWebベースの技術で行うことも増えてきました。いわゆるWebViewの中で機能を提供することにより、ユーザーの体験を損ねることなくアップデートに頼らない配信を目指すことが出来ます。

現状、こういったアプリ内で利用される技術はまだ洗練されているとは言いづらい状況で、開発手法や関連技術などが確立されていません。ブラウザの制限だけでなくアプリの状況による制限も多く、開発の難易度も高めになる傾向があります。

この状況は、まさに私にうってつけであると感じています。制限の強い世界でチューニングを施していく状況は、今までの自分の生き様に完璧にハマります。多数の人に使ってもらえるアプリの中でそういう取り組みが出来るのは大変幸運であると感謝しています。

今後数年間は、アプリ内Webが流行っていくと考えています。LINE PayやPayPayなどのQRコード決済も、その流れを後押しするでしょう。近い将来5Gの導入などによってブラウザWebアプリの興隆があるかもしれませんが、その場合もアプリとWebとの境界は必ずホットトピックになるでしょう。Webの将来に貢献するために、今の段階から将来を見越した活動が出来ることにワクワクしております。

プレスリリースで表明したとおり、「世界で広く使われる新たなアプリの可能性を実現すべく、スマートニュース社の皆様と共に全力を尽くします。」

謝辞

繰り返しになりますが、改めて感謝を述べさせてください。

まず私を信じてついてきてくれたメンバーの皆には、心からの感謝を捧げます。誰も思いつかなかったような素晴らしいプロダクトを現実として作り上げてくれたことは、とても誇りに思っています。私の能力不足により不甲斐ない結果に終わったこと、申し訳ありません。

様々な形でご協力いただきました皆さまにも大変感謝いたします。特にセレクトボタン社とポノス社の皆さまは、私達の可能性を信じて設立直後のプロダクトが未成熟な段階から何度も何度もサポートしていただき、本当に心強く、大変感謝しております。他にも私達に協力してくださり、また色々とサポートしていただいた皆さま、ありがとうございました。売上などの貢献につなげることが出来ず、申し訳ありませんでした。

投資していただいた皆様にも感謝致します。当初の目標であったプラットフォームを達成できずにアメリカ撤退や会社売却を伝えた際も、すべての投資家の皆様が一切非難されることなく理解していただいたこと、涙が出るほど嬉しかったです。本当にありがとうございました。

妻にも感謝します。私が日本とアメリカを不規則に往復する異常なスタイルに環境を合わせてくれ、私が働く形を決して損ねることなく、かつお互いの休みが合うタイミングで積極的に外に連れ出してくれたこと、本当に嬉しかったです。いつもありがとう。

スマートニュースの皆様も、働きだして既に3ヶ月以上経っておりますが、私達のチームを暖かく迎えてくださったことをとても感謝しております。企業買収は一般的に買収後が大変なのですが、私達が最大限の価値を発揮出来る土台を準備してくださり、全く不安を感じておりません。引き続き全力で取り組みますので、どうぞよろしくお願いします。

Twitterなどでいつも絡んでくださる皆様にも感謝します。相談などに乗っていただいた皆様も、本当にありがとうございました。自分が短いアメリカ滞在で経験した色々な経験や知見を、今後色々な場で積極的に還元していきたいと思います。

私は年を重ねても間違いばかり重ねていますが、今後も可能な限りベストを尽くしていきたいと思います。どうぞ引き続きよろしくお願いします。