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8. 印刷とデジタルテキストとの違い

yamahige edited this page Oct 6, 2023 · 9 revisions

8. 印刷とデジタルテキストとの違い

冊子 vs スクロール

  • 印刷は文章を固定サイズのページに分割する。デジタルテキストは巻物を窓を通して眺める
  • デジタルではページという繰り返し単位がないので、基本版面という概念が存在しない。ただし、一つの文章を複数の巻物にすることはできる
  • デジタルでは巻物全体という単位に加え、一度にどれだけ表示されているか、という制約がある

固定 vs 可変

  • 印刷では送り手の元で出荷前に組版が固定され、全員が同一のコピーを受け取る
  • デジタルでは読み手の元で表示される瞬間に描画・表示領域の寸法が決まる。 (持っているフォントによって変わる)
  • そのサイズ可変の描画領域、表示領域の中にどのようにテキスト描画領域、図版などの領域、空間、などを配置するか
    • ウェアラブル端末や携帯の画面から大きなスクリーンまで、寸法の変わる幅が大きい。それぞれに全く違うレイアウトを考えなければならない場合もある
  • テキスト描画領域の大きさ、特に幅に従って、空間と描画されるエリアのバランス、テキスト領域の行間、行長、フォントサイズ、段組、などを動的に変化させて、読みやすさを最適化する必要があるだろう。画面の周りのベゼルの幅や色なども影響する。

(Nat:欧文と和文で違いがある。和文だと空白も制御しなければならない。木田:なぜ)

binn:変化は,次の3つのレベルで起こる.
1.データ作成の段階 表示の体裁の指定には,様々なレベルがある.細かく細部まで指定する方法もあれば,ほとんどしない方法もある.またアプリケーションによって,指定できる内容にも差異がある.(エディタのように限られた項目のみ指示できるものから,ワープロのように細分まで指定できる例,Webのように指示の方法はあっても,様々なレベルの指示が行なわれているものもある.)
2.表示の段階1 データが表示される場合,デバイス,ブラウザ,ウインドウサイズ等により,表示は異なってくる例もある.
3.表示の段階2 表示方法を読者が変更する場合がある.また,読者は様々であり,ある程度は読者が変更する処理ができることが望ましい.(ある図書館のOPACの例であるが,表示画面ではなく,文字サイズが変更可能であるが,最大サイズにすると,文字が重なってしまう箇所があるという例があった.)

アクセシビリティへの配慮が同じソースで可能

背景や文字の色、それらの動的変化など、多彩な表現が可能

UI、動的な要素がある。特にそのうち日本語独特の部分

  • テキストの選択、コピー、ペースト
    • 例えば、ルビ付きのテキストを選択した場合、どこがハイライトされるべきか。コピー、ペーストした場合、何がコピーされ、ペーストされるべきか。
  • ダブルクリック、トリプルクリックでのテキスト選択
    • 英語などでは、ダブルクリックで単語、トリプルで一行(文頭文末や改行文字同士の間)が選択される場合が多い。では日本語では?
  • リンク、ポップアップ(二つ形式がある)、参照(辞書引きのような)
    • ナビゲーションを大きく変える(後述)
  • 検索ができる
    • 検索と索引との役目の違いは? 索引は一覧ができる

(binn: 読むために選択することもある) (印刷では強調の方法に金がかかる) (コスト構造の違い) (下農:白黒前提の印刷と、カラーが前提のデジタル。費用をかけずにできる。e.g. ダークモード。白黒しか表示できないデバイスもある) (デバイスごとの制限がある。動画が表示できない。カラーが表示できない)

ページがないので、ナビゲーション要素が大きく異なる

  • ページがないので、ページ前提のナビゲーション要素、ノンブル(ページ番号)や柱(章のタイトルなど)が存在しない。その代わりに、スクロールバーでの位置表示、ヘッダー・フッターを用いる、リンク付き索引をサイドバーで同時に表示、などデジタルならではの方法が使える
  • デジタルのナビゲーション設計には様々な方法があり日々進化し、また流行りがある。なのでこれに関してJLreq-dでガイドラインを示すなどのことは不要かも
  • WCAGを参考にしてみる (田嶋:タブでページが変わる) (複数文書間の参照が簡単?) (もっと発展が望まれる? 現在値が常にわかるようになってほしい webでは同時に表示できる。可能性大きい) (小林:広い意味でのナビゲーション。読むスタイルが変わってきている) (辞書引き簡単) (田嶋:EPUBでは現状他のEPUBの特定箇所へのリンク設定ができないのでそこは将来的な課題かと思う) (木田追加:冊子形態で忘れてならないナビゲーションは、ページの小口に見える印刷。ここで大きな章立てを示している書籍がある。またここに切り書きを作るものも。これらの方法は、印刷を模倣する電子書籍で実現されていない)

欧文をベースとした組版エンジンがそこにあり、影響を受ける

  • 横組デフォルト、ラグ組デフォルト
  • 文字の整数倍の横幅ではない

結合文字

(山口: ここではないかもしれませんが)

  • 「が」と「が」は同じ文字、検索で相互にヒットすべき
  • 結合文字の途中で改行してはいけない
  • UIにカーソルがあって移動できる場合、結合文字の途中で止まってはいけない
  • 文字列を範囲選択してコピーなどできる場合、結合文字の途中まで/途中から選択できてはいけない

(小林)まずは、旧JLreq2章の目次とコメントを。

これだけで、次回のミーティングは十分以上に議論できるのではないかしらん。

JLreq「第2章 日本語組版の基本」の目次とコメント
タイトル コメント
2.1 日本語組版に使用する文字と配置の原則 共通
2.1.1 日本語組版に使用する文字 共通
2.1.2 漢字等,平仮名,片仮名 共通
2.1.3 漢字及び仮名の配置の原則
2.1.3.注2)a. アキ組 行長に関係?
2.1.3.注2)b. 均等割 行長に関係?(木田:指定範囲での左右揃えとどこが違う?)
2.1.3.注2) 詰め組
2.2 日本語文書の基本となる組体裁 ここからは、版面設計の議論
2.2.1 組体裁の設計 リフロー画面の設計
2.2.2 基本となる組体裁 リフロー画面の体裁、レスポンシブルデザインとか段組とか、縦横とか
2.2.3 基本となる組体裁の主な設計要素 リフロー画面の主な設計要素
2.2.3.a. 仕上りサイズ Windowのサイズ、タブレットとかスマートフォンは?ベゼルの色と大きさ、天地左右の余白(⇐Nat)
2.2.3.b. 縦組/横組 横組が基本。縦組の位置づけ。文藝、和風テイストなど。CSSでの縦組の扱いなども。
2.2.3.c. 版面サイズ/版面位置 2.2.3.a.と統合。別々には議論できない!
2.2.3.d. 固定判明との決定的な相違!リフロー画面におけるメタデータの扱い!
2.2.3.d. ノンブル 固定判明との決定的な相違!リフロー画面におけるドキュメントの絶対位置指定方法
2.2.4 基本版面の設計要素
2.2.4.a. 使用する文字サイズ及びフォント名 文字サイズもフォントも変更可能。ベストプラクティス?
2.2.4.b. 組方向(縦組又は横組) 横組が原則。2.2.3.b.と統合。
2.2.4.c. 段組の場合は,段数及び段間 行長との関係。デフォールト行間のベストプラクティス
2.2.4.d. 1行の行長 段組との関係
2.2.4.e.
2.2.4.f. 行間 行長、行数との関係。変更可能。ベストプラクティス?
2.2.5 基本版面と実際のページの設計例 ここは、プロのWebデザイナーの協力が必要だなあ。複数のベストプラクティス。以前見た、Natのプレゼンテーション。
2.3 組方向(縦組と横組)
2.3.1 日本語組版における組方向 リフローモデルで書き直し!
2.3.2 縦組と横組の主な相違点 特に、リフローモデルの場合。縦組は例外、という位置づけか。そもそも改ページ、改丁という概念は不要。
2.4 基本版面の設計 リフロー画面の設計。レスポンシブルデザイン。ユーザー指定要素。デフォルト値のベストプラクティス。
2.4.1 基本版面の設計手順 全面書き直し!行長の最小値、最大値、行数の最低値、最大値、画面の最小値、最大値、フォントの最小値、最大値、デフォルトの行間
2.4.2 基本版面の設計の注意点 2.4.1と統合
2.5 基本版面の設計要素の各ページに対する適用 基本版面ではなく、実描画領域みたいな概念が必要では?(上下左右のマージンとの関係)
2.5.1 基本版面からはみ出す例 全面変更。リフロー故の類似の問題点は?
2.5.2 基本版面で設定した行位置の適用 全面変更。リフロー故の類似の問題点は?
2.5.3 基本版面で設定した文字位置の適用 全面変更。リフロー故の類似の問題点は?
2.6 柱とノンブル メタデータと絶対位置アドレッシングの問題
2.6.1 柱及びノンブルの位置 画面設計におけるメタデータの位置づけ
2.6.2 柱及びノンブルの配置の原則 ペストプラクティス。画面のどの辺が見やすいか、など。
2.6.3 柱及びノンブルの配置方式 ペストプラクティス。画面のどの辺が見やすいか、など。

敏先生 7/24 バージョン

木田のコメントは(木田で始まる括弧の中。基本的にWebページを仮定しています。

2.2 日本語文書の基本となる組体裁

2.2.1 組体裁の設計

印刷:基本版面を設定し,次に紙面内の配置位置を決める(もちろん,相互に考えるが).内側を決め,次に紙面との関係で余白が決まる.
モニタ:何をどんな手順で決めるのか? また,何を決めるのか? 必ずしも印刷のように内側を決めて,余白が決まるという手順にはならない.

2.2.2 基本となる組体裁

印刷:1パターンないし数パターンを厳密に決める.
モニタ:モニタにおける“基本となる組体裁”とは何か? そもそも,そのように考えないのか? でも何かは決めないといけないが,それは何か?

(木田:ページという繰り返しの単位がないので、繰り返しの基礎となるべき「基本となる組体裁」というものは存在しない。ただし、複数の文章を統一した形式で揃えるテンプレートという考えはあって、例えば Wikpedia や Amazon ではどのページも統一したデザインになっている。すなわち、繰り返すページの基礎としての基本版面は存在しないが、複数の文章の形式を揃えるためのテンプレートは目的としてはそれに近いかもしれない)

2.2.3 基本となる組体裁の主な設計要素

仕上りサイズ:どのモニタサイズに対応しているか.その種類を決める.

  • 何も対応しない
  • モニタサイズに応じた設定を考えるか

(木田:受け手が表示領域の寸法を決めるのであって、送り出し手に選択の余地はない。が、表示領域の寸法に最適化したもしくはそれを無視したレイアウトにすることは可能。小さいデバイスで見ると横スクロールの必要なWebサイトなどはその例)

組方向:望ましい又は選択してほしい組方向.

  • デフォルトの設定(必須) 任意でもいいか,ブラウザは横がデフォルトか?
  • 望ましい組方向(任意) できれば縦で読んでね,という指示
  • 組方向の固定指示(任意) これは是非,縦で読んでね,という指示

(木田:横がデフォルト。全体や部分に対して縦や横を明示的に示すことができる。通常は指定した方向で読まれるが、スタイルシートのオーバーライドができるので、固定することはできない)

基本版面の体裁及びその仕上りサイズに対する位置:後述

柱とノンブルの体裁:なし,かわりにナビゲーションの指示

  • 内容を示すナビゲーション(任意)
  • 全体の中での位置を示すナビゲーション(任意)
  • 目次の表示と現在位置を示すナビゲーション(任意)
  • その他のナビゲーション(任意)
    ナビゲーションではないが,索引はリフローレイアウトで必要か.索引は検索に利用されるだけではなく,そのドキュメントに何が書かれているのかを,テキストを読む前に確認できる,という役割のある(目次とは,取り上げ方が異なる).

(木田:テキストがメインとなるサイトの多くでは索引がある。例えばWikipedia。このWikiでも自動的に索引が作成される)

2.2.4 基本版面の設計要素

そのそも,そのドキュメントの基本的な設定(デフォルトの設定)と考えれば,なんらかの設定は必要になる,と考えるのか? それとも,別の考え方をするのか?

  • 文字サイズ:どう設定するのか? モニタサイズに応じたデフォルトのサイズを決めるのか?
     文字サイズはモニタサイズにもよる.書籍の場合も,文庫本などサイズが小さくなれば,小さいサイズの文字サイズも選択されていた.  文字サイズは大きくあればよいということにはならない.なぜなら,ある程度の見通しも必要,つまり,ある程度の分量が画面に同時に表示されている必要がある.

    (木田:ここ、印刷とデジタルとの差ではなくて、印刷の知見をデジタルにも活かせるという意味で貴重だと思う。画面の小さいデバイスの場合に、小さめの文字サイズが適当な場合があるということ)

  • フォント:選択してほしいフォント? デフォルトの指示か?
     テキストががどう読まれるかを考慮し,特に連続して読む長文では読みやすさを考慮して選択してほしい.その意味で,長文のテキストでは,漢字と仮名の読みやすさにとって効果的な差異があるフォントが望ましい.
     読みやすさは,個人差がある.特にアクセシビリティの面からも個人差があるので,選ばれた選択肢を準備してほしい.
     読みやすさを考える場合,そのテキストがどのように読まれるかも考慮する必要がある.特に長文で,かつ,連続して,流れるように読まれる小説その他の読み物では,読みやすさに対する配慮が必要になる.短い分量であれば,印刷本の辞典等のように小さい文字でしかも行間が狭くても,読みたい人は読む努力をする.ただし,それは短時間が多いので,耐えられるということである.なお,書籍がすべて連続して読まれるわけではない.教科書のように部分部分を分けて読んでいくものと,連続して,流れるように読まれるものとは異なる.

    (木田:ここも。印刷とデジタルとの差ではなくて、デジタルにも活かせる重要な知見として貴重に思う)

  • 行間:どう設定するのか? デフォルトを設定するのか?
    行長に応じて可変の行間は設定できないか

  • 行長:どう設定するのか,不要か(モニタサイズと余白から決まる).
    使用文字サイズの倍数による設定は必要か?
    行長の最短,または最長を制限したい場合がある.

    (木田:行間行長段組に関して何らかのガイドラインなり、一般的な考え方なりを示せると良いと思う)

  • 行そろえ:デフォルトは何か?
    行頭・行末そろえか.それとも行頭そろえか?

  • 段落間のアキ:段落間を大きくする方法は,どう考えればよいか.
    短いドキュメントの場合は,それほど感じないが,長文のドキュメントでは,その区切りが大きすぎて,流れるように読む際の妨げになると感じたことがある.印刷した本であるが,岡嶋裕史著“Web3とは何か NFT、ブロックチェーン、メタバース”(光文社(光文社新書),2022.12.30)は,全てではないが,多くの段落間を1行アキにしている.読んで行く際にやや,そのアキが気になった.

    (木田:これは字下げによって段落を作る方法と空行による方法の問題でしょうか? それに関連して、どうやら日本語で言う段落と、英語で言うパラグラフは概念が異なるようです。日本語の段落は任意の単位(形式段落)であって、特に意味上の区切りではないようです。これはパラグラフとの決定的な違いです。意味上の区切りは、段落をいくつかまとめて意味段落と呼ばれるようですが、ここのページの小学校の国語問題にあるように 意味段落は形式に現れませんし、実際のところ、多くの場合に意味段落を使って文を構成するといったことは意識されていないように思えます。欧文のパラグラフは明確な一つの意味の塊です。つまり同じ日本語でも、日本風の段差げのテキストを書く・読む時と、欧文風のパラグラフで構成されたテキストを書く・読む場合で、書き手の意識や読み手の期待感が異なってくるのかもしれません。 https://www.trannet.co.jp/pre_up/new_column/2008/0911/kosei_3.html, https://shouronbun.com/paragraph.html)

  • 段組:その使用??
    画面サイズが大きくなった場合,段組が考えられるが,その段組にする単位は何か? 段落単位か,ドキュメント単位か,表示される単位か(これは演算が結構大変そう)

  • その他,文字へのカラーの適用,バックグラウンドのカラーなど

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