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furuhashilab/2021gsc_AtsukoWakamatsu

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2021gsc_AtsukoWakamatsu

2021年度ゼミ論レポジトリ 4年 若松暖子 ゼミ論用レポジトリになります。

日本全国のとんかつ店の位置情報オープン化実践に向けたタグの提案

学籍番号:1A118185
氏名:若松暖子
地球社会共生学部3年A組184番
指導教員:古橋大地教授
© Furuhashi Laboratory/Taro Aoyama, CC BY 4.0

概論

本研究では渡辺結菜さんの「日本全国のラーメン二郎店舗位置情報オープン化の実践」における研究を参考に、現在OpenStreetMap(以下OSM)上に登録されているとんかつ店の情報の整理し、OSM上における「とんかつ」の表記、そしてタグをつける際のルールの提案を行った。とんかつの食歴史、言語表記、OSM上の登録情報の観点から表記を「とんかつ」に統一すること、cuisineタグを日本食のとんかつであることを示すためcuisine=japanese;tonkatsuタグ、とんかつ店におけるamenityタグの決定法の提案を行った。

Introduction

明治時代の文明開花を通して肉食が一般化され、西洋料理が白米に合う形で適応していった。その中の一つに「cutlet」がある。cutletは国産のウスターソースと合わせることによって家庭の味として広く浸透し、カレーライス、コロッケと共にとんかつは三代洋食の一つとして称されるようになった。現在では全国に多くとんかつ店が出店している。 しかし、OSM上ではとんかつ店の位置情報の整理は行われていない。そこで、本研究ではOSMのオープンな地理空間情報プラットフォームを用いて、日本全国の2022年1月時点のとんかつ店のデータを整理、更新した。タグルールの提案によって、今後のOSM上におけるとんかつ店の編集を可能にし、自由に位置情報データにアクセスできることを試みた。

Methods

OSM上に載っているとんかつ店舗情報をスプレッドシートを使用し、まとめた。
OSM上のとんかつ店の情報を整理した。2022年2月時点における

  • OSM TagInfo内で ”とんかつ” と検索してヒットするnameタグ 54件
  • 店舗情報(Node)として既にOSM上に存在していたのが 51件
  • 既存の ”とんかつ” POIデータのamenityタグの種類について
    • amenity=fast_food として登録されていた店舗が15店舗
    • amenity=restaurant として登録されていた店舗が34店舗
    • 未記入が5店舗であった
  • cuisineの種類について
    • cuisine=japaneseとして登録されていたPOIが21店舗
    • cuisine=japanese;pork cutletとして登録されていたPOIが1店舗
    • cuisine=tonkatsuとして登録されていたPOIが5店舗
    • cuisine=regionalとして登録されていたPOIが2店舗
    • cuisine=fried_foodとして登録されていたPOIが1店舗
    • cuisine=fritureとして登録されていたPOIが2店舗
    • cuisine=friture;japaneseとして登録されていたPOIが2店舗
    • cuisine=未記入が15店舗 であった
  • OSM TagInfo内で ”豚カツ” と検索してヒットするnameタグ 2件のうち1件が”とんかつ”で検索したうちのものであった。
  • OSM TagInfo内で ”tonkatsu” と検索してヒットするnameタグ 29件
    うち16件が上記の結果に含まれていないものであった。
  • OSM TagInfo内で ”豚かつ” と検索してヒットするnameタグ 0件
  • OSM TagInfo内で ”tonkatu” と検索してヒットするnameタグ 5件
  • 建物(Node)としてではなく、道路(way)として登録されているものも存在した。
  • 韓国でcusine=tonaktsuタグが使用されていた。
  • タグが統一されておらず、68種類のタグが使用されていた。
  • 多言語表示に対応しているものとそうでないものが存在した。
  • 昨年提案したcuisine=japanese;tonkatsuを使用してくれたマッパーの方もいた。
    以上を踏まえた上で、OSMwiki上にとんかつ屋のページの更新を行った。 今後のとんかつ店をタグ付けする上での注意点を提示、タグルールの提案を行った。

蒲田でのフィールドワーク

2021食べログ100名店の中でも特に選出店(過去に選出された店も含む)が多いエリアである蒲田にてフィールドワークを行った。 双葉食堂、とんかつ檍、とんかつ丸一、燕楽など100名店選出店を中心にFWを行った。

Results

現在登録されているとんかつ店情報の整理と、登録情報の確認を行った。 昨年に続き、依然としてタグの種類が68と増加しており、具体的なタグルールの統一には至っていない。昨年作成したOSM Wikiのページは更新がなされておらず、活発な議論を行えていない。アドベントカレンダーにて反応は得られなかった。 蒲田駅周辺のフィールドワークにてお店の情報は営業時間、場所を正しく記録することが重要であると感じた。

Discussion

上記の結果を踏まえ、今後のOSM上でのとんかつ店の表記、タグルールを提案・検討したものをOSM wiki上の「とんかつ屋」ページに記載した。

①とんかつの表記はどのようにすべきか。

とんかつ、豚カツ、豚かつ、トンカツに正しい表記は存在しない。

とんかつの歴史の観点から

増子(2019)によれば、「明治 40 年初頭には、屋台料理の一つとして「ポークカツレツ」が「トンカツ」と呼ばれ定着していた. しかし、「トンカツ」という名称は家庭向けの料理書には記載が無く、おそらくスラングとされていて正式名称としては扱われず、公的な場所では使用されなかったと考えられる。 屋台料理の「トンカツ」から「とんかつ」へと何らかの要因によって表記が変化していったとされる。」とある。

言語表記の観点

国語辞典の表記によれば「豚カツ」として記載されている。これは「とんかつ」の「とん」は漢語「豚(とん)」、「かつ」は外来語「カツ(もとは英語のcutlet)」であることから、「豚カツ」という書き方が正式であると考えられているからとされる。

OSMにおけるとんかつ店の情報から

OSM TagInfo内での検索した結果

  • ”とんかつ” と検索してヒットするnameタグ 54件
  • "豚カツ” と検索してヒットするnameタグ 2件
  • ”豚かつ” と検索してヒットするnameタグ 0件
  • ”トンカツ” と検索してヒットするnameタグ 3件
  • ”tonkatsu” と検索してヒットするnameタグ 29件 であった。
  • “tonkatu”と検索してヒットするnameタグ 5件であった 私が実際に訪れたとんかつ店11店舗のうち全ての店舗ののれんが「とんかつ」と表記していた。 以上から、「とんかつ」がもっとも一般的な呼び名として利用されていると言える。

→最終発表後のアドバイスからウィキペディアとの互換性が高く、言語上正しい「豚カツ」を利用していくのが良い。

②とんかつ店のamenity=restaurant,amenity=fastfoodの検討

OSM wiki によるとそれぞれ下記のように定義されている。

amenity=restaurant

* amenity=restaurant は座席があり、ウェイターが給仕して、一式の食事を提供する、一般的にフォーマルなレストランのためのものです。(許可制の場所では)多くは酒類の販売免許を得ているもの。

  • 座席があること
  • ウェイターが給仕すること
  • 酒類の販売 * amenity=fast_food * amenity=fast_foodは早いカウンターのみのサービスと、食べ物の持ち帰りに重点を置く場所です。食べ物を食べる前に、カウンターで支払いを済ませます。使い捨ての皿やその他の素材で食べ物を提供し、プラスティックの食器で食べます。たいていは、必ずではありませんが、2~3個以上の、掃除しやすい椅子とテーブルの座席があります。
  • カウンター席のみのサービス(支払いも含む)
  • 持ち帰り可能
  • プラスティックの容器
  • 2〜3個以上の掃除しやすい椅子とテーブルの座席

酒類の販売について

松屋フーズが経営する松乃家、とんかつ和幸などのとんかつチェーンでは店舗によるもののビールなどの酒類の販売を行っている。 個人が経営するとんかつ店においてもお酒をおいているお店は多い。 よってrestaurantのタグに当てはまると言える。

持ち帰り制度と座席について

松のやなどのチェーン店では券売機での支払いを先に済ませ、店内で食べる場所と持ち帰りができるようなシステムを採用している。 一方で、チェーン店でない個人経営のとんかつ店ではカウンター席、テーブル席があり、ウェイターが給仕するamenity=restaurantのような仕様である場合が多い。 新型コロナウイルスの影響により一部店舗では持ち帰りサービスを開始しているが、多くの店は持ち帰りよりもテーブル席で食事をすることを主としているためrestaurantタグが望ましいと考えられる。 JA:Naming sampleにおけるとんかつチェーン店の位置付け JA:Naming sampleを参考にすると、amenity=restaurantの欄にとんかつチェーンである和幸が存在する。 これらを踏まえて、とんかつ店は基本的にamenity=restaurantに統一できるのではないかと考える。

③とんかつ店のcuisineタグはどのように統一すべきか。

とんかつは和食、郷土料理、フライ料理、または”とんかつ”として分類できるのかを検討した。 とんかつ店82店舗の情報のうちcuisineタグは7種類存在した。

とんかつ店におけるcuisineタグの種類

  • "japanese"として登録されていたPOIが19店舗
  • "japanese;pork cutlet"として登録されていたPOIが1店舗
  • "tonkatsu"として登録されていたPOIが9店舗
  • "regional"として登録されていたPOIが2店舗
  • "fried_food"として登録されていたPOIが1店舗
  • "friture"として登録されていたPOIが1店舗
  • "friture;japanese"として登録されていたPOIが1店舗
  • 未記入が15店舗 であった

使用されたタグの検討

OSM wiki定義によればcuisineは飲食が可能な場所で提供される、料理の種類を記述したものである。 使用されたタグをそれぞれ検討してみる。

  • cuisine= japanese  和食
  • cuisine=regional 郷土料理、正確な説明がない場合に使用
  • cuisine=fried_food 油で挙げられた食べ物たいていは持ち帰り用
  • cuisine=friture オランダやベルギーのチップ店
  • cuisine=tonkatsu は値としての定義は存在しなかった。

とんかつはjapaneseの中の一つであるtonkatsuとして定義することができる。 韓国では日本と同じスタイルのとんかつ店が存在し、韓国語の表記では「돈까스」(ton-kka-ssŭ)となる。 TagInfo内で ”돈까스” と検索してヒットするnameタグ 3件存在した。 これは明治維新時に「cutlet」として輸入されたものが、当時日本統治下であった韓国に流れ、洋食としての「cutlet」に似た「とんかつ」であるため、日本のとんかつとは似て非なるものであると捉えることができる。 和食としてのとんかつを考慮し、cuisineタグは「japanese;tonkatsu」 を提案する。

④韓国での「cuisine= tonkatsu」表記の使用について

Taginfo内でcuisine=tonkatsuを検索したところ韓国のとんかつ屋さんがヒットした →OSM Wikiとんかつ屋ページから韓国のとんかつは日本のものと似て非なるものとして捉えるため、cuisine=japanese;tonkatsuのタグの推奨ができると言える

⑤豚カツが有名なカレー屋さんの場合、カレーが有名なとんかつ屋さんの場合

こちらのお店のようにとんかつ屋さんでありながらも、カレーを提供しているようなカツカレーのお店の定義をどのようにするのかが難しい。 カツカレー店を定義するOSM Wikiのページは存在しなかった。 OSMwikiの定義では主にカレーを提供する場所とあり、cuisine=curry;tonkatsuまたはtonkatsu;curryなど新しいタグが必要になる可能性がある。

cuisine=curry A place that mainly sells curry. Note that there are several different styles of curries, not only Indian style.

⑥豚カツ店に必要なタグについて

今回蒲田駅周辺でのフィールドワークを通して

  • 店舗名称
  • 日本語表記(読み方が難解なお店も多い)
  • 英語表記
  • amenity=restaurant
  • cuisine=japanese;tonkatsu
  • 住所の入力
  • takeaway の有無 コロナ禍で重要な情報
  • opening_hoursの表記 
  • source=survey  きちんとした実地調査が重要  これらが必要な情報になるのではないかと強く感じた。 個人的にな願いとしては豚カツ店の情報を収集する手段としてOSMをもっと自由に使ってほしいと考える。食べログや個人ブログなどを通して情報が更新されるような仕組みを作るためには何が出来るかを考えたい。

Conculsion

本研究を通してOSM上にある既存のとんかつ店の情報未整備の現状を明らかにし、新たなタグルールの提案を行った。そして今後とんかつ店をOSM上で編集していく上でOSMwikiページを作成した。 課題として、現地調査を元にしたとんかつ店における必要情報は何かを明らかにし、タギングルールの統一、また正式にcusineタグ「japanese;tonkatsu」の承認に向けた取り組みが挙げられる。 今後、とんかつ店だけでなく、日本の和食文化を広めるための一助としてのOSMが利用され、OPENなPOIデータ(店舗情報)の集約をどのようにして行っていくかを考えるために本研究が使われることを期待したい。

参考文献

参考文献リスト

  • 渡辺結南 日本全国のラーメン二郎店舗位置情報オープン化の実践
  • 増子保志 「とんかつと受容に関するー考察」

謝辞

本研究を進めるにあたり地球社会共生学部の古橋大地教授をはじめ多くの方々より多大な助言を賜りました。厚く感謝を申し上げます。

進捗管理用プロジェクト

https://github.com/furuhashilab/sotsuron2021/projects/19

発表用プロジェクト

https://docs.google.com/presentation/d/16QcfqCv0NNLz5-kcpyBVigGLtuau2PAnGmEnB_DYIPc/edit?usp=sharing

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2021年度ゼミ論レポジトリ

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