印刷ページ設定ダイアログのフォントが巨大化する問題を修正

[suconbu]

PR の目的

本 PR では #1678 の「再現手順」の操作をした時に起きる以下の問題点を解消します。

1. 印刷ページ設定ダイアログのフォントが巨大化する (印刷ページ設定ダイアログのフォントが巨大化してしまう #1678 で指摘されている現象)
2. ヘッダー/フッター設定のフォント名の描画に、選択されたフォントが適用されていない
3. ヘッダー/フッター設定のフォント名のサイズが大きすぎる (「1」により表面化していない)

カテゴリ

• 不具合修正

PR の背景

目的に記載の通りです。

PR のメリット

不具合が解消されます。

PR のデメリット (トレードオフとかあれば)

特にありません。

仕様・動作説明

1. 印刷ページ設定ダイアログのフォントが巨大化する

CDialog::OnInitDialog における CDialog::m_hFontDialog の設定タイミングに問題があります。
SetData の先 (CDlgPrintSetting::SetFontName) で参照がされる可能性があったにも関わらず、現状はそれよりも後に初期化がされています。

sakura/sakura_core/dlg/CDialog.cpp

Lines 182 to 197 in 81f08b1

	BOOL CDialog::OnInitDialog( HWND hwndDlg, WPARAM wParam, LPARAM lParam )
	{
	m_hWnd = hwndDlg;
	// Modified by KEITA for WIN64 2003.9.6
	::SetWindowLongPtr( m_hWnd, DWLP_USER, lParam );
	/* ダイアログデータの設定 */
	SetData();
	SetDialogPosSize();
	m_hFontDialog = UpdateDialogFont( hwndDlg );
	m_bInited = TRUE;
	return TRUE;
	}

対策内容：

• CDialog::m_hFontDialog の初期化タイミングを CDialog::SetData よりも前に移動します。

2. ヘッダー/フッター設定のフォント名の描画に、選択されたフォントが適用されていない

CDialog::OnInitDialog における UpdateDialogFont の呼び出しタイミングに問題があります。
SetData の先 (CDlgPrintSetting::SetFontName) で STATIC コントロールに対して専用のフォントが設定される場合があるにも関わらず、その後、UpdateDialogFont -> SetFontRecursive が呼び出されることで、システムフォント相当のフォントで上書き設定されてしまっています。

対策内容：

• UpdateDialogFont の呼び出しタイミングを CDialog::SetData よりも前に移動します。

3. ヘッダー/フッターのフォント名のサイズが大きすぎる

CDlgPrintSetting::OnInitDialog における CDlgPrintSetting::m_nFontHeight の設定タイミングに問題があります。
そのため CDlgPrintSetting::SetFontName (CDialog::OnInitDialog を経由して呼ばれる) におけるフォントハンドル作成時の高さ (LOGFONT::lfHeight) に 0 が指定されてしまいます。

sakura/sakura_core/dlg/CDlgPrintSetting.cpp

Lines 163 to 168 in 81f08b1

	BOOL bRet = CDialog::OnInitDialog( GetHwnd(), wParam, lParam );
	// ダイアログフォントの寸法を得ておく
	LOGFONT lf;
	::GetObject(GetDialogFont(), sizeof(LOGFONT), &lf);
	m_nFontHeight = lf.lfHeight; // フォントサイズ

sakura/sakura_core/dlg/CDlgPrintSetting.cpp

Lines 910 to 915 in 81f08b1

	lft.lfHeight = m_nFontHeight; // フォントサイズをダイアログに合せる
	HFONT hFontOld = (HFONT)::SendMessage(GetItemHwnd( idTxt ), WM_GETFONT, 0, 0 );
	// 論理フォントを作成
	HFONT hFont = ::CreateFontIndirect( &lft );

対策内容：

• CDlgPrintSetting::SetFontName でのフォント作成時に指定するサイズを、CDialog::GetDialogFont から得たフォントハンドルを元に取得するようにします。
• それにより不要となる CDlgPrintSetting::m_nFontHeight を廃止します。(使用されていた場所は CDlgPrintSetting::SetFontName のみ)

PR の影響範囲

印刷ページ設定ダイアログの見た目に影響があります。

CDialog::m_hFontDialog の初期化タイミングが変化したことで、CDialog クラスを継承しているダイアログボックスのうち、CDialog::GetDialogFont() を呼び出しているものについて動作が変わる可能性がありますが、それに該当するクラスは CDlgPrintSetting のみでした。

テスト内容

※見た目の判断が必要なため手作業による確認を行います。

効果確認

• 印刷ページ設定ダイアログのフォントが巨大化してしまう #1678 の「再現手順」通りの操作をした時に不具合が発生しないこと。
• 下図赤枠部の STATIC コントロールが、選択したフォント通りの書体かつダイアログフォントと同じサイズで表示されること。
  

弊害確認

• 印刷ページ設定ダイアログ上のコントロールのサイズ/位置が変更前後で変化しないこと。(不具合発生しない手順で表示させた場合において)

関連 issue, PR

#1678
#1421

参考資料

[sonarcloud]

Kudos, SonarCloud Quality Gate passed!

0 Bugs
0 Vulnerabilities
0 Security Hotspots
0 Code Smells

14.3% Coverage
0.0% Duplication

[AppVeyorBot]

✅ Build sakura 1.0.3798 completed (commit b4b5c25606 by @suconbu)

[berryzplus]

この行もSetData()の前に移動した方が良さそうです。
👆ダイアログの表示位置を調整する処理なので、描画を行う前のほうが良いはずです。

PR趣旨とは関係なさそうなのでスルーでいいです。

[berryzplus]

ここは -abs(lfDialogFont.lfHeight) とかにしなくていいんでしたっけ？（自信ない

lfHeightに負数を指定すると対象フォントに指定サイズがなくても近似するサイズを選択してくれる、という仕様があった気がします（正数だと該当サイズがなければ失敗だったような。

自信ないのでコメントのみです。

[suconbu]

ここは #1421 反映前のこの箇所と同じやり方としました。

sakura/sakura_core/dlg/CDlgPrintSetting.cpp

Lines 159 to 162 in cb41fc4

	m_hFontDlg = (HFONT)::SendMessage( GetHwnd(), WM_GETFONT, 0, 0 ); // ダイアログのフォント
	LOGFONT lf;
	::GetObject(m_hFontDlg, sizeof(LOGFONT), &lf);
	m_nFontHeight = lf.lfHeight; // フォントサイズ

なお、
https://docs.microsoft.com/en-us/windows/win32/api/wingdi/ns-wingdi-logfonta
こちらによると正/負どちらも近似サイズを選択するというのは共通していますが、

• 正数の場合は「(character) cell height」 ("Â" 等の "^" が置かれる部分を含んだ高さ)
• 負数の場合は「character height」("Â" 等の "^" の部分は除いた高さ)

ということでした。
正負が逆になると寸法が変わることを意味しますので、今回のケースではありのまま代入するのが正解のようです。

[suconbu]

レビューありがとうございます。
動作確認で問題出なければこのままマージしてしまおうと思います。

[suconbu]

無事動作確認が完了しましたのでマージします。