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G2 ???? 神話

Mirrgie Riana edited this page Oct 14, 2020 · 1 revision

恒星系の衝突以前

彼らの世界は地球をよりハイテクにしたみたいな世界だった。 彼らはそこを地球と呼んでいた。 物質転送技術、空間圧縮技術に長けていた。 SCPみたいな超自然的なものは無かった。

宇宙から飛来する物体を調査しているとき、物凄い速度で恒星系が接近していることが分かった。 地球に直接惑星が激突するわけではないが、天変地異が予測された。 太陽との距離がちょっとずれるだけで人類は住めなくなる。

人類は太陽系を捨てる以外に選択肢が無かった。 それから200年ほどかけて、地球の岩石を宇宙に打ち出す機械を作った。 岩石の中には圧縮した空間の中に人間を数百人格納した。 まだ地球の代わりとなる惑星は見つかっていない。 それでも、地球が住めなくなる前に宇宙のあちこちに向けて隕石を射出した。 全人類を数百人のグループに分ければ1億個程度の隕石を飛ばせる。 それだけ数があれば1個くらいは人間が生き延びられる天体が見つかるかもしれない。

恒星系の衝突

地球人口の1割程度は宇宙に向けてゆっくりと射出された。 恒星系が接近してもなんともない可能性もあり、地球脱出に力を入れすぎるのはためらわれた。 宇宙への逃亡を拒んだ人間はそのまま地球に残った。

夜空にひときわ明るい星が生まれた。 星は月日が経つにつれて次第に輝きを増していった。 あるときは太陽の反対側に見え、月よりも明るく光っていた。 その星は日ごとに角度を変え、徐々に輝きを弱めていった。

それから数年して、地球の軌道に木星が急接近した。 木星は月と同じくらい大きく見え、太陽のサイクルは不規則になった。 太陽の見かけの大きさは倍になり、地表は熱く熱せられた。 人間はもはや外に出ることが不可能になった。 昼が2日間続き、海が沸騰して森林が自然発火した。 地球の反対側では暴風が吹き荒れて雪が厚く降り積もり、人間は窒息した。 それが終わると太陽は元の大きさに戻り、今度は元の半分程度の大きさになった。 海はすべて凍り、昼でも曇ったように薄暗かった。

太陽系からの離脱

もはや太陽系に人間が住める土地は残っていない。 地球の軌道は乱され、海が沸騰と凍結を繰り返した。 隕石の中で地球からの映像を受信していた人々は、ゆっくりと宇宙に散らばった。

隕石には加減速のためのエンジンと、軌道を少しだけ修正するためのガスの噴射口がある。 人間はすべて隕石の中心に1メートルだけ存在する箱の中に圧縮して収まっている。 1メートルの箱の中は尞のような施設になっており、居住空間と最低限の設備が備わっている。 制御ルームでは隕石の表面に取り付けられた目から見える映像を見ることができる。 隕石は近隣の隕石と通信し、周囲の情報を共有することができる。 先鋒が居住可能な惑星を見つけると、軌道修正をしてその惑星に衝突することができる。 隕石は惑星に侵入することはできるが、二度と脱出することはできない。 どの惑星に降り立つかという選択は後戻りが出来ないものとなる。 そして、判断が遅れればその惑星に接触することは叶わなくなる。

ミラジアの発見

ある隕石は、進行方向にある恒星系に非常に地球に似通った姿の惑星を発見した。 地球のように海があり、地球のように雲に覆われて、地球のように緑のものが表面を覆っていた。 先鋒の調査によると、その大気は非常に安定しており、人間が住めるとのことだった。 その情報はすぐさま近隣の隕石と共有され、ミラジアに多くの隕石が降り注いだ。

隕石には最低限の食料と機械が積まれていたが、永久にコロニーを維持することはできない。 降り立った惑星で資源を集め、農業を行わなければならない。 工作機械もいずれは劣化し使えなくなるが、そのときが来るまでに代わりの生活を構築しなければならない。 人類の生み出したハイテク機器を製造するための設備を各隕石の中に搭載できるほどの資源力は人類には無かった。

ミラジアには生物が居た。 どれもなぜか見覚えがある姿をしていた。 哺乳類のような生物、鳥のような生物、死んだ人間のような生物。 人型の生物は生命力の感じられない敵対的なものと、生命力が感じられる友好的なものに別れていた。 隕石の周囲は、夜行性の危険な生物でいっぱいだった。 人型の生物は見かけに違わずそれなりに知的である。 多くの隕石は人型の生物の襲撃によって崩壊した。

ミラージュ妖精

ミラジアは人類が出会ったことのない生物や現象で満ち溢れていた。 その中でも最も特徴的で、人類に対して友好的で、有益なのはミラージュ妖精と呼ばれる生物である。 ミラージュ妖精はミラージュの花のそばで見つかることの多い妖精である。 ミラージュの花はミラジアの森林地帯にまれに咲いており、ガラスのような質感の葉を持っている。 よく開花した状態で見つかり、花の中央には薄水色の花粉とクリスタルが咲いている。 そして、クリスタルを摘んで持っていると、それを物欲しそうに見つめる小さな生物に出会うことがある。 それは人間の少女を小さくしたような姿で、背中には蝶のような、葉のような翅が生えている。 見た目から、その生物のことを人類は妖精と呼んだ。

妖精にミラージュの花から採った結晶を渡すと友好的になることが知られている。 妖精は、妖精らしく超自然的な異常現象を引き起こす。 それは魔法と呼ぶにはあまりにも未熟なものだったが、人類はそれに頼るほかなかった。 人類の編み出した技術はすべて隕石の中にコピーされたが、それを理解できる人間はいなかった。 そして、多くの発明はミラジアでは役に立たないものだった。 人類は動くかもわからない発明を作り直すより、妖精の魔法を使った新たな技術を研究する方が簡単であった。

人類は近場に存在する隕石同士をワープ装置で繋ぎ、長距離移動手段を確保した。 ミラジアの何処かで妖精を研究する妖精研究所が立ち上がった。 まだワープ装置はミラジアの全域をカバーできていないが、妖精研究の成果は電波通信で惑星全体に共有された。 宇宙人類の未来は妖精に託されたのだ。