LTは5分という短い時間でテーマに沿った内容を伝える必要があり、慣れていない人には難しい印象が強いです。しかし、以下のたった2つのシンプルな考え方を適用するだけで、初心者でもLTを成功させやすくなり、周りの人に「良い発表だったよ!」と言われるようなLTが発表出来るようになります。今回はその考え方について紹介したいと思います。
まず、LTを因数分解して考えると、「内容」と「伝え方」の掛け算になります。一方で、私の経験上、内容は素晴らしいのに伝え方が下手な発表をよく見かけます。特にLTの場合、5分と短い時間で聴講者にインパクトを与える必要があるので、内容よりも伝え方が重要になってきます。そのため、今回は伝え方にフォーカスしたコツをお伝えします。
相手に強い印象を与える上で最も大事なのは、自信を持って熱意のある発表をすることです。こう聞くと月並みな話じゃないかと思われるかもしれませんが、逆に言うとこれが出来ていない人は本当に多いです。では、なぜ出来ていないのでしょうか。
1つ目は、不確定要素の多さから来る自信の欠如です。具体的には、経験の不足、発表内容の理解不足、発表の練習不足などです。何回も登壇している人より初めて登壇する人のほうが場面を知らないため緊張しますし、内容をあまり理解していないものを自信を持って話すのは難しいです。例えば、就職活動において最初に自己分析を行うのも、自分の目標とする企業を選ぶとともに、面接において自己という商品を自信をもってアピールするためでもあります。このように、自信を持つためには、不確定要素を最小化する準備が必要となります。
2つ目は、意思の不足です。一方的に投げかけるのではなく、相手に変わってほしい、伝えたいという意思が無ければ、聞き入れてもらうことは難しいです。例えば、予備校の人気講師や熱意のある政治家などは、話し方に力強さがあり、その人の意志を感じられます。他にも良き例として、キング牧師の「I have a dream.」という演説があります。この演説は英語でありながら、その力強さを感じられることが出来ます。また、意思の強さが自信の現れにつながるだけでなく、場の緊張感を与えることにもなるので、聴講者に集中して聞いてもらいやすくなります。
当たり前ではありますが、同じLTでも分かりやすいLTの方がよく聞いてもらえます。分かりやすく伝えるために重要なのは、相手の2段階下のレベルから話すということです。例えば、英文を読む上で、自分がギリギリ読めるレベル、まあまあ読めるレベル、サクサク読めるレベルの3段階あると考えるとき、LTではサクサク読めるレベルを目指してほしいのです。
理由は簡単で、聞く人にとってはそれが未知の情報である上に、5分という短い時間で理解しなければならないため、本人のレベルと同じでは理解に時間がかかってつまずいてしまうからです。特に、不特定多数を対象としたエンジニアのイベントにおいては、聴講者のレベルも様々なため、下のレベルから伝えることを意識する必要があります。
また、よく陥りやすいケースとして、自分は簡単だと思っているつもりでも聴講者にとっては難しく感じられるときがあります。これは発表者側のバイアスが原因で、例えばゲームクリエイターがゲームの難易度を調節する際、自分がクリア出来る難易度よりも何段階か下げたものが、プレイヤーにとって丁度いい難易度となるのと同じ理論です。これを防ぐためには、やはり自身が想定しているよりも下の難易度から伝えることが重要になります。
伝え方の2つのコツについて紹介しました。この2つのポイントを意識することによって、より良いLTを発表することが出来るでしょう。