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給料はあなたの価値なのか #19

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azu opened this issue Feb 16, 2022 · 7 comments
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給料はあなたの価値なのか #19

azu opened this issue Feb 16, 2022 · 7 comments
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@azu
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azu commented Feb 16, 2022

給料はあなたの価値なのか――賃金と経済にまつわる神話を解く | ジェイク・ローゼンフェルド, 川添節子 | ビジネス・経済 | Kindleストア | Amazon

あなたの給料はなぜその額なのか?──『給料はあなたの価値なのか――賃金と経済にまつわる神話を解く』 - 基本読書がきっかけで読んだ。

給料の決定に関わる4要素

  • 権力(power)
  • 慣性(inertia)
  • 模倣(mimicry)
  • 公平性(equity)

この4要素が賃金の決定に関わる要素であるというのがこの本のポイントで面白いところだった。
1, 2章はこの辺のポイントが中心の話だったのでかなり面白かった。

何が給料に影響しているかというアンケートもとっていて(決める側、受ける側)、その回答とも比較していて面白い。

権力は、そのままでCEOの給料水準が高いとか、競業避止契約を後出ししてくるとか、免許保持者しか参加できない職業とかがこの権力の例。4つの中でこれが一番影響力が高い。

雇用主は交渉が終わってから、競業避止条項を持ち出すことが多いからだ。マークスによる電気技師の調査では、署名した人のうち、仕事のオファーといっしょに競業避止条項を提示された人は3分の1しかいなかった。半数近くの人は仕事をはじめるまで知らなかったという。ある人の経験が典型だろう。「事前に説明は一切なかった。出社初日に目の前に書類が並べられた。健康保険、401(k)、そして競業避止契約。署名して仕事をはじめるか、署名せずに去るかしかなかった」  それはあなたに対する権力である

権力の例だとこの話が特に良かった

この権力によってある程度給料が決まってくると、そういうものだという慣性が働き出して、給料は固定化される傾向があるという話だった。(交渉での振れ幅が小さくなる)

また、有名な組織がそういう賃金体系だからという感じで他の組織がこれを模倣して、業界全体で給料が固定されてくる。
これは、企業が別の企業の賃金調査をしてそれをまねる感じ。
アメリカだと50%が、前職の賃金を聞いてそれを新しい職場の初任給の交渉材料とされたというデータもあったりして、これも模倣の一種。(法的に禁止している州もある)
この模倣は、前職での格差も模倣してしまうので、差別による給料の格差を固定化してしまうことがあるというのがなるほどと思った視点だった。
この模倣は、他社がそうやっているからという感じで正当化に使いやすいので色々なときに起きているのだろうという話。

公平性という話が色々面白くて、人間の感情的なもの。
一つ例として面白かったのは、給料を下げるということは不公平感だと感じるため現実ではあまり起きないという話。
本当に需要と供給によって給料が決まっているなら、給料が上がることがあれば、給料が下がることもあるという理論モデルが実際に起きる可能性がかなり少ない傾向があるという話が結構面白い。
需要が少なくなったサービスにおける賃金は下がるはずだけど、実際には下がらないで維持される。
これは、実際に下げてしまうと給料を受け取る側は奪われたという不公平感を感じるため、士気が下がったり敵を作ってしまうから、経営者は下げることを避ける傾向があるという話。

賃金は、需要と供給から決まるというのは理論的な話に留まっていて、実際には賃金の低下は硬直性におきにくくなっている。そのため、需要と供給の理論とは異なる動きになっているという話 面白いなーこれ。
これの背景には人間の感情的な要素が関わってくるのか https://a.co/38bGM1G
-- https://twitter.com/azu_re/status/1493598502206722056

あと同じく公平性の話で同じ仕事をしてるのに、地域によって物価が異なるので、地域によって給料に物価を反映させるとこれを不公平と思う人もいるという話もちょっとなるほどと思った。
Location factorを給料に使ってる会社としてはGitLabが有名。(以前はLocation factor公開してたので、これを模倣してた会社もあったのが、模倣が要素ということを強調してる感じはした)

DHHがLocation factorは適正なのかという似たような話をしていた。こういうのを見てたので公平性が給料の要素に関わっていると言われてなるほどー思った。

権力(power)、慣性(inertia)、模倣(mimicry)、公平性(equity)の要素は、給料を固定化する方向じゃなくて、上げる方向に関わってる。
たとえば、同じ業界で他の会社がこれぐらい出しているという情報を理由で給料交渉したりするのも慣性/公平性あたりからきている感じがする。

一方で、これは情報を知っていることで行動に移せるという前提があって、情報を知らないと多くの人が行動に移せない(その給料が妥当なのかどうかは判断できないから。給料について話をするのを禁止することを禁止する法律の話も面白い)

情報が公開されていれば、それを使って交渉が働くようになる。(慣性が上昇の方に働く)
給料に関する情報が公開されると、同じ仕事をしていて低めに設定されている人はそれを不公平だと思って辞める可能性があったり、透明性の高い企業は同じ利益水準でも平均給料が高い傾向があるので企業にとっては負担があったりはするけど、給料についての透明性を上げると給料の格差(ジェンダーや色々な問題による格差)が減るという話は結構興味深かった。

日本でこういう給料の透明性について動いてる組織/団体/業界ってあるのかなーというのが気になった(募集)

とかも似たような背景があるのかなーと考えてた。

公平性はやっぱり感情的な話になるので、一つの答えはない気がする。
ただ、透明性を上げると歪なものは形を保ちにくくなる圧力になるんだなーと思った(何が歪なのは主観的なものだとして)。

この辺の話が1,2,3章ぐらいで面白い本だった。
他にも大学卒業と給料の関係性の話とか株価の最大化と格差の問題とか色々あって面白い。
本の後半はちょっとアメリカ特有の話題が多くなっていて、少し読みにくい感じがした。
ただ前半はかなり面白い書籍。

@azu
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azu commented Feb 16, 2022

これ面白いのであとでレビュー書こう。
このへんの透明性に関してやっているNPOとかあるのかな?

@azu
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azu commented Feb 16, 2022

給与の決定に係る要素として、
権力(power)、慣性(inertia)、模倣(mimicry)、公平性(equity)
があり、情報の非公開は権力の一種となっている。

@azu
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azu commented Feb 17, 2022

大学プレミアムについて

「教育と技能への大規模な回帰は、長期的な格差拡大の唯一にして最大の対応策と思われる」と述べ、格差を是正するために、「教育と訓練に国をあげて投資する政策」を支持するとした

これの前提には大がくを卒業した人の方が賃金が高いことが理由としてあった。
けど、この大学プレミアムは時代や職種によって異なってくる。
また、企業側がなぜ大学を求めるかというとそれがただのフィルタリングとして使いやすいからなのではないかという点(その人自体の能力ではなく)で使われるからなのではという話があった。

@azu
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azu commented Feb 17, 2022

権力(power)、慣性(inertia)、模倣(mimicry)、公平性(equity)
が賃金の決定に関わる要素であるというのがこの本のポイントだと思うので、
このポイントを軸にもうちょっと書かれてるといい気がしたなー
1, 2章はこの辺のポイントが中心だったので面白いと思ったのかもしれない。

@azu
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azu commented Feb 17, 2022

最低賃金を上げると株価が下がるという事例があり、株価の最大化が現在のアメリカの企業の優先度として高くなってると。
ここのバランスの修正が必要なるだろうという話があった。

経営者たちは自分のキャリアを棒に振りたくないため、まわりに倣い、今の金融資本主義の要請に従って行動する。つまり、「非金融部門より金融部門、設備投資より金融投資、労働者や一般人より株主と経営者を優先する」ことになる(61)。株主資本主義モデルの隆盛は、アメリカで金融がほかの産業を制したことを示すものの一つだ。人々がアメリカ経済の金融化について語るとき、それはGDPに占める金融業界の割合の大きさについてだけではなく、金融以外の会社──アメリカン航空からサラ・リー、ウォルマートまで──が「商品の市場ではなく、金融に反応し、規律されるようになってきている」ことを語っている(62)。

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