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2021gsc_TatsumiBaba

2021年度古橋卒論用レポジトリ 馬場 巽

2021年度 馬場巽ゼミ論用レポジトリ

青山学院大学 地球社会共生学部 地球社会共生学科

馬場 巽/TATSUMI BABA

学生番号 1A118124

指導教員 古橋 大地 教授

© Furuhashi Laboratory/Tatsumi Baba, CC BY 4.0

中間発表:

【2021年度ゼミ論】タイトル: 「デジタルファブリケーションを用いた地理空間情報表現手法の検討 〜レーザー加工機を例に〜」

概要:

 古橋研究室では、"空間情報"を大きなテーマに各ゼミ内サークルが様々な観点からアプローチをかけ活動している。 そんな中今回私が卒業論文として行なったのは、レーザー加工機を例としたデジタルファブリケーションを用いた地理空間情報の表現方法を検討するというものである。レーザー加工機を組み立てるところから実際に使用していき、今後の空間情報にどれだけ価値を生み出すことが出来るのかを実施を踏まえて考えていこうということだ。

 これを行うにあたり、まず研究室にある”FABOOL Laser CO2”というレーザー加工機の組立から始めた。そしてその後に地理空間情報と掛け合わせた制作物のアイデアを様々な観点から既に行われているものを調査し参考にさせて頂きながら模索し、実際に制作していった。最終的に制作したのは、「栞」だ。 「地理空間情報を日常生活にさりげなく、」をサブテーマに、"読書"というアナログなものにデジタルファブリケーションを組み込んだ。このような遊び心を持ったものを制作し、共有することでより多くの方々に地理空間情報とデジタルファブリケーションの両方に興味を持ってもらい、新たな価値を生み出せると考えた。

Introduction:

 ものづくりによる”モノに価値を生む”一つの方法として、デジタルファブリケーションがある。ものづくりはその名の通り、”ものをつくる”事から一見0からモノを増やし少しずつ形にしていくと思われがちだが、実はそれだけでなく減らしていくことでものづくりをすることも多々ある。今回扱うレーザー加工も切断や刻印で質量を減少させていき、形にしていく。このデジタルファブリケーションは、デジタルからアナログへと変換させる作業である。近年、ビジネスや教育、ゲーム等様々な場面で”デジタル”が人々の生活に少しずつ浸透し始めている。そして現在では新型コロナウイルスのワクチン接種証明書もアプリを通して取得可能だ。しかし、その中でもアナログの需要や価値は無くなることはない。無くなるどころか際立ってくるのではと感じているのだ。また、空間情報は”デジタル”技術の発達と普及により、実際には身近にも関わらずそれを実感出来ていないということも同時に感じている。この事から私は、空間情報をデジタルファブリケーションによりエンタメ性を取り入れながら再度アナログ化し、地理空間情報を新たなアプローチで表現したいと考えたのだ。そしてその結果として、多くの方々にその認知を上げ興味を持ってもらうことを目的としている。

Method:

 まず最初に行なったのは、研究室にある「FABOOL Laser CO2」というレーザー加工機の組み立てだ。単独での組立作業であった為に非常に時間と労力が掛かった。製品の公式サイトにある組立マニュアルを見ながら地道に一人で作業したのだが、それでも僅かな部品の違いを見誤ってしまい、そのまま作業を進め、後に修正しないといけなくなってしまう事が幾度となく起こる。その度に修正を行い、大変根気のいる作業であった。

(FABOOL LaserCO2の組立作業一部分動画)

video-1643855418.mp4

(FABOOL LaserCO2のレーザー照準合わせタイムラプス動画)

A35FF805-2E4C-4149-9867-75BDDCFDDF62.MP4

また、組立作業終盤に配線コードが2本断線してしまい再度発注するなどのトラブルも発生し、予定していた期間よりも大幅に長く組立に時間を要した。組立終了後、レーザー加工機を使い何を制作するか既存の例を調査・参考にしながら考えた。

断線画像01

断線画像02

その結果、市町レベルで分け、パズル的に全て組み合わせることで一つの県になる木製のキーホルダーをバルサ材で作成し、それを古橋研究室にあるガチャポンに組み合わせ、エンタメ性を高めたものにしようと計画した。しかし、実際にデータを作成し、レーザー加工した際に加工素材やサイズ、パラメータ設定等の関係で初めてレーザー加工機を扱う者としては総合的にハードルが高いものであると感じた。バルサ材は、製品の公式サイトで加工例とパラメータ設定が細かく記載されていたり、専用ソフト内でもバルサ材用の設定が初めから登録されていた為、加工しやすいのだと考えていたのだが、記載されている通りの結果にはなかなかならず、焦げ等も激しく現れた。そこで思い切って制作物をガラッと変更してみることにしたのだ。

バルサ材加工画像

新たに製作しようと考えたのは、木材に近く比較的加工しやすいMDF板で、広告としても価値がありデザインにも視線がいく"栞"である。今回は、ホームセンターで2.5mmの厚さのMDF板を購入し、まず栞の形をレーザーで切断し成形した後、青山学院大学の所在地である「東京都渋谷区の渋谷駅から原宿にかけて」 、「神奈川県相模原市中央区の淵野辺駅から青山学院大学にかけて」の2種類に絞った地理空間情報データを栞に刻印していった。裏には、それぞれの区の紋章と区名が刻印されるようにした。データ作成に関しては、最初"まち歩きマップメーカー"を使用した。そして、上記地域にフォーカスし、レイヤーの色変更、不必要なレイヤーの削除を行い、svg形式でダウンロードした後にillustratorにエクスポート。予めIllustratorで栞のデータを作成していたところに地図データを落とし込み、マスキングしたものを更にレーザー加工機専用ソフトにエクスポートした。しかし、実際にエクスポートしてみた結果、マスキングして排除したはずの部分も全て表示されてしまい、失敗となってしまったのだ。これにより、別案として"Maputnik"を使用し、同じくレイヤーのカスタマイズをした後に表示されているところを部分的にスクリーンショットすることにした。そして、それをIllustratorで[画像トレース]し、[パスファインダー]の[前面オブジェクトで切り抜き]で栞のデザインに成形したことで問題は解消することが出来た。

マップメーカー01

マップメーカー02

マップメーカー03

加工前にマスキングテープを貼り、加工後にはヤスリを粗いものから細かいものに徐々に変えていきながらかける。更にお湯に浸け歯ブラシで擦り最後にドライヤーで乾かすことで焦げ・ヤニの付着を防ぐことができ、仕上がりにクオリティの高さを出したのである。

Result:

 デジタルファブリケーションという技術は、現在個人レベルで扱う事が出来る時代になっている。それに伴い”ものづくり”の幅も大きくなった。今回のレーザー加工機に関しては、自分が加工したい素材の特徴を学べた。今回扱った「FABOOL Laser CO2」は、木材、アクリル、プラスチック、革等様々な素材を加工する事ができ、それに応じてレーザー出力設定を変更する。これにより、”デジタル”と言いつつも物理的な知識が身に付く。逆に慎重さを怠り、予備知識を学ぼうとせず製作を実行すると加工対象物が発火し炎上してしまう危険性もあり非常に危ない事態にもなり得るものなのである。炎上とまではいかなかったが、私も一度加工対象物を発火させてしまっているのでその危険性はお墨付きだ。レーザーの照射中は保護メガネなしでは目に悪いということもあり、レーザー加工機の取り扱いには非常に注意しなければいけない。また、加工機の組立最中では、マニュアルの不完全さを認識し、その分レーザー加工機の構造を時に自力で理解していきながら組み立てすることができた。今回の製品では、持ち運びを行うと移動中に振動で部品がずれたり緩んだりし、正常に作動しないトラブルも起こった。これにより、今回取り扱った製品においては一度組み立て一定の場所に設置したら必要以上に動かしていけないという精密な機械であることも実体験から改めて理解したことの一つである。

 加工対象物に関しては、どの素材がどのような性質を持ち、加工した際にどのような結果になるのかを事前に調査し、それに伴ったパラメータ設定にしなければいけない。また、必ずしも公式サイトに記載されてあるパラメータ設定で同じ結果になるとは限らなかったので、自分で少しずつ設定を強めていき加減を見極めなけれいけなかったという点も非常に難点だと感じたところである。また、今回のように木材やそれに近い材質のものを加工すると焦げやヤニが比較的多く付着してしまい、見栄えが悪くなってしまう現象もある。これに関して対処法を調べ、綺麗に整えることを行うことで対処した。このように"デジタル"ファブリケーションといいつつもやはり人の手を使った作業も非常に重要な工程であったのだ。

 ところで、地理空間情報を使用したデジタルファブリケーションというものは、自分が想定していたより多く既に存在していたのだった。日本地図のパズル、インテリアとしても価値を見出す3D木製地図、小学生向けに提供した木製地図の上にさらにコルクを乗せた3D地図等様々な価値ある作品が世界中にあるのだ。そして栞に関しては、基盤で作られた回路地図、世界地図柄のもの等が販売されている。そして、立教大学の図書館のキャンペーンとして、池袋キャンパス周辺の古今地図がデザインされた栞もあった。このような様々な地理空間情報、栞のアイデアがある上で今回私がアプローチしたのは、デジタルファブリケーションであるレーザー加工機を使用し、個人レベルで既存商品と同等なものを制作するという点である。今回制作したものは立教大学のキャンペーンと近いものであったが、素材をMDF板にし優しい印象を与えたこと、裏面に区名と紋章を分かりやすく刻印しその地域の情報を全面に出したことの二点で常に身近に置いておきたくなると同時にデザインされたその地域を意識してもらえるようにという考えがある。

<以下完成品写真>

Snapseed 2

Snapseed 8

Snapseed 5

Snapseed 4

Snapseed 6

Discussion:

 地理空間情報は、日常だけでなく災害時等でも活躍する。しかしそれがどのように活かされているのか具体的に認知している人はそう多くない。今回はまず、そんな"地理空間情報"に興味を持ってもらう事に意識を置いた。呉高専の3Dマップ製作チームは、地元の小中学校で3Dマップ製作による防災授業を継続的に行なっていた。地理院地図データやレーザー加工機を使用し、立体感のある3Dマップを製作し児童の前で授業をした後、児童が自ら避難経路を考える時間を設けていた。この事例のように、災害時に自分たちで迅速に避難し命を守れるように、大人だけでなく子供にも学んでもらいたい。そのためには、教科書に載っているような一般的な地図だけで学ぶより、もう少し興味が湧くような入口を作る必要があるのではないかと考えている。今回の私の卒論はまさにその入口を作るきっかけとなり得る。正直、類似する製作物は先述通り企業や団体が先に製作されている。しかし、レーザー加工機の組立から作品の製作まで単独で行なった私は、その全ての工程・経過がこの卒業論文のGitHub Repository, Projectにより透明性に長けている。結果だけでなく、それまでのストーリーが現代を生きる人々の興味を惹くのだと考えている。また、レーザー加工機の組立からデータ作成、レーザー加工までの各工程それぞれ問題点と改善すべき点が上がった。

Conclusion:

 デジタルファブリケーションを用いた地理空間情報の表現手法の検討をレーザー加工機を例にして行うということで、「FABOOL Laser CO2」の組み立てをした上で、渋谷と相模原の2拠点の地理データをMDF板にデザインとして刻印した栞の制作に試みた。地理空間情報を持ち運び可能な形で表現することで、現状より身近に地理空間情報を感じてもらえると考えた。制作後、自分が実際に栞として使用し、デザインされた地域に足を運んだ際には、その地域を少し意識するようになるのかなと感じた。本を開いた際に地図のデザインは勿論の事、裏にある区の紋章にも視線がいくので、分かりやすさもあった。

 今回は初めての試みであったことや、所要時間等の関係から、地理データの情報量を最低限にし加工してみた。先行事例にもあったように、レイヤー別で加工対象物を分け、最終的に組み合わせることで多くの情報を表現する事も可能だったが、今回は時間が足りず断念することとし、活動の引き継ぎ案として残しておく。

引き継ぎという点では、今回は時間が足りず木材やコルク等しか加工対象物として扱うことが出来なかったが、それ以外にもチョコレートや海苔、果物・野菜などの食べ物にも加工可能となっているので、今後は食料品とデジタルファブリケーション、地理空間情報を掛け合わせて新たな観点からの価値創造を行なっていく事も面白いのではと考えている。今回の成果物を基にしたシリーズ化をこのRepoitory・Projectを参考にしながら行うという事も一つのアイデアとして引き継ぎたい。

古橋研究室ではレーザー加工機を使用したのが初の試みであった為、ドローンや3Dプリンター等古橋研究室ならではの方法で新しいアイデアを形にし共有・発信させていければ現在より益々の発展が遂げられるのではないかと思う。そして、様々な加工対象物に様々な出力で試し、それぞれ最適な設定を導き出し、作品と共にオープンデータ化する事が重要となってくると実体験から感じた。その際に「こうすれば成功する。」という事だけではなく、その間に出た失敗例も同時に共有する事で結果的に多くのユーザーのトラブルの減少や製作時間の短縮に繋がると思うのでそのような点も次に引き継ぎたいと思っている。

参考文献:

参考文献リスト

Acknowledgements:

本研究を進めるにあたり担当教授の古橋大地氏をはじめ多くの方々より多大な助言を賜りました。厚く感謝を申し上げます。

先行事例:

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2021年度古橋ゼミ卒論用リポジトリ

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