この文章は、一緒に働くことになった方に私自身のマネジメント方針を知ってもらうことで、円滑にコミュニケーションする手助けになればと思いまとめたものです。
ここに書かれた内容は、私自身の成長に伴って常にアップデートされていきます。
「いいチームを作ること」だと考えています。
いいチームとは「全員がリーダーシップを発揮し、共通の目的に向かって成果が出せるチーム」です。
マネージャーは管掌範囲の成果を最大化する責務を負いますが、成果を最大化するための基盤となるものが「いいチーム」だと考えています。
ここでの「チーム」は、私がマネジメントする対象となった皆さんと私自身の集まりです。
"何かを達成できればゴール" というものではなく、常に探求し続ける理想的な状態です。
そのために必要なことは多岐に渡っており、チームの状況によって不足しているものも変化します。
目の前のこぼれたボールを拾いながら、ある時は業務の標準化をし、ある時はメンバー一人一人の悩みを聞きます。
会社のルールを遵守するために、経費申請の修正を依頼するかも知れません。
いずれにしても、チームとして与えられた資源(ヒト・モノ・カネ)を活用しながら、いいチームになるための改善を重ね、成果を出し続けることが、私にとってのマネージャーの役割です。
マネージャーだから偉いというわけではありません。
エンジニアと同じように、役割として、組織から責任と権限を授かっているものです。
マネージャーは専門職であり、技術者としてのエンジニアとは違うスキルが必要です。
より総合的な知識が求められる一方で、エンジニアとしての理解はある程度必要であると考えています。
私自身は "エンジニア” という役割だった期間は短いため、エンジニアリングやそれらを構成している理論に対する強いリスペクトを持って接しています。
他の職種に対しても、専門性に対してリスペクトを持つ意識が強いです。
全員がリーダーシップを持つ組織でありたいと思っています。リーダーシップとは「物事をより良い方向へ進めるための、複数の視野を備えた影響力」だと考えています。
「積み重ねて成長する」ことを大事にしています。
これは私ができるようになりたい、という願いも込められていますが。場当たり的なものではなく、自身のコアになるものを成長させるために積み上げていくことが大事だと考えています。
そのために必要なのは「目的を持つ」ことと「内省をもって過去や未来を意味づけする」ことだと思います。
相手を尊重して議論のテーブルに乗せることを大事にします。
真剣に仕事をすれば議論が激しくなることはあります。しかし、私個人としては、自身の意見さえも批判的に疑いながら、議論を積み重ねていく姿勢を好みます。
大事なのは議論を同じテーブルに載せることであり、載せ方は乱暴にする必要がないと考えます。
言い換えれば、載せ方に配慮があれば、どのようなことも議論のテーブルに載せていいと考えています。
チームやメンバーに敬意を持ってください。
無理に発言をする必要はありませんが、意思を表明してください。
ツールのリアクション機能やジェスチャーでも構いません。
「わからない」「いますぐに意見を出せない」も立派な意思です。
自分自身の成果や思考を言語化することを大事にしてください。
言語化することで客観視できるようになり、改善につなげることができるためです。
できるだけ個々人に寄り添いながら仕事をしたいと考えています。
プライベートにおける当事者になることはできませんが、些細なこともきちんと話を聞いて受け止めることはできます。
1 on 1は皆さんの時間だと考えています。
目的は以下です。
- 雑談をしてお互いの人となりを把握し、コミュニケーションをより円滑にすること
- 特定のテーマに関して話し合い、モチベーションアップや成長のきっかけにしてもらうこと
そのため、できるだけ自分なりの目的を持って1 on 1を活用して欲しいと思っています。
双方の都合でスケジュールの変更があった場合、基本的にはリスケを行いますが、希望があればスキップをして頂いても構いません。
やむを得ず私からスキップや頻度の変更をお願いしたい場合は、その旨を必ず相談するようにします。
私自身もマネージャーとして未熟な点が多々あると思います。
気になったことがあれば気軽にフィードバックを頂ければ幸いです。
私は内省的な傾向が強いです。人と話すこと自体は嫌いではありませんが、ソーシャルバッテリーの容量は多くありません。
ですが、自身の特性を活かして、一緒に働く人の役に立ちたいと考えています。
うまく言えないけどモヤモヤするようなことも気軽に話してもらえると嬉しいです。
また、子育て中のため、仕事の合間に抜ける場合があります。一緒に働く人にも同じように、家庭を大事にしながら仕事をして欲しいと思います。
To通知は業務時間外でも行っていただいて構いません。ただし返信ができるかどうかはその時の状況によりますのでご了承ください。
Engineering Manager Readme に書かれている価値観について、より詳しくまとめています。
マネジメントにおいて一番重要なのは信頼です。
メンバーとの信頼関係がないと、私の話に耳を傾けてくれず、些細だけど重要な問題があっても伝えてくれることがなくなります。
信頼とは「この人は私の言うことを何でも聞いてくれる、いつでも私を支持してくれる」ということではありません。
信頼とは「この人は自分が成長したり、より良い未来に近づくために必要なことをしてくれる」というものです。
苦しい時は手を差し伸べ、意見に共感し、応援はしますが、誰かを傷つけたり、間違った道に進もうとしている場合はきちんと指摘することです。
そのために、お互いがどんな志向を持ち、何を考えているか知ることが大事だと考えています。
また、上司との信頼関係も重要です。
信頼をしてもらえないとマイクロマネジメントに繋がり、チーム外へのネゴシエーションや説明のためのコストばかりが積みあがってしまいます。
マネジメントが停滞することで、メンバーにも悪影響が及んでしまいます。
そのため、中長期的な未来に向かいながらも短期的な成果を積み重ね、信頼して仕事を任せてもらえる関係性を築く必要があります。
チーム活動は多くの変数が重なるバランス感覚が要求される仕事です。
ゴールへの道筋だけでなく、ゴール自体も絶えず変わり続けます。
そのような状況で、目の前の課題を解決しながら、それに振り回されることなく、よりよい未来に向けて方向づけることが大事です。
そのために絶えず学び、変わり続ける必要があると思っています。
人が成長するためには、内省による客観視 -> 分析 -> 行動のループが重要だと思います。
体験する -> それで得たことを認識し、言葉にする -> 学びと課題を整理し、次の行動を決める
このループを繰り返すことができれば、人は成長できると思います。
ただし平面的にサイクルを回すのではなく、これまでの学びを踏まえたうえで改善を続ける必要があります。
そうでなければ、同じところをグルグルと回ってしまうだけだからです。
同じところを回り続けないようにするためには、目的と仮説が重要です。
自分たちがフィードバックループを回す中で、目的に近づいているのかを常に意識する必要があります。
評価においては、定量的・定性的な成果も大事ですが、よりメタなレベルで、自分がどれだけ複数の視野をもち、どのように深く課題を捉え、改善していったかを重視します。
表面的に表れた成果は外部の変数に大きく影響をうけます。一方で個人としてどのような視野を持っているかは、課題解決の幅と深さに大きく関わり、再現性があるためです。
ここでのチームは「ある目的を持った集まり」という広い意味を指します。
仕事とはどう切り出しても自分自身を含めたチームの活動であり、私が関わる全てのものは、何かしらのチームであると考えられます。
チームでは、それぞれの強みを活かすことで、一人で仕事をするよりも大きな成果を得ることができます。
適切に協力関係を築けたチームにとって、一人の強みはチーム全体の強みになり、一人の弱みはお互いにカバーし合えるからです。
そのためには、全員がリーダーシップをもって、自分たちの影響力をより良い形で発揮する必要があります。
「リーダーシップとは何か」を紐解くと、全員がきちんと意思を表明しチームの活動に意志を持って参加する、それによってチームの目標に向かって進んでいくことであると思います。
自分の意思を表明し、リーダーシップを発揮するためには、個々人がチームの活動に対して意義を感じていなければなりません。
外から与えられた動機ではなく、自分の内側からくる内発的な動機付けが必要です。
他者から与えられた役割をこなすだけの仕事を何年も続けるだけでは、リーダーシップを発揮し続けるのは難しいでしょう。
そのためのサポートをすることも、いいチームを作るために重要だと考えています。