甦るチューリング by @lemonadern #2
アラン・チューリングの来歴を追いながら、彼がその生涯のうちに行った仕事について知ることができる本。当時の世界情勢についての話や歴史上の小咄なども豊富で、単純に読み物として面白かった。
一方で、難しい内容の部分もそこそこ多い。論理学や計算理論についての知識がもう少しあるとより楽しめたと思う。
そもそもこの本を買ったのはEnigmaとその解読機Bombeについての資料を集めるためだったのだけれど、読み進めるうちにチューリングの功績が暗号や計算機の分野にとどまらず人工知能や生物学にまで及んでいたことを知り、思いもよらない収穫を得た気分になった。
本筋から逸れるが、文章中には、筆者が取材のためにイギリスを訪れた際の手記のような内容がコラム形式でたびたび登場する。チューリングゆかりの地や博物館への訪問記の数々を読むと、思いがけずイギリスへの旅情がかきたてられる。行きたい。
個人的に特に面白かったのは第5章。EDSACやACEコンピュータのアーキテクチャに言及のあるセクションで、高専の授業で学んだ内容がそのまま活きてくる感じがした。
コンピュータを扱う技術者の端くれとして読んでおいても損は無いんじゃないかなと思った。