行の調整の方法 #119
KobayashiToshi
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行の調整の方法
#119
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行の調整の実際
行長に過不足が出た場合,はみ出した文字を行内に追い込み,行内の適当な箇所を詰める処理(以下,詰める処理とよぶ),または,はみ出した文字を次行に追い出して,空ける処理(以下,空ける処理とよぶ)を行う必要がある.詰める処理では,その量が多くなると文字が重なってしまうので限界がある.これに対し空ける処理は,望ましい量はあるが,それを考えなければ限界がないといえる.したがって,行の調整処理は,大きく分ければ,次の2つになる.
しかし,詰める処理も,空ける処理も,できれば避けたい処理であり,その処理する箇所の優先順位,及びその限界量には,何を優先させるかでいくつかの処理方法がある.例えば,漢字や仮名の字間の空ける処理による字間の乱れをできるだけ避けると考えるか,括弧や句読点の前後の空白は必要なものであり,その空白はできるだけ維持すると考えるか,括弧や句読点の役割を考慮して,その扱いに差をつけるか,といった点で,何を優先するかで処理方法は変わってくる.
ここでは,以下の3つに分け,その処理方法を解説する.
aの詰める量の限界値を限界値を小さくする方法は,空ける処理をいくらか避けることができ,また,詰める量が少ないことから,それほど読みやすさを損なわないと考えられる方法である.行長も影響する.行長が短い場合,空ける処理では調整量によっては,空ける処理では字間の空きが目立つ場合もあるので,詰める処理を優先させる必要がある.これに対し,行長が長い場合は,調整箇所が多くなるので,空ける処理での調整でも,それほど目立たないことになる.
なお,aまたはbの詰める処理において,その調整量が限界値を超えた場合に行う空ける処理はcの方法と同じである.
a 詰める処理を優先し,詰める量の限界値を小さくする方法
1の処理を行い,これで処理できない場合は,この処理に加え2の該当箇所を均等に詰める.1及び2までで処理できない場合は,詰める処理は行わないで空ける処理を行う.空ける処理は,cと同じ方法である.なお,1を優先するのは,行中の場合と異なり,行末では次に文字はこないので,約物の後ろを詰める影響が少ないからである.
1 行末に配置する読点(U+3001),コンマ(U+FF0C),句点(U+3002),ピリオド(U+FF0E),終わり括弧類(U+FF09など)の後ろを全幅の1/2まで詰める.
2 行中にある以下の箇所を均等に詰める.詰める限界値は,全幅の1/4とする.なお,行末では,句点(U+3002)及びピリオド(U+FF0E)は詰める対象となるが,行中では詰める対象としない.
詰める処理のaの詳細な処理例を,Apendix〓に示す.
注 終わり括弧類や読点の後ろに初め括弧類が連続するときに空白を調整する処理を行うが,この場合でも,連続する読点と始め括弧類,または終わり括弧類と始め括弧類の字間に空白がでるので,行の調整処理で読点や括弧類の前後を詰める処理を行う場合,その空白を詰める処理の対象箇所にする.
b 詰める処理を優先し,詰める量の限界値を小さくしない方法
1の処理を行い,これで処理できない場合は,この処理に加え2,ついで3の該当箇所を均等に詰める.1,2及び3までで処理できない場合は,詰める処理は行わないで空ける処理を行う.空ける処理は,cと同じ方法である.
1 行末に配置する読点(U+3001),コンマ(U+FF0C),句点(U+3002),ピリオド(U+FF0E),終わり括弧類(U+FF09など)の後ろを全幅の1/2まで詰める.
2 行中にある以下の箇所を均等に詰める.詰める限界値は,全幅の1/2とする.ただし,中点類は,行末に配置する場合も対象とし,その前後は均等に詰め,詰める限界値の合計は,全幅の1/2とする.
c 空ける処理だけを行う方法
1 分割禁止の箇所,始め括弧類の前,句読点及び終わりかっこ類の後ろ,中点類の前後等を避け,平仮名,片仮名,漢字等が連続する字間を均等に空ける(この空ける箇所の詳細はApendix〓に示す).
2 前項までの処理で個々の字間での空ける量が一定量(例えば字幅の1/4)を超えた場合は,その他の分割禁止等の箇所等を含めて全ての字間を均等に空ける.
注 プロポーショナル幅の文字の配置における行の調整処理 プロポーショナル幅の文字の配置における行の調整処理では,確立された方法はないといえよう.プロポーショナル幅の文字の行頭・行末そろえを選択する場合,すべての行で行の調整処理が発生する可能性があり,字間の調整が行われる.そもそもプロポーショナル幅の文字の配置は,視覚的に文字間を最適にしようとする処理であるから,この字間の調整は望ましいとはいえない.つまり,行頭・行末そろえではなく,行頭そろえを選択するということも検討される必要があろう.しかし,視覚的な効果から行頭・行末そろえを選択する場合で行の調整処理が必要になった場合,約物の字間の調整を優先するとよい.約物の前後に空白がある場合は,その空白を詰める(空白をなくす),または約物の前後に空白がない場合は,約物の前後を一定の範囲内で空ける(約物の字幅を全幅の1/2と考えれば,空白を字幅の1/2まで空ける)といった処理が考えられる.
注 仮名の字間を均等に詰める コンピュータ組版では,仮名の字間に限り,ある限界値まで均等に詰めるという処理方法の選択により,その処理が可能な例があったが,今日では,この方法は採用されていない.これは,仮名の字間はいくらか空いているので,その字間はいくらか詰めることが可能であるという考え方による.
注 行頭そろえなどでの行の調整処理 行の調整処理は,段落の配置処理で行頭そろえなどを選択した場合は,原則として必要としない.しかし,行の末尾又は段落末尾行において,わずかな行長のはみ出しがあった場合,行末の句読点や括弧の後ろを文字サイズの1/2まで詰める調整を行うという処理方法もある.
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