JLReq-d 編集会議 2026-2-11 #120
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JLReq-d 編集会議 2026-2-11
「6.6 行の調整処理」から、次回、「6.6.2 詰める処理」の内容を詰める。
6 行への文字の配置の実際 その2
5.4 ラテン文字とアラビア数字の処理
日本語の組版では,ラテン文字が1字あるいは単語が挿入される例は多い.文が挿入される場合もある.ここでは和文文字とラテン文字との字間および行送り方向の位置について解説する.日本語コンテキストに現れこれら以外のプロポーショナルな幅を持つ文字、スクリプトについては十分な知見がないため、実装依存とする。ただし、ラテン文字に準じると考えて良い場合が多い。
以下ではラテン文字を次の2つに分けて解説する.以下の2つは合わせてラテン文字等という.
ここでは横組を主に解説するが、縦組で文字を横転した場合も同様な処理を行う.
和文文字とラテン文字等を組合せる場合,和文フォントに付属するラテン文字等を使うとバランスが良い。
5.4.1 和文文字とラテン文字、アラビア数字の字間
フォントにもよるが,ラテン文字の字詰め方向の字面とボディの外枠との空白(サイドベアリング)は,和文よりも狭いのが一般的である.そのような和文とラテン文字のボディを密着して配置すると,和文とラテン文字との字間が詰まった印象を与える場合が多い.そこで,和文とラテン文字との間は,全幅の1/4から1/8程度空けるとよい.
ただし,次のような事情も考慮する.
和文のフォントの字面の大きさ.ボディに対して,そのフォントの平均的なサイズが大きい場合は,視覚的な和文の文字間は狭くなるので,それとのバランスから,空ける量は狭くてよい.空けないという選択もできる.
挿入されるラテン文字は,1字か,単語か,複数の単語かによっても,適切な字間は変わってくる.後者になるほど空ける量は大きい方が望ましい.機械的な処理では,個々のケースごとに決めることはできないので,テキストの状況から判断し,1つのアキ量を選択する.
注 ラテン文字との字間の従来の方法:活字時代には和字とラテン文字との字間は全幅の1/4であった。この量は,活字組版の技術的な制約による.印刷所で一般に常備されていた最小のスペース(活字の字間に挿入し,空白をつくる材料)は,文字サイズの1/4であった.文字サイズによっては,1/6や1/8,あるいは1ポイントというスペースも使用されていたが,必ずしも各印刷所に常備されていなかった.
5.4.2 和文とラテン文字用約物・記号類の字間
和文とラテン文字用約物・記号類との字間は,空けないを規定値とする。しかし、挿入したラテン文字列の前後の空きを揃えるなどの目的で、例外として次のような例がある。
5.4.3 和文文字とラテン文字等の行送り方向の位置
横組において和文中にラテン文字を挿入する場合、ラテン文字の行送り方向の位置、つまり上下方向の位置は次のように定める。
注:和文フォント中にも、ラテンスクリプトベースラインが設定されている。これはその和文フォントに付属するラテン文字に対するベースラインであって、和文フォントを異なる欧文フォントと組み合わせる場合には使用しない(ここは継続審議)。
横組の場合,一般にボディの天地左右中央に字面が位置している和文に対し,ラテン文字等はラテンスクリプトベースラインを基準に文字が設計されている。よって、和文に対して、ラテンスクリプトベースラインをどこに置くかを考える必要がある。
ラテン文字は大文字と小文字で、上下方向の大きさが異なる。したがって,大文字だけの場合,小文字だけの場合,大文字と小文字が混ざっている場合でラテンスクリプトベースラインの最適な上下位置が異なる。
ただし,機械的な処理では,個々のケースごとに決めることはできないので,テキストの状況から判断し,1つの配置位置を選択するとよい.
ところで,ラテン文字等について,和文フォントの付属書体を使用する場合は,フォントの設計において,和文と,ラテン文字等の行送り方向の位置も考慮されているので,そのフォントで決められている位置に配置すればよい.
ただし,別のフォントを使用する場合、または付属書体でも設定を最適化したい場合は,次のように,いくつかのそろえる方法があるので,テキストの内容や目的により選択するとよい.
和文のボディの中心とラテン文字のベースラインとキャップラインの中心をそろえる.つまり,和文とラテン文字の大文字の中心をそろえる.ラテン文字の大文字を使用する例が多い場合は,この選択が考えられよう.この方法は,必ずしも常に最適解とはいえないまでも,通常の大文字及び小文字の欧文との混植を含め多くの場合に,ほぼ妥当な結果が得られる可能性がある.
和文とラテン文字のボディの中心を揃える.活字組版では,長い間,この方法で処理してきた.または,和文文字の字面とラテン文字の字面の中心をそろえる,具体的には,和文文字はボディ,ラテン文字の字面の大きさは,デッセンダーラインとアッセンダーラインの距離と考える.この方式では,和文と比較してラテン文字が上に寄って見える可能性がある.
和文のボディの中心とラテン文字のベースラインとミーンラインの中心をそろえる.つまり,和文とラテン文字の小文字(短字)の中心をそろえる.ラテン文字の小文字を使用する例が多い場合は,この選択が考えられよう.ただし,この場合,大文字及び小文字の通常の欧文では,多くのケースで欧文が上がって見える可能性がある.
欧文フォントによっては,上下のどの位置に和文のボディを配置したらよいかの情報を保持しているものがあるので,その場合には,それに従う方法もある.ただし,和文書体に含まれる付属書体のラテン文字等の和文のように字面の大きさ,太さ,字幅などのバランスを前提にデザインされていない欧文フォントでは,この方法であっても,和文書体とバランスよく見えるとは限らないので注意が必要である.
なお,和文とラテン文字等の関係については,相互の位置関係だけでなく,文字の大きさと文字の太さについても、和文とラテン文字等との視覚的なバランスをを検討する必がある(〓〓参照)
上記の方法で和字とラテン文字とのバランスを調整する必要があるとき、字面のサイズ、画線の太さ、字幅を変更する必要が生じます。その調整を同時に達成するには、可変の軸をもつVariable Fontsがきわめて有効である。このことは、日本語と欧文との組み合わせだけでなく、異なるスクリプトや言語の組み合わせにもあてはまる。
このような調整を個々の箇所で行うことは現実的ではなく、調整を行なった結果をパッケージ化できる合成フォントの機能は異なるスクリプトの組み合わせに特に有用である。
6.5 文字間での分割
文字を行に配置する場合,設定された行長に達したところで2行にわたる分割(以下,分割という)を文字間で行い,次行に配置することになる.この分割の位置について解説する.
5.5.1 文字間での分割の可否
日本語の分割については,漢字や仮名のどこの字間でも,以下に述べる例外を除いて可能である.こうした処理は、文字の役割や見た目のバランスから、分割できないのである。
注:このような分割の禁止は、行頭または行末に配置することの禁止として表現することができ、それを行頭禁足、行末禁則と呼ぶ。
また、ルビの付く場合の分割の処理は別項〓〓参照。
(メモ:ここ、文字クラスを定義して厳密化する。特に全角バリエーションのある場合に注意。U+2000台についても。その場合、Unicodeとの整合性をチェック)
上記の規則が原則であるが、下のような例外がある。これらは、両端揃えを採用した場合の、行の調整の手間、および、字間が乱れることを避けるためである。
また、単語または文節を分割しない方法もある。〓〓参照。
(メモ:ここ、全体的に、Unicode / CSSとの整合、それらの問題点をチェックする。文節の定義に関しては国語研の方法を紹介)
(メモ:ダブルクオーテーションのように、フォントによって全角のものもあるので、注意が必要。この問題は言及する。分割の可否には関係しない。(macでは、日本語の中で2014やダブルクオーテーションを使うと、正しい位置に来ない。日本語用のグリフを出すようにすべき=>エンジア向け課題。3章でも注意として言及。これはUnicodeの問題))
注記:(次回ここから)
小書きの仮名,長音,及び繰り返し記号の同の字点の行頭への配置は,禁止する方法と許容する方法がある.実際にも書籍等では許容する方法の採用が多いが,Web等では禁止する例も増えている.
小書きの仮名,長音,及び同の字点の行頭への配置を許容する方法は,ブラ下ゲ組と同様に行長の調整処理の手間を避ける方法として活字組版で採用されていたものである.デジタルテキストでは,行の調整処理の手間が存在せず,これらの文字が直前にある仮名と一体として読まれることを考慮すれば,禁止した方が望ましいといえよう.
ただし,行長が短い場合に行頭・行末そろえ(justification)を行う場合,行の調整処理での字間の調整箇所が目について,違和感を与えることもあるので,こうした場合は,小書きの仮名や長音の行頭の配置を許容する方法も考えられよう.
6.6 行の調整処理
行の調整処理とは,行頭・行末そろえ(justification)を選択した場合において行長をそろえる処理のことである.この行の調整処理の方法を解説する.
日本語で行頭・行末そろえ(justification)を選択する場合、前に述べたように多くの日本語フォントの文字幅の基本は全幅であるため、行長を全幅の整数倍に設定する。こうすることで、行長に過不足が出ず、フォントの意図通りの配置が実現する。しかし、実際には以下で述べるようにさまざまな要因で乱れが生じる。
6.6.1 行の調整処理の必要性
行長に乱れが出る原因は以下の3つである。
行の調整が起こると、字間が設計からずれ、また前後の行での字間の不均等が起こるので、できるだけ避けることが望ましい。そのための対策として、次のような処理が考えられる。
しかしこれらの処理は、それぞれが望ましいものではない。行の調整処理による字間の不均一との兼ね合いで必要性を考える必要がある。
行の調整には字間を詰める処理と、空ける処理がある。字間を詰める処理は可能でない場合があり、また処理可能な量が限られる。空ける処理には見かけの破綻を許容すれば限界がない。通常は詰める処理を優先し、それで処理できない場合には空ける処理を行う。
a: 行末の句読点のあきをゼロにする。行中の句読点や括弧を1/4ないしは1/2まで詰める。それで調整が完了しなければ、空ける処理を行う。
c: 空ける処理のみを行う。
まず6.6.2及び6.6.3で詰める、空ける処理について説明し、次に6.6.4で優先順位を説明し、また処理例を示す。
(次回ここから)
6.6.2 詰める処理
行の調整には字間を詰める処理と、空ける処理がある。まず詰める処理について説明する。優先順位については6.6.4で説明する。
詰める処理(追込み処理)は,句読点の後ろ,括弧類の前後,中点類,欧文間隔などについて,優先順位に従って規定された範囲内で行う.
なお,ラテンスクリプトなど単語間がスペースで区切られる単語列を挿入する場合,これらの単語間のスペースを優先的に調整に使用する。その詳細は日本語組版の範囲外である。ここでは,それ以外の部分について説明する。
詰める処理は以下の順序で行う
注 仮名の字間を均等に詰める コンピュータ組版では,仮名の字間に限り,ある限界値まで均等に詰めるという処理方法の選択により,その処理が可能な例があったが,今日では,この方法は採用されていない.これは,仮名の字間はいくらか空いているので,その字間はいくらか詰めることが可能であるという考え方による.
詰める処理の詳細な1つの例を,Apendix〓に示した.
5.6.3 空ける処理の例
空ける処理の主な事項としては,以下のような例がある.
空ける処理の詳細な1つの例を,Apendix〓に示した.
5.6.4 行の調整処理の優先順位
行の調整処理は,できれば避けたい処理である.句読点や括弧類の前後のある空白の乱れはできるだけ避けるか,それとも,字間が乱れることはできるだけ避けるかの選択の問題でもある.行の調整処理の優先順位は,何を重視するかで変わる.ここでは,詰める処理を優先するが,その調整が極端にならないように考え,その処理では調整ができない場合は空ける処理を行うという,いってみれば折衷的な方法をまず紹介する.
折衷的な方法では,次の順序で,行の調整処理を行う.
注 括弧類と読点およびコンマの優先順序 括弧類と読点およびコンマとを分け,括弧類の詰める処理を優先し,その処理で調整できない場合に,さらに読点およびコンマを詰めるという方法も行われていたが,この方法では,括弧類と読点およびコンマについては,詰める限界値が全幅の1/4までなので優先順位をつけないで,該当箇所を均等に詰める方法が行われている.
注 中点の調整 この方法では中点は調整に使用しない.
これ以外の方法を次に示す.
句読点や括弧類の前後にある空白の乱れはできるだけ避ける方法としては,次がある.次の順序で,行の調整処理を行う.
この方法では,空ける処理が中心となり処理が簡単になる.1を行わなわなければ,さらに簡単になる.
字間が乱れることはできるだけ避ける方法としては,次がある.次の順序で,行の調整処理を行う.
注 詰める処理を優先 従来は,詰める処理を優先して行い,詰める処理で解決できない場合に空ける処理を行うという方法がよく選択されていた.これは,できるだけボディを密着した配置方法を維持したいということもあるが,活字組版における技術的な制限からきていた.それは,活字組版では,詰める処理の方が,空ける処理より処理箇所が少なくて処理できるという事情があった.デジタルテキストでは,空ける処理は自動的に処理でき,かつ,微細な単位で空ける処理ができるので,詰める処理は行わないで,空ける処理のみで行の調整処理を行うという方法が考えられる.詰める処理は,処理箇所は少ないが,複雑な点もあり,空ける処理のみで行うということで,読みやすさの面での品質を保ちながら,ある程度の組版処理ルールの単純化を行うことが可能になる.
注 プロポーショナル幅の文字の配置における行の調整処理 プロポーショナル幅の文字の配置における行の調整処理では,確立された方法はないといえよう.通常,プロポーショナル幅の文字の処理では,すべての行で行の調整処理が発生するので,字間の調整は行われる.そもそもプロポーショナル幅の文字の配置は,視覚的に文字間を最適にしようとする処理であるから,この字間の調整は望ましいとはいえない.行頭・行末そろえを選択する場合は,約物の調整を優先するとよい.約物の前後に空白がある場合は,その空白を詰める,または約物の前後に空白がない場合は,一定の範囲内で空けるといった処理が考えられる.あるいは,行頭・行末そろえではなく,行頭そろえを選択するということも検討される必要があろう.
5.6.5 ブラ下ゲ組
行の調整処理を回避する1つの方法にブラ下ゲ組がある.
注 ブラ下ゲ組の採用 ブラ下ゲ組は,岩波書店の校正課長をしていた西島九州男さんが始めた方法で(1940年代の後半),その後,徐々に採用する出版社が増えていった.その主な目的は活字組版において句読点の行頭配置を避けるための“行の調整処理”の手間を少なくすることにあった.
ブラ下ゲ組とは,行末の句読点(括弧類を含む)の処理法であり,以下のような方法である.1行を20字詰(全幅の20倍)として説明する(図〓参照).
したがって,行末の句読点の配置としては3つのパターンが併存することになり,行末がある程度乱れることになる.行頭のラインはスタートであり,視覚的に重視される.これに対し,行末は,それほど重視されない,という考え方による.
注 強制的なブラ下ゲ組 以上のいずれの場合を含め,字幅が全幅の句読点を21字目に配置する方法もある(強制的なブラ下ゲ組ともよばれている).この方法は,元々のブラ下ゲ組の考え方とは異なる.そもそもブラ下ゲ組は,行の調整処理を避けるための方法であり,ある意味で便宜的な方法である.したがって,強制的なブラ下ゲ組の処理を行う必要性は少ない.行末をそろえるということを優先するのであれば,いっそのことブラ下ゲ組をしないという方法が望ましいであろう.
注 行末の句読点・括弧類の字幅を全幅の1/2とする 前述にaの場合も含め,行末の句読点(括弧類を含む)の後ろにある全幅の1/2の空白を削除し,20字目の位置に配置する.行頭の括弧類の前にある空白を削除するのにそろえる方法であり,行頭だけでなく,行末をきちんとそろえたい場合に採用される方法である.
注 括弧類のブラ下ゲ組 最近は,終わり括弧類をブラ下ゲ組にする例をごくたまに見かけるが,あまりバランスのよいものではない.句点と読点は小さいが,括弧類は,けっこう目立つ.中点を含め,何か奇異な印象を与えるので,避けた方がよいであろう.
注 ブラ下ゲ組とルビ 親文字からはみ出したルビが句読点に掛かってよいとする処理方法がある.この場合,ブラ下ゲ組にした句読点にルビを掛ける例が少ないがある.また,行間に配置する注番号も,版面からはみ出して,このブラ下ゲにした句読点に掛ける例も見かけるが,あまりバランスのよいものではないで,避けた方がよいであろう.
ところで,デジタルテキストでは,行の調整処理の手間は,それほど重視するものでないと考えれば,ブラ下ゲ組の採用は避けることができる.また,Webでは,領域が決まっている,あるいはスクロールの際に問題を発生させることもあるので,ブラ下ゲ組の採用は避けるるのが望ましいという考え方もある.
ただし,ブラ下ゲ組を採用しないと行の調整処理が発生する箇所が多くなり,それだけ,字間の調整箇所が増える可能性がある.行長が短い場合など,行の調整処理での字間の調整箇所が目について,違和感を与えることもあるので,こうした場合は,ブラ下ゲ組を採用も考えられよう.(また,ブラ下ゲ組を採用しない方式では,段落末尾が“す。”又は“る。”のように1字だけになるケースが増えるという欠点もある.)
なお,ブラ下ゲ組にしてよい約物は,句点と読点に限る,という意見が多くをしめており,それ以外の括弧類や中点をブラ下ゲ組にする例は,間違って処理したという例を除き,活字組版時代にはゼロに近かった.
5.6 行送り方向の文字位置
文中に括弧書きの補足説明を加える場合に文字サイズを小さくする,あるいは強調するために文字サイズを大きくする場合がある.この場合,文字を配置する行送り方向の位置が問題になる.
挿入する文字列の文字サイズが小さい場合,大きい場合,あるいはインライングラフィックが挿入される場合を含めて,通常は,ボディの横組では天地中央,縦組では左右中央に配置する.
注 補足する括弧書きの文字サイズ 補足する括弧書きの文字サイズとしては3つの方法がある.今日では,2又は3とする例が多い.
ただし,縦組で文字サイズを小さくして注番号を挿入す場合は,右寄せ(ボディの右端をそろえる)にしている例が多い.横組でも,下寄せ(ボディの下端をそろえる)にしている例もある.
注 括弧書きの補足を縦組で右寄せ,横組で下寄せにする例 従来は,括弧書きの補足の文字サイズを小さくする場合,縦組で右寄せ,横組で下寄せにする例が一般的であった.それは,活字組版の技術的な制約のよるものであった.
5.7 分かち組
分かち組は,単語又は文節など意味のまとまりを区切りとして空白(以下,語間という)を挿入し,分かち書きを行う方法である.
5.7.1 分かち組とは
日本語では,使用する文字に漢字,平仮名,片仮名を用い,語の種類により使い分け,さらに句読点等を使用しているので,それにより単語の区切りが認識できる.したがって英語のように語ごとに区切りの空白がなくても読んでいくことが可能である.
しかし,ローマ字で日本語を表記する場合,あるいは児童用に漢字の使用を少なくし,主に平仮名を使用し表記する場合は,語の区切りがあいまいになり,分かち組が必要になり,児童書等で分かち組は行われている.また,漢文の読み下し文の一部で分かち組が採用されている例がある.
なお,読者によっては,語句の区切りの認識が不十分な場合もあり,通常の漢字交じりのテキストであっても分かち組が求められことがある.
そのような状況を考慮するならば,デジタルテキストにおいては,分かち組の必要性は高いと考えられ,それへの対応が必要になる.
5.7.2 分かち組の配置処理
意味のまとまりを単位として分かち組を行う場合,次の3つの方法がある.
単語を単位とした分かち組は,複合語の扱いや,助詞や助動詞を単語として区切ることは読みやすさにつながらないといった問題があることから採用される例は少ない.多くは2又は3の方法である.教科書等では主に2の方法が採用されている.
注 文節という用語 文節という用語は,橋本進吉が最初に使用した用語であり,橋本進吉著 “国語法研究”(岩波書店,1947年,参照したものは1976年の第22刷)では,“文を実際の言語として出来るだけ多く区切つた最短い一区切”を文節と名づけ,次のような例を掲げている(文節の区切りを縦線で示す).
私は|昨日|友人と|二人で|丸善へ|本を|買ひに|行きました.
そして,同書では,その形の上からみれば,次のような特徴があると述べている.
さらに,文節は,一つ又は二つ以上の語(単語)から成り立っており,語について,それだけで単独で一文節をなす独立できる語と,それだけで文節を作ることができず,独立できる語と共に文節を作る語(独立できない語)とに分けている.
分かち組を行う場合,処理が簡単なことから,語間は多くは全幅としている例が多い.実際には,語間に和字間隔(全角スペース,U+3000)を挿入している.
また,2行にわたる分割を行う場合,語間で行う方法と,語間とは限らず,漢字や仮名の語句の字間でもよいとする方法がある.語間で2行にわたる分割を行う場合は,行の調整処理が困難になることから行頭そろえが選択される.語間とは限らず2行にわたる分割を行う場合は,一般に行頭・行末そろえ(justification)とし,必要があれば,行の調整処理を行っているが,教科書などでは行頭そろえの方法も採用されている.
なお,語間に変動スペースを使用する方法も考えられる.語間は,欧文スペースのように変動できるれば,ラテン文字組版のように語間を調整箇所に利用でき,仮名や漢字の字間を利用を少なくして,行頭・行末そろえが可能になる.
分かち書きの行頭そろえ又は行頭行末そろえ(justification)は,次にようにする.
注 和字間隔の行末処理 和字間隔(U+3000)の行末処理は,英語の語間を行末に配置しない処理とは異なる.日本語組版では,行の調整処理が簡単ではないことによる.
なお,句読点や括弧類の配置方法は,分かち書きしない場合と同じである.
5.8 文字クラスの変更と簡略化
JLReqでは,各文字を配置する場合の振る舞いの違いによって文字クラスとしてグループ分けし,配置処理の方法を説明している.この文書でも同様に扱う.
なお,各文字クラスの文字が行に配置される場合の字間,2行にわたる分割の可否,行の調整処理についてAppendix 1に示す.
5.8.1 仮想文字クラスの追加
JLReqでは,たとえば,“ルビ付きの親文字群”のように,あるまとまりを持つものがある.JLreqの文字クラスでは,例えば,“ルビ付きの親文字群の文字”のように“……の文字”として個々の文字を意味し,個々の文字の振る舞いを前提にして記述している.また,割注の場合,割注の先頭及び末尾につく括弧類だけを文字クラスにしている.
“ルビ付きの親文字群”などでは,その内部での文字の配置方法と,その外部である“ルビ付きの親文字群”の先頭とその前及び末尾の後ろに配置する文字との配置方法の2つを付表では示している.ただし,内部での配置方法の多くは,注記で本文の記述を参照するようになっている.
そこで,こうした配置方法を明確にするために,jlreq-dでは,行中であるまとまりをもった文字列で,その文字列では特別の処理を必要とする文字列のまとまりを仮想文字クラスとして扱うことにした.それぞれの名称には,文字列全体のまとまりを示すために“……群”のように“群”を付した.そのうえで,個々の仮想文字クラスに含まれる文字列全体と,その外側に配置する文字との配置方法のみを表(付表)に示すことにした.
JLReqの付表で示している行頭及び行末という位置も文字ではないので,これらも仮想文字クラスとし,“段落先頭行の行頭”及び“段落末尾行の行末”の仮想文字クラスを追加した.さらに,行中に配置するインライングラフィックも文字ではないので仮想文字クラスとして追加した.
5.8.2 文字クラスの削除・修正・追加
連数字中の文字(cl-24)
これは仮想文字クラスを作成することに伴うものではなく,現在,使用されていないことによる.
これまでの“欧文用文字”を文字と約物その他の2つに分割する.約物,記号等について,通常の文字とは配置方法が異なる場合があることによる.
5.8.3 文字クラスの変更に伴う用語定義の追加
仮想文字クラス 1文字若しくは複数の文字のまとまり(群)として,又は行中に挿入される画像として,その前後に配置する文字との字間処理及び2行にまわる分割を定義するために定めた群,及び文字ではないが,特定の位置における文字の前又は後ろの字間処理を定義するために定めた文字の配置位置.
親文字群 親文字及びそれに付随するルビ,添え字又は圏点を含めた文字のまとまり.
注 親文字群の説明は,文中で行っているが,用語定義に追加する方が明確になるので追加する.
合印群 1つの注の合印としての文字列のまとまり.
単位記号 距離,時間などをはかる基準となる量を表す“°”,“′”,“″”及び“℃”を除外したJIS Z 8000(量及び単位)に含まれる単位記号.
単位記号群 1つの単位記号としての1字又は複数の文字のまとまり.
縦中横群 1つの縦中横として処理される1字又は複数の文字のまとまり.
割注群 1つの割注として処理される文字のまとまり.割注を囲む括弧又は空きを含む.
インライングラフィック(inline graphic) 本文の一部として文字と文字との間に挿入された画像.(本文の追加や削除にともなって,本文と同じように移動する.)(JIS Z 8125)
分離禁止文字群 分離禁止文字(cl-08)に含まれる以下の文字を組み合わせた文字のまとまり.
注 分離禁止文字 分離禁止文字(cl-08)は,まとまりとしては仮想文字クラスを作成し,現行の分離禁止文字(cl-08)をいずれかの文字クラスに移動することも考えた.しかし変更は混乱を起こす可能性もあり,そのまま残し,別に文字の組合せを示して仮想文字クラスとした.なお,分離禁止文字のU+2014(―),U+2026(…),U+2025(‥)は,単独で用いられる場合も多く,分離禁止文字としての配置方法の記載も必要である.
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