縦書きと横書き #83
KobayashiToshi
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縦書きと横書き
#83
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縦書きと横書き
0 縦書きと横書きに対応したテキストの書き方
とりあえず,縦書きと横書きを変更する場合の問題点を書いてみました.
用語の説明:
縦向き:縦書きにおいて,ラテン文字やアラビア数字などを正常な向きで示す方法
横向き:縦書きにおいて,ラテン文字やアラビア数字などを時計回りに90度回転させ,横向きで示す方法
1 漢字と仮名
特に注意する事項はない
縦書きと横書きで,字形が異なる,あるいは,ボディ内の字面の位置が異なる文字があるが,組方向を指定すると,ほとんどのアプリケーションで,それぞれの組方向に従った文字に自動的に変換してくれる.
字形が異なる例 音引
ボディ内の字面の位置が異なる例 小書きの仮名,二の字点など
2 数式
数式が多いものは,縦書きにする必要性は少ない.
縦書きにする場合は,次の方法がある.
a 横向きにする.
b ボックスを作成し,その中に配置する.図版の処理と同じともいえる.
aが一般に採用されている.
3 ラテン文字
縦書きでラテン文字を扱う方法
a すべて横向きにする.
b すべて縦向きにする.
c 一部を縦向きにする.
例:1文字のラテン文字,大文字だけの頭字語
*小文字を含む頭字語は縦向きにする方法と横向きにする方法がある
*小文字を含む単語は,一般に横向きにするが,一部を縦向きにする方法がある.
aの方式であれば,縦書きと横書きに両方に対応が可能であるし,読むことは可能であるが,この方式にする例は,ほとんどない.
bとcは,何らかの対応が必要になる.
4 数字の使い方
4.1 数字の表記
数字表記は,細部で異なる事項もあるが,大きくは分けると,次の方式がある.いずれの方式にするかは著者又は編集者の方針による.一般的なテキストでアラビア数字を使用する場合はa,漢数字を使用する場合はdが選ばれることが多い.
a アラビア数字を使用し,単位語に万,億,兆等を使用する.
b アラビア数字を使用し,単位語は使用しないで,3桁ごとに区切りをいれる(区切りは,四分空ける方法と,コンマを使用する方法がある).
c 漢数字を使用し,十,百,千,万等の単位語を使用する.
d 漢数字を使用し,原則として十,百,千の単位語を使用しないが,万,億,兆等の単位語を使用する.
e 漢数字を使用し,単位語は使用しないで,3桁ごとに区切りをいれる(区切りは,読点を使用する).
縦書き・横書きに両方に対応した方法は,c, dである.
aのアラビア数字を使用した場合で,縦書きですべて横向きにする方法にすれば,両方に対応できる.これでも読めないわけではないが,採用している例はないといえよう.
aのアラビア数字を使用した場合で,縦書きにするときは,組版処理の段階で,例えば,以下の処理を自動的に行う必要がでてくる.
1桁 縦向きに文字を配置する(縦中横処理などで)
2桁 縦中横処理で縦向きに文字を配置する
3桁以上 1文字1文字単位で縦向きに文字を配置する
注記 “にさんにん”等の表記
dの方法では,一般に“二、三人”とするが,cの方針の場合,“にさんにん”の表記に“二三人”とする方法がある.
なお,“四日市市”,“五重の塔”,“五十歩百歩”などの固有名詞や慣用句などでは,横書きでも縦書きでも漢数字を使用する.また,慣行として横書きでも漢数字を使用する例には,化合物の名称(例:二酸化炭素,六価クロム)などがある.これらは,縦書きでも漢数字を使用するので,特に扱いに注意する必要はない.
横書きでの漢数字表記は,読者にいくらかの違和感を与える(読みにくいという意見がでる可能性はある)としても,誤解を与えるものではない.
縦書きでのアラビア数字は徐々に社会にも受け入れられている(多くの縦書きの新聞でもアラビア数字が使用されている).また,漢数字とアラビア数字の機械的な変換は簡単ではない.したがって,特に変更しないで,そのまま組方向を変換するという方法が現実的な対応であろう.
漢数字とアラビア進字の機械的な変換が難しいのは,現在のところ大方を納得させる確定した数字の表記法がないことも理由である.そのうえ,変換を行うためには,内容を考慮して行う必要がある.今後の課題であろう.
例 二、三百人,二三百人,2, 300人
4.2 小数点の表記
縦書きと横書きのいずれの場合でも,漢数字では,小数点に中点を使用するので,縦書きと横書きいずれの場合でも,そのままでよい.
アラビア数字を使用する場合,横書きでは小数点にピリオドを使用する.これに対し,縦書きでは,一般に数字を1文字1文字縦向きにし,小数点に中点を使用する.
したがって,これに対応する処理が必要になる.
横書きを縦書きに変える場合は,アラビア数字を横向きにすれば,縦書きでも,ピリオドのままでよい.しかし,縦書きを横書きに変える場合は,中点をピリオドに変える必要がある.
4.3 単位記号
数字には単位記号が付くことがある.次の方法がある.
a SI,つまりラテン文字などを使用する.上付きが付く場合がある
b 片仮名で“メートル”のようにする.
c 合字を使用する.例:㍍,㎜
縦書きでも横書きでも使用できる方法はbとc.ただし,cはスペースがない場合など,特別な場合に使用するが,一般の表記では避けた方が望ましい.
aは,縦書きでも,数字とともに,横向きにすれば,上付きを含めて使用できる.
bにすれば,縦書きでも横書きでも使用できるが,読みやすさを損なう恐れがあるので,単位記号が頻出しない一般書の場合に採用できる.理工学分野では,多くの種類の単位を使用するので,bは採用できないが,そのそも理工学分野は,縦書きにする必要性は少ないであろう.
4.4 化学式
ラテン文字やアラビア数字が使用される.以下に示した例は,縦書きでも,よく見掛ける.
例:CO2
縦書きでの方法
a 横向きにし,上付き数字を使用する.
b “2”を小さくしないで,そのままとする.
c “2”を小さくし,右に寄せる.
縦書きではcが多いが,右に寄せても,それは上付きとはいえない.
d “二酸化炭素”と表記を変える.
横書きでは,通常はaとするので,bとc方式の縦書きを横書きに変える場合は,変換が必要になる.
化学式を縦書きで扱う場合は,数式と同じように縦書きでは,次の方法がある.
a 横向きにする.
b ボックスを作成し,その中に配置する.図版の処理と同じともいえる.
aが一般に採用されている.
5 句読点
5.1 日本語文中の句読点
縦書きでは読点(、)と句点(。)を使う.
横書きでは,以下の3つの方式がある.
a 読点(、)と句点(。)を使う
b コンマ(,)と句点(。)を使う
c コンマ(,)とピリオド(.)を使う
a方式にすれば,縦書きと横書きに両方に対応が可能.
*“公用文作成の考え方(2022年,文化審議会建議)” (2021年)では,“句点には「。」(マル),読点には「、」(テン)を用いることを原則とする.横書きでは読点に「,」(コンマ)を用いてもよい.”となっている.したがって,今後は横書きの公用文などでも句点(。)と読点(、)の使用が増えていくと思われる.
*横書きの句読点としてコンマ(,)とピリオド(.)が選択されるのは,欧文やアラビア数字の使用が多い場合である.この場合,欧文やアラビア数字に伴う句読点と和文の句読点の整合性をとるために,和文に欧文用の句読点を使用するひとつの理由がある.
5.2 箇条書きの番号や見出しのラベル(番号)で使用する句読点
縦書きでは,箇条書きの番号の後ろに付ける場合の句読点は,読点が多い.
横書きでは,箇条書きの番号の後ろに付ける場合の句読点は,ピリドが多い.
縦書き,横書きの両方に対応するためには,箇条書きの番号の後ろに付けないで,全角アキ等にするとよい.
なお,横書きでは,箇条書きの番号の後ろにピリオドを付けた場合で,そのドキュメントを縦書きにする場合,ピリオドをそのままとする方法もあるが,望ましくないという人もいる.
横書きでは,見出しのレベルが複数の場合,番号の区切りにピリオドを用いたポイントシステムを採用する例がある.
例 5. 3. 1 原稿整理の方法
これを縦書きにする場合は,どうしたらよいのだろうか?
a そのまま縦書きにする.バランスがよくないであろう.
b ピリオドを中点などに変える
5.3 人名表記での省略符のピリオド
横書きでは,以下のような方式がある.
a フランクリン・D. ルーズヴェルト
b フランクリンD. ルーズヴェルト
c フランクリン・D・ルーズヴェルト
b H. C. アンデルセン
c H・C・アンデルセン
*一貫性から考えれば“H.・C.・アンデルセン”という方法も考えられるが,この方法は採用されていない.
cの中点のみを使用する方法にすれば,縦書きと横書きに両方に対応が可能.
なお,縦書きでは1字のラテン文字は,縦向きにする.
6 括弧類
6.1 縦書き,横書きで共通して使用される括弧類
「」『』()[]〈〉など.これらは,縦書き,横書きで共通して使用される.
縦書きと横書きで,これらの括弧の向きを変更しないといけないが,アプリケーションで,自動的に変更処理される.
6.2 縦書き,横書きで異なる括弧類
主に縦書きで使用される括弧類
ダブルミニュート〝〟
主に横書きで使用される括弧類
コーテーションマーク(シングル) `’
コーテーションマーク(ダブル) “”
コーテーションマークは,かぎ括弧(「」『』)とほぼ同じ用法として使用される場合と,コーテーションマーク(ダブル)は,ある種の強調として使用される場合がある.後者は,かぎ括弧に変更できない.
ダブルミニュート(〝〟)には,かぎ括弧(「」『』)とは別にある主の強調を示す方法として使用される.
以下のように,コーテーションマークやダブルミニュートを使用しない方法と,使用するが,縦書きと横書きとで機械的に変換する方法がある.
a コーテーションマークやダブルミニュートを使用しない方法
コーテーションマークは,かぎ括弧(「」『』)とほぼ同じ用法のものは,コーテーションマークに変え,かぎ括弧(「」『』)を使用する.
ある種の強調としてのコーテーションマーク(ダブル)は,山括弧(〈〉)または二重山括弧(《》)を使用する(山括弧も強調を示す方法として使用できる)
b 横書きでのある種の強調に限定してコーテーションマーク(ダブル)を使用し,縦書きのある種の強調に限定してダブルミニュートを使用する.そのうえで,横書きと縦書きを変更する場合は,機械的にコーテーションマーク(ダブル)とダブルミニュートを変換する.
なお,縦書きにおいて,ラテン文字などと組合せてコーテーションマークを使用する場合,ラテン文字と合せてコーテーションマークも横向きに配置する.
また,ダブルミニュートを横書きで使用する例も少ないがある.ただし,その配置の向きをどうするか複数の考え方がある.それだけ扱いが厄介ということである.
7 圏点
縦組では,一般に﹅(U+FE45,ゴマ点という)を使い,横組では,一般に●(U+25CF)を使う.
したがって1種類の圏点だけ使用している場合(このケースが多い)に組方向の変換を行うときは,それぞれのものに変換するのが望ましい.
この場合は,縦書きでも●(U+25CF)は使用できるので,縦書きと横書きに対応できる.
2種類以上の圏点を使用する例は,最近は多くない(明治時代のものには例が多い).2種類以上の圏点を使用している場合,﹅(U+FE45)や白ゴマ(U+FE46)を使用しているときは,これらを変えるか,変えないか決めて処理する必要がある.
なお,圏点を配置する位置は,縦組の場合は右側,横組の場合は上側に付けるのが原則である.いずれも行送り方向では先頭側になる.
8 数学記号
+,-,÷,×などの演算記号は,縦組では,縦向きにする方法と,横向きにする方法がある.
したがって,横書きから縦書きに変換する場合は,どちらにするか選択する必要がでてくる.
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