Mozkey v0.7.6
Pre-releaseMozkey(もずきー)
Mozkey v0.7.6 の主な改善点は次のとおりです。
- ライブ変換中のサジェスト操作改善: ライブ変換中でもサジェスト候補を補助的に表示し、Tab などの候補選択キーで予測候補を選択できるようにしました。
- Windows 候補表示の外観カスタマイズ拡張: 候補ウィンドウ、サジェストウィンドウ、ライブ変換中のルビ表示について、配色・サイズ・角丸・透明度・影などを細かく調整できるようにしました。既存のフォント設定も含め、表示種別ごとの外観設定として整理しています。
- 初回変換操作の候補ウィンドウ表示設定: ライブ変換 OFF 時に、Composition モードの初回変換操作で、第 1 候補を維持したまま候補ウィンドウを表示できる設定を追加しました。Space 以外のキーに通常変換を割り当てている場合にも有効です。
- Zenz 補正を Space で通常変換候補へ戻した後の状態遷移改善: Zenz 補正表示中に Space で Mozc 通常変換候補へ戻した後、次の Space は通常変換の候補操作として扱い、次の文字入力では戻した通常変換候補を確定して新しい入力を開始するようにしました。
- Zenz feedback learning の見直し: 通常操作由来の rejected feedback を「強い抑止」ではなく「順位を下げる ranking signal」として扱うようにしました。
- 確定学習ポリシーの整理: 変換キャンセル後にひらがなで確定した場合や、句読点・記号で単打確定した場合の学習を整理し、ユーザーの表記選好をより正確に反映するようにしました。
- TSF fallback の改善: 一部アプリケーションで再変換用テキストを取得できない場合の fallback を改善し、Henkan / Space が無反応になるケースを減らしました。
- About 表示の整理: Mozkey のリリース番号と Mozc の内部ビルド番号を分けて表示するようにしました。
概要
v0.7.6 では、主に次の領域を更新しました。
1. ライブ変換中のサジェスト表示と予測候補選択
2. Windows 候補表示 UI の外観カスタマイズ
3. ライブ変換 OFF 時の初回変換操作
4. Zenz 補正候補を採用しなかった場合の状態遷移と feedback learning
5. 変換キャンセル後・句読点確定後の学習ポリシー
6. TSF / TIP まわりの IME ON/OFF と再変換 fallback
7. About 画面のバージョン表示
ライブ変換を使う場合は、入力中にサジェスト候補を確認しやすくなりました。
ライブ変換を使わない場合は、初回変換時に第 1 候補のまま候補ウィンドウを開けるようになり、通常変換の候補確認がしやすくなりました。
Zenz 補正まわりでは、Space で通常変換候補へ戻した後の状態遷移と、feedback learning の扱いを整理しました。
また、Windows 版では候補ウィンドウ、サジェストウィンドウ、ルビ表示の外観設定を拡張しました。
1. ライブ変換中のサジェスト操作改善
ライブ変換中でも、サジェスト候補を補助的に表示し、選択できるようにしました。
ライブ変換中
↓
サジェスト候補を補助的に表示
↓ Tab などの候補選択キー(キー設定に準拠)
サジェスト候補を選択
従来は、ライブ変換中はライブ変換結果とルビ表示が中心で、サジェスト候補の利用は限定的でした。
v0.7.6 では、ライブ変換を維持したまま、補助的なサジェスト候補を表示できるようにしました。
このサジェスト表示は、通常の変換候補選択状態とは分けて扱われます。
ライブ変換:
現在の入力全体を変換・補正する
サジェスト:
入力途中の候補を先回りして提示する
v0.7.6:
ライブ変換中でも、補助的にサジェスト候補を表示する
表示されているだけでは通常の候補選択状態には入りません。Space や Down は従来どおり、通常変換候補へ進む操作として扱われます。(キー設定の変更により、Down をサジェストの候補選択にすることも可能です)
一方で、Tab などの予測変換用キーを押すと、キー設定に応じてサジェスト候補を選択できます。
主な影響:
- ライブ変換 ON の状態でもサジェスト候補を確認しやすくなります
- ライブ変換中に Tab などで予測候補を選びやすくなります
- Space / Down は通常変換候補へ進む操作として維持されます
- Zenz ライブ補正中でも、サジェスト候補表示を維持しやすくなります
2. Windows 候補表示の外観カスタマイズ拡張
Windows 版の候補表示 UI について、外観カスタマイズ項目を拡張しました。
従来は候補ウィンドウのライト / ダーク切り替えやフォント設定が中心でした。
v0.7.6 では、次の表示を分けて設定できるようにしました。
候補ウィンドウ
サジェストウィンドウ
ライブ変換中のルビ表示
設定可能な項目の例:
ライト / ダーク / カスタム配色
背景色
文字色
選択行の色
枠線
表示サイズ
角丸
透明度
影の広がり
影の濃さ
影の方向
影の角度
影の距離
フォント
フォントサイズ
既存のフォント設定も含め、候補ウィンドウ・サジェストウィンドウ・ルビ表示それぞれの外観設定として整理しました。
候補ウィンドウ:
通常変換の候補一覧
用例表示
サジェストウィンドウ:
予測候補
サジェスト候補
ルビ表示:
ライブ変換中に表示される補助的な読み・変換表示
暗めの背景で使う場合、候補の選択行を強調したい場合、ルビ表示を控えめにしたい場合などに調整できます。
表示種別ごとの設定
内部的には、候補表示の種類に応じて appearance bucket を分けています。
変換候補・用例表示:
候補ウィンドウ設定
予測・サジェスト表示:
サジェストウィンドウ設定
ライブ変換中のルビ表示:
ルビウィンドウ設定
PREDICTION と SUGGESTION は、ユーザー視点ではどちらもサジェスト系表示として認識されやすいため、サジェストウィンドウ設定を使います。
候補ウィンドウ、用例ウィンドウ、ルビウィンドウには透明度と shadow window が適用されます。角丸、影の広がり、影の距離は論理ピクセルとして扱われ、描画時に DPI に応じてスケーリングされます。
後方互換
既存の use_dark_mode_candidate_window は削除せず、後方互換用に残しています。
新しい候補ウィンドウ配色テーマが保存されていない場合は、従来の dark mode 設定からライト / ダークを決定します。保存時には、新しい候補ウィンドウ配色テーマに合わせて従来設定も同期します。
これにより、既存設定を持つ環境でも、アップデート後に従来の dark mode 設定を引き継ぎます。
3. 初回変換操作の候補ウィンドウ表示設定(ライブ変換 OFF 時の設定追加)
ライブ変換 OFF 時に、Composition モードの初回変換操作で、第 1 候補を維持したまま候補ウィンドウを表示できる設定を追加しました。
従来の通常変換では、未確定文字列で Space を押すと第 1 候補を選択した変換状態には入るものの、候補ウィンドウは表示されませんでした。
候補一覧を表示するには、もう一度 Space を押す必要がありました。
一方で、最初から ConvertNext 相当の操作にすると、候補ウィンドウは表示されますが、第 2 候補へ進んでしまいます。
v0.7.6 では、初回の Convert 成功後に候補リストの表示状態だけを有効にすることで、第 1 候補のまま候補ウィンドウを表示できるようにしました。
この挙動は物理 Space キーだけに限定しません。
Space 以外のキーに通常変換、つまり Convert コマンドを割り当てている場合でも、Composition モードから初回 Convert で通常変換に入る場面で同じように候補ウィンドウを表示します。
対象:
Composition モードからの初回 Convert 操作
対象例:
Space に Convert を割り当てている場合
Space 以外のキーに Convert を割り当てている場合
対象外:
ConvertNext
すでに変換中の次候補移動
ライブ変換 ON 時の既存 Space 操作
新しい設定:
show_candidate_window_on_initial_conversion
設定 ON の挙動:
入力
↓ 初回 Convert
第1候補のまま候補ウィンドウを表示
↓ 次の候補操作
次候補へ移動
設定 OFF の挙動:
入力
↓ 初回 Convert
従来どおり通常変換に入る
候補ウィンドウはまだ表示しない
この設定はライブ変換 OFF 時の通常変換向けです。
ライブ変換 ON の場合は、UI 上も無効化され、session 側でも無視されます。ライブ変換中は、既存の Space 操作が優先されます。
初回変換操作で第 1 候補に入った時点で候補一覧も表示することで、候補を見比べたい場合や、すぐに別候補を選びたい場合の操作を減らせます。
4. Zenz 補正を Space で通常変換候補へ戻した後の状態遷移改善
Zenz 補正表示中に Space を押した場合の状態遷移を整理しました。
この操作は、Zenz 補正を単にキャンセルして入力途中へ戻る操作ではなく、Zenz 補正候補を採らずに、Mozc の通常変換候補へ切り替える操作として扱います。
Zenz 補正結果を表示
↓ Space
Zenz 補正候補を採用せず、Mozc 通常変換候補へ戻す
これまでも、Zenz 補正表示中に Space を押すと、表示上は Zenz 補正前の Mozc 通常変換結果へ戻っていました。
ただし内部的には live conversion の状態が残っていたため、その後に文字入力を続けた場合、戻した変換結果を確定して次の入力へ進むのではなく、同じ未確定文字列を伸ばすような挙動になる場合がありました。
v0.7.6 では、Zenz 補正表示中の装飾キーなしの Space を候補変更操作として扱い、Zenz 補正を剥がした後の状態を live conversion ではなく通常変換状態にします。
Zenz 補正結果
↓ Space
Mozc 通常変換候補へ戻る
- Zenz 補正は採用しない
- Mozc 通常変換セグメントは維持する
- 候補ウィンドウはまだ開かない
- 通常変換結果を preedit として表示する
この状態から、さらに文字入力を続けた場合は、戻した Mozc 通常変換結果を確定してから、新しい入力を開始します。
Zenz 補正結果
↓ Space
Mozc 通常変換候補へ戻る
↓ 次の文字入力
戻した Mozc 通常変換候補を確定
↓
新しい文字だけで次の preedit を開始
一方、Zenz 補正を剥がして Mozc 通常変換候補へ戻った後に、もう一度 Space を押した場合は、通常変換中の操作として従来どおり候補ウィンドウを開き、次候補へ進みます。
Zenz 補正結果
↓ Space
Mozc 通常変換候補へ戻る
↓ Space
候補ウィンドウを開き、次候補へ進む
この変更により、Zenz 補正候補を採用しなかった場合でも、Mozc の通常変換候補へ戻した状態から候補操作を続けられます。
また、Space で Zenz 補正を剥がした後に文字入力を続けた場合は、戻した通常変換結果を確定してから次の入力へ進みます。
内部的には、次のような処理に整理しています。
Zenz 補正を rejected feedback として pending にする
live conversion 状態を終了する
converter の通常変換セグメントは維持する
候補ウィンドウは非表示のままにする
Mozc 通常変換結果を preedit として表示する
次の文字入力で既存変換を確定し、その直後に pending Zenz feedback も確定する
Zenz 補正表示中の Space は、「補正を取り消して入力途中へ戻る」操作ではなく、「今回は Zenz 候補を採らず、Mozc の通常変換候補へ戻す」操作として扱うようにしました。
5. Zenz feedback learning の見直し
Zenz feedback learning の rejected feedback の扱いを見直しました。
これまでは、表示中の Zenz 補正から Space や候補移動などで通常変換へ移った場合、その Zenz 候補が強く rejected 扱いされやすく、1 回戻しただけでも候補が出にくくなりすぎる可能性がありました。
v0.7.6 では、Zenz feedback を accepted / rejected の単純な二値判定ではなく、score として扱います。
追加された score 情報:
positive_score
negative_score
total_score
hard_rejected
基本方針:
accepted feedback
候補順位を上げる
通常操作由来の rejected feedback
候補を削除せず、順位を下げる
explicit hard reject reason
強い抑止として扱う
通常変換候補への再利用
先頭固定 promotion ではなく、cost-aware な ranking として扱う
rejected reason ごとの扱い:
space_revert_zenz_to_mozc:
弱い negative signal
predict_after_zenz:
やや弱い negative signal
explicit_conversion_after_zenz:
中程度の negative signal
legacy / unknown reject reason:
中程度の negative signal
hard_reject 系 reason:
明示的な hard reject
hard reject reason:
hard_reject
user_hard_reject
manual_hard_reject
explicit_hard_reject
通常の Space revert は hard reject ではありません。
Zenz 補正表示中に Space を押す操作は、「この候補を今後使わない」という意味に限定されません。通常の Mozc 候補を見たい場合や、今回は別候補を選びたい場合もあります。
そのため、1 回の Space revert や候補移動を hard rejection として扱わず、候補集合の中で順位を調整する signal として扱うようにしました。
通常変換候補への再利用も見直しました。
従来:
accepted feedback を先頭候補として強く promotion しやすい
v0.7.6:
feedback score に基づいて ranking する
既存候補がある場合は feedback-adjusted cost で位置を再計算する
既存候補がない場合は synthetic candidate を作り、自然な位置へ挿入する
Zenz feedback candidate が実際に 0 番になった場合だけ BEST_CANDIDATE を移す
0 番にならない場合は既存の Mozc top candidate を維持する
効果例:
- Zenz 補正を採用すると、その候補は次回以降出やすくなります
- Zenz 補正表示中に Space で通常変換へ戻しても、その候補は即座には強く抑止されません
- Space revert は「今回は通常候補を見た」という弱い negative feedback として扱われます
- accepted feedback が増えると、候補順位は上がりやすくなります
- accepted された候補でも、常に第 1 候補を奪うわけではありません
- 明示的な hard reject reason がある候補だけは強く抑止されます
6. 確定学習ポリシーの整理
v0.7.6 では、変換キャンセル後や句読点・記号による単打確定後の学習ポリシーを整理しました。
対象は主に、変換後にキャンセルしてひらがなへ戻し、そのまま確定する操作です。
きょう
↓ Space
今日
↓ Cancel
きょう
↓ Enter
きょう
このような操作は、「漢字候補ではなく、ひらがな表記を選んだ」操作として扱ったほうが実際の入力意図に近いとみなし、学習対象にしました。
6.1 変換キャンセル後にひらがなで確定した場合の学習
変換中に Esc / Ctrl+Z などでキャンセルしてひらがなへ戻し、そのまま確定した場合、そのひらがな表記を明示的に選ばれた候補として学習するようにしました。
例:
きょう
↓ Space
今日
↓ Cancel
きょう
↓ Enter
きょう
この場合、次の表記選好をユーザーセグメント履歴へ反映します。
きょう -> きょう
これは、ユーザーが F6 でひらがな候補を明示選択して Enter 確定した場合に近い扱いです。
6.2 複数文節キャンセル後の学習を文節単位に近づける
複数文節に分かれていた変換をキャンセルした場合は、キャンセルによって文節情報が消える前に、変換中に見えていた文節 key を snapshot します。
例:
おつかれぺん
↓ Space
お疲れ | ペン
↓ Cancel
おつかれぺん
↓ Enter
おつかれぺん
この場合、ひらがな全体を 1 件として学習するのではなく、可能な限り文節単位の表記選好として学習します。
おつかれ -> おつかれ
ぺん -> ぺん
これにより、サジェスト履歴だけでなく、通常変換の文節単位の順位にも、ひらがな表記の選択が反映されやすくなります。
6.3 学習対象は意図的に絞る
副作用を避けるため、対象条件を限定しています。
対象条件:
Cancel 後の preedit が編集されていない
key と value が同一
2 文字以上のひらがな
password field ではない
Enter で直後に確定された
Commit → IMEOff で直後に確定された
IMEOff / MakeSureIMEOff で直後に確定された
句読点・記号の単打確定で直後に確定された
対象外:
通常の未変換 Enter
Cancel 後に編集した文字列
1 文字だけのひらがな
ひらがな以外の文字列
password field
すべてのひらがな確定を学習対象にすると、副作用や意図しない候補順位変化につながる可能性があります。v0.7.6 では、条件を満たすケースに限定して学習します。
6.4 句読点・記号の単打確定後の保留学習
句読点・記号の単打確定による学習は、次の実テキスト入力まで保留されるようにしました。
Backspace / Escape / Ctrl+Z などの Cancel 相当キー、Revert、Reset、Undo は、直後の修正操作として扱い、保留学習を破棄します。
一方、IMEOff / MakeSureIMEOff は取り消しではなく、確定後のモード変更として扱います。IMEOff / MakeSureIMEOff によって保留学習は破棄されず、確定扱いになります。
例:
きょう
↓ Space
今日
↓ Cancel
きょう
↓ .
きょう。
画面上は句読点・記号を含めて確定されます。
きょう。
ただし、強いひらがな表記選好として学習する対象は、句点込みの きょう。 ではなく、キャンセル直後のひらがな本体 きょう です。
学習対象:
きょう -> きょう
学習対象ではない:
きょう。 -> きょう。
また、句読点・記号の単打確定直後に Ctrl+Z などがアプリケーションへ echo back される場合でも、Mozkey 側の保留学習を破棄します。実際に画面上の文字列が取り消されるかどうかは、アプリケーション側の Undo 挙動に任せます。
6.5 stale result による確定文字列上書きの防止
EngineConverter::Reset() で、stale な result_ が直接確定文字列を上書きしないように修正しました。
これにより、以前の CommitPreedit() が残した古い結果が、句読点・記号の単打確定で作った直接確定文字列を上書きすることを防ぎます。
この修正により、確定文字列と学習対象の対応がずれにくくなります。
7. TSF / TIP / 再変換 fallback の改善
一部の TSF クライアントで、再変換用テキストを安定して取得できない場合の fallback を改善しました。
この変更は大きく 2 つあります。
選択文字列なしの再変換要求で IME ON 状態が戻る問題の修正
再変換用テキストを取得できない TSF クライアントでの fallback 修正
7.1 選択文字列なしの再変換要求で IME ON 状態が戻る問題を修正
MS-IME 風キー設定で、次のような運用をしている場合があります。
無変換 -> IMEOff
変換 -> IMEOn
この状態で、無変換 -> 変換 の後、カーソル移動や focus/context 更新によって IME が再び無効状態へ戻ることがありました。
原因は、Muhenkan で IME を OFF にした直後、Mozc server state が DirectInput になる点にあります。この状態で Henkan を押すと、Precomposition Henkan IMEOn ではなく、既存の DirectInput Henkan Reconvert が実行されます。
選択文字列がない場合、従来は TipInputModeManager の内部状態だけを ON にしており、Mozc server state と TSF の open/close compartment が OFF のまま残っていました。そのため、次の focus/context 更新で TSF 側の OFF 状態が再読込され、IME が無効状態に戻っていました。
v0.7.6 では、選択文字列なしの再変換要求で IME が OFF の場合、内部状態だけを更新するのではなく、TURN_ON_IME を通常の session path に送るようにしました。
これにより、Mozc server state と TSF open/close compartment が同期されます。
従来:
TipInputModeManager の内部状態だけ ON
Mozc server state / TSF compartment は OFF のまま
↓
focus 更新で OFF に戻ることがある
v0.7.6:
TURN_ON_IME を通常の session path へ送る
Mozc server state / TSF compartment も同期
7.2 再変換用テキストを取得できない場合の fallback
一部の TSF クライアントでは、再変換用の surrounding text / selected text を取得できない場合があります。
このとき従来は、変換キーや Space が何も起こさない問題がありました。
具体例:
IME OFF 状態で Henkan を押しても IME ON にならない
IME ON 状態で Space を押してもスペース入力されない
v0.7.6 では、次の fallback を追加しています。
DirectInput Henkan -> Reconvert
再変換用テキストを取得できない場合
何もせず失敗するのではなく TURN_ON_IME に fallback
ReconvertSelectionOrInsertSpace
再変換用テキストを取得できない場合
Space を consume して何もしないのではなく
server-generated InsertSpace fallback を適用
選択文字列を取得できる通常の再変換経路は維持しています。
この修正では keymap や preserved key は変更していません。キー配送ではなく、再変換用テキストを取得できない場合の fallback 処理を修正しています。
8. About 表示の整理
About 画面で、Mozkey のユーザー向けリリース番号と、内部的な Mozc ビルド番号を分けて表示するようにしました。
Mozkey ビルドでは、次のように表示します。
v0.7.6
Build 3.33.6152.100
これにより、ユーザー向けの Mozkey リリース番号と、内部的な Mozc / MSI のバージョン番号を区別しやすくなります。
Google 日本語入力ビルドでは、従来どおり Mozc build number を中心とする表示形式を維持します。
変更内容:
src/version.bzl に Mozkey のユーザー向けリリース番号を追加
生成される version 定義に Mozkey リリース番号を追加
Version::GetMozkeyReleaseVersion() を追加
About 画面で Mozkey リリース番号と Mozc ビルド番号を分けて表示
Google 日本語入力ビルドの表示形式は変更しない
変更内容一覧
- ライブ変換中でもサジェスト候補を補助的に表示できるように修正
- ライブ変換中の Tab などによるサジェスト候補選択を改善
- ライブ変換中サジェストの状態管理を整理
- Windows 候補ウィンドウの外観カスタマイズを追加
- Windows サジェストウィンドウの外観カスタマイズを追加
- ライブ変換中のルビ表示の外観カスタマイズを追加
- 候補表示 UI の配色、サイズ、角丸、透明度、影などの設定項目を追加
- 既存のフォント設定を表示種別ごとの外観設定として整理
- 候補・サジェスト・ルビ表示の appearance bucket を分離
- 既存 dark mode 設定との後方互換を維持
- ライブ変換 OFF 時、初回の
Convert操作で第 1 候補を維持したまま候補ウィンドウを表示できる設定を追加 - 初回候補ウィンドウ表示の条件を、物理 Space キー限定ではなく Composition モードの初回
Convertコマンドに一般化 - 設定名を
show_candidate_window_on_initial_conversionに整理 - Space 以外のキーに通常変換を割り当てている場合でも、初回変換時に候補ウィンドウを表示できるように修正
- ライブ変換 ON 時は初回変換候補ウィンドウ表示設定を無効化
- Zenz 補正から通常変換候補へ戻した後の入力状態遷移を整理
- Space revert 後の追加文字入力時に、戻した通常変換結果を確定してから次の入力へ進むように修正
- Space revert 後の次の Space を通常変換の候補操作として扱うように整理
- Zenz feedback learning の rejected feedback を ranking signal として扱うように変更
- 通常操作由来の rejected feedback が候補を強く抑止しすぎる問題を緩和
- explicit hard reject reason のみを強い抑止として扱うように整理
- feedback score に基づく ranked candidate selection を追加
- 変換キャンセル後にひらがなで確定した場合の表記選好学習を整理
- 複数文節キャンセル後のひらがな確定を、可能な限り文節単位で学習するように修正
- 句読点・記号の単打確定後の保留学習を整理
- Backspace / Escape / Ctrl+Z / Revert / Reset / Undo による直後修正では保留学習を破棄
- IMEOff / MakeSureIMEOff は取り消しではなく確定後のモード変更として扱うように整理
- 句読点・記号込みの確定文字列ではなく、キャンセル直後のひらがな本体を学習対象にするように修正
EngineConverter::Reset()で stale result が直接確定文字列を上書きしないように修正- 選択文字列なしの再変換要求で IME ON 状態が TSF と同期されない問題を修正
- TSF クライアントで再変換用テキストを取得できない場合の fallback を改善
DirectInput Henkan -> Reconvertでテキスト取得に失敗した場合、TURN_ON_IMEに fallbackReconvertSelectionOrInsertSpaceでテキスト取得に失敗した場合、InsertSpacefallback を適用- Henkan / Space が一部アプリケーションで無反応になるケースを緩和
- About 画面で Mozkey リリース番号と Mozc 内部ビルド番号を分けて表示
- Mozc
BUILD_OSSを6151から6152に更新
Zenz / オフライン動作
この MSI は、これまでと同様にローカル Zenz 補正用の runtime と GGUF model を同梱したパッケージです。
同梱内容の例:
mozc_zenz_scorer.exellama-server.exemodels\zenz-v3.2-small-Q5_K_M.gguf- third-party license notices
Zenz runtime は localhost の llama-server.exe を使うローカル推論用の構成であり、外部サーバーへ入力内容を送信する目的のものではありません。
インストール
通常の 64-bit Windows では以下を使用してください。
Mozkey_v0.7.6_x64.msi
既存の Mozkey がインストールされている環境では、通常の MSI インストールによる更新を想定しています。
内部的には、v0.7.0 以降と同じ UpgradeCode を維持しています。
ProductVersion : 3.33.6152.100
ProductCode : {AD01F91C-A501-4C94-AC58-EAED465950B6}
UpgradeCode : {DD94B570-B5E2-4100-9D42-61930C611D8A}
TSF / COM registration identifiers は維持しています。
アップデート後に Windows Installer が 3010 を返す場合があります。これは再起動要求を表します。
その場合は、再起動後に Mozkey を使用してください。
File information
Mozkey_v0.7.6_x64.msi
Size : 112,717,824 bytes
SHA256 : C373B0822F104815B937D697BFE6B2A34185C5AE158AF32F9BE550522F8745FE
Build information
release : v0.7.6
tag : v0.7.6
commit : a8b4e5947
installer : Mozkey_v0.7.6_x64.msi
Mozc BUILD_OSS : 6152
ProductName : Mozkey
ProductVersion : 3.33.6152.100
ProductCode : {AD01F91C-A501-4C94-AC58-EAED465950B6}
UpgradeCode : {DD94B570-B5E2-4100-9D42-61930C611D8A}
Manufacturer : koyasi777
Validation
Build / package
- Windows
packagebuild passed from latestmain //config:config_handler_testpassed//session:session_testpassed- MSI package was created
- MSI file size checked
- MSI SHA256 checked
- MSI metadata checked
- MSI administrative extract passed
- extracted
mozc_server.exewas present - extracted
mozc_tool.exewas present - extracted
mozc_renderer.exewas present - extracted
mozc_tip32.dllwas present - extracted
mozc_tip64.dllwas present - extracted
mozc_broker.exewas present - MSI
ProductVersionwas3.33.6152.100 - MSI
ProductCodewas{AD01F91C-A501-4C94-AC58-EAED465950B6} - MSI
UpgradeCoderemained{DD94B570-B5E2-4100-9D42-61930C611D8A}
Upgrade install
- v0.7.5 から v0.7.6 への通常 MSI upgrade install passed
- installer returned
3010 - reboot completed
- installed registry version became
3.33.6152.100 - installed ProductCode became
{AD01F91C-A501-4C94-AC58-EAED465950B6} - HKLM TIP registration remained present
Get-WinUserLanguageListに Mozc TIP が残っていることを確認FindRelatedProductsdetected v0.7.5 ProductCode{E65D87FA-0C18-4C82-9D9D-30F7ACA0F410}RemoveExistingProductswas executed for the old v0.7.5 productRegisterTIP64returned1EnableTipProfilereturned1Return value 3was not observed- final installer status was
0 - reboot 後、Mozkey の入力方式登録が残っていることを確認
- reboot 後、インストール済み主要 binary が v0.7.6 MSI payload と一致することを確認
Installed binary hash check
The following installed files matched the extracted v0.7.6 MSI payload.
mozc_server.exe : matched
mozc_tool.exe : matched
mozc_renderer.exe : matched
mozc_tip64.dll : matched
mozc_tip32.dll : matched
mozc_broker.exe : matched
Installed binary hashes
mozc_server.exe
SHA256 : 52A69AE93524821D0603E8009B3AEE1FB758AE82AD86DF04FBADBD41687D7568
mozc_tool.exe
SHA256 : CB4FBB8A0EB7806493678F11428F08D68DD3B616CA1BE9489168EC494A10A3A1
mozc_renderer.exe
SHA256 : B8FAB6866B1DAE27B3C1EE43E46D7E68E4144E5B29EAFF9ED853D9B41CE4C222
mozc_tip64.dll
SHA256 : 215079D99CFD84C251C7CC32AA56ACD6AFB200A0CBF02DE625DD4056F29A34A6
mozc_tip32.dll
SHA256 : 8FAA10830759BA95F89C46F59AD2FAD7280A78F3FA9919A9C1F04B6BCA1CDCD1
mozc_broker.exe
SHA256 : D059D4A1B0B9B17DFBC0AC5762847999A226874980623299A5451308C9945628
Notes
このビルドは google/mozc の公式配布物ではありません。
個人用 fork の experimental / pre-release build です。
MSI は署名されていないため、Windows の警告が表示される場合があります。
Zenz 同梱版は、ローカル推論 runtime と GGUF model を含むため、MSI のファイルサイズが大きくなります。
Zenz runtime は localhost の llama-server.exe を使うローカル推論用の構成であり、外部サーバーへ入力内容を送信する目的のものではありません。