4 読みやすさ,アクセシビリティと視覚効果 #110
KobayashiToshi
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jlreq-d-drafts
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これに「読者がテキストの流れを見失わない」を追加しませんか?「9.1_行間 #126」の方で行取りに関連して書いたのですが、次のような記述です:
これは「縦組で可変数の段組み #77」にあった、次の要求も該当します:
従来の紙の本ではあまり問題にならなかったと思います。しかし、特に、スマホでWebを見てると「広告の後に本文が続きます」といった表示をよく見かけます。広告の中には本文を装って「続きはこちら」と誘導するものすらあります。 |
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4 読みやすさ,アクセシビリティと視覚効果
4.1 日本語組版の読みやすさ
ドキュメントの読みやすさは,組版を行う際に最も重視しないといけない要素である.しかし,その評価は簡単ではない.ここではいくつかの課題を示すことにする.なお,ドキュメントの読みやすさは,書かれている内容の難易度,説明の順序や構成のあり方(目次の構成),ナビゲーションの方法なども大きく影響する.ここでは,これらのことは除外し,主に文字をいかに配置するかという点に限定する.
なお,行長と行間は,特に読みやすさへの影響が多きいので,その点についても触れておく.
4.1.1 読みやすさの評価のむつかしさ
読みやすさの評価は,以下のような問題もあり,簡単ではない.
4.1.2 印刷とモニタに表示されたドキュメント
印刷されたドキュメントとモニタに表示されたドキュメントの読みやすさは,どう異なるか.
印刷されたドキュメントについては,これまでの実務経験から,いくつかのことが指摘されている.そうしたことは,モニタに表示されたドキュメントで,どの程度が有効であり,異なってくるのかを問題として考えていく必要があるが,不明の事項も多い.
小林潤平さんが慶應義塾大学SFC研究所から公開されている“日本語書記技術WG報告書”(2019年3月31日)
https://www.aplab.jp/_files/ugd/eb8538_e921485ff03b4900aff942b28019d9f4.pdf
に“読み効率を高める日本語電子リーダー設計の試み”という論文を発表している(ここから,さらに元の論文にたどることができる).
こうした取り組みとともに,実務の世界では日々考えていく必要がある.
41.3 検討する必要があるいくつかの事項
読みやすいフォント 印刷物,特に長文のドキュメントでは明朝体が読みやすいといわれている.それは,明朝体では,ほどよいアクセントがあり,語句の区切りがない日本語組版で,漢字と仮名の曲線の違いや字面のサイズの違いにより漢字が目立ち,語句が認識しやすという点があることが指摘されている.この考えはモニタの場合にあてはまるか,そうでないとすると,どう考えたらよいのか,特に長文のドキュメントをモニタで読む場合に,何が望ましいか,考えていく必要がある.
文字サイズ 文字サイズはモニタの大きさも影響する.小さいサイズのモニタでは,一定の分量のテキストを表示するためには文字サイズも小さくしないといけない.また,画面との距離も問題となる.モニタに近づくことができれば,ある程度は文字サイズは小さくできる.なお,印刷物では,ある程度の読みやすい文字サイズという共通の認識はあった.これに対し,モニタでは,表示の文字サイズは変更できるので,読者が選択できればよいということでよいのか.その際に問題となるのは,表示できるテキストの分量とのバランスもあり,このことを考慮し,さらに画面サイズに応じた選択の方法を考える必要はないのか.前述したように読者は努力して読んでしまうので,与えられたものを変えることはしないことが多い.そこでどのような選択肢を示したらよいのか,その方法を考える必要がある.
1行に配置する字数(行長) 1行に配置する字数(行長)は,読みやすさに大きく影響する.行長が可変の場合の行長の制御はどうあるべきか.最短の行長,最長の行長が設定できるようにする必要はないか.また,行長が長すぎる場合は,余白を大きくする,あるいは段組にするという制御方法は考えられないか.わしくは後述する.
行間の大きさ 日本語組版では行間が読みやすさに大きく影響する.この行間は,行長にもよる.印刷物の場合,行間の大きさ(1ページに配置する行数)はページ数に影響するので,ある意味で理想というよりは妥協の結果として採用される行間とする例も多い.したがって,必ずしも理想の行間ではないともいえる.モニタでは,ある意味で読みやすさに最適な行間を考えることが可能になったともいえる.それでは,モニタでは,どの程度の行間が望ましいのか.また行長が可変の場合,その行長にあった行間に変更する処理は考える必要はあるのか.くわしくは後述する.
単語または文節区切り 印刷物では児童書など特別な場合を除外し,単語または文節区切りを行うことはない.モニタに表示する場合,単語または文節区切りが実現できる選択肢を作成することは必要か(単語または文節区切りの場合,通常,行そろえは行頭そろえとなる).また,単語または文節区切り,あるいはその他の方法を含めて,読みやすさにどのように影響するか検討する必要がある.
段落の区切り 段落の区切りをしっかり示すことは,読むやすさに大きく影響する.印刷物に多く採用されている段落の先頭行を1字下げることでよいのか,その他の方法も含めて,読みやすさの影響を考えていく必要がある.
見出しの表示方法 見出し,特に小見出しは印刷物では,いろいろと工夫してきた.こうした方法はモニタに表示するドキュメントでは,どこまで有効か.モニタに表示する見出し,特に小見出しの表示方法は考えていく必要がある.
その他 行中における強調の方法はいくつかの方法がある.その効果は,印刷物とモニタでは同じか,異なるか.それぞれの方法の効果を考える必要がある.また,印刷物では費用の点でカラーの使用は制限があった.デジタルテキストでは制限が少ない.特に読ませる目的のテキストについての地色と文字の配色は,読みやすさの面から考えていく必要がある.
4.2 読みやすい段落の行長
4.2.1 行長を示す方法
行長を示す方法としては,次の2つがある.
行長=文字サイズ×字詰め数
注 行長を全幅の整数倍に設定するのは,行の調整処理がでないようにするためである.
4.2.2 望ましい行長
デジタルテキストでは,行長を固定して表示する方法と,ウィンドウサイズなどに応じて可変とする方法がある.
いずれにしても,行長は読みやすさに影響する.極端に短い行長は,行末から行頭への移動回数が多くなり,また,単語が分割されることが多くなり,読みやすさが損なわれる.また,極端に長い行長は,行末から行頭に移動する距離が長くなり,また,行の途中で読みとどまるケースも増える.このように読みとどまる際には,位置があいまいになり,読みやすさを損なう恐れがある.
その文書の目的,デザイン上の工夫で行長は変わってくる.ここでは,最短の字詰め数と最長の字詰め数について,簡単に触れておく.
新聞では11字,あるいは12字としている例がある.書籍では,図版等を配置する際に図版等の字詰め方向のサイズにより,縦組では図版等の天地,横組では図版等の左右に文字を配置することがある(回り込みという).この回り込みの字数が10字以下の場合は,回り込みを行わないで空けておく方がよいと言われている.
こうした事情から考えると,最短の字詰め数は,10字前後となろう.
最長の字詰め数については,デジタルテキストでは,よくわからない事項であり,今後の課題である.ただし,書籍等と大きくは異ならないとも考えられるので,ここでは書籍でよく見掛ける例を示す.
こうした例を見ると50字くらいまでは考えられるが,こうした例は専門書であり,小説などでは40字くらいで,小説で52字とする例は少ない(小説をA5で刊行する場合,文字サイズを大きくして,字詰め数を少なくしている).横組でも,読みやすいのは30字から35字くらいであるともいわれていた.
注 書籍の仕上りサイズは以下である.
ただし,実際に刊行されている小説はB6ではなく,四六判(縦がB6より6mmほど大きい)が採用されている例が多い.
こうした事情を考慮すれば,最長の字詰め数は50字も考えられるが,40字くらであると考えた方がよいであろう.特に横組では,35字程度,多くても40字程度に止めておいた方がよいであろう.
行長が可変の場合,ある行長を超えた場合は段組にするといった方法も考えられる.
4.3 読みやすい行間
字詰め方向の字間は,通常は文字のボディを密着させて配置していく,あるいは文字サイズと同じ字送り量で配置していけばよい.これに対し,行送り方向の行間は,そのドキュメントの目的,内容,表示の方法,さらに読者などにより異なってくる.それぞれのドキュメントに応じて,何らかの値を設定しないといけない.また,行間の大きさは読みやすさに大きく影響する.ここでは,どのような行間は望ましいのか,まとめてみた.
なお,ラテン文字には,デッセンダーとアッセンダーがあるが,日本語組版に使用する漢字や仮名にはデッセンダーもアッセンダーはない.したがって,ラテン文字を主にしたテキストと漢字や仮名を主にしたテキストでは,行間は大きく異なる.ラテン文字を主にしたものに比べ,日本語組版では行間を広くとる必要がある.さらに,行間の選択の幅も大きい.全幅の1倍から1/4の範囲で設定する例が多い.
注 行間をゼロ ラテン文字を主にしたテキストでは,行間をゼロにすることも可能である.これに対し,漢字や仮名を主にしたテキストでは,行間をゼロにするケースは,2行で示す文中に挿入される割注など,その例は限られている.
4.3.1 行間を決める際に考慮する事項
行間は決める際には,以下のような事項を考慮するとよい.
1行の行長:行長が短い場合は,読んでいく際に,行末から行頭に移動する距離が短く,また,途中で読みとどまるケースも少ないので,ある程度は行間は狭くできる.これに対し行長が長い場合は,読んでいく際に,行末から行頭に移動する距離が長くなり,また,途中で読みとどまるケースの頻度も増え,読んでいる箇所でとまどいがでないように(隣の行との行間が狭いと,隣の行に視線がいくケースもある),ある程度は行間を広くしておく必要がある.
使用するフォントの字面の大きさ:文字の字面のボディに対する平均的な大きさはフォントにより異なる.ボディ一杯にデザインされているフォントもあれば,いくらか余白をもったフォントもある.字面の大きいフォントの場合は,通常は行間を広くするが,視覚的な字間は狭くなるので,それとのバランスを考慮すると,ある程度は狭めることも可能になる.
字間を詰めて配置した場合,行間はいくらか狭める処理が可能になる.逆に字間を空ければ,行間も広くする必要がある.
そのテキストの長さはどれくらいか.特に長いテキストで,読むことを重視するのであれば,読みやすさを第一に考慮しないといけない.短いテキストであれば,多少の読みにくさは問題にならない場合もあり,ある程度は行間を狭めてよい.
注 短い文章の行間 短い文章は,短時間で読んでしまえるので,少々のことは我慢できる.辞典などでは,小さい文字サイズを使用し,行間も狭くする例が多いが,読むことは可能である.読みやすさの評価は,一度に読む文章の量も影響する.
表示する文章の量:一つの画面で一度に見えるように,ある程度のまとまった量を表示する必要がある場合がある.読んでいる箇所の前又は後ろにある程度のテキストを表示した方がよいケースもある.この場合は,文字サイズの調整と合せて行間でも調整できる.
複数行になる見出し,複数行になる図版のキャプションなど,そのテキストがまとまりとして読まれるものがある.こうしたテキストでは,ある程度は行間を狭くした方が一体性を保つことができる.
注 表のヘッダーなど 表のヘッダーなど,一部のテキストだけ長く,複数行になり,他とのバランスを壊す場合,2行程度であれば,行間をゼロにしてよい.
表示する文字サイズ:表示される際の文字サイズは,どのくらいか.表示される文字サイズが大きくなれば,ある程度は行間は狭めることができる.
行中や行間に配置される要素:行中に,その段落に適用されている文字サイズより大きな文字やその他,行間に配置するルビや注番号といった要素が入っていないか.こうした要素がある場合,前後の行と重ならないように,行間を決める必要がある.
予想される読者:読者によっては,広い行間を求める人もいるので,こうしたことを考慮して,行間を決める必要がある.また,アクセシビリティへの対応として,特別に広い読者もいるので,読者が行間を変更できる仕組みが必要になる.
4.3.2 行間の選択例
使用している文字のサイズ又は行送り方向の文字のボディの大きさを基準に,その1/2をスタートに行間を選択する方法を次に紹介しておこう.
4.4 語句の区切りがない日本語を読みやすくするする工夫
英語のように語句の区切りが原則としてない日本語を読みやすくするする工夫について,まとめてみました.
漢字や仮名を用いた日本語では,通常は英語のように単語間にアキをとらない.語句の内容により,漢字,平仮名及び片仮名を選択し,使い分けているが,これにより単語が認識できるからである.しかし,語句の並びによっては意味が不明になったり,誤解を与えるケースもでる.こうしたことを避け,読みやすくするために,いくつかの工夫が行われている.次にその例を示す.
文字種を変える.
約物を挿入する.
圏点を付ける.
例6 圏点を付ける
ここに来てはだしの人を見る… →ここに来てはだし【はだしに圏点を付ける】の人を見る…
語句の間を空ける.
例7 分かち書きにする.仮名を主にした文章で利用されている.
むかし むかし ある ところに、 おじいさんと おばあさんが すんで おりました。
例8 語句の間を空ける.
人名の姓と名の区切りとして空白を入れる.人名の姓と名の区切りは常識で判断できるので,通常は区切りを入れないが,単独で掲げる場合や分かりにくい,あるいは珍しい場合に採用されている.なお,外国人名を片仮名で示す場合は,姓と名は中点で区切る例が多い.
東郷幸 →東 郷幸(あずま さとゆき)
その他
語句の区切りではないが,送り仮名を使用することにより漢字の読み方を示すことができる.例えば“後”とあった場合,〈あと〉〈うしろ〉などいろいろな読み方ができ,文脈から判断する必要がある.“後ろ”とすれば〈うしろ〉というひとつの読み方になる.送り仮名では,次のような例もある.
なお,ルビを付ければ,読み方を指示できる.
4.5 段落の示し方
段落は,1つ又は複数の文をまとめ,意味のまとまりを示す.そこで,読んでいく際に段落としてのまとまりが分かるように区切りを示す必要がある.
段落の区切りを場合,以下の方法がある.いずれにするかは選択による.
注記 1行アキとは,ドキュメントの先頭・末尾を除き,行間を次の大きさにすることである.
文字サイズ(行送り方向のボディのサイズ)+行間×2
段落先頭行の行頭を全幅の1倍下げる方法では,以下の点に注意する.
段落先頭行の行頭を全幅下げる方法として,行頭に和字間隔(U+3000)を入力する方法があるが,テキストの扱いとして問題が発生するケースもあり,書式の選択で行う方が望ましく,和字間隔(U+3000)を入力する方法は避けた方がよい.
段落先頭行の行頭を全角下ガリとする方針であっても,段落先頭行の行頭を全角下ガリとしない次のような例がある.
段落ごとに行を改め(改行),さらに段落先頭行の行頭を全幅の1倍又は2倍上げる方法は,例えば後注など項目を羅列する,対談・座談会の記事で発言者を行頭に示す,戯曲,問いと答えを交互に示す,あるいは参考文献を一覧にして示すといった,各項目の先頭部分を通覧する機会の多い場合に利用されている.問答形式ともよばれている.
4.6 全幅等幅以外の配列方法
全幅等幅での配列が原則である.しかし,視覚効果を考え,字間の調整を行う,あるいはプロポーショナル幅を持った和文文字も利用されている.以下では,こうした文字の配置について解説する.
4.6.1 プロポーショナル幅を持った文字の利用
プロポーショナル幅を持った和文文字の配置は,ボディを密着させて配置する点では全幅等幅での配列と同じであるが,個々の文字により字幅がプロポーショナル幅である点が異なっている.
このプロポーショナル幅の文字を使用する主な目的は,和字の中でも特に仮名(片仮名と平仮名)の文字間の余白(空白)について,視覚的に均等に見えるようにするためである.主に仮名の字幅を変更するのは,日本語の平仮名の画線は自由曲線で構成され,ボディに対する余白(空白)の分布は均等ではないことによる.文字によって,横組の場合は文字の右側と左側又は両方の余白,縦組の場合の文字の上側と下側又は両方の余白が漢字等の余白に比べて大きくなる例がある.片仮名の字形も必ずしも左右又は上下が対称でないため,文字の左右又は上下の余白が不均等になる,あるいは他の文字に比べて大きくなる場合がある.
上下で余白が大きくなる例:い,つ,へ,エ,コ,ニ,ヘ,マ,ユ等
左右で余白が大きくなる例:う,く,し,も,よ,り,イ,ク,タ,ト,ノ,ミ,メ,リ等
上下・左右で余白が大きくなる例:ヨ,ロ等
これらの空白の不均等は,ある程度は書体のデザイン段階で,字形やボディに対する配置位置を工夫することによって調整している.しかし,こうした書体デザインの段階での調整は,一般に正方形のボディを密着して配置する文字配置において,読みの進行が妨げられたり,揺らいだりして読みにくくならないようにするために行われるもので,必ずしも,視覚的に字間が均等になっているわけではない.
そのために,字間を視覚的に均等にすることによって,組まれたそれぞれの行の視覚的な一体性や方向性の強調,あるいはそれらの行で構成される段落全体が一体感のあるページ内要素として見えるようにすること求められる場合があり,特に字間の不均等が目立つ,比較的大きな文字サイズで組まれる見出しなどで必要となる.
このプロポーショナル幅を持った和字を実際に使用する場合,大きく分けて,次の2つの方法がある.
4.6.2 和字のカーニング処理
プロポーショナル幅の文字を利用するとしても,さらに文字の組合せによっては,特に仮名の場合などで他の字間と比べてアキが大きくなる場合がある(フォントにもよるが,例えば横組で“ほ”と“は”の並びと,“く”と“り”の並びでは,見た目の字間の印象は異なる).
そこで,ラテン文字のカーニングと同様に,予め設定されている文字の組合せに応じて詰める量を設定したカーニングテーブルに従って,字間を調節する方法もある.
この方法は,ボディを密着させて配置したうえで,さらに字間を詰める処理を行うものである.
4.6.3 大きい又は小さい文字の問題
デジタルテキストにおいてフォントは同一比率で拡大縮小される.しかし,そのように拡大した場合,視覚的に,文字間の空白が開きすぎになる,あるいは日本語の明朝体における縦線と横線の比率も変えないと,バランスの悪い文字になる(明朝体等での縦画線と横画線の太さの比率を以下では“縦・横画線のコントラスト”と呼ぶ).また,文字を縮小した場合は,読みやすさに欠ける場合もあるので,字形等を工夫する必要もでてくる.
こうした視覚的な文字間の空白や縦・横画線のコントラストを調整する方法としては,次のような方法がある.利用できる環境や,文章の目的,表示の状況などにより適宜選択して利用するとよい.
図〓に示したGaramond Premier Proの例で,キャプション,本文,見出しの3つのレンジごとに最適化したデザインのフォントが用意されている.
図〓 Garamond Premier Proの例
ただし,この方法で改善できるのは字間だけであって,縦線と横線の比率など,文字サイズに最適な文字のデザインが利用できるわけではない.また,テキスト全体に適用すると,仮名だけでなく漢字の字間を調整されるので,フォントによっては漢字の視覚的な字間が詰まって見えることもあるので注意が必要である.
注 漢字と仮名の字面のサイズ 漢字と仮名の平均的な字面のサイズは,特に一般的な明朝体においては,漢字にくらべ,仮名の方がいくらか小さくデザインされていることが多い.日本語の文章の中では,主要な意味の表現には漢字が使用され,仮名はどちらかといえば,補助的な役割を果たしている.漢字と仮名の字面のサイズが異なる,あるいは,その他,線や字画の性質もやや異なることにより,漢字がいくらか強調され,単語の区切りを読み取る助けにもなっている.
この想定する文字サイズに応じた最適化した書体デザインを行う方法は,活字組版や写真植字で採用されてきた伝統的な方法である.
この方法では,ボディに対する字面の平均的な大きさ,及び明朝体等での縦・横画線のコントラストについて,ウェイトごとに変えて設定する.細いウェイトのフォントでは,字面の平均的な大きさは正方形のボディに対して相対的に小さめに,縦・横画線のコントラストは低く,つまり横画線の太さは相対的に太めにデザインする.他方で,太いウェイトのフォントでは,字面の平均的な大きさは正方形の文字の外枠に対して相対的に大きめに,縦・横画線のコントラストは高く,つまり横画線の太さは相対的に細めにデザインする.
この方法の単純な例としては,小さな文字サイズに適したデザインを可変軸の一方の端に位置づけ,大きな文字サイズに適したデザインをもう一方の端に位置づけ,それらの中間の形状を自動的に計算によって生成する方法がある.こうした方法は,バリアブルフォントの技術で実現可能である.
なお,前述したプロポーショナル幅を持った文字の利用は,文字の拡大・縮小に伴うの字間の調整としても,利用できるとしても,この方法は,文字サイズを変える場合,単純に拡大・縮小するものなので,本質的に文字の拡大・縮小に伴う調整に対応したものではないことに注意する必要がある.
4.6.4 行頭の見え方
文字間が視覚的に開きすぎになる問題は,行頭でも似た問題がある.特に大きな文字サイズとなる標題や見出しでは,以下の例にように文字の組合せにとっては,視覚的に行頭がそろってみない場合があり,視覚的に行頭が揃って見えるように調整が必要になる.本文などでは,文字サイズも小さく,機械的な処理となるので,一般にこのような調整は行わない.
こうしたケースでは,前述したプロポーショナル幅を持った文字の利用でいくらかの解決はできる.しかし,文字の組合せやフォントによって見え方は異なるので,さらに実際の見え方は確認しながらの細かい調整が必要になる場合もある.
4.7 アクセシビリティ(Accessibility)
別稿あり
4.7.1 アクセシビリティとは
別稿あり
4.7.2 アクセシビリティのための日本語デジタルテキスト組版機能
別稿あり
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